出産費用はいつ払うのでしょうか。支払うときまでに準備ができていないと、退院手続きが遅れたり、医療機関で追加の手続きが必要になったりします。
出産費用は保険が適用されず全額自己負担です。しかし、出産育児一時金の受け取り手続きを事前に済ませておけば、医療機関で支払う出産費用を抑えられます。本コラムでは出産費用をいつ払うのか説明し、支払い方法なども紹介します。
出産費用はいつ払う?
出産費用は退院時に支払う病院が一般的です。ただし、病院によっては入院費の一部として事前に預り金の用意が必要になる場合もあります。また、切迫早産などで予定日より早く入院しなければならないケースもありますので、出産費用は早めに準備しておきましょう。
出産費用は全額自己負担
出産費用は健康保険が適用されず、全額自己負担です。また、入院する施設や地域によって出産費用は異なります。ここでは出産費用について詳しく見てみましょう。
出産費用の平均は50万円程度かかる
厚生労働省「出産費用の見える化等について(2023年9月)」によると、2022年度の出産費用の全国平均(※)は、正常分娩の場合で48.2万円です。(※妊婦合計負担額から室料差額等を控除後の金額)おおまかな費用の内訳は以下のとおりです。
項目 | 金額 |
---|---|
入院料 | 118,326円 |
分娩料 | 282,424円 |
新生児管理保育料 | 50,052円 |
検査・薬剤料 | 14,739円 |
処置・手当料 | 16,753円 |
室料差額 | 17,441円 |
産科医療補償制度 | 11,820円 |
その他 | 34,242円 |
妊婦合計負担額 | 545,797円 |
上記表内の産科医療補償制度は、、出産時に重度の脳性麻痺などの後遺症を患った赤ちゃんと家族の経済的負担を速やかに補償するための制度です。妊産婦が安心して産科医療を受けられるよう、病院や診療所、助産所など分娩を取り扱う機関が加入する制度です。約50万円という出産費用はあくまで目安で、さらに高額になる可能性があります。
正常分娩ではなく、帝王切開や早産の場合などの異常分娩の場合は保険が適用されます。しかし、入院が長期化することで、保険適用内でも家計を圧迫するほどの費用がかかるかもしれません。帝王切開が決まっている方や切迫早産の恐れがある方は「高額療養費制度」を事前申請しておきましょう。支払額は、高額療養費制度の自己負担限度額の範囲内になります。
高額療養費とは、医療費の自己負担額において一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される制度です。家計の負担を考慮された制度で、上限額は年齢や所得に応じて定められています。
また、産婦人科がある総合病院と産科専門の診療所、.助産所では費用が異なります。出産のタイミングも金額を左右する要素です。休日や深夜帯など出産のタイミングによっては割増料金になるところもあり、予想外に出産費用がかかる場合があることを覚えておきましょう。
出産費用を調べる際、これまではそれぞれの医療機関のホームページを見たり、出産を希望する医療機関に電話をかけたりして確認していました。しかし、2024年5月に厚生労働省「出産なび」のWEBサイトが開設され、エリアや詳細条件を指定して検索すると、出産費用や施設情報が一度に確認できるようになりました。「出産なび」では、全国の分娩を取り扱う施設、約2,000件(病院・診療所・助産所)のサービスや費用についての情報を閲覧できます。
出産費用を補助する出産育児一時金
出産育児一時金とは、健康保険や国民健康保険などの被保険者または被扶養者が出産する際、子ども1人あたりにつき50万円の支給が受けられる制度です。多胎児のときは人数分(双子なら100万円、三つ子なら150万円)受け取れます。ただし出産育児一時金を利用する際は、以下の点に注意する必要があります。
- 病院には立替払いが必要
- 申請により立替払いをしなくて済む方法
- 差額を受け取りるケース
詳しく見てみましょう。
病院には立替払いが必要
出産育児一時金は、健康保険に加入している被保険者、または健康保険に加入している夫の被扶養者が申請できる一時金です。受給するためには申請書の提出が必要で、出産翌日から2年以内であれば申請できます。2年を経過すると時効となり、出産育児一時金は支給されません。出産費用の領収証や明細書の写しを準備して、退院後早めに手続きしましょう。ただし、この方法で申請する場合には、退院時等に病院側の精算が必要で、ご自身で出産費用を全額立て替えなければなりません。このような手間を省くために、出産育児一時金に相当する金額を病院に直接支払う制度が設けられています。
申請により立替払いをしなくて済む方法
ここでは、病院で立替払いをしない、もしくは立替払い額を減らすための方法を紹介します。
本来、出産育児一時金は出産後に申請して受給する方法でした。しかし、現在では費用を立て替える負担を省くため、直接支払制度や受取代理制度が設けられています。どちらも、医療機関への支払いの際、出産育児一時金との差額分のみを精算する方法です。出産費用が出産育児一時金の範囲内であれば立替払いをする必要はなく、事前に費用を準備する負担がなくなるメリットがあります。
- 直接支払制度
- 受取代理制度
直接制度と受取代理制度の制度について、紹介します。
直接支払制度
直接支払制度とは、出産育児一時金の金額を上限に医療機関等が健康保険に出産費用の支払いを請求する制度のことです。この制度を利用すると、健康保険組合から出産育児一時金が直接、病院に対して支払われ、差額が発生した場合のみ、窓口で精算することになります。また、出産費用が給付額を下回った時は、後日健康保険に申請すると差額が返還されます。
ただし、利用できるのは、直接支払制度を導入している医療機関に限られます。出産育児一時金等の支給申請及び受取に係る代理契約を医療機関と結ぶ必要があります。
受取代理制度
小規模な診療所や助産所などでは、事務的負担などで直接支払制度を導入できないところもあります。そのような施設では、本人に代わって出産育児一時金を受け取る「受取代理制度」の利用ができます。受取代理制度とは、出産予定日の2ヵ月前に健康保険への申請を行うことで、医療機関に出産育児一時金が支払われる制度です。直接支払制度と同様に、医療機関等の窓口では、差額分のみの支払いとなります。申請を忘れると受取代理制度を利用できないため、入院する医療機関ではどちらの制度を利用できるのか、早めに確認しておくと良いでしょう。
差額分が受け取れるケース
出産費用が一時金を下回った場合、健康保険組合等に請求すれば差額分を受け取れます。ここでは協会けんぽの場合を例に手続きを説明します。
【直接支払制度の場合】
直接支払制度を利用し、医療機関への支給が終了した際「支給決定通知書」にて通知され、「健康保険出産育児一時金差額申請書」も同封されますので必要事項を記載し提出します。
「支払決定通知書」が届く前に、申請する場合には、「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」を提出します。その場合には、以下の書類も提出が必要です。
- 医療機関等から交付される直接支払制度に係る代理契約に関する文書の写し
- 出産費用の領収・明細書の写し
- 申証明欄に医師・助産婦または市区町村長の出産に関する証明を受けた申請書
申請前に各健康保険に確認し、提出書類などに不足がないよう注意しましょう。
【受取代理制度】
受取代理制度も、出産費用のほうが低い場合は、差額分が受け取れます。直接支払制度とは異なり申請する必要はなく、差額分が指定の口座に振り込まれます。
出産費用にクレジットカードは使える?
近年、多くの医療機関で精算の際にクレジットカードを利用できるようになっています。多額の現金を持ち歩く必要がないため、利便性だけではなく安全性でもメリットがあります。ここでは、クレジットカードを利用できない場合の対処法も含めて見ていきましょう。
病院によってはクレジットカードが利用できる
厚生労働省「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書(2023年3月)」によると、導入している医療機関は60.9%となっています。
クレジットカードが利用できれば出産育児一時金の差額が高額になった場合でも慌てることがありません。入院を予定する病院に、クレジットカードの取り扱いがあるか事前に確かめておくと良いでしょう。
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クレジットカードの利用ができない場合の対処法
クレジットカードの利用ができない場合、現金を用意しなければなりません。出産育児一時金で賄えれば問題ありませんが、出産費用がどのくらいになるかは予測が難しいものです。入院の長期化などで費用がかさむ可能性もあるでしょう。
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出産費用はいつ払うのか事前に確認しよう
出産費用は平均で約50万円ほどかかり、健康保険の適用がないため事前の準備が必要です。いつ払うのか、利用する医療機関に確認しておくのが良いでしょう。
出産育児一時金の直接支払制度を利用すれば立て替える手間が省けますが、出産費用が超過して差額を支払わなければならなくなる可能性もあります。クレジットカードの利用ができる医療機関であれば心配ありませんが、利用できない場合は、セゾンのカードローン「MONEY CARD GOLD」の申し込みもぜひ検討してみてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。