住宅ローン控除を活用し、確定申告を行うと、納めた所得税の一部が還付されます。ただし、住宅ローン控除の還付金をもらうためには、給与所得者であっても初年度は確定申告が必要です。ここでの「初年度」とは、住宅ローンの返済が始まった翌年を指します。
確定申告をしたことがない方の中には、以下のような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
- 住宅ローン控除の還付金はいつもらえるの?
- 還付金の計算方法を知りたい
- 還付金が少なすぎる場合があるって本当?
この記事では、住宅ローン控除の還付金がもらえるタイミングの解説や、還付金額のシミュレーションを行います。また、思ったよりも少ないと感じる原因についても触れますので、住宅ローン控除を活用する予定のある方はぜひ参考にしてください。
住宅ローン控除の還付金はいつもらえる?
住宅ローン控除を活用すると課税所得が減るので、確定申告または年末調整を行うと、払いすぎた所得税の還付を受けられます。このように還付されるお金を「還付金」と呼びます。
住宅ローン控除は新築住宅であれば13年、中古住宅は10年間も還付金をもらうことが可能です。ただし、還付されるのは、控除された所得税額分に限られます。住宅ローン控除額のうち所得税額を超える部分は、翌年度の住民税から控除されます。
住宅ローン控除の還付金がいつもらえるかは、初年度か2年目以降かによって異なります。また申請方法によっても異なるため、注意が必要です。
初年度の場合
住宅ローン控除を初めて申請する場合、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告を行わなければいけません。例えば、2024年に住宅ローン控除を申請した場合、2025年2月16日〜3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
国税庁によると、還付金が振り込まれるのは申告から1ヵ月〜1ヵ月半後です。2月中に確定申告を完了させれば、早ければ3月、遅くとも4月には還付金が振り込まれます。
ただし、e-Taxで確定申告を行った場合は、3週間程度で還付されます。手続きはそれほど複雑ではないため、還付金を早めに受け取りたい方はe-Taxで確定申告を行いましょう。
2年目以降
2年目以降に確定申告を行う場合、申告から1ヵ月〜1ヵ月半程度で還付金がもらえる点は初年度と同様です。
ただし、2年目以降は、本来確定申告をする必要のない方であれば、年末調整の際に住宅ローン控除を申請できます。具体的には住宅ローン控除の年度の確定申告が済んでおり、以下の条件にいずれも該当しない場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を申請できます。
- 給与所得が2,000万円を超える方
- 給与所得と退職所得以外の所得金額が20万円を超える方
- 2ヵ所以上から給与の支払いを受けている方
- 医療費控除・雑損控除・寄付金控除を受ける方
など
年末調整を行う場合は、12月または1月の給与と一緒に振り込まれます。
住宅ローン控除の還付金が少ない?還付金額のシミュレーション
「住宅ローン控除の還付金が少ない?」と疑問を抱いた方は、まず還付金額のシミュレーションを行ってみましょう。以下の条件を基にシミュレーションを行います。
- 2025年入居
- 購入する住宅:長期優良住宅・低炭素住宅
- 融資額:4,500万円
- 年末の住宅ローン残高:4,400万円
- 課税所得額:450万円
住宅ローン控除により還付される金額は、以下2つの金額のうち少ないほうになります。
- 1年間の住宅ローン控除の上限額
- 年末時点の住宅ローンの残高の0.7%
この条件で、住宅ローン控除の金額をシミュレーションしてみましょう。
まず1年間の住宅ローン控除の上限額は、31.5万円(4,500万円×0.7%)です。一方、年末時点の住宅ローン残高が4,400万円だった場合の控除額は、30.8万円(4,400万円×0.7%)になります。
このケースでは「年末時点の住宅ローン残高×0.7%」の金額のほうが少ないため、住宅ローン控除による還付金の上限額は30.8万円です。ただし前年の所得税が30.8万円に満たない場合は、全額の控除はできないため、還付金として受け取れない分は翌年度6月以降の住民税から控除されます。
還付金が思ったよりも少ない理由
所得金額が思ったよりも少ないと感じるならば、以下2つのケースに該当している可能性が高いです。
- 所得税額よりも還付金の方が多い
- 中古住宅を購入している
所得税額よりも還付金の方が多い
住宅ローン控除の還付金よりも納めた所得税額の方が低い場合は、還付金を全額は受け取れません。
例えば住宅ローン控除の還付金が30.8万円の場合でも、納めた所得税が30.8万円未満なら、満額を還付金として受け取ることはできません。納めた所得税が30万円であれば、還付金は30万円となり、残りの8,000円は翌年度の住民税から控除されます。
そのため還付金が少ないと感じた方は、住宅ローン控除額と納めた所得税を比べてみましょう。
中古住宅を購入している
中古住宅は新築住宅よりも、借入限度額が少額に設定されているので、住宅ローン控除の還付金も少なくなります。
2025年に入居する場合の新築住宅と既存住宅の借入限度額は、下記の表のとおりです。
【新築住宅】
住宅の環境性能等 | 借入限度額 | 控除期間 |
---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 13年間 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 |
【既存住宅】
住宅の環境性能等 | 借入限度額 | 控除期間 |
---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 10年間 |
その他の住宅 | 2,000万円 |
例えば既存住宅の借入限度額は最大で3,000万円なので、住宅ローン控除の還付金は最大でも21万円(3,000万円×0.7%)です。また新築住宅の借入限度額は4,500万円のため、住宅ローン控除を活用すると、還付金は最大で31.5万円(4,500万円×0.7%)ももらえます。
還付金の額が少ないと感じたら、中古住宅の借入限度額が適用されていないか確認しましょう。
よくある質問
最後に住宅ローン控除と還付金について、よくある質問について回答します。
住宅ローン控除の初年度に確定申告を忘れた場合、還付金はもらえない?
給与所得が2,000万円未満で、他の収入がないなど、確定申告を行う必要がない方であれば還付申告を忘れたとしても、過去5年に遡って申告することで還付金をもらえます。
ただし個人事業主やフリーランスなど、確定申告を行わなければならない方が還付申告を忘れた場合は、還付金はもらえないため注意が必要です。
住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?
住宅ローン控除とふるさと納税は併用できます。しかし、ふるさと納税を行うと納める所得税や住民税が減ってしまうため、もらえる還付金が減ってしまうケースもあります。
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合は、還付される金額と返礼品のどちらがお得かシミュレーションしましょう。
住宅ローン控除の手続きを忘れずに行おう
住宅ローン控除を行うと、年間で最大31.5万円の還付金がもらえます。ただし、もらえる額は購入する住宅や借入額、所得により変動するため、申請前のシミュレーションが欠かせません。
また、還付金をもらえる時期は、申請を確定申告または年末調整のどちらで行うかによって異なります。確定申告を行う場合、申告から1ヵ月〜1ヵ月半経つと還付金が振り込まれます。
e-Taxで申告を行うと3週間程度でもらえるケースもあるため、早めに還付金を受け取りたい方はこちらを活用しましょう。一方で年末調整の場合は、12月または1月の給与と一緒に振り込まれます。
住宅ローン控除の還付金を13年間または10年間もらうためには、住宅ローンの返済を継続しなければなりません。そのため住宅ローンを選ぶ際は、返済のしやすい商品を選ぶことが重要です。
長期的な返済のしやすさで言えば変動金利よりも、固定金利の商品がおすすめです。固定金利は、同じ金利が完済時まで適用されるため、返済額が変動しません。そのため計画的な返済計画を立てられます。
固定金利の住宅ローンの中でも一押しの商品は、セゾンのフラット35(保証型)です。この商品は自己資金の割合が多いと金利が下がるため、月々の返済の負担が抑えられます。自己資金の割合が10%でも適用される金利は1.45%です。
この金利は三菱UFJ銀行の年1.77%〜年1.85%(全期間固定31〜35年)や、三井住友銀行の年2.57%〜(超長期固定金利型)よりも低い水準です(2024年10月時点)。自己資金額の割合が増えると、低金利が適用されるため、月々の返済額を減らせます。
また繰り上げ返済の費用がかからない点もセゾンのフラット35(保証型)の強みです。家計に余裕があれば繰り上げ返済を行い、毎月の負担額を減らせます。返済のしやすい住宅ローンの商品を探している方は、利用を検討してください。
住宅ローンの借り換えを検討されている方は、クレディセゾングループが提携しているiYellの「住宅ローンの相談窓口」がおすすめです。住宅ローンの相談窓口で相談すれば適切なアドバイスを受けられ、業務提携する国内100社以上の金融機関から、最適な融資方法の提案を受けられます。住宅ローンの契約や借り換えでお悩みの方は、是非ご相談ください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。