予定納税が払えないときは、減額申請を検討してみましょう。生活維持が難しいときは換価の猶予などを申請できることもあります。状況別にどのような方法を申請できるのか解説するので、ぜひ参考にしてください。また、予定納税を納付しないときに起こる事柄についても解説します。
予定納税とは所得税の一部を事前納付する制度
所得税の予定納税とは、その年の5月15日時点で決まっている予定納税基準額が150,000円以上の場合に、所得税の一部を前もって納付する制度です。税務署から連絡が来るため、自発的に計算したり納付したりする必要はありません。
予定納税の対象者には、6月15日までに管轄の税務署から書面で案内が届きます。案内が届くと、予定納税基準額の2/3を7月と11月の2回に分けて納付しなくてはいけません。
予定納税の納付方法
予定納税は、次の方法で納付します。
- 直接納付
- 振替納付
- ダイレクト納付
直接納付とは税務署から送付された納付書を使って、税務署や金融機関の窓口で現金を納付する方法です。コンビニでも納付できますが、300,000円以下の納付額にしか対応していないことと、バーコード付きの納付書を新たに発行する必要があります。
振替納付は金融機関の口座から予定納税額を振り替えてもらう方法です。口座振替依頼書を提出すれば手続きができるため、税務署や金融機関などの窓口に行く必要がありません。
ダイレクト納付とは、e-Taxの開始手続きとダイレクト納付利用届の提出を済ませている場合に利用できる納付方法です。パソコンなどでいつでも納付手続きができるため、今後も予定納税を行うと思われる場合は手続きをしておきましょう。また、ダイレクト納付は予定納税以外にもさまざまな納税手続きに利用できます。確定申告をする方も手続きしておくと良いでしょう。
参照元:国税庁「QRコードを利用したコンビニ納付が利用できます!」
予定納税の過払い分は還付加算金として還付される
確定申告時に計算した実際の所得税額が、予定納税額を下回る可能性も想定されます。例えば、その年の後半に赤字が続くときは、予定納税額が所得税額を上回り、過払いが生じることになるでしょう。
過払い分は、確定申告後に還付加算金として還付されます。予定納税の法定納期限の翌日もしくは予定納税を納付した日のいずれか遅いほうから利息が発生するため、過払い額よりも増えることもあります。
参照元:国税庁「予定納税」、国税庁「第5章国税の還付及び還付加算金」
予定納税が払えないときに利用できる方法
予定納税の納付が難しいときは、次の3つの方法を利用できることがあります。
- 減額申請
- 換価の猶予
- 金融機関のローン
それぞれどのようなときに利用できる方法か、またどのように利用するのか解説します。
通常は「減額申請」
その年の6月30日の時点で、所得税及び復興特別所得税の見積額が予定納税基準額より低くなる場合は減額申請できます。なお、減額申請により減額されるのは予定納税額です。最終的には確定申告時に精算するため、所得税が減額されるわけではありません。
7月納付分と11月納付分の両方を減額申請するときは、7月1日~15日の間に管轄の税務署に申請書を提出します。11月納付分だけ減額申請する場合と特別農業所得者は、11月1日~15日の間に申請書を提出しましょう。いずれも期限日が土日祝日に当たる場合には、翌日が提出期限となります。
参照元:国税庁「[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」
生活維持が難しいときは「換価の猶予」
予定納税を行うと生活維持が難しくなるときは、換価の猶予を申請できます。換価の猶予とは原則として1年間の猶予を受けることです。予定納税を滞納すると延滞税が発生しますが、換価の猶予が適用された場合は猶予期間中の延滞税率が軽減されます。
猶予期間終了後は一括、あるいは分割で納税します。換価の猶予を利用するためには、猶予を受けようとする国税以外に税滞納がないことが条件となる点に注意しましょう。
金融機関のローン
予定納税の減額や換価の猶予のいずれも利用できないときは、ローンも検討しましょう。クレディセゾンのカードローン「MONEY CARD(マネーカード)」の利用をおすすめします。
また、急な出費に対してもカードローンをご検討ください。限度額内であれば繰り返しご利用いただけるため、予定納税以外に急な出費が起こったときも対応できるでしょう。お急ぎのときにはその日のうちに指定の口座への振り込みが可能です。万が一に備えて、事前に申し込みをしておくことをおすすめします。
参照元:国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」、国税庁「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」
予定納税を納付しないと延滞税が発生する
予定納税を納付期限までに納付しないと、期限の翌日から納付する日まで延滞税が発生します。なお、延滞税の税率は2段階あり、延滞期間が2ヵ月以上になると金利が上がるため注意が必要です。
納付期限の翌日から2ヵ月を経過する日までの第1段階は、原則として延滞税率は年7.3%と延滞税特例基準割合に1%を加えた割合と比較し、どちらか低い割合が適用されます。例えば、令和4年1月1日~12月31日の延滞税特例基準割合は1.4%のため、実際に適用される第1段階の延滞税率は年2.4%です。
納付期限の翌日から2ヵ月を経過した日以降の第2段階は、原則として延滞税率は年14.6%と延滞税特例基準割合に7.3%を加えた割合を比較し、低いほうの割合が適用されます。例えば令和4年1月1日~12月31日であれば、実際に適用される第2段階の延滞税率は8.7%です。
消費税・法人税の中間納付も延滞税の対象
予定納税は、所得税額が高くなりそうなときに前もって納付する制度です。予定納税があることで、確定申告時の納税負担が軽減されます。
また、消費税や法人税にも、所得税の予定納税と同じく前もって納付する制度「中間納付」があります。中間納付も納付期限に遅れると延滞税の対象です。納付期限を守り、正しく納付するようにしましょう。
おわりに
予定納税の納付が予想される場合には、計画的に予定納税額を準備することが必要です。例えば、金融機関で納税準備預金口座を開設し、予定納税額を貯めることもできるでしょう。納税準備預金には金利が優遇されるなどのメリットもあり、効率良く予定納税額を準備できるかもしれません。
どうしても納付が難しいときは、減額や猶予を検討することも必要です。管轄の税務署に出向き、どのような方法が適しているのか相談してみましょう。減額や猶予などの制度を利用することが難しいときには、ローンも検討しましょう。いずれの手続きもしないまま納付期限が過ぎると延滞税が発生するため、早めに何らかの行動を起こすことが大切です。