キャッシングを利用する際は金利に対する理解が欠かせません。金利の仕組みを知ることで、月々の返済額や返済総額を把握でき、計画的な利用が可能になります。本記事では、キャッシングの金利の基礎知識や計算方法、返済方法などを網羅的に解説します。
キャッシングの金利の基本知識
キャッシングを利用する場合は、まず金利の基本を知ることが大切です。金利によって返済額が変わってくるため、返済計画に大きな影響を及ぼします。ここからは金利と似た言葉との違いを中心に解説するので、金利がどのようなものか理解しましょう。
「金利」と「利息・利子」との違い
金利と利息は似た言葉で混同しがちですが、金利は借り入れに対して支払う利息の利率のことで、%で表示されます。一方、利息は借り入れに対して支払われる対価のことです。
例えば、200万円を借り入れたとしましょう。借り入れ額に対して5%の対価を支払う場合は、10万円の支払いが発生します。この場合は5%が金利で、10万円が利息です。キャッシングの金利は、通常は年率で表され、金利が低くなるほど利息も安くなります。
利息と利子は基本的には同じ意味です。しかし、慣用的に使い分けがされています。利息はお金を貸した側が受け取る対価、利子はお金を借りた場合に支払う対価として使われるケースが一般的です。
「金利」と「実質年率」との違い
キャッシングの金利に関するカード会社の説明文で、「実質年率」という語句がよく使われています。金利と実質年率も混同されやすいです。実質年率は利息に手数料と諸経費を加えた額によって、算出する割合です。
手数料と諸経費がゼロならば、金利と実質年率は同じ数値になります。カードローンは金利以外の諸費用が発生しないことが多いため、実質年率と金利が同じ場合がほとんどです。また、消費者金融は法律によって、実質年率での表示が義務付けられています。
金利の記載に幅がある理由
金利の表記に幅があるのは、融資の金額や条件の違いによって変化するからです。そのため同じカード会社であっても、「●●%~●●%」のように幅のある表記になっています。
一般的には、融資額が大きくなるほど低金利となり、融資額が小さくなるほど高金利になる傾向があります。融資額が多いと低金利になる理由は、融資額が多い利用者はカード会社にとって多くの利益をもたらしてくれるため、その対価として金利が低くなるのです。この傾向はどのカード会社にも当てはまります。
キャッシングの金利の相場と上限
キャッシングの相場と上限を知っておけば、キャッシングサービスの比較や悪徳なキャッシングの利用の回避などができます。
キャッシングの金利の相場は年率18%
クレジットカードのキャッシングの金利は、年率18.0%が一般的です。国内のクレジットカード会社であれば、この数字に大きな違いはありません。
なお、実際にキャッシングをした際に適用される金利は、利用者の条件やカード会社の契約内容によって異なるため、契約時に必ず確認してください。
キャッシングの金利上限
キャッシングの金利は「利息制限法」「出資法」「貸金業法」という3つの法律のもとで厳格に定められています。これらの法律によって、借り手側が保護されています。
金利の上限基準が明確に示されているのが「利息制限法」です。その法律で、定められている金利の上限は年20.0%です。そのためキャッシングサービスを提供しているすべての金融機関は、この上限を守らなければなりません。
なお、利息制限法では、借り入れする金額に応じて細かく上限金利が決められています。
- 借入金が10万円未満の場合 金利は20%まで
- 借入金が10万円以上100万円未満の場合 金利は18%まで
- 借入金が100万円以上の場合 金利は15%まで
金融機関がこの上限を超える金利でサービスを提供した場合には、行政処分の対象となります。なお、一般的にはカードローンでは利用者が実際に借り入れした金額ではなく、貸付枠の上限に応じて、金利の上限を設けているケースが多いです。
利息制限法について詳しくはこちら(総務省のサイト)
カードローンとクレジットカードのキャッシングの違い
カードローンとクレジットカードのキャッシングの最も大きな違いは金利です。クレジットカードのキャッシングの方が金利が高い傾向にあります。
また、ローン用のカードはあくまでも現金の借り入れ専用です。一方、キャッシング機能付きクレジットカードはショッピングでも利用できるという点でも異なります。
さらに違いを理解するために、カードローンとクレジットカードのキャッシングの特徴をそれぞれ解説します。
カードローンのキャッシングの特徴
カードローンの特徴は金利が比較的低く、借り入れの利用枠が大きいことです。ショッピング機能はありませんが、一般的なカードローンではお金の使い道は自由です。そのためキャッシングしてから現金で好きなものを買うこともできます。
また、利用限度額の範囲内であれば、借り入れと返済を自由に繰り返すことも可能です。支払い方法は1回払いもしくはリボ払いが一般的です。まとまった金額を借り入れして中長期的に返済するという利用方法もできます。
クレジットカードのキャッシングの特徴
クレジットカードでは買い物をしてから後払いができるショッピング機能がメインであり、キャッシングは任意で選択して付帯する機能です。なお、キャッシング枠とショッピング枠は、別々に設定されています。
また、キャッシングの金利はカードローンよりも高めの傾向にあります。クレジットカードのキャッシングは、カード1枚で買い物もキャッシングもできる点が大きなメリットです。
キャッシングの利用方法と手数料
キャッシングの利用方法はいくつかあり、手数料の金額もその方法や契約内容によって細かく決まっています。また、借り入れをする場合には返済方法も選択する必要があり、返済総額もそれによって変わります。
ここでは国内のATMとオンライン入金による振り込みの手順を説明しましょう。
国内のATMを利用する場合
国内のATMを利用してクレジットカードのキャッシングをする場合の一般的な手順は、以下のとおりです。
- 引き出しを選択する
- クレジットカードをカード挿入口に入れる
- 暗証番号を入力する
- キャッシングもしくは借り入れを選択する
- 返済方法を一括もしくはリボ払いから選択する
- 借入金額を1万円単位で入力する
- 現金・クレジットカード・利用明細を受け取る
※ATMによって異なる場合があります
利用できるのはクレジット会社と提携している提携金融機関のATMおよび提携コンビニのATMです。なお、ATMを利用する際には借入金額が1万円以下の場合には110円、1万円を超える場合は220円の手数料がかかる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
オンラインを利用する場合
クレジットカードによっては、オンライン入金が利用でき、キャッシングした現金を所定の銀行口座へ簡単に振り込むことができます。金融機関やコンビニのATMに行く必要がなく、基本的にはパソコンやスマホから24時間好きな時にキャッシングすることが可能です。ただし、オンラインを利用する場合は、クレジットカードによっては1,000円単位での借り入れが可能な場合もあります。
キャッシングの返済方法による利息の違いと計算方法
クレジットカードのキャッシングの返済方法は大きく分けると、一括払いとリボ払いの2種類があります。返済方法によって、支払額も大きく変わってくるので注意が必要です。また、一括払いでも支払い日までの日数によって、利息が変わります。リボ払いでも毎月いくら払うかによって、利息が変わるためよくシミュレーションしましょう。
ここでは一括払いとリボ払いの利息の計算方法を、具体的な数字を例に解説します。ぜひ返済計画を立てる際の参考にしてください。
キャッシング翌月1回払いの利息の計算方法
キャッシング翌月1回払いの利息の計算方法は、以下の式のとおりです。
「キャッシング利用額」×「実質年率」÷365(うるう年は366)×利用日数
利用日数はキャッシングを利用した翌日から支払い日までの日数です。
例えば、20万円を実質年率18%で30日間、借りたとしましょう。その場合の計算式は以下のようになります。
200,000×0.18÷365×30=2,958.9(小数点以下は切り捨てます)
つまり、利息は2,958円です。一括払いであれば、キャッシング利用額20万と利息2,958円を支払うことになります。自動引き落としの場合は、キャッシング利用日の翌日から引き落とし日までの日数で計算します。
上記は翌月1回払いのケースですが、一括で支払う期日が先になればなるほど、その日数分だけ利息も増えるので注意してください。
利息を少なくするためには、利用額や利用日数を減らすことが大切です。繰り上げ返済が可能な契約内容で、なおかつ返済する余裕があるなら、繰り上げ返済を利用すると良いでしょう。
例えば同じ金額を利用して、1週間で返済した場合は次のような計算式になります。
200,000×0.18÷365×7=690.4(小数点以下は切り捨てます)
利息分は690円です。
翌月1回払いの利息2,958円と比べると、約4分の1にまで減っていることがわかります。
キャッシングリボ払いの利息の計算方法
キャッシングリボ払いの利息の計算方法は、以下の式です。
「キャッシング利用額」×「実質年率」÷365(うるう年は366)×利用日数
基本的には一括払いと同じ計算式です。実際にシミュレーションしてみましょう。今回は以下の条件で行います。
- キャッシング利用額:20万円
- 実質年率:18%
- 返済方式:定額リボルビング方式
- 毎月の支払い額:1万円
- 利用開始日:2025年2月1日
- 引き落とし日:毎月4日(土日休日の場合は翌日)
返済のシミュレーション結果は以下となりました。
支払いの回数 | 支払い月 | 支払い金額 | 利息 |
---|---|---|---|
1 | 2025年4月 | 10,000円 | 6,115円 |
2 | 2025年5月 | 10,000円 | 2,901円 |
3 | 2025年6月 | 10,000円 | 2,889円 |
4 | 2025年7月 | 10,000円 | 2,691円 |
5 | 2025年8月 | 10,000円 | 2,669円 |
6 | 2025年9月 | 10,000円 | 2,557円 |
7 | 2025年10月 | 10,000円 | 2,364円 |
8 | 2025年11月 | 10,000円 | 2,326円 |
9 | 2025年12月 | 10,000円 | 2,137円 |
10 | 2026年1月 | 10,000円 | 2,089円 |
11 | 2026年2月 | 10,000円 | 1,968円 |
12 | 2026年3月 | 10,000円 | 1,666円 |
13 | 2026年4月 | 10,000円 | 1,717円 |
14 | 2026年5月 | 10,000円 | 1,539円 |
15 | 2026年6月 | 10,000円 | 1,461円 |
16 | 2026年7月 | 10,000円 | 1,288円 |
17 | 2026年8月 | 10,000円 | 1,198円 |
18 | 2026年9月 | 10,000円 | 1,063円 |
19 | 2026年10月 | 10,000円 | 897円 |
20 | 2026年11月 | 10,000円 | 787円 |
21 | 2026年12月 | 10,000円 | 626円 |
22 | 2027年1月 | 10,000円 | 503円 |
23 | 2027年2月 | 10,000円 | 358円 |
24 | 2027年3月 | 10,000円 | 190円 |
25 | 2027年4月 | 4,060円 | 61円 |
参照元:クレディセゾン「「キャッシング」のご返済シミュレーション」
最初の支払い月は2025年4月で、最終月が2027年4月です。支払い総額は244,060円、そのうち利息の合計額は44,060円となりました。利用額が多くなるほど、支払いのトータル金額も利息も増えます。また、月々の返済額を減らすと、支払い期間が長くなり利息も増えます。
つまり、リボ払いを利用する場合には利用額を抑えつつ、可能であれば毎月の返済額を増やすことによって利息を減らせます。
キャッシングの金利と利息を抑える方法

キャッシングの金利と利息を抑える方法は、主に以下の3つです。
- 一括返済する
- 繰り上げ返済する
- 利用限度額を増額する
少しでも金利負担を減らしたいなら、上記を実践するべきです。
一括返済する
キャッシングした金額を一度に返済する「一括返済」をすると、利息総額を減らせます。一括返済をした時点で支払いが完了し、以降は利息が一切発生しないため、最も利息の負担を抑えられます。
手元のお金に余裕ができたら、一括返済できないかまず検討しましょう。
繰り上げ返済する
一括返済が難しい場合は、金銭的なゆとりができたときや臨時収入があった際に、毎月の返済に加えて繰り上げ返済をしましょう。繰り上げ返済は、キャッシングの毎月の支払いに一部上乗せして返済することです。完済までの期間を短くできるため、発生する利息を抑えられて総返済額を減らせます。
利用限度額を増額する
キャッシングの利用限度額を増額すると、上限金利を下げられる可能性があります。その結果、利息負担を抑えられます。
上限金利が下がる理由は、利息制限法で借入の元金に応じて上限金利が決められているからです。
(元金と上限金利)
元金 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20% |
10万円以上から100万円未満 | 年18% |
100万円以上 | 年15% |
例えば、利用限度額が10万円以上100万円未満の場合、上限金利は18%です。それが増額申請によって100万円以上になると、15%が上限となり、3%低くなります。
増額申請はカード会社の会員サイトや電話から手続き可能です。
ただし、増額には審査が必要であり、増額できないこともあります。
キャッシングの利用時に気をつけるべき4つのこと
キャッシングを利用する際は、以下の4つに気をつけましょう。
- キャッシングを利用するには事前に申し込みが必要
- 利用上限額はショッピング枠とキャッシング枠の合計額
- 返済計画を立てて堅実に利用する
- 返済が遅れないようにする
上記に気をつけないと、いざというときにキャッシングを利用できなかったり、返済が滞ってしまったりする可能性があるのでそれぞれ解説します。
キャッシングを利用するには事前に申し込みが必要
キャッシングを利用するには、カードの新規発行と同時に申し込む必要があります。申し込んでいない場合、キャッシング機能がついていない状態でカードが発行されてしまいます。ただし、カード発行後でもキャッシングを申し込める場合が多いのでカード会社に確認してください。
利用上限額はショッピング枠とキャッシング枠の合計額
カードの利用上限額は、ショッピング枠とキャッシング枠の合計額が設定されています。ショッピング枠を使いすぎて利用上限額に達すると、キャッシング枠があっても使えなくなってしまいます。
例えば、利用上限額が100万円で、ショッピングで90万円使っていた場合、利用上限額に達するまでの10万円までしかキャッシングは利用できません。
急にキャッシングが必要になる可能性を考慮して、利用上限額に余裕をもっておくと良いでしょう。
返済計画を立てて堅実に利用する
キャッシングは返済計画を立てて堅実に利用しましょう。手軽に現金を引き出せることもあり、お金を借りているという実感がなくなって、借りすぎてしまうというケースがあります。
利用額が大きくなると、その分利息も増えます。その結果、返済が困難になってしまうことも考えられます。自分の収入と支出の金額を把握したうえで、しっかりと計画を立てて利用しましょう。
返済が遅れないようにする
キャッシングの返済が遅れてしまうと、遅延損害金という余計な費用がかかります。遅延損害金とは、期日までに返済できなかった場合に課されるものです。返済期日の翌日から実際に支払われた日まで、返済すべき元金に対して損害金利率が乗じされて算出される額を支払わなければなりません。
余計なお金を支払う事態にならないためにも、返済日と金額を常に把握して返済は遅れないようにしましょう。
セゾンカードのキャッシングがおすすめな理由
キャッシングを利用する場合には、セゾンカードがおすすめです。全国の多くの金融機関ATMやコンビニATMでのほかに、オンライン入金による振り込みも可能です。また、スマートフォンアプリ「セゾンPortal」を活用すれば、さまざまな手続きを手軽に行えます。
なお、キャッシングの利息は日割計算で、口座での引き落とし前にセゾンATMで返済するとお得になる場合があります。
この他にも、カード不正使用補償や3Dセキュアによる本人認証サービスなど安心・安全のサービスが充実しています。キャッシングで使うクレジットカードをどれにすべきか迷っている方は、ぜひセゾンカードを検討してみてください。
セゾンカードのお申し込みの流れはこちらです。
セゾンカードの一覧はこちらです。
おわりに
キャッシングの金利は、利用金額や条件などによって異なりますが、おおよそ年率18%です。なお、法律で上限金利は20%と決まっているので、それを超えるキャッシングサービスは悪徳業者です。絶対に利用しないようにしましょう。
また、金利によって発生する利息は、借入期間と金額が大きくなるほど負担も重くなります。キャッシングを利用する際には、無理のない返済計画をしっかり立てましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。