高額な治療費が必要となる場合、すぐに治療をスタートできるように医療ローンを利用する方は多いです。ただ、審査をなかなか通過できないという声も少なくありません。
そこで、今回は医療ローンによくある審査落ちの原因を解説します。併せて、審査を通過するための対策や審査に落ちた場合の対処法についてもまとめました。
医療ローンを検討中の方、今から申し込み予定の方はぜひこの記事を参考に事前準備をしておきましょう。
医療ローンとは
まず「医療ローン」とはどういったローンなのか、基本的な知識を押さえておきましょう。
保険適用外の治療費に利用できる「医療ローン」
医療ローンとは、治療費を分割支払いするための「目的別ローン」の一種で、医療行為限定のサービスです。「医療クレジット」「メディカルローン」と呼ばれることもあります。
医療ローンを利用する一番のメリットは、高額な治療費を全額用意できていないうちから、すぐに治療をスタートできることです。例えば、歯科矯正や脱毛など複数回の治療が必要となりそうな場合には、早く効果を出すためにも思い立ってからすぐに治療を開始したい方がほとんどでしょう。
医療ローンはそんなときに嬉しいサービスです。無事契約できれば、これまで治療費を用意できず諦めていた治療であっても借入金を使用することで受けられるようになるのです。
また、医療ローンの金利は比較的低いうえに、医療機関によっては金利を負担してくれるところもあります。これも医療ローンのメリットといえるでしょう。
ただ、医療ローンは審査が厳しく、入金までに時間がかかることがあります。また、契約できたとしても希望する金額を満額借りられるとは限りません。もちろん、審査に落ちる可能性も充分にあるのです。さらに、一度医療ローンを契約してしまうと別の医療機関への転院が難しくなるというデメリットもあります。
医療ローンを利用するのであれば現在かかっている医療機関が信頼できるかどうか、今後長く付き合っていけそうかどうかなど、慎重に検討することが大切です。
医療ローンを利用できる治療
医療ローンを利用する目的としては、以下のような治療が挙げられます。
- 美容整形
- インプラント
- 審美歯科
- 歯科矯正
- エステ
- 植毛
- 脱毛
- レーシック
- 人間ドッグ
- 不妊治療
- 手術
- 入院
- 先進医療
医療ローンは、保険適用内だけでなく、保険適用外の治療にも利用可能です。保険が適用されないことで治療費が高額になってしまいやすい治療では、医療ローンは頼れる存在といえるでしょう。
医療ローンの種類
医療ローンには大きく分けて、以下の2種類があります。
- クリニックが提携する信販会社(クレジットカード会社)の医療ローン
- 銀行の医療ローン
それぞれの特徴について、簡単に説明しましょう。
クリニックが提携する信販会社の医療ローン
クリニックで案内される医療ローンの多くは、提携する信販会社が提供するサービスです。提携先の医療ローンであれば、クリニックで申し込み手続きが済ませられるうえに、その後の手続きをすべてクリニックが代行してくれるというメリットがあります。ローンの手続きが苦手な方にとっては魅力的な方法といえるでしょう。
カウンセリング時に必要事項を記入した申込書をクリニックへ提出したら、クリニックから信販会社へ申込書が渡されて審査がスタートするというのが、手続きの基本的な流れです。契約内容や審査状況によっては、申請からわずか数十分後に結果が出ることもあります。無事に申請が通ると、信販会社からクリニックへ治療費の立て替えが行われます。その後は、治療と並行して信販会社へ借入金額を少しずつ返済していくようになります。
銀行の医療ローン
一方、銀行の医療ローンは治療先の病院やクリニックを通さず、ご自身で申請手続きを行う方法です。審査に通り、借入金がご自身の口座に振り込まれたら、自ら医療機関へ治療費を一括支払いします。
また、銀行から借り入れる場合には、資金使途が確認できる見積書や治療費用がわかる資料、ご利用明細書などの提示を求められることもあります。申し込みの際には事前に揃えておくと良いでしょう。
銀行の医療ローンには審査に時間がかかるというデメリットはありますが、金利や借入限度額が信販会社のローンより優遇されることもあります。「少しでも治療費を安くしたい」という方にはおすすめの方法です。
医療ローンの審査とは
審査が厳しいといわれることも多い医療ローン。無担保で借りられる分、融資相手としてふさわしいかどうか慎重に判断されます。次は、審査基準と申請の流れについて見ていきましょう。
医療ローンの審査基準
医療ローンの審査において、最も重視されるのは「返済能力」です。正確な審査基準は非公開ですが、以下に挙げた項目は必ず確認される情報です。
年齢
2022年4月1日から施行された民法改正によって成人年齢が引き下げられ、18歳以上からローン契約できるようになりました。そのため、法律の上では医療ローンも18歳以上から契約可能に。ただし、多くの医療ローンでは年齢以外にも条件を設けており、現時点では従来のまま、18歳、19歳では借り入れが難しい状況のようです。
ただ、クリニック提携の信販会社の中には、銀行と違って未成年者が契約できるところもあります。その場合には、親が連帯保証人になったり、親名義で契約したりするなどの方法がとられます。なお、契約条件は医療ローンによっても異なるため、一概にはいえません。契約の際にはクリニック側へしっかりと確認することが大切です。
参考:法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」
収入や勤続年数
未成年者で連帯保証人が付くケースを除けば、安定した収入が得られる状況でないとローンは組めません。このとき重視されるのは、収入額よりも安定性です。毎月のローン返済を確実に続けられそうであれば正社員かどうかは問われず、パートや派遣、契約社員でも審査を受けることができます。
収入の安定性の判断基準となるのは、勤務先や勤続年数の長さです。「勤務先の企業が安定した事業を営んでいること」や「転職を繰り返すことなく今後も勤務し続ける可能性が高いこと」は、審査に有利な情報となります。
借入状況
現在、すでに他社から借り入れがある場合には、借入先の数や借入金額を確認されます。目安としては、借入先が4社以上になると審査を通過しづらくなると思った方が良いでしょう。
また、借入先が多いということは年収に占める借入金額の比率(=返済比率)も高くなるということ。返済比率が35%以上になる場合には、審査落ちしやすくなるため注意が必要です。
信用情報
信用情報とは、クレジットカードやローン契約の際の客観的な取引事実を記録したものです。過去に金融トラブルを起こしていた場合には、信用情報にも「金融事故」として記録されてしまいます。契約に影響するのは直近5~10年以内の信用情報です。この間の記録が重要な判断基準となります。
医療ローンの審査の流れ
医療ローンにはさまざまな商品がありますが、基本的な審査の流れは変わりません。以下のような手順で手続きが進められます。
- 医療機関(もしくは銀行)で申し込み
- 申請用紙に必要事項を記入、本人確認書類とともに提出する
- 審査を受ける
- 審査の結果を確認
- 金融機関と契約手続きを行う
審査完了にかかる日数は、契約先の金融機関によってかなり差があります。即日結果がわかる場合もあれば、1週間以上かかることもあります。余裕を持って申請することをおすすめします。
医療ローンの審査に落ちる理由
先に説明した医療ローンの審査基準を踏まえつつ、審査落ちの理由を5つ挙げました。
収入が少ない
治療費が高額になればなるほど、収入の少なさが審査に不利に働くようになります。また、十分に収入があったとしても、日々の収入に変動がある、または長続きしにくい仕事に就いていると収入が不安定と判断されることになります。そのため、フリーランスやシフト制のアルバイトなどは審査通過が難しくなってしまう可能性が高いです。
雇用が不安定
医療ローン審査では、勤務先へ在籍確認されることがあります。そのため日雇い勤務のように職場に連絡がつきにくい場合には雇用が不安定とみなされ、返済能力が低いと判断されることもあります。
過去に金融トラブルがある
過去の金融事故、つまりローン返済の長期滞納や自己破産などの債務整理、カードの強制解約といったトラブルを起こしていた場合には、審査を通過できなくなります。信用情報として過去のトラブルが残っているうちは、医療ローンの申し込みを諦めた方が良いでしょう。
半年以内に審査に落ちている
審査落ちしてから間をおかずに複数社でローンの申し込みをすると、「申し込みブラック」と呼ばれる状態になります。この間は審査に落ちやすくなり、一度「申し込みブラック」とみなされるとその後半年はこの状態が続くことになります。何度申し込みしても通過できない、悪循環に陥ってしまいます。
申込内容に虚偽や不備がある
申し込みの際に、虚偽の内容や記入内容に不備があった場合には、当然審査に落ちてしまいます。さらに今後、再度申し込みをしたい場合にも断られてしまう可能性もゼロではありません。
また、申し込み時に虚偽や不備を隠し通せたとしても、契約後に発覚するケースもあります。この場合、すでに治療を開始しているにもかかわらず、借入先から借入金を一括請求される可能性があり、金銭面でかなりのリスクを負うことになります。
医療ローンの審査に落ちないための対策
医療ローンを申し込む際、事前に行っておきたい対策としては、以下の3つがあります。
借入件数をできるだけ減らす
先に説明したように、借入状況は審査に大きく影響する要素です。すでに4社以上の借入先がある場合には、繰り上げ返済が可能かどうかを確認し、できるだけ完済しておくようにしましょう。また、返済比率は20~30%を目指すと審査通過の可能性が高まります。
審査落ちから間をあける
「申し込みブラック」にならないためには、前回の審査落ちから3ヵ月以上は間をあけ、申し込み先を2社までに絞ることが大切です。治療を受けたいからといって闇雲に申請するのは控えた方が得策です。
信用情報を確認しておく
信用情報に傷があると、せっかく申し込みしたとしても審査を通ることはありません。金融事故の心当たりがある場合には、その情報がまだ残っているかどうか、ローン申し込み前に確認しておくと安心です。信用情報について知りたいときは、JICC(日本信用情報機構)やCIC、KSC(全国銀行個人信用センター)へ開示手続きを行ってみてください。
医療ローンの審査に落ちてしまったら?
医療ローンの審査落ちが続く場合には、再度申し込みをしたとしても同じ結果になる可能性が高いです。その場合には、別の選択肢も検討してみましょう。
月額支払い可能なクリニック、プランを利用する
クリニックの中には、月額制プランを設けているところがあります。医療ローン返済と違うのは、総額や支払回数が決まっておらず、支払った分だけ治療を継続できるというところです。利用するための審査はないので、信用情報などを気にする必要もありません。
ただし、中には月額制プランという名称で医療ローンのようなサービスを案内しているところもあるため注意が必要です。この場合には審査があり、金利もかかります。
月額制プランをうたっているクリニックを利用する際には、詳しいサービス内容についてしっかりと確認しておくことが大切です。
医療ローン以外で借り入れる方法を検討する
医療ローンの代わりに、カードローンを利用するというのも選択肢のひとつです。カードローンは医療ローンのような目的別ローンとは違って、事業資金以外であれば用途自由です。医療ローンとは審査項目も仕組みも異なるため、契約まで至る可能性も充分にあります。
また、カードローンには最短即日振込が可能というメリットもあります。大手のローン会社が提供するローンサービスの中には、最短30分で審査が完了するものもあります。そして、無利息期間が設定されることがあるというのもメリットのひとつです。
その際の条件はローン会社によってさまざまですが、初めての利用である、かつ無担保のキャッシングローンを利用する場合には設定される可能性が高いです。
全国どこでもスピーディに手続きを進めたいという方には、クレディセゾンの「MONEY CARD(マネーカード)」がおすすめです。全国のコンビニやATMから利用でき、指定口座へ最短数十秒で振り込みが完了します。
また、フリーローンを医療ローンとして利用する方法もあります。目的別ローンとして利用するのであれば金利は比較的安くなりますが、フリーローンになるとその分審査は厳しくなる傾向にあります。そのため信用情報に傷があったり、借入先が多かったり、審査に不利な情報が極力ない方におすすめの方法です。
おわりに
高額な治療費が必要となるときに頼りになる医療ローン。ただ、審査が厳しくて契約に結びつかないという声も多いです。審査落ちしないためには、ご自身の現在の借入状況や収入状況をしっかりと確認することが大切です。すぐに治療を開始したいからといって闇雲に申し込みするのではなく、ベストなタイミングを見極めるようにしましょう。