住宅の定期的なメンテナンスのなかでも、特に屋根の塗り替えは大がかりな作業です。金額の相場がわからず、漠然と塗装費用を負担に感じている方もいるかもしれません。今回は、屋根の塗装費用について、一般的な相場や実際に金額を左右する要因を詳しく紹介します。
また、塗装費用を抑える10個のコツも掲載しましたので、屋根の塗装を検討している方は参考にしてみてはいかがでしょうか。


屋根の塗装費用、相場は約40万円~

屋根を塗装する際の費用を決めるポイントはいくつかあります。例えば、塗装費用は塗料の単価×屋根面積で計算されるので、当然ながら屋根が広いほど費用が高くなるでしょう。また、使用している屋根材の種類や屋根の勾配によっても金額が変わってきます。一般的な屋根塗装の費用相場は以下のとおりです。
建物の面積 | 建物に対する屋根面積の目安 | 工事費用総額の相場 |
---|---|---|
20坪 | 36~50㎡ | 30万円~40万円 |
25坪 | 62~87㎡ | 50万円~70万円 |
30坪 | 74~104㎡ | 60万円~80万円 |
35坪 | 87~122㎡ | 75万円~105万円 |
40坪 | 100~140㎡ | 85万円~120万円 |
45坪 | 118~165㎡ | 95万円~135万円 |
50坪 | 124~174㎡ | 100万円~155万円 |
実際に屋根塗装をした方の工事費用の平均総額は、300,000円~700,000円程度です。では、費用にはどのような料金が含まれているのでしょうか。
屋根塗装費用の内訳
屋根塗装の内訳と費用の割合は次のようになっています。
- 塗料代 (約2割)
- 工事費 (約3割)
- 足場代 (約2割)
- 企業利益(約3割)
どの費用にどの程度かかるのかを見れば、より正確な金額をつかめます。それぞれの内訳項目について、もう少し詳しく見てみましょう。
塗料代
どんな種類の塗料を選ぶかによって費用も変わりますが、安い塗料は耐久年数も短い場合が多く、長い目で見ると費用がかかってしまう可能性があります。ここでは各塗料の特徴と耐久年数、耐用年数を費用と合わせて説明します。
耐久年数とは、メーカーが想定している条件下で問題なく使用できる期間です。一方、耐用年数は、資産価値として定められている期間で、耐用年数を超えると資産価値が下がります。なお、メーカーや製品によって若干の誤差があります。
ウレタン塗料
ウレタンはタイヤのゴムなどにも使用されている、密着性や伸縮性が高い成分です。ウレタン樹脂を使った塗料は、1㎡の単価相場が1,800円からと安価なうえ、さまざまな素材に使えます。
耐久年数は約3年~5年、耐用年数は8年~10年と比較的短いため、塗り替え時期がやって来るのが早いです。模様替えのように、こまめに色を変えて楽しみたい方には良いでしょう。
シリコン塗料
屋根塗装で最もよく使われているのがシリコン塗料です。シリコンは、キッチン用品などのパッキンとしても使用されています。1㎡当たり2,000円からで耐久年数が約5年~7年、耐用年数が10年~15年と、耐久性と価格のバランスが取れた塗料です。ただし、商品によってグレードに幅があります。
ラジカル塗料
ラジカル塗料は近年開発された技術で価格が抑えられているうえ、高性能な塗料として注目を集めています。耐用年数は10年~15年、1㎡当たり2,500円からで、シリコン塗料とフッ素塗料の間のグレードの塗料です。
コストパフォーマンスが高く、同等の機能があるフッ素塗料より1㎡当たり1,000円程度安いです。30坪(100㎡)の家の屋根を塗装する場合、ラジカル塗料は250,000円から、フッ素塗料は350,000円からと費用は大きく異なります。
また、外壁を触るとチョーク粉のようなものが着くチョーキング現象を抑えられる耐久性の高さもラジカル塗料のメリットです。
一方、ラジカル塗料の主成分が白色顔料のため、外壁を濃い色にできないケースがあるのがデメリットです。また、最近できた塗料のため塗装経験がない塗装会社がある点や、実績が少ない点もデメリットといえるでしょう。
フッ素塗料
フッ素樹脂は屋外で使用した際の耐久性や耐熱性に優れており、身近なところでは鍋やフライパンのコーティングとして知られています。耐久年数は7年~10年、耐用年数も15年~20年と非常に長いため、公共の建物の塗装などによく使用されています。単価相場が1㎡当たり3,500円からとやや高めですが、汚れや色あせにも強く、特に塩害のある海沿いの地域では人気の塗料です。
無機塗料

無機塗料とは、ガラスや石など、経年劣化しにくい無機物の成分を取り入れた塗料です。単価相場が4,300円からで他の塗料に比べるとかなり高額に感じますが、耐用年数は20年~25年と圧倒的に長く、塗り替える回数が少なくて済みます。耐久年数も10年~15年と、一番耐久性の低いウレタン塗料に比べ3倍以上あります。
取り扱っていない施工会社もありますので、無機塗料を検討したい場合は事前に確認してください。
工事代
工事代に含まれる費用の内容と相場を具体的に見てみましょう。費用の内容は次のとおりです。
- 高圧洗浄 100円~300円/1㎡
- サッシ部分などへの養生 250円~400円/1㎡
- 現場管理費(諸経費) 30,000円~50,000円/一式
- 廃材処理費など(諸経費) 10,000円~30,000円/一式
- 付帯塗装工事(塗装の場所による)
付帯塗装工事の主な箇所と費用は以下のとおりです。
- 軒天 1,200円~1,500円/1㎡
- 破風板 650円~800円/1m
- 鼻隠し 650円~800円/1m
- 雨樋 550円~3,500円/1m
一般的にどの住宅の屋根塗装も、高圧洗浄と養生、諸経費は工事費に含まれます。付帯塗装工事を行うかどうかはご自身の希望や劣化の状態によります。また、屋根の状況によっては上記の費用よりも高額になる可能性もあるため、あくまでも目安として押さえておきましょう。
足場代
足場は、屋根塗装を行う際に職人が安全に移動するためのものです。足場を組むと、作業の効率性や正確性を高められます。足場代は家の外周を確認すれば、ご自身でも計算が可能です。
まず、足場をかける足場架面積を出すために以下の計算をします。
足場架面積=(家の外周+8m)×高さ
次に、足場費用の相場600円~800円/1㎡と、飛散防止ネットの費用相場100円~200円/1㎡を当てはめて以下の計算をします。
足場費用=足場架面積×(足場費用+飛散防止ネット費用)
例えば、縦が5m、横が9m、高さ6mの2階建て家屋に足場を組む場合を考えてみましょう。家屋の外周は5m+5m+9m+9mで28mになります。外周28mに8mを足して、高さ6mをかけた216㎡が足場架面積です。足場費用を600円、飛散防止ネットを100円とすると、足場費用は、216㎡×(600円+100円)=151,200円と足場代の目安金額が算出されます。


屋根塗装費用を左右する要因
屋根を塗装する際の費用はご自宅の屋根の種類や造りによっても変わってきます。
屋根の面積が大きいほど費用がかかる
当然ですが、屋根の面積が広くなるほど塗料が必要なので、塗装費用は高額になります。屋根の面積は、家の図面があれば確認可能です。図面だと屋根の面積を坪数で記載しているため、「㎡(平方メートル)」に直すには坪数×3.31で計算します。
また、図面で確認ができない場合は、屋根投影面積×1.15の計算で屋根面積が出てきます。屋根投影面積とは、単純に屋根を上から見下ろした形で求めた面積のことです。屋根の傾きは関係ありません。WEBサイトなどで自宅の航空写真を入手し、上空からみた屋根の形を確認できたらご自身で外壁の長さと軒の出っ張り分をメジャーで測りましょう。
屋根の造りが複雑なほど値段が高くなる
一般的に、塗装工事はつながっている屋根や平坦な屋根に塗装するほうが作業の効率性が良く費用も安く収まります。しかし、1階部分と2階部分で屋根が分かれていたり、屋根の凹凸が複雑だったりすると塗料を塗りにくいです。さらに、養生シートや足場が余計に必要になる場合もあり、屋根面積以上に費用が高くなる可能性があります。
急勾配な屋根は費用が高くなる傾向にある

急勾配の屋根は足場の安定のために、通常よりも多く足場を組みます。よって足場代が追加でかかる可能性があります。しかし、毎年積雪量が多い地域では、雪よけ対策でもともと急勾配の住宅が一般的です。そのような地域では、それほど追加費用がかからないケースもあります。
屋根の種類によっても金額は変わる
屋根面積が同じ場合でも、その住宅がどんな屋根材を使用しているかによって塗装費用が変わってきます。施工会社は、使われている屋根材に適した塗料や工事を行いますが、屋根材が高価なほど慎重に扱う必要があるため、費用が高くなる傾向にあります。国内で一般的に使用されている屋根材の種類とその特徴をみてみましょう。
スレート屋根(コロニアル・カラーベスト)
軽量で価格も安いのが特徴のスレート屋根は、1㎡当たり4,000円~8,000円で購入できる屋根材です。10年~15年に1度メンテナンスが必要で、耐用年数は25年~30年です。
使用する塗料 | 価格相場 |
---|---|
ウレタン塗料 | 1,800円~2,500円/1㎡ |
シリコン塗料 | 2,000円~2,700円/1㎡ |
フッ素塗料 | 3,000円~4,700円/1㎡ |
ガルバリウム鋼板
アルミニウムと亜鉛、シリコンを合成して造られたガルバリウム鋼板はサビに強く、耐熱性や防水性、熱反射性などさまざまな性能に優れています。1㎡当たり6,000円~9,000円の価格帯で耐用年数は25年~30年です。メンテナンス頻度は20年となっています。
使用する塗料 | 価格相場 |
---|---|
ウレタン塗料 | 2,000円~2,700円/1㎡ |
シリコン塗料 | 2,000円~2,700円/1㎡ |
フッ素塗料 | 3,000円~3,700円/1㎡ |
ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板は表面に石粒がコーティングされていて、石粒が雨音を軽減したり、車やバイクの走行音が伝わりにくかったりと、防音性の高さが特徴です。1㎡当たり7,000円~12,000円と高額ですが、耐用年数とメンテナンス頻度がともに40年~50年なので、長期的なコストパフォーマンスは良いでしょう。
また、ジンカリウム鋼板は、塗装が不要な屋根材です。
瓦屋根(セメント瓦・粘土瓦・陶器瓦)
耐火性や長持ちが特徴の瓦屋根には、セメント瓦、粘土瓦、陶器瓦の3種類があります。
セメント瓦は1㎡当たりの価格が6,000円~8,000円と他の瓦に比べやや安価です。ただし、その分耐用年数も30年~40年と短めであるため、こまめなメンテナンスが必要です。
一方、粘土瓦と陶器瓦は長持ちするのが特徴で、粘土瓦の耐用年数は50年~100年、陶器瓦も50年~60年になっています。どちらも1㎡当たり8,000円~12,000円なので高額に感じるかもしれませんが、メンテナンス頻度を考えると結果的に安く収まるかもしれません。
使用する塗料 | 価格相場 |
---|---|
ウレタン塗料 | 2,100円~2,800円/1㎡ |
シリコン塗料 | 2,300円~3,000円/1㎡ |
フッ素塗料 | 3,300円~4,000円/1㎡ |
アスファルトシングル
アスファルトシングルとは、グラスファイバーや不燃布にアスファルトを塗装し、それをアクリル樹脂で固めたものです。軽量で耐震性に優れている点や防水性の高さが特徴です。1㎡当たり6,000円~8,000円で、耐用年数は20年~30年になります。一般的なメンテナンス頻度は10年~15年ですが、なかには30年以上メンテナンスが必要ない商品もあります。
使用する塗料 | 価格相場 |
---|---|
ウレタン塗料 | 2,000円~2,500円/1㎡ |
シリコン塗料 | 2,200円~2,800円/1㎡ |
フッ素塗料 | 3,500円~4,500円/1㎡ |
地域による違い
屋根塗装の費用はお住まいの地域の特徴によっても変わります。塗装工事の需要が多い地域は、塗装費用が高めに設定されています。原因について詳しく説明しましょう。
雨が多い地域

雨の頻度や雨量が多い分、防水効果が高い塗料や耐久年数の長い塗料を使用する必要があるため、費用が高くなります。
雪が多い地域
板金屋根の住宅が主流ですが、板金屋根は劣化すると雪の滑りが悪くなります。潤滑性のあるウレタンシリコン樹脂の塗料を使用するため塗装費用が上がります。
台風が多い地域
強風による屋根へのダメージが強いため、塗装と同時に修理が必要になる可能性があり、工事1回の費用が高額です。
海が近い地域
金属屋根の場合は潮風によるサビを防ぐため、通常よりもメンテナンスの周期が早まります。そうなると、長期的なコストとして塗装費用が高くつきます。
屋根の劣化具合
屋根の劣化状況は塗装費用を大きく左右しますが、状況によっては必ずしも塗装が必要でない場合もあります。屋根の状態と、塗装の必要性についてみてみましょう。
屋根全体がコケなどで汚れている
屋根についた汚れやコケは、屋根材の耐久性に影響を与えるだけでなく、雨水の通り道を塞いでしまい雨漏りの原因を作ります。よって、汚れやコケをきれいに落としたうえで新しい塗装が必要です。
築10年以上経っている
築10年前後になると屋根材の塗料がはがれてくる可能性があるので、再塗装を検討しなければなりません。ただし、小さい範囲であれば部分的な補修で済む場合もあります。
築20年以上経過
築20年以上の住宅は、屋根材だけでなく、屋根の下地である防水シートや野地板も劣化している可能性があります。その場合は、屋根材塗装だけでなく下地交換などの工事が発生し、金額も高額になるでしょう。
雨漏りがある
雨漏りが発生する原因はさまざまなので、すぐに屋根塗装と結びつくわけではありません。雨漏りの場所によっては塗装工事ではなく、既存の屋根材を撤去して新しい屋根材を張る葺き替え工事が必要なケースもあります。
屋根材のズレやひび割れ
部分的なズレや欠け、ひび割れであれば、屋根材の交換で十分ですので、塗装は不要です。
屋根材が強風で飛ばされた
強風によりはがれてしまった部分の屋根材を追加すれば解決するので、塗装の必要はありません。
屋根塗装費用を安く抑えるコツ
ここまで、屋根塗装費用の内訳や金額を左右する要因について紹介しました。では、塗装費用をできるだけ安く抑えるポイントは一体何でしょうか。主に以下の項目を確認すると屋根塗装の費用を抑えられるかもしれません。
- 見積もりは複数の企業に依頼する
- 外壁塗装と同時に行えば費用を抑えられる
- 火災保険を利用する
- 大手メーカーより地域の工務店に依頼する
- 塗装専門の企業に依頼するのもいい
- 耐用年数と価格のバランスがいい塗料を選ぶ
- 閑散期に依頼する
- 定期的にメンテナンスする
- 訪問営業ですぐに契約しない
- 住宅リフォーム支援制度を活用できる場合もある
見積もりは複数の企業に依頼する
手間だと感じる方もいるかもしれませんが、複数の施工会社に見積もりを依頼し、金額を比較することが費用を安く抑えるコツです。可能であれば2社~3社の見積もりがあると良いでしょう。費用の相場を把握できるうえ、どんな工程があり、それぞれいくらかかっているのかが内訳で確認できます。よって、提示された金額が妥当かどうかも判断できます。
外壁塗装と同時に行えば費用を抑えられる
屋根塗装と外壁塗装を同じタイミングで行えば、足場代が1回分で済むため費用を抑えられます。もちろん、屋根塗装単体のほうが金額は安く済みますが、住宅全体をメンテナンスすると考えた場合、足場代は費用の約2割を占めており決して安い費用ではありません。足場代が1回分の費用で収まるよう、屋根と外壁を同時に塗装する方法もおすすめです。
屋根と外壁を同時に工事したい方は、以下の記事も参考にしてください。


火災保険を利用する
ご自身が加入している火災保険をチェックしてみましょう。台風や積雪などの自然災害を受けた場合に、加入している火災保険によっては、屋根塗装について補償が適用される場合もあります。保険商品によって詳細が違いますので、適用条件を確認してみましょう。
大手メーカーより地域の工務店に依頼する
地域密着型の工務店に依頼するほうが大手メーカーよりも費用が安くなります。小規模な工務店は社内で塗装の職人を手配して作業するケースが多いため、余計な費用が発生しません。社外の塗装会社に委託するとしても、大手メーカーほど仲介手数料は取られないのが一般的です。
大手メーカーに依頼すると、塗装の専門会社に委託するまでの仲介手数料を取られる分、費用総額が高くなるでしょう。
塗装専門の企業に依頼するのもいい
大手ハウスメーカーや地域の工務店は、塗装専門会社や職人に依頼するため、どちらに依頼しても仲介手数料が発生します。直接、塗装専門の企業に問い合わせをすれば、仲介手数料分の費用を抑えられます。
耐用年数と価格のバランスがいい塗料を選ぶ
耐用年数と価格のバランスが良い塗料を選びましょう。安く済ませたいからといって安い塗料を安易に選ぶのはおすすめしません。安い塗料は耐用年数が短いためメンテナンスの頻度が多くなり、長期的に見るとコストパフォーマンスが悪くなるおそれがあります。
例えば、ウレタン塗料は1㎡当たり1,800円からと安価です。しかし耐用年数は8年~10年のため、塗り替え時期が早まります。
一方、高性能なフッ素塗料の場合、1㎡当たり3,000円から、耐用年数は15年~20年です。30坪(100㎡)の家の屋根に塗装する場合、ウレタン塗料は180,000円、フッ素塗料は300,000円と約120,000円の差が生じます。
しかし、ウレタン塗料は10年に一度は塗り替えが必要である一方、フッ素塗料は20年に一度の塗り替えで済みます。すると、トータルコストは大きく変わらない可能性があるのです。このように、耐用年数と価格のバランスを考慮して自分に合った塗料を選ぶと良いでしょう。
また将来の計画に合わせて塗料を選ぶのも一つの方法です。例えば、数年後に建て替えを予定している場合は安価なウレタン塗料で十分でしょう。一方、メンテナンスの手間を軽減したい方は無機塗料を選べば、長期間塗り替えの手間がかかりません。将来を見越して塗料を選ぶ方法もあります。
閑散期に依頼する
塗装会社の閑散期に依頼すると割引サービスが受けられる場合があります。値引額は総額の数%程度です。そのため、費用総額が100万円の場合、多く割り引いてもらっても50,000円程度でしょう。
とはいえ、数%でも割引をしてもらえばコストは削減できます。なお、塗装会社の閑散期は夏と冬です。悪天候で工期が長引いたり、冬は気温が低いために塗料の硬化に時間がかかったりします。閑散期の施工は安く済む可能性もありますが、デメリットもあるため施工する時期はよく検討しましょう。
定期的にメンテナンスする
大規模修繕が必要とならないように定期的にメンテナンスをするのもひとつです。安く済ませたいからとメンテナンスの頻度を少なくすると、屋根材の劣化が進んで葺き替えの可能性が高まります。
屋根全体を交換する葺き替え工事にかかる費用は100万円~300万円程度です。また、葺き替えは大規模な工事となるため、工期が長引いて足場を長期間撤去できなかったり、塗装会社の職人が出入りしたりするため、日常生活に支障が出る可能性があります。
屋根の劣化が進んで高額な葺き替え工事をするよりも、定期的に塗り替えをしたほうが安く済む可能性があり、住宅の状態を保つためにも定期的なメンテナンスは欠かせません。少なくとも塗料の耐用年数が過ぎる頃には塗り替えると良いでしょう。
訪問営業ですぐに契約しない
屋根工事に関する訪問営業が来てもすぐに契約してはいけません。国民生活センターが注意喚起するほど屋根工事の点検商法のトラブルが増えています。2018年の相談件数は923件でしたが、2022年は2,885件と5年間で約3倍に増加しています。
なお、点検商法は以下のような手口をいいます。
参照元:屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-|独立行政法人国民生活センター
悪質な事業者は「台風が来たら雨漏りする」「瓦が飛んで近所に迷惑がかかる」などと言って、不安をあおってきます。このような訪問営業への対策として、以下の項目が挙げられます。
- 安易に点検させない
- すぐに契約しないで十分に検討する
- 「保険金を利用できる」にだまされない
上記の点に気をつけたうえで、屋根工事の訪問営業を受けたときは、名刺をもらうようにしましょう。近所で工事をしているので挨拶に来たと訪問された場合は、実際に工事現場に足を運んで、名刺と工事をしている会社名が一致するか確認すると安心です。
また、自然災害による損傷であれば火災保険を利用できる可能性があります。しかし、経年劣化による損傷を自然災害による損傷とうそをついて保険金を請求すると、保険金の返還請求や契約解除を要求されるだけでなく、詐欺罪に問われるおそれもあるのです。「保険金が利用できる」と勧誘してくるケースもあるので注意しましょう。
住宅リフォーム支援制度を活用できる場合もある
都道府県や市町村が行っている住宅リフォーム支援制度のなかに、屋根塗装の費用を補助してくれる制度もあります。例えば、東京都品川区では遮熱性塗装を使用する工事であれば、200,000円を上限に工事費用の10%を助成してくれます。
また、遮熱塗料を使用しない屋根塗装でも自治体によっては、支援申請が可能です。神奈川県横須賀市では、高齢者の住宅を市内事業者がリフォーム工事する場合の補助金があります。対象工事には屋根の葺き替えや塗装が入っており、補助金額は一律100,000円です。
支援内容や適用条件、申請期間などは各地方公共団体によって異なりますので、活用を検討している場合は、事前に問い合わせてみましょう。


屋根塗装を依頼する場合のポイント

屋根塗装の費用を安く抑えるコツを確認しましたが、なくてはならない費用についても説明します。見積もりを確認する際は、次に説明する2つの項目がクリアされているかどうか、必ず確認しましょう。
スレート屋根ならタスペーサーは省かない
タスペーサーとは、屋根材の間に挟んで隙間を作る道具です。タスペーサーを挟まずに屋根塗装を行うと、屋根材同士がくっついて雨水の通り道がなくなってしまいます。すると屋根に水が溜まり雨漏りの原因になります。見積もりにこのタスペーサーが入っているか確認しておくと安心です。
見積もりは必ず塗り面積で出してもらう
屋根塗装に関わる塗料、人件費、養生、足場などの費用は、すべて塗り面積で算出しています。そのため、見積もりも坪数ではなく塗り面積の「㎡」で出してもらうようにしましょう。また、複数の施工会社に見積もりを依頼した場合でも、すべて塗り面積で統一されていれば比較もしやすいです。
屋根塗装は自分でできる?
費用を抑えたいからといって、屋根塗装を自分で行おうとしていませんか?
屋根塗装は、高所での作業が必要なためプロの職人に任せるのが安心です。作業に慣れている専門会社の職人さんでも、安全ベルトやヘルメットなどを装備し、細心の注意を払って作業しています。
また、足場の組み立ては資格保有者でないとできないなど、屋根塗装工事全般が専門性の高い作業です。ご自身で行い甘い施工で失敗するよりも、ある程度費用がかかってもプロの職人にお願いするのが良いでしょう。
費用の捻出にお悩みの方には、セゾンのリフォームローンをおすすめします。WEBサイトで24時間申し込みが可能なうえ、担保や保証人も不要です。最短2営業日で審査結果がわかりますので、まとまったお金を用意できます。


セゾンのリフォームローンについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
おわりに
屋根塗装の費用は、塗料や屋根材の種類、屋根の劣化状況によって決まります。火災保険・リフォーム支援金制度の活用など屋根塗装費用を抑えられる方法はないか事前に確認しましょう。また、施工はプロに任せるのが安心です。
まずはご自宅の屋根の形や状態をチェックしてみましょう。そろそろ塗装が必要かな、と感じた場合は、今回ご紹介した内訳や費用相場を参考に、複数社から見積もりを取って比較、検討してみてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。