月日の経過と共に外壁は劣化していきます。外壁を守り、外観の美しさを保つためにも、適正な時期に外壁塗装しなければなりません。しかし、「外壁塗装は値段が高そう」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
今回は、外壁塗装にかかる費用をメインに、値段を抑えるポイントや注意点を解説します。
1.外壁塗装の値段の相場はどのくらい?
外壁塗装の相場は、だいたい70〜200万円が目安です。相場の金額に幅があるのは、建物の坪数や選ぶ塗料によって費用が異なるためです。塗装する面積が広ければ広いほど、また塗料が高ければ高いほど、費用がかさみます。
まず、坪数に応じた費用相場(外壁・屋根塗装含む)を見てみましょう。
延床面積(塗装面積) | 費用相場 |
20坪(79.2㎡) | 70~110万円 |
30坪(118.8㎡) | 80~120万円 |
40坪(158.4㎡) | 100~140万円 |
50坪(198㎡) | 120~180万円 |
60坪(237.6㎡) | 150~200万円 |
費用の内訳は、塗料の費用だけでなく足場代や人件費などが含まれます。外壁と屋根の塗装を同時に行うと足場代などが一度で済むため費用を抑えることができます。
塗装面積は一般的に、住宅の延床面積を1.2倍した数値とされています。(延べ坪数30坪の場合は、延べ坪数30坪×3.3㎡×1.2=118.8㎡と試算)なお、2階建てで1階、2階とも20坪だった場合は、延べ坪数40坪の欄を確認ください。
1-1.塗料代
塗料といっても、種類はさまざまです。種類によって耐用年数に差があり、安価なものは短く、高価なものは長い傾向があります。
代表的な塗料の種類と耐用年数、1㎡当たりの費用相場は以下のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 1㎡当たりの費用相場 | 30坪の場合 |
アクリル | 3~8年 | 1,000~1,800円 | 12~22万円 |
ウレタン | 5~10年 | 1,400~2,500円 | 17~30万円 |
シリコン | 7~15年 | 1,800~3,500円 | 22~42万円 |
ラジカル | 10~13年 | 2,200~2,800円 | 27~33万円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,000~5,000円 | 36~60万円 |
塗料を外壁に塗る回数は、1回とは限りません。塗装は外側から見える部分だけではなく、下塗りも必要です。
下塗りをするメリットは2点あり、1つは上に重ねる塗料が壁に馴染みやすい点です。もう1つは防水効果を高められる点にあります。上表の相場は、「下塗り」「中塗り」「上塗り」と3回塗装をした場合の金額です。
下塗りの塗料は、上塗りの塗料とは別のものを使用します。下塗りの塗料にもいくつか種類がありますが、代表的な「シーラー」の材料費は、1㎡当たり600〜900円が相場です。
1-2.足場代
外壁を塗装するには、足場を組む必要があります。足場の費用相場は、1㎡当たりおよそ600〜1,000円です。足場代は、次の計算式で求められます。
【計算式】
延べ坪数×3.3㎡×1.3×1㎡当たりの単価=足場代
延床面積に1.3倍をかけているのは、足場を組むための余裕を含めているからです。足場は、外壁にぴったりつけて設営するわけではありません。そのため、外壁から離す分をあらかじめ計算しておくのです。
延べ坪数30坪の場合は、128.7㎡(延べ坪数30坪×3.3㎡×1.3)に対して、1㎡当たりの単価(600〜1,000円)をかけます。
また、足場だけでなく飛散防止シートの設置も欠かせません。飛散防止シートの費用相場は、1㎡当たり100〜200円です。およそ30坪の建物の場合、足場代の費用相場は、飛散防止シート代を含め90,000~160,000円となります。
1-3.施工費・人件費
外壁を塗装するには、施工に必要な経費や人件費もかかります。例えば、ドアサッシなどに塗料が付着しないよう、養生しなければなりません。壁にひび割れがあったら、シーリングで補強します。
また、外壁をきれいにしてから塗装を始めるため、高圧洗浄する必要もあります。このように、さまざまな施工費や人件費がかかるのです。
主な施工内容と、費用相場を表にまとめました。
内容 | 1㎡当たりの費用相場 |
養生 | 250~400円 |
シーリング補強(増し打ち) | 500~1,000円 |
シーリング補強(打ち替え) | 900~1,500円 |
高圧洗浄 | 100~300円 |
下地補修 | 1,700~2,500円 |
飛散防止シート張り | 100~200円 |
この他にも、塗装作業で出たゴミを処分する「廃棄物処理代」、営業や事務担当のスタッフの経費に充てられる「現場管理費」、重機が現場に入れない場合に「運搬費」といった費用がかかります。費用相場は、以下の表をご覧ください。
内容 | 費用相場 |
廃棄物処理代 | 10,000~30,000円 |
現場管理費 | 30,000~50,000円 |
運搬・交通費 | 10,000円 |
2.屋根も同時に塗装するケースが多い
外壁を塗装する際、屋根の塗装も同時に行うケースが多くなっています。その理由は、外壁と屋根の塗装を別々で行うより、同時に行ったほうが足場代を節約できるためです。つまり、外壁塗装の費用に屋根塗装代をプラスするだけで、双方の塗装ができるのです。
外壁と屋根を同時に塗装する場合の費用相場は、およそ80〜140万円となっています。ただし、外壁塗装と同様に、屋根塗装の費用相場も坪数や塗料の種類、屋根材によって金額に幅があります。
屋根材の主な種類は、以下の3つです。
- スレート屋根:セメントと繊維質で構成・板状
- トタン屋根:金属製
- セメント瓦:セメントと砂で構成・瓦型
坪数、及び屋根材ごとの塗料の費用相場も確認しておきましょう
【屋根塗装の費用相場・坪数】
建築面積(屋根面積) | 費用相場 |
20坪(36~50㎡) | 30~40万円 |
30坪(74~104㎡) | 60~80万円 |
40坪(100~140㎡) | 85~120万円 |
50坪(124~174㎡) | 100~155万円 |
【屋根塗装の1㎡当たりの費用相場・屋根材と塗料】
塗料の種類 | スレート屋根 | トタン屋根 | セメント瓦 |
ウレタン | 1,500~2,000円 | 1,800~2,000円 | 1,500~2,000円 |
シリコン | 1,800~2,500円 | 1,800~2,200円 | 2,300~2,500円 |
フッ素 | 3,300~4,500円 | 3,300~4,500円 | 3,100~3,500円 |
3.外壁塗装の見積もりをシミュレーションしてみよう
ここまでで、外壁塗装にかかる費用相場を紹介してきました。では実際に塗装費用がいくらかかるのか、2つのケースで見積もりをシミュレーションしてみましょう。
3-1.ケース①30坪・ウレタン塗料で外壁のみ塗り替え
建物が30坪、ウレタン塗料で外壁のみ塗装する場合の費用を計算していきます。細かい条件は以下のとおりです。なお、1㎡当たりの費用は相場の平均金額を想定しています。
【条件】
- 塗装面積:120㎡
- 足場面積:130㎡
- 塗装回数:3回(シーラー1回、ウレタン塗料2回)
- 下地補修、シーリング補強(打ち増し)あり
- 運搬・交通費はかからない
【シミュレーション】
項目 | 1㎡当たりの単価 | 施工面積 | 合計 |
足場代 | 800円 | 130㎡ | 104,000円 |
飛散防止ネット | 150円 | 130㎡ | 19,500円 |
シーリング補強 | 750円 | 120㎡ | 90,000円 |
下地補修 | - | - | 20,000円 |
下塗り(シーラー) | 750円 | 120㎡ | 90,000円 |
中塗り・上塗り(ウレタン) | 1,800円 | 120㎡ | 216,000円 |
高圧洗浄 | 200円 | 120㎡ | 24,000円 |
養生 | 300円 | 120㎡ | 36,000円 |
廃棄物処理代 | - | - | 20,000円 |
現場管理費 | 40,000円 | ||
合計金額 | 659,500円 |
今回の条件で計算すると、外壁塗装にかかる費用は659,500円となりました。
3-2.ケース②40坪・シリコン塗料で外壁と屋根を同時に塗装
続いて、40坪の家の外壁とスレート屋根をシリコン塗料で同時に塗装するケースを計算してみましょう。条件は以下のように設定しました。こちらも、1㎡当たりの費用は相場の平均金額を想定しています。
【条件】
- 塗装面積:160㎡
- スレート屋根塗装面積:70㎡
- 足場面積:170㎡
- 塗装回数:3回(シーラー1回、シリコン塗料2回)
- 下地補修、シーリング補強(打ち増し)あり
- 運搬・交通費はかからない
【シミュレーション・外壁塗装】
項目 | 1㎡当たりの単価 | 施工面積 | 合計 |
シーリング補強 | 750円 | 160㎡ | 120,000円 |
下地補修 | - | - | 20,000円 |
下塗り(シーラー) | 750円 | 160㎡ | 120,000円 |
中塗り・上塗り(シリコン) | 2,100円 | 160㎡ | 336,000円 |
合計 | 596,000円 |
【シミュレーション・屋根塗装】
項目 | 1㎡当たりの単価 | 施工面積 | 合計 |
タスペーサー | 300円 | 70㎡ | 21,000円 |
下地補修 | 550円 | 70㎡ | 38,500円 |
下塗り(シーラー) | 700円 | 70㎡ | 49,000円 |
中塗り・上塗り(シリコン) | 2,200円 | 70㎡ | 154,000円 |
合計 | 262,500円 |
タスペーサーとは、そもそも屋根塗装の際には雨漏りなどを防ぐために屋根に隙間を作るのですが、その隙間を塗料で埋めないよう、縁切りするために使用するものです。
【外壁・屋根塗装の共通費用】
項目 | 1㎡当たりの単価 | 施工面積 | 合計 |
足場代 | 800円 | 170㎡ | 136,000円 |
飛散防止ネット | 150円 | 170㎡ | 25,500円 |
高圧洗浄(外壁+屋根) | 200円 | 170㎡ | 34,000円 |
養生 | 300円 | 170㎡ | 51,000円 |
廃棄物処理代 | - | - | 20,000円 |
現場管理費 | - | - | 40,000円 |
合計金額 | 306,500円 |
【合計金額】
596,000円(外壁塗装代)+262,500円(屋根塗装代)+306,500円(共通費用)=1,165,000円
この条件で計算すると、屋根と外壁の塗装を双方行うと、トータルで約117万円になりました。
3-3.支払いはリフォームローンがおすすめ
シミュレーションのとおり、外壁塗装には高額な費用がかかります。お金をどう捻出するか、悩んでしまうこともあるでしょう。そこでクレディセゾンでは、「リフォームローン」を提案しています。
セゾンのリフォームローンは、WEBから申し込みが可能です。担保や連帯保証人を設定する必要もありません。最短2営業日で審査結果がでるため、お急ぎの方も利用しやすくなっています。外壁塗装の支払いにお悩みの方は、セゾンのリフォームローンもご検討ください。
セゾンのリフォームローンについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
4.塗装費用を抑えたい!値段を安くする4つのポイント
外壁の塗装費用は高額なことが分かりました。できることなら安く済ませたいのですが、なにか手立てはあるのでしょうか。ここからは、外壁塗装の値段を安くするポイントをお伝えします。
4-1.地域に根付いた塗装会社に依頼する
大手リフォーム会社に比べ、地域に根付いた塗装会社の方が安い傾向にあります。というのも、大手のリフォーム会社は依頼を受けた後、下請け会社に作業を委託するケースが多いためです。そうなると、実費に加え仲介料(マージン)が発生し、結果的に割高になってしまいます。
一方、地域に根付いた塗装会社は自社で作業している場合が多く、実費以外の費用がかかりにくいでしょう。
4-2.自治体の助成金・補助金を活用する
お住まいの自治体によっては、リフォームに関する助成金や補助金の制度が活用できます。助成金などのサポートを受けることで外壁塗装の費用負担が軽くなるため、メリットが大きいといえるでしょう。お住まいの自治体に制度があるかどうか、リサーチしてみる価値がありそうです。
一例として、東京都目黒区・大阪府泉佐野市の制度(2022年10月現在)を紹介します。年度によって内容が異なる場合があるため、最新情報を確認してください。
【東京都目黒区】住宅リフォーム資金助成
対象者 | ・目黒区に在住している方 ・住民税の滞納がない方 |
住宅の条件 | ・目黒区内にある居住用住宅 |
助成金額 | ・工事費用の10%(1,000円未満は切り捨て) ・上限金額100,000円 |
対象外の工事 | ・目黒区外の専門会社による工事 ・申請前に着工している工事 ・門扉や車庫など家屋以外の工事 ・200,000円(税抜)未満の工事 など |
【大阪府泉佐野市】住宅リフォーム助成事業
対象者 | ・泉佐野市に在住している方(転入予定の方) ・市税の滞納がない方 ・泉佐野市内の施工会社を利用する方 |
住宅の条件 | ・10年以上居住している住宅 ・築5年以上で確認済証(建築基準法第6条の2第1項の規定)が交付されている住宅 ・賃貸住宅を除く個人所有の住宅 |
助成金額 | ・工事費用の10%(1,000円未満は切り捨て) ・上限金額100,000円 |
対象外の工事 | ・住宅に附帯する塀や車庫などの工事 ・国・府・市から融資を受けている工事 など |
4-3.火災保険を使う
台風や大雨など災害や火災が原因で外壁の補修が必要になった場合、火災保険が使える可能性があります。また、火災保険が適用できるかは補修が必要となる原因の他に、申請期限や免責額などの契約条件にも左右されます。契約内容を確認してみましょう。
4-4.梅雨時期や冬の閑散期を狙う
外壁塗装は、梅雨時期や冬が閑散期となります。というのも、外壁塗装は屋外で作業するため天候の影響を受けやすく、梅雨時期や冬の施工はあまり向いていないからです。そのため、繁忙期に比べ閑散期は低価格に設定されているケースがあります。
ただし、閑散期は雨や雪によって作業が中断する可能性が高いため、予定より工期が長くなってしまう恐れがあるでしょう。
5.外壁塗装をする際の注意点
最後に、外壁塗装をする際に気を付けたい点を確認しておきましょう。より満足のいく結果となるよう、次のポイントを意識してみてください。
5-1.塗料のグレードを落としすぎない
「外壁塗装を安く済ませたい」からといって、塗料のグレードを落とすのはあまりおすすめできません。確かに安い塗料を選択すれば、費用を抑えられるでしょう。
しかし、安い塗料は耐久年数が短く、短期間で再度塗装しなければならない事態が予想されます。工事は付帯費用が発生することから高い塗料で1回塗装するより、安い塗料で2回するほうが、結局高くついてしまう可能性があるでしょう。
目先の値段ではなく、外壁塗装する住居に住む予定の年数と塗料の耐用年数の兼ね合いを考え、より適切なものを選択しましょう。
5-2.見積もりの詳細までチェックする
見積もりをとってもらったら、詳細まで確認しましょう。特に注意したいのが、「一式」という表記です。単位の欄に詳細が記されておらず、まとめて一式となっていたらどのような費用が発生しているのか分かりません。詳細を確認しましょう。
それでも納得いかなければ依頼しないほうが良いでしょう。また、見積もりを取るのは1社ではなく、複数の専門会社で取って比較してみるのもおすすめです。
同じ条件でも金額が安く済む専門会社を選べるのはもちろん、金額が妥当なのか判断しやすくなります。
5-3.追加費用に正当性があるか見極める
「天候が悪くて工期が長くなってしまった」「外壁の状況が予想より悪かった」という理由から、見積もりの時点ではなかった追加費用がかかる場合があります。追加費用を求められた際は、金額が正当か、不明な費用ではないかなど正当性を見極めましょう。
5-4.訪問営業に気をつける
在宅中に「外壁塗装をしませんか?」と訪問営業された経験がある方もいるかもしれません。「今ならお得ですよ」「すぐに塗装しないと危険です」と契約を迫られ、トラブルになるケースが発生しています。
訪問営業を受けても、その場で契約はしないようにしましょう。きちんとした専門会社に見積もりを依頼し、内容を吟味してから依頼してください。
おわりに
本コラムでは、外壁塗装の費用相場の紹介を中心に、費用を抑えるポイントや注意点をお伝えしてきました。大切な家を守るため、また快適に生活するためにも、外壁塗装は必要です。ただ、費用感を把握していないとお金の準備や心積もりができません。
今回の内容を参考に、ご自宅の外壁塗装にはいくらぐらいかかるのか、見当を付けてみましょう。金額が把握できれば、リフォームローンなどの資金繰りもイメージしやすくなります。より満足のいく施工になるよう、ぜひお役立てください。