マンションを購入すると、一般的に管理組合に加入する必要があります。管理組合とは管理規約に基づきマンションの管理業務全般を担う組織で、区分所有者は原則加入しなければなりません。
持ち回りで代表者を選出し、定期的に理事会に参加しなければならないため、負担に感じている方もいることでしょう。このコラムでは、マンション管理組合の概要や必要性についてご紹介します。
マンション管理組合とは何かを分かりやすく解説
マンション管理組合とは、マンションにまつわる管理業務を一手に担う組織です。管理組合の業務は管理規約に従い実施され、日々の清掃や定期的なメンテナンスなど共用部分の維持・管理、管理費や大規模修繕に関わる修繕積立金の徴収・管理などを行います。
管理組合の構成員は、マンションを購入した区分所有者。組合員の中から持ち回りで理事や理事長などの代表者を選出し、定期的に理事会を開催します。理事会の議題は、今後のマンション運営・管理方針などです。
法律の観点から見てみましょう。平成13年に制定された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、通称「マンション管理適正化法」には、マンションの管理主体は管理組合であると規定されています。これまでの「建物の区分所有等に関する法律」いわゆる「区分所有法」には管理業務に関する明確な規定がなく、これによりさまざまな問題が発生しました。マンションの管理・運営に関するトラブルを未然に防ぐ目的で制定された法律が「マンション管理適正化法」です。
以下に、マンション管理組合の役割と意味をまとめます。
- 役割:マンションを適切に管理し、良好な住環境ならびに資産価値を維持する
- 意味:マンション管理組合は、法律で規定されたマンションの管理主体である
分譲マンションの持ち主は加入する必要がある
分譲マンションを購入した区分所有者は、マンション管理組合に原則加入しなければなりません。分譲マンションとは、1棟のマンションを住戸ごとに区分して分割譲渡する販売形式です。賃貸経営などでマンションを1棟買いする場合を除いて、一般的にマンションを購入する場合は分譲となります。
分譲マンションの場合、専有部分は購入者の責任で管理しなければなりませんが、共有部分については共有財産として区分所有者全員で維持管理していかなければなりません。そのため、区分所有者はマンションの管理主体である管理組合に必ず加入しなければならないのです。
マンション管理組合の設立は、建物の区分所有に関する「区分所有法」に規定されています。
建物の区分所有等に関する法律
第一章 建物の区分所有
第一節 総則
(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。(略)
なお、管理組合の組合員になれるのはマンションの区分所有権を有する方、すなわち名義人のみなので気を付けましょう。例えば、親族等を名義人の代わりに組合員として理事会等に参加させることは原則できません。
区分所有権を複数人で共有している場合でも、組合員となれるのは代表者1名のみとなります。区分所有法第40条を引用すると下記のとおりです。
建物の区分所有等に関する法律
第一章 建物の区分所有
第五節 規約及び集会
(議決権行使者の指定)
第四十条 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。
引用元:建物の区分所有等に関する法律(第三条) | e-Gov法令検索
引用元:建物の区分所有等に関する法律(第四十条) | e-Gov法令検索
どうしても入りたくない…はできない
前章でご説明したとおり、分譲マンションの購入者は管理組合への加入が必須となります。区分所有者は共有部分等の維持・管理義務を負うものと定められているためです。分譲マンションを購入した場合、管理組合への加入は強制であると認識してください。
マンションの適正な管理について規定した「マンション管理適正化法」には下記のとおり定められています。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
第一章 総則
(管理組合等の努力)
第五条 管理組合は、マンション管理適正化指針(略)の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう自ら努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずるマンションの管理の適正化の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関し、管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならない。
マンション管理組合への加入は区分所有者の義務であり、個人の意思で脱退・除名などもできないため、一般的に未加入状態になることはあり得ません。しかし、何らかの事由によって管理組合に未加入の場合、共有部分の使用を制限される可能性があります。
例えば、ごみ集積場やエレベーターなどが使用できなくなるかもしれません。さらに、災害時などに適切な援助が受けられない恐れもあります。未加入を理由とした法律上の罰則規定はありませんが、マンション管理組合に加入しないと大きなデメリットを被るため、確実に加入するようにしましょう。
引用元:マンションの管理の適正化の推進に関する法律(第五条) | e-Gov法令検索
賃貸マンションの方は入らなくても問題なし
分譲マンションではなく賃貸マンションに入居した場合は、マンション管理組合に加入する必要はありません。そもそも、すべての住戸を賃貸している賃貸専用マンションの場合は、管理組合自体が存在しない場合が一般的です。その際、賃貸マンションの管理はオーナーもしくは管理会社が実施します。
また、分譲マンションの1室を賃貸借して居住している場合も、組合員にはなれません。管理組合の組合員になれるのは、マンションの区分所有権を有する方のみだからです。
ただし、賃貸居住者の多い物件では、議決権のない准組合員のような形で管理組合への参画を求められる場合もあります。どうしても管理組合に加入したくない場合は、入居前に不動産会社に確認しましょう。
組合員と理事会役員の違い
分譲マンションの購入者である区分所有者は、管理組合の組合員としてマンションの管理・運営に携わります。しかし、組合員が全員で一斉に管理業務を行うのは効率が悪いため、組合員の中から理事や理事長などを選出し、代表者として管理業務を遂行するのが一般的です。
また、理事長は年に1回「総会」を開催しなければなりません。毎年1回定期的に開催される総会が「通常総会」です。通常総会では、役員の選任・活動報告・決算報告・予算審議などが行われます。
一方で、必要に応じて臨時的に開催されるのが「臨時総会」。組合員には議決権が与えられ、総会における議事に間接的に関わることができます。
さらに、理事長をはじめとした理事は定期的に「理事会」を開催し、総会で決議された議決事項に従い管理業務を遂行しなければなりません。
通常総会 | 毎年1回定期的に開催され、役員の選任・活動報告・決算報告・予算審議などが行われる。 |
臨時総会 | 必要に応じて臨時的に開催される。 |
理事会 | 定期的に開催され、総会で決議された議決事項に従い管理業務を遂行する。 |
組合員の役割
マンション管理適正化法には、マンションの区分所有者は管理組合の一員として役割を適切に果たすよう努めなければならないと定められています。改めて引用すると下記のとおりです。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
第一章 総則
(管理組合等の努力)
第五条 (略)
2 マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関し、管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならない。
実際の管理業務はマンション管理組合が実施しますが、組合員は管理組合の活動が滞りなく実施できるよう管理費や修繕積立金を負担しなければなりません。
さらに、議決権を行使し間接的にマンションの管理・運営に参画します。総会における議決は、通常のマンション管理・運営に関わる「普通決議」と、組合員全員に多大な影響を与える「特別決議」の2種類です。
普通決議 | 通常のマンション管理・運営に関わる決議 |
特別決議 | 組合員全員に多大な影響を与える決議 |
総会の議事は原則過半数以上の議決数によって決議されますが、重要度に応じた決議要件が区分所有法等に別途定められているため注意しましょう。主な議決事項と必要な議決数をまとめると下記のとおりです。
普通決議に必要な議決数は、総会に出席している区分所有者の人数と議決権が基準となります。一方、特別決議に必要な議決数は、全区分所有者の人数と議決権が基準となるため注意しましょう。普通決議より重要度の高い特別決議は、決議要件がより厳しくなっているためです。
議決権は区分所有権を有している住戸1戸につき1議決権が一般的ですが、専有面積の割合に応じて定められる場合もあります。なお、議決権は書面または代理人によって行使することも可能です。
建物の区分所有等に関する法律
第一章 建物の区分所有
第二節 共用部分等
(共用部分の持分の割合)
第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
第五節 規約及び集会
(議決権)
第三十八条 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合による。
(議事)
第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面で、又は代理人によって行使することができる。
引用元:マンションの管理の適正化の推進に関する法律(第五条) | e-Gov法令検索
引用元:建物の区分所有等に関する法律(第十四条) | e-Gov法令検索
引用元:建物の区分所有等に関する法律(第三十八条) | e-Gov法令検索
引用元:建物の区分所有等に関する法律(第三十九条) | e-Gov法令検索
理事会役員の役割
マンション管理組合の組合員から選出された役員は、区分所有者の意思決定機関である総会を定期的に開催しなければなりません。さらに、総会で決議した議決事項に基づき、業務遂行機関である理事会を開催しマンションの管理・運営を行います。実際の管理業務は、マンション管理会社と契約を結び外部委託するケースが一般的。
マンション管理組合を組織図で表すと、下記のようになります。
理事会役員の人数に関する法的な規定はありませんが、国土交通省が策定しているマンション標準管理規約では下記のとおり定められています。
- おおむね10~15戸につき1名選出
- 最低3名程度
- 最高20名程度
役員の任期については1、2年程度が一般的ですが、継続性を重視する場合は任期を2年とし「半数改選」するのもひとつの方法です。
役員の役職は理事長、副理事長、理事、監事などに分かれます。それぞれの役職がどのような業務を担っているのかを個別にご紹介しましょう。
・理事長
理事長は管理組合の代表者で、区分所有法上の管理者に該当。管理者である理事長は、総会の決議や管理規約に従い業務を遂行するとともに、区分所有法に定められた下記の義務を負うことになります。
建物の区分所有等に関する法律
第一章 建物の区分所有
第四節 管理者
(権限)
第二十六条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(略)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
集会の招集義務:少なくとも年に1回総会を開催しなければならない(第34条)
報告義務:1年に1回業務内容を報告しなければならない(第43条)
保管および閲覧義務:規約等を保管し請求があれば閲覧させなければならない(第33条)
善管注意義務:社会通念上要求されうる注意をもって職務を遂行しなければならない(第28条)
理事長が善管注意義務を負うのは、委任に関する民法上の規定が区分所有法第28条の定めによって管理者である理事長にも適用されるためです。
引用元:建物の区分所有等に関する法律(第二十六条) | e-Gov法令検索
・副理事長
副理事長は理事長の職務を補佐します。さらに、理事長が何らかの事由によって職務を遂行できなくなった場合、管理組合の代表として管理者の職務を全うしなければなりません。
- 理事長の補佐
- 理事長の職務代行:理事長の代わりに管理者としての義務を負う
・理事
理事は理事会の構成員で、管理規約や議決事項に基づく審議に参加します。業務ごとに会計や広報、書記、渉外などの担当に分かれていることが一般的です。
- 理事会の構成員
- 業務担当:会計、広報、書記、渉外、修繕、防犯防災などの業務を分担
・監事
監事は理事会の活動を監査する役割を担います。理事会活動を客観視する必要があるため、理事と兼務することはできないため注意しましょう。監査目的で理事会に参加することはできますが、理事ではないため理事会審議の議決権は与えられません。年に1回監査結果を総会で報告します。
- 理事会の監査役
- 報告義務:年に1回監査結果を総会で報告しなければならない
理事会役員の選出方法
マンション管理組合における理事会役員の決定方法は、下記の流れが一般的です。
- 選出:組合員の中から役員候補を選び出す
- 選任:選出された役員候補を総会で役員に任命する
- 互選:役員の中から選挙を経て理事長や副理事長等を決める
なお、区分所有法には管理者以外の規定はありませんが、国土交通省策定のマンション標準管理規定第35条には次の役員を置くように定められています。
- 理事長
- 副理事長
- 会計担当理事
- 理事(理事長、副理事長、会計担当理事含む)
- 監事
理事長・副理事長・会計担当理事は理事会の決議、すなわち互選によって選任または解任されます。監事については、総会における決議が必要です。
理事会役員の選出方法はマンションによって異なりますが、立候補・推薦・輪番制などが一般的でしょう。
立候補は役員候補を公募し、立候補者の中から理事会役員を選出します。推薦は現役員が中心となって役員候補を選出する方法。輪番制はフロアなど特定の区分ごとにマンションをグループ分けし、その中から持ち回りで役員候補を選出します。所有者同士が公平に責任を分担できるため、多くのマンションで採用されている選出方法です。
理事会の役員は断れるの?
マンション管理組合への加入は法律で定められた義務であるため、区分所有者は必ず加入しなければなりません。一方、理事会役員については、法で定められた義務ではないため断ることも可能です。
しかし、マンション管理適正化法第5条には、区分所有者は管理組合の一員として適切な役割を果たすよう努めなければならないと定められています。正当な理由なく理事会役員を断ることはマンション運営に非協力的であると見なされ、他の組合員から反感を買う恐れがあるため、なるべく避けた方が良いでしょう。
どうしても役員を断らなければならない場合は、仕事や家庭の事情であれば理解を得られるかもしれません。例えば、土日が仕事で理事会に参加できない、出張が多く家を空けていることが多いなどの事情であれば辞退できる可能性が高まります。
さらに、ご自身の健康不安や家族の介護なども役員を辞退する正当な理由に該当するでしょう。いずれの場合でも、役員を引き受けられない事情を丁寧に説明し、他の組合員の理解を得ることが重要です。
ペナルティがあるマンションもあるので事前確認を
理事会役員を断ることによる法的な罰則はありませんが、マンション管理規約によってはペナルティを課される場合もあるため注意が必要です。例えば、役員を辞退することで他の組合員の負担が増えることから、支援金という形で金銭的な負担が課される場合があります。
一方、役員の辞退にペナルティを課すことは住民同士の軋轢を生む恐れもあり、あまり好ましいことではありません。ペナルティを課すのではなく、理事会役員の担い手を増やすために就任基準を緩和するのもひとつの方法です。
例えば、法的に組合員になれるのは区分所有権を有する名義人のみですが、管理規約に配偶者や親族等が代理で役員になることを認める旨を規定することはできます。さらに、居住者だけでなく所有権を有する非居住者も役員に選任する旨を定めることで、広く公平に責任を分担することが可能。安易にペナルティを規定するのではなく、理事会役員の担い手を増やすための取り組みも非常に重要といえます。
役員の報酬やメリットはあるの?
法律には理事会役員の報酬に関する規定はありませんが、マンション標準管理規約の第37条には、役員は理事会活動で生じた必要経費や報酬を受け取ることができると定められています。役員報酬の金額は、管理規約に定めておかなければなりません。
しかし、管理規約の変更は特別決議が必要なので、役員報酬の改定手続きは煩雑になります。管理規約には「役員報酬の額は別途定める」と規定しておけば、簡易な普通決議による改定が可能。
なお、国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果によると、全体の23.1%が役員報酬を支払っています。報酬の相場は、月額1,000円以下が30.1%、月額1,000円超2,000円以下が17.5%、月額4,000円超5,000円以下が11.7%。
報酬は一律支給以外に、理事長や副理事長などの役職に応じて一定額が支払われる場合もあります。一律の場合は月額平均3,900円、一律でない場合、理事長は月額平均9,500円、理事は月額平均3,900円、監事は月額平均3,200円となっています。
役員報酬以外のメリットとしては、マンションの住環境や会計面の知識が身に付く点が挙げられます。理事会活動をとおして、他の役員や住人との交流を深めることも可能です。理事会役員は負担が大きいものの、ご自身の住んでいるマンションをより深く知ることで愛着を持つことができるでしょう。
マンション管理組合と管理会社の違い
マンションは区分所有法に基づき、区分所有者全員で維持・管理していかなければなりません。区分所有者は管理組合の一員として、マンションの管理・運営に参画します。しかし、マンション管理業務は多岐にわたり、高度な専門知識を要求される業務もあるため、素人である区分所有者がすべて実施するのは現実的ではありません。
そこで、管理業務の実務は、マンション管理のプロである管理会社に業務委託するのが一般的です。
マンション管理会社は、委託契約に従い管理業務を遂行します。管理組合は対価として管理会社に委託料を支払いますが、委託料の原資は区分所有者が負担した管理費。あくまでマンションの管理主体は管理組合ですが、実務を担うのはマンション管理会社となります。
管理組合と管理会社は委託者と受託者で、立場が異なるため混同しないよう気を付けましょう。
マンション管理組合で起きやすい悲劇・トラブル
マンションは多数の方が共同で生活を営む共同住宅なので、さまざまなトラブルが起こります。特に、マンションの管理主体である管理組合や理事会にまつわるトラブルは発生しがちです。ここでは、マンション管理組合に関する発生しがちなトラブルをご紹介。
管理会社との癒着や不正
マンション管理の実務を担当する管理会社と区分所有者の代表である理事は、緊密に連携してマンション管理業務を遂行しなければなりません。
しかし、管理会社と理事会の近すぎる距離は、時として不正の温床となります。例えば、金品と引き換えに管理委託契約を有利に締結できるよう便宜を図るなどはよくある不正。理事会と管理会社の癒着は区分所有者全員の不利益となるため、常に監視の目を光らせておく必要があります。
このような不正を防止するには、管理規約に役員の任期を規定し、理事会を定期的に新陳代謝することです。長年同じ組合員が理事を務めることは、管理会社との癒着を誘発します。新陳代謝という意味では、定期的な管理会社の見直しも有効です。
さらに、決済の上限を規定し、一定額以上の決済は理事会ないし総会の決議が必要である旨を規定しておくことも不正防止に役立ちます。基本的な手段ですが、監事による監査を徹底することも不正防止には有効でしょう。管理会社と理事会は一定の距離を保ち、健全な関係を維持することが重要です。
理事会役員が仕事しない
役員に選任されたものの、理事会活動に積極的でなかったり全く仕事をしなかったりすることもありがちなトラブルです。仕事や家庭の事情など、正当な理由なく理事会活動を怠る事はマンション管理適正化法に定められた努力義務に反します。
役員の選任ならびに解任は総会における決議によって執り行われるため、任を全うしない役員は解任することも可能。区分所有法第25条には下記のとおり定められています。
建物の区分所有等に関する法律
第一章 建物の区分所有
第四節 管理者
(選任及び解任)
第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。
マンション管理規約に規定がない場合は、総会における過半数の議決によって管理者を解任することが可能です。
引用元:建物の区分所有等に関する法律(第二十五条) | e-Gov法令検索
理事同士の人間関係トラブル
理事会で各議題について話し合っていく中で、意見が対立しトラブルに発展してしまうこともあります。人間関係が悪化し、修復不可能になってしまった場合はどちらか一方、もしくは両者を解任するしかないでしょう。解任や欠員の補充については、総会の決議または管理規約に従い進められます。こういった事態に陥らないためにも、日頃からコミュニケーションを取り、理事会の運営方針を明確にしておくことが重要です。
住人からの要望に対応しきれない
マンション管理組合や理事会には、住人からさまざまな要望が寄せられます。住環境に関するものから住民同士のトラブルに至るまで、その内容は多岐にわたるため対応しきれないケースもあるでしょう。騒音問題やペット問題、駐車場や駐輪場に関するクレームなどはありがちな問題です。
おわりに
今回は、マンション管理組合について解説しました。分譲マンションを購入した区分所有者は共有部分の維持・管理義務を負うため、マンションの管理主体である管理組合への加入が義務付けられます。組合員全員で管理業務を行うのは効率が悪いため、代表者を選出し管理業務を遂行するのが一般的です。
組合員の代表である理事長は区分所有者の意思決定機関である総会を開催し、マンション運営に関する議決事項を決議します。組合員には議決権が与えられ、間接的にマンション運営に参画可能です。
さらに、理事は業務遂行機関である理事会を開催し、総会の決議や管理規約に従い業務を遂行します。マンション管理業務の実務については、業務委託契約を締結しマンション管理会社に外部委託するのが一般的です。
理事会役員はトラブルに巻き込まれることもあり、負担が大きいのも事実でしょう。しかし、住環境や会計面の知識を得られたり、他の役員や住人との交流を深めたりすることができるなどメリットもあります。
理事会活動を通してご自身が住んでいるマンションへより一層の愛着を持つことができるため、任期が回ってきたら積極的に理事会活動に参加してみましょう。