親や近しい親族の命日からもうすぐ2年を迎えるとき、三回忌法要の準備を始めます。しかし、法要を取り仕切る機会はめったにないため、いざとなったとき「どうしたら良いか分からない」と焦ってしまうかもしれません。
今回は三回忌の意味を紐解きながら、法要の事前準備や当日の流れを解説します。「三回忌は何年目?」「コロナ禍でどうしている?」といった疑問にもお答えします。知識を蓄え、故人が喜ぶ三回忌にしませんか。
このコラムはどんな内容?
三回忌は、故人の命日からちょうど2年目の月日を指します。仏教において、死後の世界には10人の王がいて、人は亡くなると最大で10回の裁きを受けると考えられており、三回忌が最後の裁きを受ける時期と重なります。10回目の裁きによって最終的な故人の来世の道が良い道か悪い道か決定するため、三回忌には法要を執り行い、しっかり供養するのです。
三回忌法要の準備は、2ヵ月前を目安に取りかかりましょう。日程と場所の決定・案内状の送付・お布施の用意・香典返しの手配など、さまざまな準備をしなくてはなりません。三回忌法要当日は、僧侶に読経してもらい、故人を供養します。参列する方は失礼にならないよう、服装や香典のマナーを知っておきましょう。
三回忌とは?数え方や法要のタイミングを知っておこう
三回忌は、故人が亡くなった日から満2年目の祥月命日(しょうつきめいにち)を指します。祥月命日とは、亡くなった日と同じ月日のこと。2020年12月1日に亡くなった場合、毎年12月1日が祥月命日となります。
三回忌には法要を行い、故人を供養します。その理由は、三回忌のタイミングが故人にとって重要な節目に当たるためです。仏教において、人は亡くなると冥界にいる10名の王から裁きを受け、来世の道が決まると考えられています。来世の道は、以下の6種類です。
- 天道(天上道)
- 人間道
- 修羅道
- 畜生道
- 餓鬼道
- 地獄道
上から順に、天道が最も良い道で、下に行くにつれて険しい道となり、地獄道が一番悪い道とされています。
つまり、三回忌のタイミングで故人が生まれ変わる先が決まるため、三回忌は親族や友人を呼んで盛大に法要を行い、故人がより良い道を歩んでいけるようしっかりと供養します。
三回忌の数え方は?
「三回」という名称から、三回忌は亡くなってから3年後とイメージするかもしれません。しかし三回忌は、3年後ではなく2年後に迎えます。というのも、亡くなった時点で1回と数えるため、翌年が二回忌、2年後が三回忌となるのです。例えば、2020年12月1日に亡くなった場合、2022年12月1日が三回忌に当たります。
三回忌の法要を行うタイミングは?
三回忌の法要は、当日に行うのがベストです。しかし、三回忌が平日だと、親族の集まりにくさが懸念されます。そのため、三回忌より手前の土日祝日など、親族が都合をつけやすい日に法要を行うのが一般的です。
三回忌法要を行う前の準備
三回忌法要を滞りなく行うには、事前の準備が肝心です。その内容は多岐にわたるため、2ヵ月前を目安に取りかかりましょう。具体的に準備の内容を解説していきます。
参照元:やさしいお葬式|三回忌とは?意味と施主と参列者が知っておくべき法事・法要のマナーとは?
施主を決める
まずは、法要を取り仕切る施主を決めましょう。施主は、家族や親族の中から代表で選びます。葬儀で喪主を務めた方が、その後の法要でも施主になるケースが多いです。
もし、葬儀で喪主を務めた方が何らかの理由で都合が付かない場合、新しく施主を決めなければなりません。血縁が近い親族が新たな施主となるのが多いパターンですが、トラブルが起こらないよう親族間でよく話し合っておきましょう。
日程・場所を決める
三回忌法要をいつ・どこで行うか検討します。
法要は三回忌当日に法要を行うのが理想です。しかし、親族の予定が合わないようなら、できるだけ祥月命日より手前の土日や祝日に日程を組みましょう。また、日程は親族の都合を考慮するだけでなく、菩提寺や僧侶にも相談して決めてください。菩提寺への連絡は、1ヵ月以上前に済ませておきましょう。菩提寺がなければ、葬儀会社に相談するとお寺や僧侶を紹介してくれます。
三回忌法要を行う場所には、自宅・菩提寺・斎場が選ばれています。自宅以外で三回忌法要を行う場合、日程が決まり次第、会場の空き状況を確認してください。
参照元:よりそうお葬式|三回忌って何?知っておくべき法要のマナーは?
参列予定者の参加の可否を確認する
日程と場所が決定したら、できるだけ早く参列予定者に案内状を送りましょう。案内状には、三回忌法要の日程・開始時間・場所などを記載してください。封筒に返信用の往復はがきを同封して送り、参列の可否を確認します。
ごく近い親族であれば、案内状ではなく電話で参列できるかどうか確認してもかまいません。参列人数が確定したら、会食や香典返しの準備を始めましょう。
会食をセッティングする
三回忌法要の後に会食する場所を決め、予約します。会食会場は、斎場のレストランやホテルを利用するケースと、お寺や自宅で行うケースがあります。
会食会場がお寺、または自宅であれば、仕出し弁当の手配をしましょう。お寺によっては仕出し会社が指定されている場合があるので、事前に確認してください。会食の予算は、1人3,000~10,000円が相場です。
参照元:安心葬儀|三回忌法要に必要な準備とは?お布施の相場や三回忌法要に参加する際のマナーも紹介します
香典返しを用意する
三回忌法要では参列者が香典を用意しているため、香典返しの準備も必要です。香典返しの金額の目安は、3,000~5,000円程度(香典の1/2~1/3)となっています。内容は、お菓子やお茶、のり、石鹸などの消耗品がおすすめです。
香典返しには、熨斗も忘れずに掛けましょう。熨斗の表書きには「志」または「粗供養」と記し、下に「○○家」と書きます。葬儀会社や百貨店などで香典返しを注文すると、熨斗を印刷してかけてくれます。
お布施やお車代を準備する
御布施は、三回忌法要で読経していただいた僧侶への謝礼金です。三回忌法要当日に納めるため、前もって包んでおきます。僧侶自身が車やタクシーで法要会場へ赴く場合は、交通費に当たる「お車代」を用意しましょう。お布施とお車代は一緒にせず、別々に包んでください。
お布施・お車代の相場
お布施の相場は、お寺や地域によって異なりますが、30,000~70,000円とされています。30,000円・50,000円・70,000円といったように、割り切れない数字の金額で用意するのが一般的です。
お車代の相場は5,000~10,000円ですが、移動距離に見合うよう考慮しましょう。なお、以下のケースであれば、お車代は必要ありません。
【お車代が不要なケース】
- 法要をお寺で行う
- 施主や親族が僧侶を送迎する
- 施主がチャーターしたタクシーで移動する
お布施の包み方
お布施を包むために、奉書紙を用意しましょう。白無地の封筒でも代用可能です。表書きには「お布施」もしくは「御布施」と記し、その下に「○○家」と書いてください。
ここで注意しておきたいのが、使う墨の濃さです。一般に香典は故人への悲しみを表すため、薄墨を使用します。一方、お布施はお寺に対する感謝を示すものであることから、表書きには濃い黒墨を使用しましょう。
三回忌法要当日の流れ
続いて、三回忌法要の流れをチェックしていきましょう。宗派や地域によって多少異なりますが、基本的な流れを紹介します。
【三回忌法要の流れ】
- 僧侶入場
- 施主挨拶
- 読経、焼香
- 法話
- 僧侶退場
- 施主挨拶
- 会食
まず僧侶が入場し、着席します。自宅で三回忌法要を行う際には、ご仏前に僧侶の席(座布団)を準備しておきましょう。僧侶の真後ろに施主が座り、故人と近しい方から順に着席します。入場が済んだら、施主の挨拶で三回忌法要の開始となります。
読経中、参列者の焼香が促されるので、施主を先頭に前の席の方から順番に焼香しましょう。読経が終わったら、僧侶による法話(仏教の教えに関する話)を聞きます。その後、僧侶が退場し、施主による挨拶で終了です。
三回忌法要を行った場所と会食会場が離れている場合は、移動してください。会食をしないのであれば、施主の挨拶の中で案内し、参列者にお礼の品を渡しましょう。
施主挨拶の内容
施主は、三回忌法要の開始と終了時に挨拶をします。長々と話す必要はないので、簡潔にまとめましょう。三回忌法要開始前の挨拶では、僧侶と参列者へのお礼と開始の旨を伝えてください。
【開始時の挨拶例文】
本日はご多用にもかかわらずご足労いただき、ありがとうございます。これより、亡き父・○○(名前)の三回忌法要を行います。
僧侶退場後は、終了の旨と参加のお礼、会食の案内をします。故人の思いを代弁し、挨拶に込めるのも良いでしょう。
【終了時の挨拶例文】
本日はお忙しいところお集まりいただき、感謝申し上げます。多くの方々がお越しくださり、父も喜んでいると思います。この後、別の会場でお食事の席をご用意しております。お時間の許す限り、どうぞおくつろぎください。
僧侶にお布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングは、僧侶が退場するときです。黒いお盆の上にお布施を置き、差し出してください。僧侶が会食に参加しないようであれば、同じタイミングでお車代と御膳料(5,000~10,000円)も渡しましょう。
三回忌法要をお寺や自宅で行う場合は、開始前にお布施を渡しても差し支えありません。
三回忌法要に参列する際に知っておきたいマナー
ここからは、三回忌法要に参列する方のマナーを紹介します。故人や親族、僧侶に対して失礼とならないよう、チェックしておきましょう。
参加の可否の連絡はできるだけ早く
三回忌法要の案内状が届いたら、できるだけ早く参列の可否を回答してください。返事が遅くなると会食などの準備が間に合わなくなり、迷惑が掛かってしまいます。速やかな返信を心掛けましょう。
参列時の服装は喪服でなくてもOK
三回忌法要時の服装は、喪服でなくてかまいません。ただし、シンプルで暗い色の服を選んでください。男女別に、参列者の服装を見ていきましょう。
【男性】
- 暗い色のスーツ
- 白いシャツ
- 黒いネクタイ
- 黒い靴下・靴
【女性】
- 暗い色のスーツ・ワンピース・アンサンブル
- 黒いストッキング
- 黒いパンプス
靴は、男女ともに光沢感がないものにしてください。また、派手な時計やアクセサリーも外しましょう。結婚指輪・パール・黒曜石は身に着けてもかまいません。なお、施主は基本的に喪服を着用します。
香典の包み方を予習しておく
三回忌法要には香典を持っていくため、前もって準備しておきましょう。
三回忌の場合、香典袋の表書きには「御仏前」または「御香典」と記します。墨の濃さは、三回忌を含めた後日の法事には濃い墨を使用して良いとされています。水引の色はさまざまありますが、黒白・銀白・双銀が無難です。
香典袋の水引は、あらかじめ袋に印刷してあるタイプと、取り外し可能なタイプがあります。包む金額に応じて、香典袋のタイプを選びましょう。10,000円未満であれば印刷済みのものを、10,000円以上であれば香典袋に水引がかかっているものを選択してください。
三回忌の香典の相場は、故人と近い親族の場合10,000~30,000円程度。知人・友人であれば、5,000~10,000円です。新札は避け、お札の向きを揃えて包みましょう。三回忌法要に参列できないときは、現金書留で送ります。
お供え物を準備する
三回忌法要の際、香典の代わりにお供え物を贈っても差し支えありません。ろうそくや線香、仏花、果物などが、お供え物として相応しいでしょう。
コロナ禍における三回忌法要事情
コロナ禍の昨今、三回忌法要は感染状況や考え方によって臨機応変な対応が取られています。どのように三回忌法要が行われているのか、3つのパターンをまとめました。
パターン① 中止する
コロナ禍によって、感染拡大防止のため三回忌法要を行わないケースがあります。しかし、冒頭でお伝えしたとおり、三回忌は故人にとって大切な節目のため、できる限り法要を行うのが望ましいです。独断で三回忌法要を中止するのではなく、菩提寺や僧侶に相談し、了承を得てから中止の決断をしましょう。
パターン② 感染症対策を講じて実施する
感染症対策を講じ、三回忌法要を行うパターンです。対策の一例を見てみましょう。
- 大きな会場で行い、密を避ける
- 常に換気する
- マスクの着用や手指消毒を徹底する
- 会食ではなく持ち帰りのお弁当にする
- 感染拡大時期を避け、親族に相談して延期する など
特に気をつけたいのが、会食です。食事中はマスクを外すため、感染リスクが懸念されます。一堂に会して食事をするのではなく、お弁当を持ち帰ってもらうことで感染リスクを抑制できるでしょう。
パターン③ 家族だけで行う
故人とごく近しい家族だけで三回忌法要を行う方法もあります。家族だけで行う場合は、その旨を親族に相談し、了承を得てください。家族だけで行うことが決まったら、その旨とお詫びの言葉を挨拶状にして、親族に送りましょう。
また、家族のみであっても香典を辞退する連絡がない限り、親族や参列予定だった方は三回忌に香典を持っていくのがマナーです。施主側も、香典返しを準備してください。
おわりに
故人の命日から満2年目に迎える三回忌。三回忌は故人の来世の道が決まる大切な節目であるため、法要を行ってしっかりと供養しましょう。三回忌法要を滞りなく行うには、事前の準備が重要です。時間に余裕を持ち、早めの行動を心掛けてください。
しかし、法要を行うにはまとまったお金を用意しなくてはなりません。お布施やお車代、会食の費用を考えると、出費が心配になるでしょう。そこで心強い味方となってくれるのが、セゾンの「MONEY CARD(マネーカード)」です。利用可能枠は最高300万円で、全国のコンビニやATMで出金できます。返済は月々4,000円からのリボ払いとなっています。三回忌法要にかかる費用捻出方法の1つとして、セゾンの「MONEY CARD(マネーカード)」をご検討ください。
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