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住宅ローン控除はいつまで利用できる?要件や手続きについて

住宅ローン控除はいつまで利用できる?要件や手続きについて
セゾンのくらし大研究 編集部

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住宅を購入する際は、住宅ローンを利用するのが一般的です。住宅ローンを組んで住宅を購入し、一定の条件を満たすと「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」の対象となり、所得税や住民税から住宅ローン残高の一部が控除されます。

住宅ローン控除の制度内容は、2022年度および2024年度の税制改正により控除が利用できる期間が延長されるなど、変更点が多数ありました。本記事では、2024年以降の住宅ローン控除の内容や、利用するための要件などを詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 2022年の税制改正により、住宅ローン控除期間が2025年まで延長され、控除の対象期間も10年から13年に変更。控除率は1%が0.7%へと引き下げられた
  • 2024年度の税制改正では住宅の省エネ性能が必須化し、子育て世帯・若者夫婦世帯を除いて借入限度額が減少した
  • 新築・中古・リフォームの種類により要件は異なるが、入居後翌年の3月15日までに確定申告を行うことで控除が受けられる
  • 手続きに必要な書類は多いので、漏れのないように早めに準備すべき
住宅ローン相談窓口
住宅ローンの相談窓口

住宅ローン控除の期間が延長!どういうこと?

住宅ローン控除の期間が延長!どういうこと?

2022年度の税制改正により、住宅ローン控除を利用できる期間の延長が決定されました。正しい手続きが行えるよう、まずは住宅ローン控除の概要から確認していきましょう。

そもそも住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(住宅ローン減税)の正式名称は「住宅借入金等特別控除」であり、住宅ローンを利用して住宅を購入した方の負担軽減を目的とする制度です。具体的には、住宅ローン残高の一部を所得税や住民税から控除することで、住宅購入者の実質的な負担を軽減します。

2022年度税制改正で期間延長が決定

制度開始当初、住宅ローン控除が受けられる対象期間は2021年まででしたが、2022年度の税制改正により2025年末までの期間延長が決定されました。そのため、2025年12月31日までに住宅を購入して入居すれば、住宅ローン控除が適用されます。また、住宅ローン控除を受けられる期間が10年から13年に延長されました。

住宅ローン控除対象期間が延長された背景には、新型コロナウィルス感染症の感染拡大による経済低迷を持ち直す目的が含まれています。また、2050年までを目標に温室効果ガスの排出ゼロを目指すカーボンニュートラルを推進するため、省エネ住宅などの環境にやさしい住宅の普及を目指すことも、住宅ローン控除利用可能期間が延長された理由のひとつです。

ただし、今まで年末時点での住宅ローン残高に対して1.0%だった控除率が0.7%に引き下げられています。

2024年以降の住宅ローン控除の内容

2024年以降の住宅ローン控除の内容

2024年の制度改正により住宅ローン控除を受けるための省エネ性能が必須化し、子育て世帯・若者夫婦世帯を除いて借入限度額が減少しています。ここでは、2024年以降の住宅ローン控除の内容について解説します。

省エネ性能が必須に

2024年以降、省エネ基準に該当しない住宅は「その他の住宅」に区分され、住宅ローン控除の対象外となります。省エネ基準を満たす新築住宅とは、以下のいずれかに適合する住宅を指します。

  • 認定長期優良住宅
  • 認定低炭素住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅

住宅ローン控除を受ける際は、上記の住宅に適合することを証明する書類が必要です。認定長期優良住宅と認定低炭素住宅については、都道府県または市区町村から交付される「認定通知書」と「住宅用家屋証明書」の写しが必要となります。

ZEH水準省エネ住宅と省エネ基準適合住宅については、一定以上の断熱性能等級や一次エネルギー消費量等級を有することを証明する「建設住宅性能評価書」または「住宅省エネルギー性能証明書」の提出が必要です。

住宅省エネルギー性能証明書については登録された建築士事務所に属する建築士や指定確認検査機関などが発行することも可能です。申請費用は依頼先によって異なり、10~20万円程度かかるのが一般的です。これらの書類を取得するにはご自身で申請を行うか、建築主である建築会社やハウスメーカーなどに依頼しましょう。

借入限度額が下がる

2022年・2023年に入居した場合と2024年以降に入居した場合では、住宅ローンの借入限度額が異なります。以下の表に変更点をまとめました。

環境性能借入限度額控除期間
2022年・2023年入居2024年・2025年入居
新築住宅
買取再販
長期優良住宅低炭素住宅5,000万円4,500万円13年
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円
その他の住宅3,000万円0円10年
既存住宅認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
10年
その他の住宅2,000万円

子育て世帯・若者夫婦世帯については、2022年・2023年入居の場合の水準を維持することが決まっています。なお、子育て世帯は「19歳未満の子どもがいる世帯」、若者夫婦世帯は「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」です。

床面積要件の緩和措置を延長

住宅ローン控除の適用要件のひとつに「床面積50㎡以上」というものがありますが、合計所得金額が1,000万円以下の年分については「床面積40㎡以上」に緩和する措置が設けられています。床面積要件が緩和されるのは新築住宅や買取再販だけではなく、既存住宅も対象です。

当初は2023年末までの措置としていましたが、子育て支援の強化や住宅価格上昇への対応を目的に、建築確認の期限を2024年12月31日に延長しています。なお、2024年中に建築確認が済んでいれば、2025年入居の場合でもこの措置が適用されます。

床面積要件の緩和により、単身世帯や夫婦のみの世帯などが居住する小規模住宅を購入する場合でも住宅ローン控除の対象になりやすく、さまざまな世代・ライフスタイルに応じた住宅取得ニーズに対応しています。

住宅ローン控除を利用するための要件とは

住宅ローン控除を利用するには、いくつか要件が定められています。新築住宅と中古住宅、増築・リフォームした場合の3パターンで異なるため、それぞれを詳しくチェックしていきましょう。

新築の場合

  • 住宅ローンを10年以上かけて返済する契約であること
  • 新築住宅の取得日(引き渡し日)から6ヵ月以内に居住を開始し、控除の適用を受ける年の12月31日まで住み続けていること
  • 住宅ローン控除を受ける年の所得金額の合計が2,000万円以下であること
  • 新築住宅の床面積が50平方メートル以上で、床面積1/2以上が居住用である。ただし、 特例適用の場合には、合計年間所得1,000万円以下であれば床面積40平方メートル以上あれば良い
  • 居住を開始した年の2年前、居住を開始した年の後3年を合わせた5年間に、居住していた家屋や敷地以外の居住用財産を譲渡し、譲渡所得の課税の特例措置を受けていないこと

上記の5つが、新築の場合に住宅ローン控除を受けるために満たさなければならない要件です。また、親族からの取得、贈与の場合にも対象外となります。所得をはじめ、住宅ローンの返済予定期間、床面積など適用要件をチェックしましょう。

中古住宅の場合

中古住宅の場合には、新築住宅と同様の要件を満たすと同時に、以下で紹介する要件も加えて満たす必要があります。

  • 建築後、使用されていたこと
  • 登記簿上、建築された日が1982年以降の住宅で、新耐震基準に適合している住宅であること

今までは、中古住宅の場合は築20年以内の建物、もしくは築25年以内の耐火構造住宅であることが要件のひとつでした。しかし、2022年度の税制改正で築年数に関する要件は撤廃され、新たに「新耐震基準」に関する要件が追加されています。

そのため、中古住宅の住宅ローン控除は比較的適用されやすくなりました。

増築やリフォームの場合

増築やリフォームの場合

増築やリフォームを行った住宅の場合には、新築住宅と同様の要件に加えて、以下の要件も満たす必要があります。

  • ご自身が所有かつ居住している住宅の増改築であること
  • 増改築にかかる費用が100万円超であり、1/2以上が居住用の工事費用であること

また、省エネ住宅への改修工事、一定のバリアフリー改修工事などにあてはまる場合や、増改築にかかった費用の返済が10年以上続く契約になっている場合なども、住宅ローン控除の対象となります。

住宅ローン控除の手続きはいつまでに行わなければならない? 

住宅ローン控除の手続きはいつでも行えるわけではないので、期日に間に合うように手続きする必要があります。具体的な手続き期日や、期日を忘れていた場合のリスクをまとめて解説します。

入居した翌年に確定申告

住宅ローン控除を受けるには、購入した住宅に入居後、翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。必要書類をそろえて、期日内に税務署で手続きしましょう。近年では、WEBサイトからの確定申告も可能です。ご自身に合った申請方法で、住宅ローン控除を申請しましょう。

住宅ローン控除は、たとえ要件を満たしていても、自動的に受けられる制度ではありません。確定申告しなかった場合、税金の還付がゼロになる可能性があります。

2年目以降はどうする?

2年目以降はどうする?

自営業やフリーランスの方などは、2年目以降も確定申告の手続きを行いましょう。会社員であれば、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けられます。

例年10月下旬以降ごろに金融機関より届く「残高証明書」と、税務署より届く「住宅借入金等控除証明書」の書類を勤務先に提出しましょう。

年末調整に必要な書類の提出期限は企業によって異なるため、遅れないように注意する必要があります。

確定申告を忘れていた場合は?

住宅ローン控除初年度の確定申告を忘れていた場合は、対象の初年度から5年以内に申告すれば控除を受けられます。期限を過ぎてしまわないよう、早めに申請手続きを行いましょう。なお、所得税から控除しきれなかった分は、控除限度額の範囲内で住民税から控除されます。

しかし、住民税からの控除については、確定申告を行う以前の還付が受けられません。そのため、期限を過ぎてから確定申告を行った場合、住民税からの控除は確定申告以降分の適用になることを覚えておきましょう。

会社員の方が2年目以降に年末調整の申請を忘れてしまった場合は、ご自身で確定申告を行う必要があります。

住宅ローン相談窓口
住宅ローンの相談窓口

住宅ローン控除の必要書類・手続きと計算方法 

住宅ローン控除の手続きをスムーズに行うために、必要書類や手続きの流れ、計算方法を詳しく解説します。

住宅ローン控除の手続きで必要な書類

住宅ローン控除の手続きで必要な書類
1確定申告書確定申告書Aと確定申告書Bのうち、ご自身が該当する用紙を1枚選択、記入して用意
2住宅借入金等特別控除額の計算証明書住宅ローン控除額を計算するための書類
3源泉徴収票給与所得者のみ
4マイナンバーカード
5土地・家屋の登記事項証明書購入した住宅のサイズや構造、権利関係が記載されている書類
6不動産売買契約書・工事請負契約書リフォームでローンを組んだ場合はリフォーム工事の請負契約書も用意
7残高証明書年末ごろまでに金融機関から送られてくる書類
8特定要件を証明する書類「長期優良住宅」「低炭素住宅」など、控除対象借り入れ限度額を引き上げる住宅を購入した場合には、それを証明する書類を用意

以上の8種類が、住宅ローン控除を受けるために必要な書類です。働き方や購入した物件などによって必要書類が異なるため、注意しましょう。

住宅ローン控除の計算方法は?

住宅ローン控除額は「住宅ローン年末残高×控除率」で計算できます。ただし、控除限度額は、購入した住宅の種類や入居するタイミングによって上限があり、限度額よりも高い住宅を購入した場合には、控除金額が低くなることを覚えておきましょう。新築住宅における住宅ローン控除の借入限度額は、先述の「借入限度額が下がる」に記載しています。

例えば、2023年に5,500万円で長期優良住宅を購入した場合の計算式は以下のとおりです。

5,000万円(控除対象借り入れ限度額)×0.7%(控除率)=350,000円(年間控除額)

1年間の所得税納付額が350,000円よりも多い場合は、所得税から全額控除可能です。所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除されます。

住宅ローン控除の手続きの流れ

  1. 必要書類を用意する
  2. 税務署で確定申告書に記入し、提出する
  3. 確定申告後およそ1ヵ月程度で還付金が振り込まれる

上記の3ステップが、住宅ローン控除を受けるために必要な手続きの流れです。必要書類は準備するのに時間がかかるものもあるため、余裕をもって用意し、不備が無いように注意しましょう。2年目以降も確定申告が必要な場合は、同様の流れで申請を行います。

会社員などで2年目以降に年末調整を利用する方は、必要書類を企業側に提出するだけで手続きが完了します。

住宅ローン相談窓口
住宅ローンの相談窓口

住宅ローン控除を利用する際に注意したいこと 

住宅ローン控除を利用する際に注意したいこと 

住宅ローン控除は、居住していない場合や返済期間が10年以下の場合など、適用できないケースがあることに注意が必要です。ここでは、住宅ローン控除を利用する際の注意点を3つ解説します。最悪の場合、控除が受けられない可能性もあるため、知識として身につけておきましょう。

転勤で居住していないと適用できない

住宅ローン控除は、基本的に居住用の住宅に住んでいないと適用されません。転勤などで住んでいない場合は控除対象外となります。ただし「単身赴任のため、家族は継続して住んでいる」「短期の転勤のため、その年の12月31日までには戻ってくる」などの場合は住宅ローン控除を受けることが可能です。

転勤などの理由で、誰も住んでいない場合は控除対象外になります。しかし、住宅に戻ってきた際に手続きを行うことで控除が再開されるため、居住年数を把握して損のないよう手続きしましょう。

繰り上げ返済により要件を満たさなくなると適用外に

住宅ローン控除の適用要件のひとつとして「10年以上の返済期間があること」が設けられています。そのため、繰り上げ返済によりローンの支払い継続期間が10年未満になると、控除が受けられなくなります。繰り上げ返済を考えている方は、この点を押さえておきましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税は併用に注意

住宅ローン控除とふるさと納税は併用に注意

確定申告では、ふるさと納税(寄附金控除)と住宅ローン控除の両方が所得税と住民税の控除対象となります。ただし、控除額の上限に達した場合、住宅ローン控除やふるさと納税の控除が全額適用されないことがあるため、計算時に注意が必要です。

こういった問題を起こさないためには、ふるさと納税の申請をワンストップ特例制度で行うのがおすすめです。ワンストップ特例制度では、控除対象が住民税のみとなるため、住宅ローン控除への影響が少なくなります。しかし、ワンストップ特例制度の申請後に確定申告を行うと申請が無効になるため、住宅ローン控除の初年度は利用できません。

住宅ローン控除の利用にはさまざまな注意点があるため、住宅ローン控除の相談や住宅ローンの借り換えなどを検討する際はプロに相談するのもひとつの手段です。中でも、クレディセゾンが提携する「iYell(いえーる)」グループ提供の「住宅ローンの相談窓口」がおすすめです。住宅ローン控除に関する相談を含む、住宅のお金にまつわる悩みに寄り添ってくれます。

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おわりに 

住宅ローン控除は、住宅購入やリフォームのための費用負担を軽減できる制度です。税制改正によって内容が変更された部分があるため、漏れなく把握しておきましょう。住宅ローン控除の適用要件に加え、計算方法や注意点、手続きの流れなどを把握しておくとスムーズに手続きできます。本記事でご紹介した内容を参考に、住宅ローン控除に関する最新の情報を理解し、この制度を有効活用しましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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