クレジットカードの分割払いの仕組みがイメージできず、利用することに不安を感じていないでしょうか。仕組みは非常に簡単ですが、よく知らないまま利用すると、余計なお金がかかってしまうリスクがあります。
この記事では、分割払いとはどのような仕組みか解説しつつ、メリット・デメリットなどを説明します。さらに、分割払い以外の支払方法も紹介するのでぜひ参考にしてください。
分割払いとは、クレジットカードの利用代金を分割して支払うことです。一括払いとは異なり、1回当たりの支払金額を抑えられる点がメリットです。デメリットとしては、分割回数に応じて手数料がかかり、月の支払い額が軽減されたことで、お金を使い過ぎてしまう可能性があります。これらをよく理解したうえで、クレジットカードの分割払いを利用しましょう。
クレジットカードの「分割払い」とは?
分割払いとは、カード決済の支払いを複数回に分けて支払う方法です。支払回数を自分で設定できるので、無理のない支払いを計画的に行いやすい点が魅力です。
しかし、利用方法を誤ると余計なお金がかかる恐れがあるため、分割払いの仕組みについて理解を深めてから利用することをおすすめします。
クレジットカードの分割払いの仕組み
クレジットカードによる決済は、カード会社が支払金額を一時的に立て替え、締め日に立て替えた利用金額を集計し、支払日(引き落とし日)に利用者の口座から引き落とす仕組みです。
クレジットカードの分割払いは、利用金額を複数回に分け、分割した金額と必要に応じて手数料を合算して毎月支払います。
例えば、1月の利用金額6万円を3回の分割払いにした場合、2月から毎月2万円+手数料を支払います。2月も利用金額3万円を3回の分割払いにした場合には、3月からは2万円+手数料に1万円+手数料を上乗せして支払うことになります。分割払いを多用すると結局は毎月の支払額が高くなってしまう場合があるので、注意しましょう。
分割できる回数は、それぞれカードの種類やカード会社ごとに決まっており、何回でも自由に分割できるわけではありません。1回払いや2回払いのみ選択できるクレジットカードもあれば、最高36回払いまで選択できるカードもあります。
最初から分割払いを選択予定の方は、選択可能な支払回数が何回なのか申し込み前に確認しておくとよいでしょう。
分割払いには手数料が発生する
一般的に3回以上の分割払いをすると、手数料が発生します。一括払いは標準的な支払方法なので、手数料は発生しません。しかし、分割払いはカード会社が利用金額を立て替えている期間が長くなるので、その分の手数料が発生します。
また、分割払いの手数料は一律ではありません。支払回数や利用代金をもとに算出される仕組みで、支払回数や利用金額に比例して手数料が高額になります。
なお、分割回数が2回であれば、手数料がかからないクレジットカードもあります。手数料が高額に設定されている場合、支払いの負担が大きくなるので事前に手数料の設定を確認しておきましょう。
分割払いにはどんなメリットがある?
支払方法で分割払いを選択するメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 1回の支払金額を抑えられる
- ご自身に合った支払回数を選択できる
- 2回までの分割なら手数料は無料
1回の支払金額を抑えられる
分割払いを利用すれば、1回の支払金額を抑えられます。例えば、締め日の利用代金が100,000円で、分割払い(10回)を選択した場合、1回の支払額は10,000円です。
一括払いを選択した場合は、翌月の支払日に指定の口座から100,000円が一括で引き落とされるため、まとまった金額を口座に用意しておかなければいけません。しかし分割払いであれば、とりあえず10,000円+手数料を用意すればよいので、無理なく支払うことができるでしょう。
高額な限定品を購入したいけど手元にお金がなかったり、出費が続いており一括払いに対応できなかったりする場合は分割払いが便利です。
ご自身に合った支払回数を設定できる
選択できる支払回数は、クレジットカードによって異なります。一般的に3〜24回の中で選択できるケースが多く、ご自身の状況に応じて支払回数を設定できます。
例えば、50万円の限定品をどうしても購入したい場合、20回払いを選択すれば毎月の支払額を25,000円+手数料に抑えられるので、手元に50万円の現金が無くても購入することが可能です。20回払いはあまりにも長すぎると思うのであれば、3回払いや5回払いなどに調整できます。
このようにご自身の状況に応じて分割回数を自由に設定できる点が分割払いの大きな魅力といえます。
2回までの分割なら手数料は無料
分割払いは、一般的に2回までなら手数料はかかりません。手数料を気にせず、支払いタイミングを調整できます。
ただし、注意が必要なのは、2回払いは商品購入時のみ指定が可能なクレジットカードが多く、購入後は3回以上の分割しか指定できない場合が多いです。3回以上の分割は手数料がかかります。手数料がかからない2回払いを利用したいなら、商品購入時に必ず指定しましょう。
分割払いのデメリットは?
支払方法で分割払いを選択するデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 3回以上の分割をすると手数料がかかる
- お金を使い過ぎてしまう可能性がある
3回以上の分割をすると手数料がかかる
通常、分割払いでは3回以上の分割をすると、手数料が発生します。支払回数が多いほど手数料は高くなり、支払総額が大きくなる点には注意が必要です。そのため、分割回数を選択する際は、1回の支払金額と手数料の両方を鑑みて検討しましょう。
手数料負担を少しでも抑えたければ、お金の余裕があるときに繰上返済をすることをおすすめします。繰上返済をすれば、支払完了時期が早まるので手数料の負担を軽減できます。ただし繰上返済では、一般的に残高を全額支払う必要があるうえ、手数料がかかる場合がある点には注意してください。
お金を使い過ぎてしまう可能性がある
分割払いを利用する際は、お金の使い過ぎにならないよう購入金額の総額を意識しましょう。現金払いや一括払いでは購入できないような金額の商品でも、分割払いを選択すれば購入できてしまいます。また、分割払いで支払えばいいと思って、心理的ハードルも下がりやすいです。
そうして買い物を繰り返すうちに、分割払いでも支払いが困難なほど毎月の支払額が増えてしまったという方は少なくありません。分割払いを選択する場合は、無理なく返済できる金額であることを確認しながら、計画的な利用を心がけましょう。
クレジットカードで分割払いする際の利用方法
クレジットカードで分割払いする際の利用方法は、主に以下の2つです。
- クレジットカードを利用したときにお店で分割払いを選ぶ
- あとから支払方法を変更する
分割払いは自動的に適用されるわけではありません。自分で分割払いを選択します。あらかじめ方法を把握しておきましょう。
クレジットカードを利用したときにお店で分割払いを選ぶ
お店でクレジットカード決済を利用する際は、店員さんから支払回数を聞かれます。その際に分割払いにしたい旨と分割回数を伝えることで、支払方法を分割払いにできます。また、ネットショッピングの場合は、決済処理の際にご自身で支払回数を指定するのが一般的です。
ただし、どのお店でも必ず分割払いを選択できるとは限りません。お店によっては、分割払いに対応していない場合もあります。
あとから支払方法を変更する
商品を購入した後に、支払方法を分割払いに変更することも可能です。主にクレジットカード会社のアプリやWEBサイト、電話などから支払方法を変更できます。お店やネットショッピングで一括払いを選択したものの、利用額が大きくなったので分割払いに変更したいという方にはとても便利です。
また、お店が分割払いに対応していない場合でも、あとから支払方法を変更する方法であれば、分割払いに切り替えられる場合があります。
ただし、変更可能な期間を過ぎていたり、すでに支払いが始まっていたりする場合は支払方法を変更できません。
クレジットカードの分割払いができないケースは?
以下のような理由から、分割払いを選択できないケースもあるので注意してください。
- ショッピング枠の上限金額にすでに達している
- クレジットカードが分割払いに対応していない
- 加盟店側が分割払いに対応していない
クレジットカードには利用額の上限が設定されています。ショッピング枠とは、クレジットカードを使って買い物ができる上限金額のことです。ショッピング枠は一括払いや分割払いなど全ての利用金額の合算です。ショッピング枠が上限金額にすでに達している場合は、クレジットカード自体が利用できません。
また、そもそもクレジットカードが分割払いに対応していないケースや店舗側が分割払いに対応していないケースもあります。分割払いに対応しているカードか、分割払いに対応している店舗かどうか確認してから利用しましょう。
まとまったお金が必要な際には、カードローンもおすすめ
分割払いを選択する理由がお金が足りないという場合は、分割払いを選択するよりもカードローンを利用したほうが支払総額を抑えられる可能性があります。なぜならカードローンのほうがクレジットカードよりも支払時の利息が低く設定されているケースも多いためです。
さらに、カードローンは、急にお金が必要になった場合でも銀行やコンビニのATMで現金を引き出したり、インターネット経由でご自身の金融機関口座に借り入れができるものもあり便利です。
すぐにまとまったお金が必要な方は、カードローンの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
セゾンのカードローン「MONEY CARD GOLD(マネーカードゴールド)」は、資金の利用目的が自由であることに加え、年会費・入会費が0円であるため、保有コストがかかりません。さらに、全国のコンビニのATMで利用でき、ATMの利用手数料は何度利用しても無料のため、急な出費にも備えられます。
カードローンは、いざという時のために1枚持っておくと安心です。
分割払いの返済方法
分割払いの返済方法は、主に以下の3つです。
- 通常返済:あらかじめ決められている支払い日に返済する
- 繰り上げ返済:繰り延べていた支払いの一部を早く返済する
- 一括返済:繰り延べていた支払いをすべて返済する
繰り上げ返済や一括返済をすると、分割払いの手数料を減らすことができます。
通常返済
通常返済は、通常どおりショッピング利用の支払い日に返済する方法です。分割した回数に応じて、毎月決まった金額を支払います。
例えば、3万円の商品を3回払いした場合、毎月1万円と分割払いの手数料を加えた金額を3ヵ月にわたって支払います。通常返済は最も一般的であり、シンプルな返済方法と言えます。
繰り上げ返済
繰り上げ返済は、分割払いで繰り延べしている支払いの一部を早く返済する方法です。分割払いは支払い回数を増やすほど手数料が高くなるため、繰り上げ返済したほうが総支払い金額を減らすことができます。
ただしクレジットカードによっては、支払い金額の一部だけを繰り上げ返済することができない場合や、返済方法が銀行振込のみに限定されるケースがあります。
一括返済
一括返済は、残っている分割払いの金額を一度に全て支払ってしまう方法です。支払い回数が減るので、手数料を最小限に抑えることができます。
ただし、一括返済すると手元から一気に現金がなくなってしまい、急な支払いに対応できなくなる可能性があるので、無理なく計画的に利用しましょう。
分割払いを利用する際にはシミュレーションも大事
分割払いはお金を使い過ぎてしまう危険性もあるため、分割払いを利用する際は一度シミュレーションを行いましょう。実際に3回払い・12回払い・24回払いした場合のシミュレーションをしてみます。なお、条件は、2024年9月に10万円の商品を購入した場合で、手数料率は15%とします。
シミュレーション結果
支払回数 | 3回払い | 12回払い | 24回払い |
支払期間 | 2024年9月~2024年11月 | 2024年9月~2025年8月 | 2024年9月~2026年8月 |
支払元金 | 100,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
支払手数料 | 2,286円 | 8,081円 | 16,137円 |
支払合計金額 | 102,286円 | 108,081円 | 116,137円 |
シミュレーションにより、支払合計金額や手数料額がわかるため、分割払いすべきか否かの判断材料になります。
最近は、クレジットカードの利用金額や支払い回数を入力するだけで、毎月の支払金額や総支払金額などを簡単に計算できるWEBサイトもあります。分割払いのシミュレーションを上手に行い、計画的に利用しましょう。
分割払い以外のクレジットカードの支払方法
クレジットカードには、分割払い以外にも以下の支払い方法があります。
- 一括払い
- ボーナス払い
- リボ払い
一括払いは知っていても、ボーナス払いやリボ払いは詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。それぞれの特徴を理解して使い分けられれば、より便利にクレジットカードを活用できるのでそれぞれ解説します。
一括払い
一括払いとは、1ヵ月分の利用代金を一括で支払う方法です。クレジットカード決済の標準的な支払方法で、手数料は発生しません。
例えば、締め日が15日、支払日が翌月5日に設定されているクレジットカードの場合、1月16日〜2月15日までの利用金額を3月5日に一括で支払います。支払回数が1回なので「1回払い」とも呼ばれています。
ボーナス払い
ボーナス払いとは、夏または冬のボーナス月に一括で支払う方法です。ボーナス払いも一括払いと同様、一般的に手数料は発生しません。夏と冬のボーナス2回払いが可能なクレジットカードもあります。
ただし、ボーナス払いを利用できる期間や支払日がカード会社ごとに異なるので、あらかじめカード会社のホームページで確認しておきましょう。
リボ払い
リボ払いとは、リボルビング払いの略称で、あらかじめ決められているルールに沿って、一定の金額を毎月支払う方法です。リボ払いの主な支払方式は、以下の2つになります。また、リボ払いは手数料が発生するので注意してください。
- 残高スライド方式:支払残高によって支払金額が変動する。残高が多いほど毎月の支払額が増加する。
- 定額方式:支払残高に関係なく、毎月一定の金額を支払う。
例えば、残高スライド方式を選択した場合、締め日の支払残高が100,000円以下だと毎月10,000円、100,000円超200,000円以下だと毎月20,000円支払うというように、あらかじめ設定されているリボ残高テーブルの金額に基づいて支払金額が決まります。
一方、定額方式だと、締め日の支払残高が100,000円であっても200,000円であっても、毎月一定額(例:10,000円)を支払います。
支払い金額の目途が立ちやすいため、次回の支払い金額が想定よりも多くて困るというようなことは起きにくいです。ただし、手数料が発生するため余計な出費が増えることに加え、支払期間も長期化しやすい点がデメリットといえます。
リボ払いと分割払いの違いは?
分割払いは支払回数をあらかじめ決めて支払う方法、リボ払いは支払金額をあらかじめ決めて支払う方法です。
リボ払いと分割払いは、両者とも利用代金を複数回に分けて支払うため混同しやすいでしょう。両者の違いを理解して、うまく使い分けましょう。
分割払いとリボ払いの違いをイメージしやすくするため、表にまとめました。
項目 | 分割払い | リボ払い |
---|---|---|
支払回数 | あらかじめ決まっている | 支払残高によって変動 |
毎月の支払額 | 一定 | 残高により変動する場合もある |
手数料 | 支払い回数が多いほど高くなる | 支払い期間が長いほど高くなる |
メリット | 計画的に返済できる | 毎月の支払額を抑えられる |
デメリット | 手数料がかかる | 返済期間が長期化しやすい |
返済期間を長期化させたくない方は、分割払いがおすすめです。一方、資金面でのピンチが当面続きそうな場合は、月あたりの返済負担を抑えられるリボ払いで乗り切ると良いでしょう。ただし、クレジットカードの利用の都度、支払方法を変え、分割払いやリボ払い、一回払いが混在すると、毎月の支払金額の把握が難しくなります。利用残高や月の支払額などを明細書などでしっかりと確認するようにしましょう。
おわりに
クレジットカードの分割払いは、1回の支払額を抑えられるので便利です。しかし、支払回数が多くなるほど手数料が上乗せされて、支払総額が大きくなる点には注意が必要です。
また、利用しやすさからお金を使い過ぎてしまうケースも多く見られます。手元の現金が減らないことにより、資金に余裕があるような錯覚に陥りやすいためです。
そのため、分割払いを利用する際はあらかじめシミュレーションを行って、返済額を把握して返済計画を立ててから利用しましょう。そもそも無闇に分割払いやリボ払いに頼らず、可能な限り一括払いで済ませることも、返済に困る状況を防ぐうえで重要なポイントです。
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