何かしらの理由でお金を必要としている方も多いと思います。お金を確保する方法はいくつかあり、証書貸付もお金を確保する方法のひとつですが、どのような仕組みかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、証書貸付とは何なのか、証書貸付と他の貸付の違い、証書貸付のメリット・デメリット・注意点などを解説します。証書貸付について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
お金が必要になった際にお金を確保する方法のひとつに証書貸付があります。証書貸付は借り入れごとに金銭消費貸借契約書を作成し、契約書に記載された金額を借りる融資契約のことです。カードローンのように必要に応じてお金を何度も繰り返し借りられるものではないため、目的に合った融資方法かどうかを確認してから契約することが大切です。契約してから後悔しないためにも、証書貸付を利用するメリット・デメリット、注意点などを確認してから契約しましょう。
証書貸付とはどんな貸付?
お金が必要になった際、お金を確保する方法はいくつかあります。証書貸付もお金を確保する選択肢のひとつですが、証書貸付の仕組みがよくわからない方も多いと思います。
契約してから後悔しないために、証書貸付の仕組みをしっかりと理解してから契約することが大切です。証書貸付の仕組みを詳しく見ていきましょう。
証書貸付とは
証書貸付とは、借り入れごとに金銭消費貸借契約書を作成し、契約書に記入された金額を借りる融資契約です。金銭消費貸借契約書とは、融資金額、返済方法、利息などの融資条件が記載された書類のことです。
例えば、住宅ローンやマイカーローン、リフォームローン、フリーローンなどが証書貸付に該当します。
証書貸付の「契約事項」
金銭消費貸借契約書には、具体的に以下のような融資条件の詳細が記載されています。
- 貸付金額
- 返済期日
- 返済方法
- 金利・利息計算方法
- 遅延損害金
- 期限の利益喪失
- 担保・保証
貸付金額
証書貸付でいくら借りるのかを明確にします。貸付実行日も重要なので「貸付人は借入人に対して○年○月○日に金○円を貸し付け、借入人はこれを借り入れる」といったように記載します。
返済期日
融資をいつまでに返済するのかを明確にする必要があります。「○年○月○日までに毎月金○円ずつ(合計○円の分割払い)支払う」「○年○月○日に元本の全額を一括で支払う」といったように記載します。
返済方法
金銭消費貸借契約書には返済方法も具体的に記載しなくてはなりません。先ほどの返済期日の見出しに記載した内容に、銀行振込の場合は「貸付人が指定する口座に振り込み送金する方法にて返済するものとする。なお、振込手数料は借入人の負担とする」といったように返済方法と手数料負担を明記します。
金利・利息計算方法
証書貸付では、通常利息が発生するので利息についても明記する必要があります。「元本に対して年○%の利率を適用する」「利息は当該利息計算期間の初日における本件貸付の元本残高×適用利率×当該利息計算期間の実行日数÷365」のように金利と利息の計算方法について明記します。
遅延損害金
遅延損害金とは、借入人が返済期日までに弁済しない場合に、貸付人に対して支払う損害賠償です。「借入人が返済期日までに、本契約に基づく債務の全部または一部の弁済をしない場合には、貸付人に対し、当該弁済日の翌日から完済に至る日まで、年14.6%の割合による遅延損害金を支払うものとする」のように明記します。
期限の利益喪失
期限の利益とは、借入人が貸付人から借りた金銭を返済期日まで利用できる権利です。借入人が返済期日までに返済しない場合、期限利益を損失する旨を記載します。「借入人は本契約に基づく一切の債務につき貸主に対して直ちに当該債務を弁済しなくてはならない」のように明記されます。
担保・保証
担保や保証は、借入人が貸付人から借りた金銭を返済期日までに返済しない場合に回収できるようにするものです。不動産を担保にする場合は「本件貸付にかかる債権その他本契約に基づき貸付人が借入人に対して有する一切の債務を担保するために、借入人が保有する不動産に抵当権を設定する」のように明記します。
連帯保証人を立てる場合は「連帯保証人は貸付人に対し、本契約に基づき生じる借入人の一切の債務について、借入人と連帯してその完全な履行を保証する」のように記載します。
証書貸付とほかの貸付の違いとは?
証書貸付が自分に合うお金を確保する方法とは限りません。以下のようなお金を借りる方法もあるため、それぞれの違いを理解し、自分に合った方法を選択しましょう。
- 極度貸付
- 手形貸付
- 当座貸越
- 手形割引
極度貸付
極度貸付とは、あらかじめ契約書に明記されている極度額(利用限度額)の範囲内で繰り返し借り入れや返済を行う融資契約のことです。カードローンやクレジットカードのキャッシングなどが極度貸付に該当します。
クレディセゾンの「MONEY CARD(マネーカード)」は極度貸付に分類されるカードローンです。利用限度額の範囲内で自由に借り入れや返済を行いたい方は、利用をご検討ください。
手形貸付
手形貸付とは、借手が約束手形を金融機関に交付し、金融機関が手形に記載されている金額を貸し付ける融資契約です。約束手形とは、借手が一定期日に額面金額の支払いを約束した書面です。審査項目が少なく、審査は早いものの、高額融資を受けることは基本的にできません。
当座貸越
当座貸越とは、融資限度額を設定し、その限度額までの範囲内であれば、自由にお金を借りたり、返済したりできる融資契約です。証書貸付とは異なり、限度額の範囲内であれば好きなタイミングで何度でも貸し借りできます。
手形割引
手形割引とは、約束手形を担保にお金を借りる融資契約です。他社から支払いのために受け取っている約束手形を金融機関に交付し、手形に記載されている金額を金融機関から借ります。証書貸付より審査期間が短く、手続きが簡単という点がメリットです。
証書貸付のメリットとは?
他の融資が比較的期間が短く、上限金額が低いのに対して、証書貸付は長期融資が可能というメリットがあります。例えば、マイホームを購入する際、中古住宅であっても数千万円程度の資金が必要です。
証書貸付に分類される住宅ローンは、住宅の購入に必要な高額融資が可能であるほか、返済期間を最長35年に設定できます。
長期的な返済プランを組めるので、月々の返済負担を軽減でき、金融機関の手続きもスムーズという点もメリットといえるでしょう。
証書貸付のデメリットとは?
証書貸付は融資上限が大きく、返済期間も長期に設定できるということもあり、融資実行までのスピードが遅いというデメリットがあります。また、書類に何らかの不備があった場合は審査期間が長くなります。
カードローンはあらかじめ決められた利用限度額の範囲内であれば、自由に好きなタイミングで貸し借りできますが、証書貸付では自由にできません。一度の借り入れごとに金銭消費貸借契約書を作成する必要があります。融資の柔軟性が低く、手間がかかる点もデメリットといえるでしょう。
証書貸付を利用する際の注意点
証書貸付は、高額融資・長期返済が可能なので、利用を検討している方も多いと思います。しかし、お金を必要としている全ての方に向いているとは限りません。証書貸付にはデメリットもあり、利用してから後悔する恐れもあるため、以下の注意点を事前に押さえておくことも大切です。
利息以外のお金がかかる場合がある
証書貸付を利用する場合には、金融機関と金銭消費貸借契約書を交わします。この金銭消費貸借契約書には、以下のように契約金額に応じた印紙代がかかります。
記載された契約金額 | 印紙税 |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 |
参照:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
融資までに時間がかかる
証書貸付は高額融資・長期返済が可能となっています。しかし、その分融資に対する審査を慎重に行うので融資が実行されるまで時間がかかりやすい点に注意が必要です。
そのため、今すぐ資金が必要といったように突然の出費には、証書貸付は向いていません。急な出費でお困りの方は、クレディセゾンのカードローン「MONEY CARD(マネーカード)」の利用をおすすめします。
「当日延滞」に注意する
証書貸付を利用する場合には、当日延滞に注意が必要です。引き落とし日に入金すれば大丈夫と考えている方も多いかもしれませんが、口座から残高が引き落とされるタイミングは金融機関ごとに異なります。
当日中の入金で返済できれば延滞にはなりませんが、間に合わなかった場合には延滞によるペナルティの対象となる可能性があります。その後のローンの審査に不利になる恐れがあるため、引き落とし日の前日までには口座にお金を入れておきましょう。
無計画に借りてしまうと返済に困ることも…
証書貸付では、高額融資・長期返済が可能です。高額融資であっても返済期間を長期間に設定することによって、1回の返済負担を抑えられるのが魅力ですが、無計画に借りると返済に困ることもあるので注意してください。
契約時には無理のない返済計画を立てているつもりでも、返済途中に病気や怪我などで収入が減少する可能性があります。無計画に借りると、後悔することになるので万が一の事態を想定した無理のない返済計画を立てましょう。
契約書の内容をしっかり確認しておく
証書貸付では、金銭消費貸借契約書を交わします。そのため、契約してから内容を変更するということはできません。利息や返済方法などをしっかり確認し、不利な条件や不明瞭な条件がないか確認しておくことが大切です。
おわりに
証書貸付はお金が必要な場面でお金を確保できる融資手段のひとつですが、お金を必要としている全ての方に適切な手段とはいえません。
違う方法を選んだほうが良い場合もあるため、証書貸付がどのような融資契約なのか、メリット・デメリット、注意点などを把握してから契約することが大切です。また、証書貸付は、一度契約すると契約内容を変更することはできません。契約前にしっかり契約内容を確認しましょう。