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住宅ローンに関する契約書の種類と確認すべきポイントとは?

住宅ローンに関する契約書の種類と確認すべきポイントとは?
セゾンのくらし大研究 編集部

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マイホームを購入する際、多くの方が購入資金に充てるために金融機関の住宅ローンを利用しています。住宅ローンに関する契約書にはいくつかの種類がありますが、生涯で何度も利用するものではないことから、複雑で難しいと考えている方が多いかもしれません。

この記事では、住宅ローンに関する契約書の種類や、そのチェックポイントを解説します。契約で必要な書類や融資実行までの流れ、困ったときの相談窓口についても紹介しますので、これからマイホームを購入する方はぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること

  • 住宅ローン契約には、「金銭消費貸借契約書」や「抵当権設定契約書」、そして「保証委託契約書」といった書類が含まれる。
  • 契約書に署名する際には、借入総額や日付、氏名などの基本事項だけでなく、内容についても入念に点検することが重要である。
  • 融資実行までには複数のステップがあり、手続きを円滑に進めるためには、事前に必要書類を確認して準備することが肝要である。
住宅ローンの相談窓口
住宅ローンの相談窓口

住宅ローンで取り交わされる契約書について

住宅ローンで取り交わされる契約書について

まず、住宅ローンを組む際に金融機関などと取り交わす契約について解説します。住宅ローンに関連する契約書にはいくつか種類があるため、それぞれの内容も説明します。

そもそも住宅ローンにおける契約とは?

住宅ローン契約は、債権者となる金融機関と融資を受けて債務者となる契約者の間で結ぶ金銭消費貸借契約が中心になります。

債務者が住むことを前提とした住宅を購入するための資金として、金融機関が一定額を貸し付け、その見返りとして債務者が一定の期間内に金利を含む返済を行うという内容です。

住宅ローンの契約では、返済期間や金利、返済方法などのルールに加え、返済が滞った場合のペナルティなど、債権者と債務者双方の権利と義務が明確に定められています。

家の購入金額は年収の何倍にもなることから、月々の返済額を抑えるため契約期間は長期に及ぶのが一般的です。国土交通省の「令和3年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅購入資金の借り入れ返済期間は「35年以上」が最も多く(分譲戸建てが79.0%、分譲マンションが71.2%)、次いで「20~35年未満」が(それぞれ19.8%、20.5%)となっています。

参照元:「令和3年度住宅市場動向調査報告

住宅ローンの契約の種類

住宅ローン契約に関する書類は主に下記の4種類があります。

  • 金銭消費貸借契約書
  • 抵当権設定契約書
  • 保証委託契約書
  • 金利に関する特約書

それぞれ特定の目的と役割があり、これらが住宅ローン契約書としてひとつのまとまりとなって融資が成立します。長期間の返済義務を負う借主は、契約内容と返済までの流れをしっかりと理解することが大切です。ひとつずつ解説します。

金銭消費貸借契約書

金銭消費貸借契約書は、簡単にいうと借用書の役割を果たす書類です。借り手(債務者)が貸し手(債権者)から一定の金額を借りること、そしてその金額を返済することを約束する文書です。通称「金消(きんしょう)」「金消契約」と呼ばれ、主に以下の内容が記載されます。

金銭消費貸借契約書に記載される内容

  • 借入金額
  • 利率
  • 借入期間
  • 借入金の使途
  • 返済用口座
  • 繰り上げ返済時の手続き
  • 返済遅延などルールに違反した際の扱い

現在は契約時に電子契約を採用する金融機関も増えています。金銭消費貸借契約書には通常、印紙税がかかりますが、電子契約の場合は不要です。

抵当権設定契約書

抵当権設定契約書は、債務者が万が一返済できなくなった場合に備え、債権者が担保となる土地と建物に抵当権を設定することを明記した文書です。抵当権を設定しておくことで、債権者は物件を競売にかけてお金の回収を図ることができます。住宅ローンを完済すれば抵当権は抹消できます。

抵当権設定契約書には、抵当権を設定することや借入金額、返済期限などの情報を記載します。火災や地震などに備え、抵当物件に対して損害保険契約を締結することなども明記するのが一般的です。抵当権を設定した場合、第三者にその内容を示すため、法務局で抵当権設定登記を行う必要があります。

保証委託契約書

保証委託契約書は借主と保証会社が結ぶ契約を記載した文書です。返済が滞った場合、金融機関に対する返済を保証会社に委託する契約です。保証会社が金融機関に返済した分は、保証会社に対する借主の債務となります。借りている方の返済義務自体がなくなるものではありません。

金利に関する特約書

金銭消費貸借契約書を補完する役割を持つのが、金利に関する特約書です。変動金利や、一定期間は金利が固定される固定金利選択型といった金利変動に関するルールなどを記載する文書になります。

変動金利であれば、利率の上げ下げを行う基準日や返済額の変更日などを明記し、固定金利選択型なら固定金利が継続する期間と固定期間終了後の金利の扱いなどを記載します。

住宅ローンの契約で必ずチェックしておきたい項目 

住宅ローンの契約で必ずチェックしておきたい項目 

住宅ローンを契約する際に必ずチェックしておきたい項目をまとめました。融資を受けた後のトラブルを防ぐためにもぜひ確認してください。

借入総額などの金額や日付の確認

まずは数字に間違いがないか入念な確認が必要です。借入総額、返済期間、毎月の返済日、最終返済日などをしっかり点検してください。これらは契約の根幹をなす部分となります。

借入金使途の確認

次に、借入金の使途の確認です。住宅の購入なのか建築なのかなど、融資を受ける目的が正しく記載されているかといった点をチェックしてください。

返済方式や利率の確認

返済方式や利率も住宅ローンの重要な部分です。固定金利とするか変動金利とするか。元利金の返済額を一定にする元利均等返済を選ぶか、元金部分を均等に返済していく元金均等返済とするか。

毎月の返済とは別にボーナス返済を併用するか、併用しないか。返済の方式が異なれば総返済額も変わります。想定した返済計画に狂いが生じないよう、しっかり点検しましょう。

団体信用生命保険の加入者などを確認

団体信用生命保険(団信)は、ローン返済中の債務者が亡くなった場合にローン残高がゼロになる保険です。

万が一の場合は生命保険会社が住宅ローン残高に相当する保険金を債権者に支払う仕組みとなります。住宅ローン契約と同時に結ばれる団体信用生命保険契約の加入者名などが正しく記載されていることを確認してください。

規約の確認

契約約款には、住宅ローンの詳細な規約が書かれています。必ず目を通し、わからないことがあれば確認のうえ理解してから契約するようにしましょう。

特に期限の利益の喪失事由については注意が必要です。住宅ローンでいう期限の利益とは、返済期限までは返済義務を負わないという債務者の利益を指します。返済が滞った場合には期限の利益を喪失する恐れがありますので、どのような条件でペナルティが発生するのか、十分に理解しておくことが大切です。

住所や氏名などの確認

住所や氏名などに間違いがないか、印紙がきちんと貼られて割印されているかなど、細かな点にも注意してください。書かれている内容に間違いがある場合、トラブルに発展する恐れもありますので、正確に記載されていることを必ず確認しましょう。

引き落とし口座の確認

住宅ローンの返済は、指定した銀行口座からの自動引き落としで行われるのが一般的です。指定する口座の番号や名義が間違っていないかを確認します。

火災保険への加入を確認

火災保険は、自宅が事故や災害などで被害を受けた際に、損害保険会社から補償を受けられる重要な契約です。住宅ローンを組む際には通常、火災保険に加入することが条件となります。加入する保険の補償内容や保険料についてしっかり確認しましょう。

住宅ローンの契約で必要な書類とは? 

住宅ローンの契約で必要な書類とは? 

住宅ローンの契約で必要な書類は、書類契約のときと電子契約のときで異なります。所有権を第三者に対抗するための登記を行う際の必要書類についても説明します。

書類での契約の場合

書類で住宅ローンを契約する際に必要となるものは、主に次のとおりです。

住宅ローンの契約で必要な書類

必要書類説明
本人確認書類運転免許証やパスポートなど顔写真付きの証明書、あるいは健康保険証など本人と分かるもの
印鑑登録証明書実印を登録した書類。市町村役場などで入手
実印金銭消費貸借契約書などに押印する
収入印紙金銭消費貸借契約書に貼り付けて押印する
銀行口座の通帳住宅ローン返済用口座

金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙は印紙税を納めるために必要です。印紙代は契約書に記載している金額により異なりますが、例えば1,000万円超5,000万円以下なら1通につき2万円、5,000万円超1億円以下なら1通6万円です。電子契約では不要になります。

参照元:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

電子契約の場合

最近では、物理的な書類を用いずに電子契約を活用する金融機関も増えています。スマートフォンやパソコンを使うことで金融機関に出向くことなく、時間や場所を選ばずに金銭消費貸借契約を結べるのが大きなメリットです。印紙代が不要な上、手書きによる署名や押印の必要もありません。

電子契約を利用する際は、金融機関側から通知を受けたパスコードを使って電子契約書を確認し、内容に同意する流れになります。書類による契約と同じように、本人確認書類や印鑑登録証明書が必要になりますが、電子契約ではオンラインでアップロードする形が一般的です。

登記に必要な書類

住宅ローンを契約すると融資が実行され、物件の所有権が移ります。新築・購入した住宅の所有権に関する登記を法務局で行う際には、主に以下の書類が必要になります。

登記に必要な主な書類

必要書類説明
登記申請書登記を法務局に申請するための書類
本人確認書類運転免許証やパスポートなど顔写真付きの証明書など本人と分かるもの
印鑑登録証明書実印を登録した書類。市町村役場などで入手
実印金銭消費貸借契約書などに押印する印鑑
司法書士への委任状司法書士に登記を代行してもらう場合
住民票の写し市町村役場などで入手

住宅を新築した場合には、上記のほか、登録免許税の軽減に必要で市町村から発行してもらう住宅用家屋証明書も必要です。

また、金融機関が自宅に設定した抵当権を登記する際には、上記の表の内容に加え、「抵当権設定契約書」と「権利証」が必要になります。抵当権設定契約書は金融機関と交わした契約書、権利証は物件の所有権に関する登記が完了したことを示す登記済証または登記識別情報通知を指します。

住宅ローンの契約から融資実行までの流れ 

住宅ローンの契約から融資実行までの流れ 

ここからは、住宅ローンの契約から融資実行までの流れを紹介します。金融機関選びから申し込み、事前審査、本審査、金銭消費貸借契約の締結、融資実行の5段階について解説します。

金融機関選びから申し込み

住宅ローン契約を結ぶ第一歩は、金融機関を選ぶことから始まります。金利や返済プランのほか、繰り上げ返済時の手数料など、サービスや利便性を比較検討し、自分にとって最適な金融機関を選びましょう。

一般的な銀行ではローン専門の相談窓口が設けられています。今の収入や資産状況でいくらまで借りられるのか、どのような返済プランがあるのかなどさまざまな質問が可能です。相談して納得したうえで申し込んでください。

相談に行く際には、源泉徴収票や確定申告書といった収入状況が分かる書類や、購入を検討している物件の概要が分かるパンフレットや図面などを持参するとスムーズです。

事前審査

物件の購入をスムーズに進めるのに役立つのが、住宅ローンの事前審査です。この段階では、借り入れを希望する方の経済状況や信用情報を元に、金融機関が融資可能な金額の目安を出してくれます。

不動産の売買契約前に事前審査を行っておくことで、予算を意識した物件選定が可能になります。結果は数日から1週間程度と比較的短期間で判明するのが一般的です。

本審査

物件の売買契約を結んだ後は、住宅ローンの本審査を受けることになります。本審査では、事前審査で得られた情報とともに、購入予定の不動産に関する詳細な情報も評価の対象となります。審査期間は金融機関によりますが、通常は1ヵ月程度が目安となるでしょう。

金銭消費貸借契約を締結

本審査を通過したら次は金銭消費貸借契約(金消契約)を結びます。金消契約は正式な住宅ローン契約であり、一般的には銀行に訪れて借入金額や金利、返済方法などについてあらためて説明を受け、署名、押印します。契約の際の服装について特に指定はありませんが、丁寧な服装を心がけると良いでしょう。

融資実行

金銭消費貸借契約を結んだ後に実際に融資を受けます。融資実行日は、売主や買主、不動産会社、登記手続きを依頼する司法書士などが集まり、資金のやり取りや契約手続きを行います。

これで住宅ローンの手続きは完了です。融資実行を受けて売買代金の残金の受け渡しをもって物件の引き渡しが完了するのが一般的です。

住宅ローンの契約でお困りの方は専門家へ相談を 

住宅ローンの契約でお困りの方は専門家へ相談を

住宅ローン契約を結ぶにあたっては、さまざまな検討項目があります。金利は変動を選ぶべきか固定を選ぶべきか、金利や手数料はどの金融機関がお得なのか、現在の収入に対する借入可能額はどのくらいなのかなど、個人の状況によって悩みはいろいろです。

住宅ローン契約でお困りの方は、住宅ローンや不動産の知識が深い専門家に相談することをおすすめします。

住宅ローンの相談窓口

ご自身に適した返済方法や金融機関を選ぶ際、相談窓口で助言を得ることも検討してみてはいかがでしょうか。クレディセゾンが提携している「iYell(いえーる)」の「住宅ローンの相談窓口」では、マイホームを購入する際の借り入れに関する相談を幅広く受け付けています。

iYellは、国内100社以上の金融機関と業務提携しています。各金融機関における審査基準の統合した情報を元に、年齢・職業などのそれぞれの事情に沿った住宅ローンのご提案が可能です。金利タイプや返済年数、団体信用生命保険など、さまざまな条件で商品を選べるうえ、相談は無料です。マイホーム購入を検討している方は、ぜひご検討ください。

住宅ローンの相談窓口はこちら

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おわりに 

住宅ローンに関する契約書の種類や確認ポイントなどを解説してきました。マイホームを購入する際は、物件選びだけでなく、住宅ローンをどの金融機関で申し込むのかも重要なポイントとなります。

返済が長期に及ぶだけに、金利や返済プランを慎重に検討することも重要です。それぞれの家計状況やライフプランに合った住宅ローンを選び、快適な暮らしを実現してください。

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