アパート経営をしている場合、建物の老朽化改修や入居者を増やす目的でリフォームを検討することがあります。気になるのは費用面ではないでしょうか。そこでこのコラムでは、アパートのリフォームについて主に費用面に注目し解説していきます。
一般的なリフォーム費用の目安や、リノベーションとの違い、リフォームのポイントなども併せてご紹介しますので、ぜひご確認ください。
この記事を読んでわかること
- アパートのリフォームは間取りの変更がない改修のこと(内装や外壁、トイレやキッチンの水回りなど)
- 複数のリフォーム会社に見積もりを依頼しアパート周辺環境や住人のニーズも踏まえたリフォームが望ましい
- リフォーム費用は補助金等が使えることがあるため事前に対象条件を調べておくと良い
アパートのリフォームとは?
リフォームとは、大きく間取りを変えない・住宅設備の配置は変えない住宅改修のことです。設備の老朽化などを理由として、新しく取り換えることもリフォームにあたります。
近年、似ている用語としてリノベーションというワードを耳にすることも増えました。ここからはリフォームとリノベーションの違いや、どちらを実施した方が良いのかについて解説していきます。
- リノベーションとの違いは?
- リフォームとリノベーションはどちらがおすすめ?
1.リノベーションとの違いは?
リノベーションとは、間取りの変更も含め室内空間をガラッと変えることです。リノベーションすることで物件に付加価値がつき、結果としてグレードアップできます。一方、リフォームは元の物件の原状回復を目的とした工事で、グレードアップとまではいえません。
2.リフォームとリノベーションはどちらがおすすめ?
壁紙の貼り替え、キッチンや浴室設備、トイレの交換、外壁の塗り替えなど家の一部のみを対象として行う場合はリフォームが良いでしょう。工期も短く、リノベーションよりも費用がかからないのが特徴です。
一方、リノベーションは物件の基礎部分を残して間取りを変更するような大掛かりな工事となる場合です。基礎以外の居室間全ての壁を取り払い、新たな間取りとすることをフルリノベーションと呼びます。
賃貸アパートのリフォームにかかる費用相場
ここからは、賃貸アパートのリフォームにかかる費用相場について解説しましょう。実際の費用相場は、アパートの規模やリフォーム内容、大家の希望により変動するので明確な相場感はありません。具体的な費用が知りたい場合には、見積もりを出してもらうと良いでしょう。
- 内装をリフォームした場合
- キッチンをリフォームした場合
- 外壁をリフォームした場合
- トイレをリフォームした場合
- お風呂や洗面台をリフォームした場合
- アパートを一棟リノベーションした場合の費用相場
1. 内装をリフォームした場合
内装のリフォームの費用目安は、工事をする広さや使用する資材等によって費用は大きく変わります。以下、一般的な目安としてご参照ください。
リフォーム内容 | 費用目安 |
壁紙張り替え(1平方メートルあたり | 1,000~1,500円 |
和室を洋室に変更(6~8畳あたり) | 50万~200万円 |
畳をフローリングに変更(6~8畳あたり) | 15万~60万円 |
室内のドア交換 | 4万~10万円 |
間取りを変更(約33平方メートル) | 80万〜160万円 |
天井リフォーム | 3万〜15万円 |
一畳あたりフローリングの張り替え | 2万〜6万円 |
2.キッチンをリフォームした場合
アパートで一般的に用いられているキッチンとして、システムキッチンやミニキッチンがあります。これらの場合の交換費用の目安は次のとおりです。
リフォーム内容 | 費用目安 |
システムキッチンの交換 | 40万〜80万円 |
ミニキッチンの交換 | 10万~30万円 |
3.外壁をリフォームした場合
外壁のリフォームに使用する材料や、外壁の面積によって費用には差があります。一般的なアパートリフォームの費用目安は次のとおりです。
リフォーム内容 | 費用目安 |
外壁塗装 | 120万〜300万円 |
ベランダの防水塗装(1平方メートルあたり) | 2,750〜7,000円 |
4.トイレをリフォームした場合
トイレのリフォームは、入居者を募集する観点からも有効なリフォームです。近年、和式トイレよりも洋式トイレが普及していることから、多少費用がかかっても洋式トイレへの変更を検討する大家も増えています。費用の目安は次のとおりです。
リフォーム内容 | 費用目安 |
トイレの交換 | 15万~50万円 |
和式トイレから洋式トイレへ変更 | 4万~50万円 |
5.お風呂や洗面台をリフォームした場合
浴室のリフォームは、浴室全体(ユニットバス)のリフォームか、浴槽(バスタブ)を交換するか等、工事内容によって費用が大きく異なります。お風呂や洗面台のリフォーム費用の目安は、次のとおりです。
リフォーム内容 | 費用目安 |
ユニットバスの交換 | 50万〜100万円 |
浴槽交換 | 10万〜50万円 |
バランス釜の交換 | 20万〜25万円 |
3点ユニットバスの交換 | 50万~100万円 |
洗面台の交換 | 10万〜20万円 |
6.アパートを一棟リノベーションした場合の費用相場
アパート一棟をリノベーションした場合、工事範囲と費用の目安を以下にまとめてご紹介します。
リノベーションを実施する場所 | 費用目安 |
一部間取りの変更と設備の新設 | 250万~300万円 |
間取り変更と内装材変更、設備の新設 | 400万~500万円 |
内部の全体的な間取り変更、内装、設備の新設 | 700万~1,000万円 |
古いアパートのリフォームを成功させるポイント
古いアパートのリフォームを成功させるポイントについて解説していきます。
- 住人や環境などのニーズに合わせたリフォームをする
- リフォームにかかる費用がいつ回収できるか計算する
- 複数のリフォーム会社に見積もりを出してもらう
- リフォームの目的や範囲をはっきり決める
- リフォーム後に家賃をアップし過ぎない
1.住人や環境などのニーズに合わせたリフォームをする
古いアパートの場合、必要に応じて設備の更新だけでなく、環境や地域性などのニーズをとらえてリフォームすることが大切です。
アパートが所在する周辺エリアのニーズもしっかりと調査し、場合によってはターゲット(入居者)設定の変更が必要になることも考え、柔軟に対応していきましょう。
2.リフォームにかかる費用がいつ回収できるか計算する
アパートリフォームにかかる費用は、アパート入居者から支払われる賃料からまかないます。あまりにも高額なリフォーム費用になる場合は、家賃からまかなえず、回収までに何年もかかることがあるため、リフォーム工事費用と家賃収入から「何年後に費用が回収できるのか」という目安となる期間を事前に把握しておきましょう。
なお、計算式は【回収期間 = 工事費 ÷ 年間家賃収入】です。例えば、工事費が1,000万円で、年間家賃収入が600万円である場合、回収期間は約1.7年となります。一方、工事費が2,000万円の場合には、約3.3年かかることになります。
ただし、家賃の全額をリフォーム費用に充当できるわけではない点に注意が必要です。実際には支払うべき税金などもあるため回収できる金額は減ること、さらに、入居者が減ると家賃収入が減るため、回収できる金額は減ることも注意しましょう。
リフォーム費用が足りないと感じた場合には、リフォームローンや不動産担保のフリーローンを利用する方法もあります。
「セゾンのリフォームローン」は、保証人不要で最大500万円まで借りることができます。来店不要でWEBから24時間365日申し込みができ、返済期間も最大25年までご利用いただけます。
自宅以外の不動産を担保に借りられるのが、「セゾンの不動産フリーローン」です。
セゾンの不動産フリーローンは“極度型”のローンであるため、初回のご契約(限度額設定)後は、WEB(または電話)での申し込みで、借り入れが可能です。資金使途が自由で、借入限度額が2,000万円以上10億円未満なので、古民家のリノベーションだけでなく、事業性資金としてや投資資金としてもご利用いただけます。
3.複数のリフォーム会社に見積もりを出してもらう
複数のリフォーム会社に見積もりを出してもらい、見積もり内容を比較検討しましょう。前述のように、回収率や回収期間が良いリフォームを優先して実施できます。
4.リフォームの目的や範囲をはっきり決める
リフォームの目的や範囲は明確にしておきましょう。これらについて明確に決めておかなかった場合、費用だけかかり、希望したリフォームにならないこともあります。
突発的なアイデアでリフォームを進めるのではなく、入念に検討し長期的な計画が大事です。
5.リフォーム後に家賃をアップし過ぎない
古いアパートでも、リフォーム後のデザインや設備などをセールスポイントとして家賃を上げる傾向にあります。しかし、リフォームに費用がかかったからといって家賃を上げ過ぎると、入居者がいなくなってしまうので注意が必要です。
家賃設定は、アパートの周辺環境や近隣住民から、どのような世帯が入居するのか想定し、妥当な範囲で設定しましょう。
アパートのリフォーム費用を抑える方法
アパートのリフォーム費用を抑えるためには、次の2点を意識します。
- 補助金制度を利用する
- リフォーム方法を工夫する
1.補助金制度を利用する
自治体によっては、リフォームを対象とした補助金制度を設けている場合があります。居住用物件を対象にしたリフォーム補助金制度が多いですが、アパートなど賃貸物件も対象にしている場合があるため、事前に自治体窓口へ確認しましょう。
また、要件を満たせば減税措置の対象となることがあります。省エネやバリアフリー、耐震などのリノベーションの場合、所得税や固定資産税が減税対象です。
2.リフォーム方法を工夫する
アパートのリフォームでは、工事に使う素材や工事方法を工夫すると費用を抑えることができます。
例えばバランス釜からユニットバスへの変更や、和式トイレを洋式トイレに変更することで入居率がアップすることが想定されますが、多少費用がかかっても家賃収入に直結することが想定される場合には初期投資としてまとまった費用をかけても良いかもしれません。
おわりに
アパートのリフォームには、数万円で済むものから大掛かりなものまでさまざまです。しかし、リフォームすることで入居率アップにつながり、年間家賃収入が増えることが期待できるのであれば、まとまった費用をかけて大規模なリフォームを検討することも良いでしょう。
適用される補助金制度や減税についてももれなく活用し、長期的な視点でリフォームを進めることをおすすめします。