アパートを経営しているオーナーにとって、考えなければならないのがアパートの修繕に関する問題です。高額な費用が発生するため、資金繰りに悩まれる方もいると思います。資金が足りない場合に利用できるのが、アパートリフォームローンです。
今回は、アパートリフォームローンについて、どんな時に利用できるのか、種類、利用条件などについて紹介していきます。アパートリフォームローンについて基本的なことを知りたい方は、ぜひご一読ください。
この記事を読んでわかること
- アパートリフォームローンは賃貸物件のリフォームに利用できるローンのこと
- 外装、外壁、内装、屋根などの補修や塗装、防水対策、宅配ボックスの設置、太陽光設備などに利用できる
- アパートリフォームローンは、カード会社、銀行、日本政策金融公庫などで取り扱っている
- 返済計画を立てる時は、現実的な金額を用いたうえで、空室率や賃貸料下落率などを加味してシミュレーションするのが大事
アパートリフォームローンとは
アパートリフォームローンとは、賃貸物件のリフォームに利用できるローンのことをいいます。アパートリフォームローンは、どんな場合に利用できるのか、種類や利用条件などを確認しておきましょう。また、住宅のリフォームなどに利用する通常のリフォームローンとの違いについても紹介します。
アパートリフォームローンでできること
アパートリフォームローンは、賃貸物件に関する工事の際に利用できるローンです。主に以下のような場合に利用できます。
- 外装、外壁、屋根、屋上の補修・塗装・防水対策
- バルコニーや共有部(廊下・階段・軒天など)の防水対策、塗装、シートの張り替え
- 給排水管などの設備の取り換え
- 内装(入居者退去後の内装工事)
- 宅配ボックス等付帯設備
- 住宅設備機器などの購入
- 水回り設備の交換
- 耐震工事・免震工事
- 太陽光発電設備、高効率給湯器、オール電化システムなどの環境配慮型設備の工事
ただし金融機関により、戸建て物件やアパート併用の貸事務所、店舗などは適用外としているところもあります。
アパートリフォームローンの種類
アパートリフォームローンを取り扱う金融機関には、銀行やカード会社、消費者金融をはじめとする民間の金融機関などさまざまな種類があります。また、日本政策金融公庫や住宅金融支援機構などの公的な金融機関でも取り扱われています。
一般的に、公的な金融機関の方が金利は低めです。しかし、日本政策金融公庫や住宅金融支援機構は、返済期間が短かったり利用できる物件が子育て世帯向けに限定されていたりします。
銀行や信用金庫など民間の金融機関のアパートリフォームローンは、やや金利が高めで審査に時間がかかりますが、窓口で相談しやすく審査が通りやすいように提案してくれるなど柔軟性が高いのが特徴です。一方、カード会社など信販会社系のアパートリフォームローンは、銀行よりも審査に通りやすく、借入までにかかる時間が短い点がメリットです。
ただし、金利が提示されていないことが多く検討しにくい傾向があります。どのアパートリフォームローンにもメリット・デメリットがあるので、充分に検討して選択しましょう。
アパートリフォームローンの利用条件
アパートリフォームローンを利用できる条件は、対象となる賃貸住宅の所有権が本人または同居家族であることが挙げられますが、利用する金融機関などによって詳細が異なります。例えばある地方の信用金庫では、申し込み時の年齢が満20歳以上70歳未満であることや、賃貸業として3年以上経っていることなどが条件です。
また、利用する方の住所や勤務地が限定されるケースもあります。借入先を検討する際は、申し込み時の年齢、パート収入や年金収入のみでも利用できるのか、リフォーム請負会社は選択可能かどうかなど、利用条件もよく確認しておきましょう。
リフォームローンとの違い
アパートリフォームローンが通常のリフォームローンと異なる点は、審査の際に物件の利益性が加味されるかどうかという点です。自宅のリフォームなどに利用できるリフォームローンの場合、住居は必要不可欠なものであるため、さまざまな方が利用できるように返済期間は長めに、金利は低めに設定されています。
しかし、収益が見込まれる不動産投資用のアパートリフォームローンの場合は、返済期間はやや短く、金利水準も高めです。ただし、賃貸物件のリフォームに住宅用のリフォームローンは利用できません。アパートのリフォームをする場合は、アパートリフォームローンを検討してみましょう。
アパートリフォームローンの基本知識
アパートリフォームローンは、住宅用のリフォームローンと比較すると利用するのが大変そうなイメージがありますが、大きな資金が必要な場合にはやはり利用するのがおすすめです。それでは、アパートリフォームローンの具体的な金利や返済期間などを見てみましょう。
金利
アパートリフォームローンの金利は、利用用途が限られている分、一般的なフリーローンと比べるとやや金利が低めです。一般的に適用される金利は、2.5~5%程度。金利には固定金利と変動金利の2つありますが、アパートリフォームローンの多くは変動金利です。
担保と借入金額
アパートリフォームローンの担保は、有担保と無担保の2種類です。無担保の場合は、1,000万円程度まで借りられることが多い傾向です。億単位で借り入れる場合は担保が必要なだけでなく、連帯保証人を用意しないといけない場合も多くあります。
借入金額は金融機関によって異なり、200万~1,000万円で設定しているところや融資対象の工事費用の80%までなどさまざまです。借入単位にも1~100,000円など幅があるため、確認してみましょう。
返済期間
アパートリフォームローンの返済期間は、10~15年で設定されていることがほとんどです。アパートのリフォームに利用できるアパートローンでも返済期間は、10年程度のことが多いため、大きく変わりはありません。
ただし、団体信用生命保険への加入の有無や物件の築年数などにより返済期間が変わることもあります。無理のない返済ができるよう、事前に確認し計画を立てましょう。
審査基準は、金融機関など借入先によって異なります。審査基準となるのは、借入開始時の年齢や年収、他社からの借入状況の有無、担保や保証人の有無などです。
審査基準
ただし、担保や保証人をつけると借入限度額が上がったり、金利が低くなったりするケースも。審査基準だけで借入先を決めるのではなく、さまざまな条件を加味して検討するのが大事です。
手続き方法
アパートリフォームローンを利用する際の流れは以下のような手順になります。
- リフォーム請負会社に見積もりを取る
アパートリフォームローンを利用する時は、借入先を検討する前にまずリフォーム請負会社に見積もりを取るところから開始しましょう。リフォーム内容やかかる費用は、リフォーム請負会社により異なります。複数社に見積もり依頼して、納得できるところを選びましょう。
- ローンの仮申し込みを行う
仮申し込みは、窓口や郵送の他、金融機関によってはWEBサイトやFAXなどで行えるところもあります。仮審査のあと、本審査になり、2つの審査が通れば本申し込みに進めます。
- ローンの本申し込みを行う
本申し込みでは、リフォーム請負会社との最終見積書や工事請負契約書、資金の使用目的証明書、所得証明書などの必要書類を金融機関に提出します。本申し込みはほとんどの場合窓口で行いますが、郵送やオンラインで行える場合もあります。
- 融資の承認
承認にかかる時間は、金融機関や申請時期、担保の有無などにより異なります。融資の承認が得られたら、リフォーム請負会社に振り込みを行いましょう。
アパートリフォームローンは、事業性を審査するため時間がかかる傾向にあります。利用する際は、余裕を持って行いましょう。
アパートリフォームローンの活用例
アパートリフォームローンが、どのようなケースで利用されているのかも見てみましょう。
大規模なリフォームが必要な時
アパートリフォームローンは、大規模なリフォームが必要な場合におすすめです。
【Aさん(50代)年収1,000万円の会社員の場合】
- 親から受け継いだアパートを5年経営
- 建設当初から補修資金のために普通預金で貯金しており、700万円が手元にある
- 今回外観の向上や防水性の向上などのために1,000万円の費用が必要
- 修繕費の不足分である300万円を銀行のアパートリフォームローンに申し込んだ
- 会社員であるAさんはボーナスがあるため、ボーナス時にまとまった金額を返済することにした
アパートリフォームの場合、必要な資金が大きくなることが考えられますが、アパートリフォームローンを活用すれば、資金が不十分な場合でも適宜リフォームできます。今回のケースでは、あらかじめ修繕費として貯金があったので、不足分の300万円のみを借りることになりました。
不足分のみローンを利用することで、全額ローンで賄うよりも毎月の返済が抑えられ、無理なく利用できた事例です。
賃貸物件のバリューアップに
アパートリフォームローンは、賃貸物件の価値の向上にも利用できます。築年数が経過した賃貸物件は、利用者にとって魅力が低下し、集客が見込めず収益につながらなくなってしまうケースもあるのです。
今ある物件をもう一度魅力的なものにするために、間取りの変更や耐震性・防寒性の見直しなど、大幅な改修をする必要もあるでしょう。
「セゾンのリフォームローン」は、自宅のリフォームだけでなく賃貸物件のリフォームにも利用できます。最長返済期間25年と長期なので、無理のない返済が可能です。金利は1年毎に見直される変動金利で、リフォーム請負会社は自由に選択できます。リフォームローンを利用する際は、セゾンのリフォームローンを検討してみてください。
セゾンのリフォームローンについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
アパートリフォームローン利用時の注意点
最後にアパートリフォームローンを利用する際の注意点についても確認しておきましょう。
金融機関を比較する
アパートリフォームローンを選ぶ時は、いくつかの金融機関を比較して検討することが大切です。金融機関により、借入金額の上限や担保の有無、返済期間などに違いがあるので、リフォーム対象となる物件やご自身の収入などと照らし合わせて、条件に沿った金融機関を選びましょう。
また、ひとつの金融機関で審査をクリアできなかった場合でも、他の金融機関では通ることもあります。初めからひとつに絞らず、複数の金融機関を検討しておくと安心でしょう。
優遇条件を確認する
優遇条件とは、ローンの返済負担を左右するものです。例としては、過去にその金融機関を利用したことがあるかどうか、アパートの資産価値の程度などがあり、条件に合えば、提示されている金利より低い金利で借りられることがあります。
アパートリフォームローンを検討する時は、あらかじめ優遇条件についても確認しておきましょう。
返済計画を立てる
アパートリフォームローンを利用する際は、返済計画をしっかりと練ることも大事です。無理のない返済を立てるだけでなく、現実的な数値を用いてシミュレーションしましょう。またアパート経営では、空室リスクや家賃下落リスクも抱えています。
周辺物件を参考に空室率を考慮したり、設備の劣化に伴う家賃下落率を検討したりして、シミュレーションのなかにしっかり組み込んで計画を立てましょう。
おわりに
アパートのリフォームは、建物の劣化を防ぐためだけでなく、資産価値を高めるためにも行う方もいるでしょう。資金がなくて必要な時に行えないケースもあるかもしれませんが、アパートリフォームローンを活用すればリフォームできます。
ただし、アパート経営では空室や賃貸下落のリスクがあるため、返済計画を立てる際は具体的にシミュレーションしてから利用しましょう。そのうえで、ご自身に合った商品を探してみてください。