親族によって管理され、先祖代々受け継がれていくのが一般的であったお墓。しかし、供養や管理の方法は、時代に合わせて変化しつつあります。その中で増えてきているのが、墓じまいをして遺骨を永代供養墓に移す方法です。そこで今回は、墓じまい後に遺骨を永代供養墓に移すメリットや流れ、注意点などについて解説していきます。「お墓の管理に困っている」「お墓の跡継ぎがいない」という方は、ぜひご一読ください。
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墓じまい・永代供養とはどんなもの?
墓じまいや永代供養という言葉に関しては、「耳にしたことはあるけど実際には何を指すのか分からない」という方も多いと思います。墓じまいと永代供養がそれぞれどのようなものなのか、ご説明します。
墓じまいとは
墓じまいとは、その名前のとおり、お墓をしまうことを指します。お墓の解体を行い、区画を更地に戻すまでの流れを墓じまいといいます。しかし、ただお墓を解体するだけが、墓じまいではありません。お墓に納められている遺骨を別の場所に移して供養することが必要となります。
・継承者(跡継ぎ)のいないお墓はどうなる?
跡継ぎのいないお墓は、無縁墓とみなされます。その判断基準は、霊園や墓地によりさまざま。はっきりとした決まりはありませんが、多くの霊園や墓地が「3年以上の管理費の滞納があるお墓」を無縁墓としているようです。
霊園や墓地は、管理費の滞納が一定期間を超えると、お墓の縁故者に申し出るよう官報(国が発行している新聞のようなもの)や立札で通告を行います。その通告から1年以上が経過しても申し出がない場合は、管理者により遺骨が取り出され、墓石も撤去されてしまうのです。
取り出された遺骨は、自治体や民間企業が運営している無縁仏合祀墓(むえんぼとけごうしはか)に合祀されます。無縁仏合祀墓に合祀されてしまうと、遺骨は取り出すことができません。そうなってから後悔しないためにも、管理が難しくなってきたら墓じまいをするのがおすすめです。
・墓じまい後の供養方法は?
墓じまい後には遺骨の供養が必要です。遺骨の供養をする方法には、以下のようなものがあります。
● 手元供養
● 散骨
● 永代供養
手元で供養する場合は、骨壺を自宅に置く、アクセサリーとして身につけるなどの方法があります。散骨とは、粉末状にした遺骨を海や山に撒く供養方法です。このように、すべての遺骨が墓じまい後に永代供養されるわけではありません。墓じまい後の遺骨の受け入れ先のひとつとして、永代供養をしてくれるお墓があるということです。
永代供養とは
永代供養とは、遺骨を霊園やお寺に預けて、永代にわたって供養を任せることです。ただし、これは「永遠」ではなく、霊園やお寺が続く限り供養をお願いできるという意味になります。それでは、永代供養が選ばれる理由や、主な種類を見ていきましょう。
・永代供養が選ばれる理由は?
以前は亡くなったら先祖代々のお墓に入るという供養の方法が、一般的でした。しかし、ライフスタイルの変化により、「都会にいて田舎のお墓の管理が難しい」というようなケースも増えてきています。それが理由で無縁墓となってしまうのを防ぐために、永代供養が選ばれているのです。
永代供養のメリットは、お墓の管理を霊園やお寺に委託できること。お墓の清掃だけではなく、供養も行ってもらえます。また、永代供養のお墓の購入費用が、一般的なお墓を建てるのと比べて低価格であることもメリットといえるでしょう。
少子化や都市化が進む日本においては、将来にわたってお墓を受け継いでもらえる保証があるとはいえません。そのため、将来的なことを考えて自ら永代供養を選択する方も増えてきています。
・永代供養墓の種類は主に4つ
永代供養墓には主に4つの種類があります。
● 樹木葬
● 納骨堂
● 合祀墓
● 永代供養つきの一般墓
樹木葬とは、墓石ではなく、樹木や花壇などをシンボルとするお墓です。石ではなく植物をシンボルとすることから、費用を抑えられるのが特徴です。それに対して納骨堂とは、遺骨を納める建物のこと。納骨堂には、ロッカー式や仏壇式のほか、収納されている遺骨が機械で参拝スペースに運ばれてくる自動搬送式(マンション型)があります。合祀墓とは、血縁関係のない複数の遺骨を収めたお墓のことを指します。また、永代供養つきの一般墓は、後継者がいなくなった時や一定期間が経過した時に、永代供養に切り替わるのが特徴です。
お墓は、遺骨の安置方法により、集合墓(合祀墓)と個別墓という分け方もあります。例えば、同じ樹木葬でも、他の方の遺骨と一緒に納骨する集合墓と、それぞれ個別で納骨する個別墓があります。
墓じまい後の永代供養のメリット
墓じまい後に永代供養をする際のメリットを見ていきましょう。
大切な遺骨を永代にわたって供養してもらえる
メリットのひとつに、永代にわたって供養してもらえるということがあります。跡継ぎがいないお墓が無縁墓となってしまうのは、前述のとおりです。しかし、永代供養はお寺などで供養してくれるため、世代を超えた供養が可能となります。ご自身の死後に継承者がいないという場合でも、安心できます。
お墓を管理する負担がなくなる
お墓が遠方にあると、掃除などお墓の管理を続けるのが難しくなります。「都会で暮らしていて田舎の墓参りに行けない」というケースも増えています。お墓が近くにある場合でも、年を重ねて身体が不自由になってくると、お墓の管理を負担に感じることも増えるでしょう。お墓の管理を任せられる永代供養は、そのような負担をなくせる供養の方法です。
費用の負担が少なくなる
永代供養は、従来のお墓と比べて、経済的な負担が少ない傾向にあります。永代供養の費用は必要ですが、1度収めればメンテナンスや修繕費用などがあとからかかることはありません。また、年間費用も不要なため、総合すると費用の負担は少ないといえます。
墓じまいから永代供養墓に遺骨を移すまでの流れ
ここからは、墓じまいから永代供養墓に遺骨を移すまでの実際の流れをご紹介していきます。
墓じまいすることを関係者に伝える
墓じまいをする際は、親族やお墓の管理者への相談が必要です。親族への相談が必要な理由は、先祖代々のお墓であるためです。お墓は、親族や故人の知人にとって大切な場所ですが、特に親族にとっては重要な意味を持ちます。そのため、ご自身が墓じまいをしたいと思っていても、親族の中には「墓じまいをせずに受け継ぎたい」と考えている方がいるかもしれません。その確認のためにも、親族への相談が大切なのです。
また、お墓の管理者に墓じまいしたいと伝えることも必要になります。その理由は、墓じまいすることが離檀(檀家を離れること)につながるからです。お寺などにとって、檀家からのお布施は大切な収入源のひとつ。檀家が離檀するとお布施が入ってこなくなることから、墓じまいはお寺側にとって喜んで受け入れられるものではないことを念頭に置いて伝えましょう。そのため、後述しますが伝え方には注意が必要です。
永代供養先を決める
関係者に墓じまいすることを伝えたら、次は遺骨の永代供養先を決めます。永代供養を、そのまま菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)にお願いする場合には、住職に相談する必要があります。別の永代供養先に移したい場合は、永代供養をしてくれるお寺をインターネットなどで探しましょう。最近では、宗派を問わず永代供養の受け入れを行っているお寺が多くあります。お墓が遠方にあってお墓参りに行けないという場合は、交通アクセスの良い霊園やお寺を探すと良いでしょう。
改葬許可を受ける
墓じまいをして遺骨を移すためには、今ある墓地の管轄の役所が発行する改葬(かいそう)許可が必要です。改葬とは、簡単にいうとお墓のお引っ越しのこと。墓じまいは「墓地、埋葬等の関する法律」に基づいた行為に当たるため、法律に従う必要があります。
改葬許可に必要な書類は以下の3つです。
● 受入証明書
● 改葬許可申請書
● 埋葬証明書
受入証明書は新しい永代供養先から発行してもらう書類、改葬許可申請書はもともとお墓がある市区町村の役所でもらえる書類です。正式に改葬を承諾してもらったときに、現在のお墓の管理者に発行してもらうのが、埋葬証明書。これには、管理者の署名・捺印が入ります。
書類をそろえて現在お墓がある市町村区の役所に提出すると、改葬許可書が発行されます。この書類は、永代供養先のお寺の管理者に提出する必要があるため、大切に保管しましょう。改葬証明書の発行には時間がかかるため、余裕を持って準備することが重要です。
石材店を決める
お墓の解体工事を依頼する石材店も、ご自身で決める必要があります。ただし、寺院墓地や民営霊園の場合は、指定の石材店があることも。解体工事では、墓石を解体するだけにとどまらず、土台となる巻石や外柵材なども取り除く必要があります。すべてを取り除いたあとは整地を行い、利用していた区画を管理者に返還します。費用を安く抑えたい方は、複数社で見積もりを取るのがおすすめです。指定の石材店があるかどうかは、現在のお墓の管理者に聞いてみてください。
お墓を解体して遺骨を永代供養墓に移す
書類がそろって石材店が決まったら、お墓を解体して遺骨を永代供養墓に移します。お墓の解体工事の前には、閉眼供養を行うのが一般的です。閉眼供養とは、お墓に宿った故人の魂を抜き取る儀式のこと。宗派によっては、抜魂式、脱魂式などとも呼ばれています。閉眼供養の際は、菩提寺の僧侶に読経してもらい、法要を行います。
閉眼供養が終われば、次はお墓の解体工事です。そして、遺骨を移転先に納骨すれば、墓じまいが完了します。解体工事の際だけでなく、移転先のお墓に納骨する際にも改葬許可書が必要となるため気をつけましょう。
先祖代々のお墓を永代供養墓に移す際に起きやすいトラブルと注意点
墓じまいをして永代供養墓に遺骨を移すときは、できるだけトラブルを避けたいですよね。起こりやすいトラブルと注意点を見ていきましょう。
親族間で起きやすいトラブル
墓じまいの際に考えられる親族間のトラブルのひとつは、「本家のお墓をどこにやったのか」「長男なのにお墓の管理をしない」など、墓じまい後に親族からクレームをつけられるケース。また、「墓じまいするくらいならお墓を継承したかった」という意見もあるかもしれません。このようなことがないようにするためには、事前にしっかりと相談して了承を得ておくことが重要です。
また、費用面のトラブルにも注意しましょう。墓じまいの費用は、誰が負担するのかという明確な決まりはありませんが、現在のお墓の持ち主が負担するのが一般的となっています。ご自身で負担する場合は、費用面のトラブルはそれほど心配ないかもしれませんが、親族で負担する場合には誰がどれだけ負担するのか話し合っておきましょう。
お寺との間で起きやすいトラブル
お寺にとって墓じまいは、お布施による収入が減ってしまうことを意味します。そのため、墓じまいすることを突然伝えると、強硬な態度を取られて高額な離檀料を請求されるケースも。このような困った事態に発展してしまうのを避けるためには、お寺にしっかりと事情を説明して許可を得ることが重要です。何の相談もなしに突然「墓じまいします」「離檀します」と伝えたり、離檀料を包んで押しかけたりすると、気を悪くしたお寺との間でトラブルが起きやすくなります。このように決定事項を伝えるのではなく、「お墓を管理できる親族がいなくて困っている」など、相談という形で話を持っていくと良いでしょう。
石材店との間で起きやすいトラブル
予想以上に高額の費用を請求されるなど、石材店との間でトラブルが起こることもあります。特にご自身で石材店の指定ができないときは、複数社の見積もりから比較できないため、高くなる傾向があります。石材店が指定されている場合も、どれくらいの費用がかかるのかを確認しておきましょう。あまりに高額である場合には、相場を把握した上で交渉することも必要になります。
一方で、費用が安すぎる場合も注意が必要です。基礎や納骨室を解体することなく埋めてしまう、墓石を不法投棄してしまうなどのトラブルもあるため、石材店選びは慎重に行いましょう。
墓じまいと永代供養にかかる費用
墓じまいと永代供養の費用は、いくらくらいなのでしょうか。ここでは、それぞれの費用の相場をご紹介します。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用は、総額50万〜100万円程度。内訳は以下のとおりです。
書類にかかる費用 | 3,000円程度 |
遺骨を取り出す費用 | 40,000~50,000円程度 |
閉眼供養の費用 | 10,000~50,000円程度 |
遺骨を移す費用 | 20,000~30,000円程度 |
納骨法要の費用 | 10,000~50,000円程度 |
離檀の費用 | 30,000~150,000円程度 |
お墓の解体工事費用 | (1平方メートル当たり)100,000円程度 |
このように、墓じまいのみの費用をあげただけでも、高額になることが分かります。お墓のサイズが大きい場合には、100万円を超えることもあるでしょう。
「払えない」「負担が大きい」という場合に、活用したいのが補助金です。自治体によっては、無縁墓をなくす目的で、墓じまいの補助金を出しているところもあります。お墓がある自治体の補助が受けられるかどうかを知りたい方は、ホームページで調べてみましょう。
参照元:ハカシル
永代供養にかかる費用
永代供養の費用は、選ぶ永代供養の種類により異なります。かかる費用は、個別墓の場合は400,000円程度、集合墓(合祀墓)の場合は100,000円〜200,000円程度です。ただし、これはあくまでも目安です。実際の費用は、永代供養の依頼先に確認してみましょう。
参照元:エータイ
おわりに
現在お墓の管理ができていても、将来的には難しくなることもあるでしょう。しかし、墓じまいして永代供養に切り替えれば、遺骨の管理を行ってもらえて、費用も総合的に安くなります。とはいえ、永代供養の費用を1度にまとめて払うのは大きな出費であることに違いはありません。急な出費の備えにおすすめなのが、セゾンファンデックスの「かんたん安心ローン」です。さまざまな場面で活用できますので、ぜひご利用ください。