これまで、親族でお墓を管理して、先祖代々受け継がれていくのが一般的でした。しかし、供養や管理の方法は、時代に合わせて変化しつつあります。近年、増えているのが、墓じまいをして遺骨を永代供養墓に移す方法です。そこで今回は、墓じまい後に遺骨を永代供養墓に移すメリットや流れ、注意点などを解説します。「お墓の管理に困っている」「お墓の跡継ぎがいない」という方は、ぜひご一読ください。
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墓じまい・永代供養の違い
![墓じまい・永代供養とはどんなもの?](https://life.saisoncard.co.jp/wp-content/uploads/2022/07/c735_469654250-1024x785.jpeg)
墓じまいや永代供養という言葉は、耳にしたことはあるけど、実際には何を指すのか分からない方も多いと思います。墓じまいと永代供養がそれぞれどのようなものなのかご説明します。
墓じまいとは
墓じまいとは、お墓の解体を行い、区画を更地に戻すことです。しかし、墓じまいによりお墓を解体するだけでなく、納められている遺骨を別の場所に移して供養する必要があります。
継承者(跡継ぎ)のいないお墓はどうなる?
跡継ぎのいないお墓は、無縁墓とみなされます。判断基準は、霊園や墓地によりさまざまで、はっきりとした決まりはありません。しかし、多くの霊園や墓地が「3年以上の管理費の滞納があるお墓」を無縁墓としているようです。
霊園や墓地は、管理費の滞納が一定期間を超えると、お墓の縁故者に申し出るよう官報(国が発行している新聞のようなもの)や立札で通告を行います。その通告から1年以上が経過しても申し出がない場合は、管理者により遺骨が取り出され、墓石も撤去されてしまうのです。
取り出された遺骨は、自治体や民間企業が運営している無縁仏合祀墓(むえんぼとけごうしはか)に合祀されます。無縁仏合祀墓に合祀されてしまうと、遺骨は取り出すことができません。そうなってから後悔しないためにも、管理が難しくなってきたら墓じまいをするのがおすすめです。
墓じまい後の供養方法は?
墓じまい後には遺骨の供養が必要です。遺骨を供養するには、以下のような方法があります。
- 手元供養
- 散骨
- 永代供養
手元で供養する場合は、骨壺を自宅に置く、アクセサリーとして身につけるなどの方法があります。散骨は、粉末状にした遺骨を海や山に撒く供養方法です。このように、すべての遺骨が墓じまい後に永代供養されるわけではありません。墓じまい後の遺骨の受け入れ先のひとつとして、永代供養をしてくれるお墓があるということです。
永代供養とは
永代供養とは、遺骨を霊園やお寺に預けて、永代にわたって供養を任せることです。ただし、これは「永遠」ではなく、霊園やお寺が続く限り供養をお願いできるという意味になります。それでは、永代供養が選ばれる理由や、主な種類を見ていきましょう。
永代供養が選ばれる理由は?
以前は亡くなったら先祖代々のお墓に入るという供養の方法が、一般的でした。しかし、ライフスタイルの変化により、「都会にいて田舎のお墓の管理が難しい」ケースも増えてきているため、無縁墓になることを避ける目的で永代供養を選ぶ方もいます。
永代供養のメリットは、お墓の清掃や供養などの管理を霊園やお寺に委託できる点です。また、永代供養でお墓を建てる場合、一般的なお墓を建てるよりも費用を抑えられます。
そのため、将来のことを考えて自ら永代供養を選択する方も増えてきています。
永代供養墓の種類は主に4つ
永代供養墓には主に4つの種類があります。
- 樹木葬
- 納骨堂
- 合祀墓
- 永代供養つきの一般墓
樹木葬とは、墓石ではなく、樹木や花壇などをシンボルとするお墓です。石ではなく植物をシンボルとするため、費用を抑えられるのが特徴です。次に納骨堂とは、遺骨を納める建物を指します。納骨堂には、ロッカー式や仏壇式のほか、収納されている遺骨が機械で参拝スペースに運ばれてくる自動搬送式(マンション型)があります。合祀墓とは、血縁関係のない複数の遺骨を収めたお墓のことです。そして永代供養つきの一般墓は、後継者がいなくなった時や一定期間が経過した時に、永代供養に切り替わるお墓です。
さらに、お墓は遺骨の安置方法により、集合墓(合祀墓)と個別墓という分け方もできます。例えば、同じ樹木葬でも、他の方の遺骨と一緒に納骨する集合墓と、それぞれ個別で納骨する個別墓があります。
墓じまい後の永代供養のメリット
![墓じまい後の永代供養のメリット](https://life.saisoncard.co.jp/wp-content/uploads/2022/07/c735_321168200-1024x851.jpeg)
墓じまい後に永代供養をするメリットを見ていきましょう。
大切な遺骨を永代にわたって供養してもらえる
永代供養をすると遺骨を半永久に供養してもらうことが可能です。自分が亡くなった後、後継者がいない場合でもお寺で供養してもらえるので、安心して任せられるでしょう。
お墓を管理する負担がなくなる
都会で暮らしていてお墓が田舎にあるような場合、自分と親戚だけでお墓の管理を続けることは簡単ではありません。「加えて、お墓が近くにある場合でも、高齢になってくると、管理が負担に感じるケースも増えるでしょう。永代供養であれば、お墓の管理を任せられるので、負担を軽減できます。
費用の負担が少なくなる
永代供養は、従来のお墓と比べて、経済的な負担が少ない傾向にあります。永代供養の費用を一度支払えば、メンテナンスや修繕費用などが追加でかかることはありません。年間費用も不要なため、費用の負担を抑えたい方におすすめの方法です。
墓じまい後に永代供養をするデメリット
墓じまい後に永代供養を選ぶと、お墓の管理が楽になり、費用の負担も少なくなります。しかし、いくつかデメリットもあるので注意が必要です。
合祀にした後は遺骨を取り出せない
合祀(ごうし)にすると、遺骨を取り出せなくなります。
その理由は、他の方の遺骨と一緒になり、個々の遺骨を識別することが困難になるからです。後から個別のお墓を建てたいと思っても、どの遺骨がご遺族のものか判断できないため、返却は難しいでしょう。
また、親族の中には合祀することに反対する方がいるかもしれません。合祀から別の供養方法に変更することはできませんので、親族と十分に話し合うことが大切です。
安置できる期間に制限がある
永代供養では、遺骨を個別に安置できる期間に制限があることが多く、期間を過ぎると遺骨は合祀されます。
安置期間は霊園・寺院によって異なりますが、三回忌や七回忌、三十三回忌、五十回忌など、施設ごとにタイミングが決められています。
個別に安置できる期間が短すぎる場合、遠方の家族や高齢の方が供養する機会が限られてしまうかもしれません。契約前に安置期間を確認し、家族の状況を考慮して選択することが重要です。
個別のお墓とはお参りの方法が異なる
永代供養では、他の方の遺骨と一緒に埋葬されるため、個別のお墓とはお参りの方法が異なります。
多くの霊園や寺院では、お供え物やお参りの仕方に関する規定が設けられており、火気厳禁でお線香を上げられない場合や、お供え物ができない場合もあるので注意しましょう。
どのようなお墓参りが可能なのか、その他制限について永代供養を決める前に確認することが大切です。
永代供養墓に遺骨を移すまでの流れ
![墓じまいから永代供養墓に遺骨を移すまでの流れ](https://life.saisoncard.co.jp/wp-content/uploads/2022/07/c735_399428823-1024x682.jpeg)
ここからは、墓じまいの後、永代供養墓に遺骨を移すまでの実際の流れをご紹介していきます。
墓じまいすることを関係者に伝える
墓じまいをする際は、親族やお墓の管理者への相談が必要です。親族への相談が必要な理由は、先祖代々のお墓であるためです。お墓は、親族や故人の知人にとっても大切な場所ですが、特に親族にとっては重要な意味を持ちます。ご自身が墓じまいをしたいと思っていても、親族の中には「墓じまいをせずに受け継ぎたい」と考えている方がいた場合、後々のトラブルの原因になりかねません。
また、お墓の管理者に墓じまいしたいと伝えることも必要です。その理由は、墓じまいすることが離檀(檀家を離れること)につながるからです。お寺にとっては、檀家が離檀するとお布施が入ってこなくなるので簡単に受け入れてもらえない可能性があります。離檀する際の伝え方には注意が必要です。
永代供養先を決める
関係者に墓じまいする意思を伝えたら、次は遺骨の永代供養先を決めます。永代供養を、そのまま菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)にお願いする場合には、住職に相談します。別の永代供養先に移したい場合は、永代供養をしてくれるお寺をインターネットなどで探しましょう。最近では、宗派を問わず永代供養の受け入れを行っているお寺も多くあります。樹木葬、納骨堂など永代供養墓の種類や費用、交通アクセスの良さなどを比較し、霊園やお寺を探すと良いでしょう。
改葬許可を受ける
墓じまいをして遺骨を移すためには、今ある墓地の管轄の役所が発行する改葬(かいそう)許可が必要です。墓じまいは「墓地、埋葬等に関する法律」に基づいた行為に当たります。
改葬許可に必要な書類は以下の3つです。
以下の説明は表にして解説します。
受入証明書 | 新しい永代供養先から発行してもらう書類 |
改葬許可申請書 | 元々お墓がある市区町村の役所で入手し、必要事項を記載し提出する書類 |
埋葬証明書 | 元々お墓がある墓地の管理者に発行してもらう書類 |
書類をそろえて現在お墓がある市町村区の役所に提出すると、改葬許可書が発行されます。この書類は、永代供養先のお寺の管理者に提出するため、大切に保管しましょう。改葬証明書の発行には時間がかかるため、余裕を持って準備することが重要です。
石材店を決める
お墓の解体工事を依頼する石材店も、ご自身で決める必要があります。ただし、寺院墓地や民営霊園が指定する石材店しか利用できないケースもあります。解体工事では、墓石を解体するだけにとどまらず、土台となる巻石や外柵材なども取り除かなければなりません。すべてを取り除いたあとは整地を行い、利用していた区画を管理者に返還します。費用を安く抑えたい方は、複数社で見積もりを取るのがおすすめです。指定の石材店があるかどうかは、現在のお墓の管理者に確認してください。
お墓を解体して遺骨を永代供養墓に移す
書類がそろって石材店が決まったら、お墓を解体して遺骨を永代供養墓に移します。お墓の解体工事の前には、閉眼供養を行うのが一般的です。閉眼供養とは、お墓に宿った故人の魂を抜き取る儀式のことです。閉眼供養の際は、菩提寺の僧侶に読経してもらい、法要を行います。
閉眼供養が終わったらお墓の解体工事を行い、後、遺骨を移転先に納骨すれば、墓じまいが完了します。
先祖代々のお墓を永代供養墓に移す際に起きやすいトラブルと注意点
![先祖代々のお墓を永代供養墓に移す際に起きやすいトラブルと注意点](https://life.saisoncard.co.jp/wp-content/uploads/2022/07/c735_298410003-1024x682.jpeg)
墓じまいをして永代供養墓に遺骨を移すときは、できるだけトラブルを避けたいのではないでしょうか?遺骨を移す際に起こりやすいトラブルと注意点を見ていきましょう。
親族間で起きやすいトラブル
墓じまいの際に考えられる親族間のトラブルとして、「本家のお墓をどこに移動したのか」「長男なのにお墓の管理をしない」など、墓じまい後に親族からのクレームを受けるケースがあります。また、「墓じまいするくらいならお墓を継承したかった」という意見もあるかもしれません。このようなトラブルを防ぐためには、事前に親族に相談して了承を得ておくことが重要です。
さらに、費用面のトラブルにも注意しましょう。墓じまいの費用は、誰が負担するのか明確な決まりはありませんが、現在のお墓の持ち主が払うのが一般的です。親族で負担する場合は、誰がいくら払うのか話し合っておきましょう。
お寺との間で起きやすいトラブル
お寺に墓じまいすることを突然伝えると、強硬な態度を取られて高額な離檀料を請求されるケースもあるので注意が必要です。何の相談もなしに突然「墓じまいします」「離檀します」と伝えたり、離檀料を包んで押しかけたりすると、お寺とトラブルになる可能性があります。事前にお寺に「お墓を管理できる親族がいなくて困っている」といったような相談をした上で、事情を説明すれば許可をもらえる可能性が高くなるでしょう。
石材店との間で起きやすいトラブル
石材店とのトラブルとして、予想以上に高額の費用を請求されるケースがあります。特に自分で石材店の指定ができない場合は複数社の見積もりを比較できないため、費用が高くなる傾向があります。石材店が指定されている場合は、事前に費用がいくらかかるのか確認しておきましょう。費用が高いと感じた場合は、相場を把握した上で交渉してみてはいかがでしょうか。
また、費用が安すぎる場合、基礎や納骨室を解体することなく埋めたり墓石を不法投棄していたりするなどのトラブルもあるので注意が必要です。事前によく調べた上で石材店選びを行いましょう。
墓じまいと永代供養にかかる費用
![墓じまいと永代供養にかかる費用](https://life.saisoncard.co.jp/wp-content/uploads/2022/07/c735_182500533-1024x682.jpeg)
墓じまいと永代供養の費用は、いくらくらいなのでしょうか。ここでは、それぞれの費用の相場をご紹介します。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用は、総額300,000円〜100万円程度。内訳は以下のとおりです。
書類にかかる費用 | 3,000円程度 |
遺骨を取り出す費用 | 40,000~50,000円程度 |
閉眼供養の費用 | 10,000~50,000円程度 |
遺骨を移す費用 | 20,000~30,000円程度 |
納骨法要の費用 | 10,000~50,000円程度 |
離檀の費用 | 30,000~150,000円程度 |
お墓の解体工事費用 | (1平方メートル当たり)100,000円程度 |
このように、墓じまいのみの費用だけでも、高額になることが分かります。お墓のサイズが大きい場合には、200万円を超える場合もあるでしょう。
墓じまいの費用の負担が大きい場合は、補助金を活用しましょう。自治体によっては、無縁墓をなくす目的で、墓じまいの補助金を出しているところもあります。現在、継続的に補助金を出しているのは千葉県市川市と群馬県太田市です(2024年12月現在)。お墓がある自治体の補助が受けられるかどうかを知りたい方は、各自治体のホームページで調べてみましょう。
永代供養にかかる費用
永代供養の費用は、選ぶ永代供養の種類により差があります。かかる費用は、個別墓の場合は50万~150万円程度、集合墓(合祀墓)の場合は5万〜30万円程度です。ただし、これはあくまでも目安です。実際の費用は、永代供養の依頼先に確認してみましょう。
おわりに
現在はお墓の管理ができていても、将来的には難しくなる可能性もあるでしょう。しかし、墓じまいをして永代供養に切り替えれば、遺骨の管理や供養を行ってもらえて、費用を抑えることが可能です。とはいえ、永代供養の費用を1度にまとめて払うことは簡単ではありません。
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