「今住んでいる家をもっと快適に」「老後のための安全対策をしたい」などの理由で、リフォームをする方が増えています。リフォームをする資金として、ローンを組んで借り入れする方法がその一つです。
この記事では、家のリフォームを考えている方に向けて、リフォームローンを組んだときの控除についてご説明します。知識を身につけておけば、減税などでリフォーム資金の一部が返ってくるなど、損をせずに済むかもしれません。ぜひ参考にしてください。
リフォームでも使える減税制度がある!
リフォームで使える減税制度は、住宅ローン(リフォームローン)の減税や固定資産税の減税などです。住宅ローン減税(控除)は、住宅を購入したときだけではなく、条件を満たしていればリフォームの際にも使える場合があります。
ちなみに、減税制度は「リフォームをしたから」「リフォームローンを組んだから」といって自動的に減税されるわけではないため注意が必要です。減税制度を利用するには、必ず決められた期間内に確定申告をする必要があることを覚えておきましょう。確定申告や減税の手続きの際は、税務署や自治体に必要書類を提出します。個人で用意する必要書類以外に、リフォーム会社が用意する書類や手続きもあるため、事前に調べてリフォーム会社にも減税制度を利用したいことを相談しておくようにしましょう。
※2022年度の税制改正に基づいて確認していきます。
リフォームで控除される税の種類
リフォームで減税制度を受けられる税の種類を確認しましょう。
所得税
所得税とは1月1日から12月31日までの所得に対して課せられる税金のこと。会社に勤めている方は給与から差し引かれているため「所得税をいくら払っているのか分からない」という方も多いでしょう。しかし、所得税の負担は意外と大きく、課税対象の年間所得の5%~最大45%が所得税の税額になります。「超過累進税率」といって一定額を超えた分の税率が少しずつ上がる制度が採用されているため、所得が多ければ多いほど、税額負担も大きくなるのです。
負担の大きい所得税に対する減税が受けられるのであれば、使わない手はありません。リフォームをする場合の所得税の減税制度は3種類あります。それぞれの内容を確認しましょう。
参照元:所得税の税率|国税庁
①住宅ローン減税
住宅購入時にローンを組むと、10年間所得税が減税される制度です。住宅購入時だけではなく、リフォーム資金として借り入れを行う場合にも適用できます。10年以上の住宅ローン、リフォームローンを組む場合に適用できる減税制度です。
2022年の改正で住宅ローン控除の適用期間は延長され、2025年末までに対象リフォームを行えば適用されることになりました。控除率は一律、ローン残高(年末時点)×0.7%で10年または13年間控除されます。リフォームの種類以外にも、工事金額や所得上限、床面積などの細かい条件もあるので前もって確認しましょう。
また、2021年までは5年以上10年未満のリフォームローンを組む場合に適用可能な減税制度である「ローン型リフォーム減税」がありましたが、こちらは税制改正によって廃止され、住宅ローン減税に一本化されました。
参照元:令和4年度税制改正の大綱|財務省
②投資型減税
投資型減税は住宅ローン減税とは違い、リフォームローン利用の有無関係なしに減税を受けられる制度です。また、数年にわたり減税される上記住宅ローン減税と異なり、一度きりの控除であることも覚えておきましょう。
優良住宅に対して所得税を減税する制度なので、リフォームによって認定住宅となった場合のみ対象となります。控除額は工事の種類によって異なり、それぞれ200,000〜250,000円。太陽光発電パネルの設置工事を同時に行った場合は、控除額がプラスされます。リフォーム工事と一緒に太陽光発電パネルの設置も検討してみても良いでしょう。
固定資産税
土地や建物など、固定資産の評価額で課税価格が決定する固定資産税。固定資産税の減税を受けるには工事完了後、3ヵ月以内に自治体に届けを出す必要があるため、期限には充分に注意しましょう。減税対象となる工事とそれぞれの減税割合は次のとおりです。
- 耐震工事…固定資産税額の1/2
- 省エネ、バリアフリーリフォーム…固定資産税額の1/3
- 長期優良住宅化リフォーム…固定資産税額の2/3
※それぞれ対象の家屋面積が異なるので確認しましょう。
贈与税
住宅とは関係ないように思える贈与税ですが、親や祖父母からリフォームや住宅購入のための資金として贈与を受けた場合は贈与税が発生します。しかし、この贈与税には非課税枠があり、一定の金額までは贈与税が非課税になります。
住宅資金贈与の非課税措置は、2022年に改正され非課税枠は縮小されましたが、2023年12月31日まで適用期限が延長されました。
耐震、バリアフリー住宅などは1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円までが非課税。ちなみに、贈与を受ける側の年齢は、成人年齢の引き下げに基づき2022年4月から18歳以上が対象となっています。
参照元:アイネックス税理士法人 令和4年度税制改正 のポイント解説
登録免許税
住宅や土地を購入したとき、所有権を登記簿に記録する必要があります。簡単にいうと、手続きを行うことで正式に「ここは私の土地(建物)です」と示すこと。この登記の手続きの際に登録免許税を納める必要があります。また、リフォームローンを組む場合は抵当権の設定登記を行う必要があり、こちらにも登録免許税がかかるため注意しましょう。
不動産取得税
土地や建物を取得したときに、一度だけ課せられるのが不動産取得税です。固定資産税の評価額に応じて算出されます。リフォームによって住宅の価値が上がった場合などに不動産取得税が発生する可能性があることを覚えておきましょう。リフォームによって不動産取得税が発生する場合でも、「個人の住居であること」「床面積が50㎡以上、240㎡以下であること」「新耐震基準に適合していること」を条件として、減税措置を受けることができます。1,200万円までの控除が適用され税額を抑えることが可能なので、申告漏れのないようにしたい制度です。
減税制度の対象となるリフォームの種類
ここまでリフォームに関わる税金の種類と、それぞれの控除についてご説明しました。どのようなリフォームをしても上記のような減税制度を受けられるというわけではなく、条件を満たす必要があります。ここからはリフォームの種類についてご説明します。
耐震リフォーム
万が一の地震に備えて、耐震基準に合わせた改修工事を行うのが耐震リフォームです。家の柱や壁を補強する作業が必要となります。
バリアフリーリフォーム
高齢者や障がいのある方が安全に暮らせる家づくりをするリフォームです。
- 家の中の通路を広げる
- 段差をなくす
- 急な階段の勾配緩和
上記のように、バリアフリーな家づくりをすることが条件です。また、対象となる工事は意外と多く、例えば以下のような比較的軽いリフォームを行った場合にも対象になるケースもあります。
- 手すりを取り付けた
- 浴槽の高さを低くまたぎやすいものにした
- 床材を滑りにくいものに替えた
どれを考えても同居の家族のため、将来の自分のためにもなるリフォームです。また、控除を受けるためにプラスアルファで取り入れやすいリフォームでもあります。
省エネリフォーム
省エネな家を目指して行うリフォームです。
- すべての窓の断熱工事
- 床や壁の断熱工事
- 太陽光発電パネルの設置
- 高効率の給湯器設置
上記のような省エネに繋がる工事が対象になります。家の省エネ性能を上げれば光熱費の節約にも繋がるのでおすすめです。
同居対応リフォーム
親と子、孫を含めた3世代で助け合いながら暮らしていくための家をつくるリフォームも対象になる場合があります。
- キッチンの増設
- 玄関の増設
- トイレやお風呂場の増設
上記のように、同居のための環境整備として、設備を増設する工事が必要になります。
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化リフォームとは家の耐久性を高めて、長く住める家をつくること。
- 換気性を高める工事
- 脱衣所、浴室の防水性を高める工事
- 床下の防湿効果を高める工事
上記のような工事が対象になります。減税制度を受けられるようになるのも利点ですが、リフォームによって住みやすく快適な家になるのもうれしいポイントです。
上記以外の増改築などの工事
上記のような省エネ、耐震工事以外にも第1〜6号工事の対象となるリフォームを行った場合は減税対象となります。
- 大規模な模様替え
- キッチンやお風呂場全体の修繕
ある程度の規模でリフォームをするときは、減税対象になることがほとんどと考えても良いかもしれません。
リフォームの減税制度利用の主な流れ
リフォームで受けられる減税制度は、自動的に適用されるものではないと前述しました。では、どのような手続きを行う必要があるのでしょうか。漏れなく申請ができるように、ここでは流れをご説明します。
その1|利用できる減税制度の確認
まずは工事の契約前に、見積もりを確認して資金の計画をたてます。その際一緒に、工事内容やスケジュールを加味して利用できる減税制度も確認しておきましょう。制度適用の有無については、リフォーム会社に直接確認するのがおすすめです。
また、必要書類の準備も必要となります。必要書類は減税制度によって異なるため注意が必要です。事前に必要な書類と、制度利用の申請手順は必ず事前に確認しておきましょう。契約をするときにもらう請負契約書・領収書などはしっかり保管することも大切です。
その2|各種証明書の作成を依頼する
リフォーム工事の契約後は、減税制度を受けるための申告に必要な書類の作成を依頼します。書類の取得先は書類によってさまざまです。税務署や市役所・区役所など市区町村の自治体、法務局など。また、勤務先や住宅の評価をする機関などで取得する必要がある書類があります。
限られた方しか発行できない証明書もあるので、早めに手配をします。各種証明書の発行者に該当する方や機関は以下のとおりです。
- 建築士(建築士事務所登録がされている建築士事務所に属する者)
- 指定確認検査機関
- 登録住宅性能評価機関
- 住宅瑕疵担保責任保険法人(国土交通大臣によって指定された法人)
- 地方公共団体
その3|必要書類を揃えて申請する
必要書類が揃ったら、期日を守って該当機関(税務署または市区町村)に提出します。減税制度によって申請期間も異なるため注意しましょう。
リフォームの減税制度を使うときの注意点
最後にリフォームで減税制度を使うときに知っておきたい注意点を4点お伝えします。
確定申告をしなければ使えない
前項でもお伝えしたとおり、所得税の控除は確定申告をしなければ適用されません。期間内に確定申告を行いましょう。毎年、確定申告書類の提出期間は2月中旬から3月中旬の約1ヵ月と短いので、早めに必要書類や手続きの準備をしておくことをおすすめします。
ちなみに、住宅ローン控除は10年または13年間、所得税の減税措置が適用になりますが、確定申告の必要があるのは1年目の1度だけです。手続きの簡素化により、2年目に住宅ローン控除の証明書が10年(13年)分、一括で交付されます。そのため、2年目以降は年末調整書類と一緒に住宅ローン控除証明書の提出で完結することになりました。
適用要件などは最新の情報をチェックする
毎年見直される税制。2022年の税制改正大綱のように、住宅に関する税制の変更もとても多いです。移り変わりが早いので、リフォームを行うタイミングで確認するのが鉄則。国土交通省の公式WEBサイトや「20○○年 リフォームローン控除」などと検索して最新情報をチェックしましょう。
リフォームローンの控除は10年に変更されている
前項でもお伝えしましたが、2021年まではローン型リフォーム減税という減税制度があり、5年以上10年未満のリフォームローンに対して適用される制度がありました。しかし、2022年度の税制改正によってリフォームローンに適用される控除期間が10年に一本化され借入限度額や控除率も変更されました。
「返済期間が短めのローンを組んでリフォームをしたい」と考えていた方は、これらの減税制度を利用できない可能性が高いため、今一度確認のうえ資金計画を立てましょう。
リフォームローンの利用でおすすめのサービスは「セゾンのリフォームローン」です。最長25年、最大500万円のリフォームローンを組むことができます。10年以上のローンを組んで、減税制度を利用した賢い資金づくりができるでしょう。
最近はテレワークスペースを作るリフォームで利用する方が増えています。リフォームの内容や正確な金額が決まっていなくても審査が可能です。「リフォームを考えている」「まずはリフォームのためのローンを組めるかどうか知りたい」という方は、問合せをして、相談から資金計画を始めてみるのも良いでしょう。
各種補助金制度との併用ができるかについても確認を
リフォームにおける優遇制度は、大きく分けて2つ。工事の一部費用を補助してくれる補助金制度と、ここまででご紹介した税制優遇があります。これらを上手に併用できれば、よりお得にリフォームができるかもしれません。
リフォームの資金計画を立てるときは、減税制度の詳細とともに補助金制度も調べて、それぞれが併用できるものなのかどうかを確認しておくことが大切です。
おわりに
リフォームのローン控除や減税制度、補助金はフル活用して少しでもリフォーム資金を抑えたいもの。そのためには事前準備や知識をつけておくことが大切です。自分では判断が難しい場合はリフォーム会社に相談するのもひとつの方法です。ローンが組めるかどうかをまず知りたい方は、セゾンのリフォームローンで仮審査をしてみましょう。リフォームでより住みやすく快適な家になるように、丁寧な資金計画から始めてみてくださいね。