日本では、人が亡くなったらその家の先祖代々のお墓に入るのが一般的です。しかし最近では、ペットと一緒にお墓に入りたい方や、継承しない方向けの個人墓(建墓した個人専用で、継承することはできないタイプのお墓)を希望する方も増えており、お墓の種類は多様化しています。さらに墓石についても選択肢が増えています。今回は、墓石の購入のタイミングやローンの組み方についてご紹介します。購入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
「最近はお墓の種類が多すぎて、どれを選べば良いかわからない…」「子どもがいないので、自分の死後、お墓を管理してくれる人がいない」そんな方におすすめなのがクレディセゾングループの「セゾンの相続 お墓探しサポート」です。人気のお墓の種類や、遺族に負担をかけない供養方法などのほか、お墓参りになかなか行けない方向けに「お墓参り・お墓掃除代行サービス」もご提案しています。
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お墓にかかる費用とは
そもそも「お墓を用意する」とはどういうことなのでしょうか。お墓を建てるには、大きく以下の5つの手順が必要です。
- お墓のタイプを決める
- 墓地や霊園など、お墓を建てる場所を決める
- 墓石とデザインを決める
- 墓石の購入契約をする
- 「ただの石」から「お参りの対象」とする開眼供養(かいげんくよう)の儀を行う
またそれぞれに費用がかかります。墓石の購入だけでなく、お墓の土地を取得する際に必要なお金や、開眼供養を行うためのお布施など、お墓を建てる上でさまざまな費用が必要です。次で墓石以外の必要出費も併せてご紹介します。
墓石の購入価格の全国平均は170.7万円
一般社団法人全国優良石材店の会が実施した「2023年お墓購入者アンケート調査」によると、墓石の購入価格の全国平均は170.7万円であることがわかりました。
ここからは、もう少し具体的に解説していきます。
墓石の購入金額の構成比
墓石の購入金額の構成比を見ると、最も多かった価格帯は150万円以上~200万円未満(22.3%)でした。
次いで200万円以上~300万円未満が17.2%、120万円以上~150万円未満が14.2%という構成比です。
墓石タイプ別の平均単価
次に、墓石のタイプ別の平均単価は以下のような結果となりました。
伝統的な和型 | 189.2万円 |
デザインのお墓 | 189.6万円 |
シンプルな洋型 | 158.1万円 |
その他 | 146.9万円 |
和型やデザイン性のあるお墓を選ぶと、シンプルな洋型よりも30万円以上高くなります。
地域別の墓石平均価格
ここからは、地域別に墓石の平均価格を見ていきましょう。
地域別で墓石の平均価格が最も高い地域は九州地方の216.4万円です。続いて、東北地方の187.4万円、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の179.5万円の順に墓石の価格は高くなる傾向があります。
一方で、最も墓石の平均価格が安かったのは北海道の132万円でした。
なお、墓石には、さまざまな石の種類や加工方法などがあり、どの墓石を選ぶかによって値段が変わってきます。おおよその平均購入価格は170万円前後で、7割以上の方が200万円以内で購入しています。各地域の風習や流行の違いによっても、購入する墓石に影響があるようです。
お墓を建てるときは、墓石以外にも費用が必要
墓石を選ぶ際は、同時に建てる場所も検討する必要があります。そして、購入した墓石を現地に置いてもらうための「設置費用」や、霊園や寺院などの法律で定められている区画を使用するための「永代使用料」を支払う必要があります。また、お墓を管理する「管理費」も必要です。
永代使用料
永代使用料とは、お墓を建てるための土地を取得するときにかかる料金です。全国平均では600,000円から800,000円ですが、墓地の利用料は面積と地価で決まるので、地域によって大きく差が出ます。例えば、東京や神奈川では100万円を超えますが、関西エリアは約740,000円、東北エリアだと350,000円程度です。墓を建てる墓地は、購入するのではなく霊園や寺院から借りるものなので、永代使用料さえ払えば、固定資産税や取得税などの税金の類は発生しません。支払い方法は、大半が墓地の契約時の一括払いです。
管理費
管理費は墓地購入後に毎年納める費用で、年間管理費の相場は5,000円〜20,000円です。その霊園や寺院が、トイレや水汲み場の整備など墓所の運営に必要なメンテナンスに充てています。そのため、法要所や売店など設備が充実した墓所はそれなりの管理費がかかると思って良いでしょう。やはり都市部の方が高い傾向にありますが、そのなかでも公営霊園の場合は比較的安くおさまりやすいです。管理費は、永代使用料と違って継続して支払いが必要になりますので、家計に大きく響かないかどうか確認しましょう。
墓石の値段はどうやって決まる?
お墓にかかる費用で一番大きな出費となるのが墓石の購入です。石の種類や使用する量、墓石の装飾の度合いなどによって料金が変わります。墓石の値段がどのように決まるのか、ポイントごとにみていきましょう。
石の種類
墓石に使用される石には、さまざまな種類のものがあります。一般的には「硬い」「水を吸いにくい」「長持ちする」という条件に当てはまる花崗岩が、いわゆる御影石と呼ばれて多くの墓石に使用されています。花崗岩は磨くと光沢が出ることや、産地によって模様が異なっていることから根強い人気があり、海外から輸入されてくるものもあります。
主な国産石の相場
主な国産石のおおよその相場や特徴は、以下のとおりです。
国産石 | 相場と特徴 |
---|---|
庵治石(あじいし) | ・香川県 ・250万円~400万円前後 ・「西の横綱」「墓石のダイヤモンド」と呼ばれる最高峰品質の石 |
本小松石(ほんこまついし) | ・神奈川県 ・80万円~180万円前後 ・庵治石に並び「東の横綱」と呼ばれるブランド石 |
大島石(おおしまいし) | ・愛媛県 ・50万円~250万円前後 ・模様のきめが細かく、青みがかったグレー色が繊細さを感じさせる品のある石 |
真壁石(まかべいし) | ・茨城県 ・70万円~120万円前後(小目) ・50万円~100万円前後(中目) ・光沢が長持ちする小目と、白の割合が多く明るい印象の中目がある ・採石量が多いため比較的手ごろな価格で購入可能 |
万成石(まんなりいし) | ・岡山県 ・90万円〜150万円前後 ・桜御影と呼ばれるピンク色の石が特徴 ・供給量が安定しているため比較的手ごろな価格で購入可能 |
天山石(てんざんいし) | ・佐賀県 ・40万円~80万円前後 ・九州から関西地方にかけて人気が高い ・青御影石の中でも特に青みが強いのが特徴 ・吸水率が低いため、輝きが長期間にわたって持続する |
どの石を使うかによって、40万円から400万円以上まで幅広い価格帯があります。また、同じ種類の石でも、品質による等級付けがあり、これによって値段が大きく変わることもあります。
主な海外産の相場
近年は海外からも御影石が輸入されるようになりました。そのなかでも、人気の高い3種類の海外産の石の相場を見てみましょう。
中国産黒龍石 | 200,000円~400,000円前後 |
インド産クンナム | 400,000円~700,000円前後 |
南アフリカ産インパラブラック | 600,000円~100万円前後 |
一般的には国産の方が高価な石が多いものの、インド産クンナムや南アフリカ産インパラブラックのように、価格が国産の手ごろな石よりを上回るケースがある種もあります。
使用する石の量
建てる家を大きくするほど費用が掛かるように、墓石を大きく立派にするほど石を多く使用するため、費用も掛かります。
近年では、洋型墓石の方が和型墓石に比べて石の使用量が少なくて済むので費用が抑えられるうえ、背も低く掃除もしやすいと普及しています。
和型墓石は、仏舎利のイメージを簡略化した形状なので、どうしても何段にも積み上がった仕様になり石の量も増えてしまうのです。
また一般的な墓石より大きな石を希望する場合は、採石が大変な分、割増料金が発生する場合があります。
墓石の加工やデザイン
墓石は硬くて耐久性が良いものを使用しなければならず、その頑丈な石を普段見る墓石の形にするには大変な手間が掛かり、高度な技術も必要です。墓石の費用のほとんどは、石の種類と使用量で占められていますが、湾曲(わんきょく)や面取りといった特殊加工を施す場合は、デザイン費の価格が上がります。特殊加工で個性的な形状や彫刻を行った場合は、そぎ落とされた石も代金に含まれているため、完成した墓石はコンパクトでも値段は高価になってしまう可能性があるでしょう。
墓地に指定石材店があるか
希望する霊園や墓地によっては、墓石を購入する石材店をあらかじめ指定される場合があります。一般的には、自治体が運営する公営霊園は石材店の指定がなく、ご自身でお店やデザインなど自由に選ぶことができます。しかし、民営霊園ではほとんどが、寺院墓所は一部で石材店が指定されるので、費用を比較したり好みのデザインを選んだりすることが難しい場合もあるでしょう。
墓石の立地
墓石の設置費用は、墓石代とは別に発生し、相場は50,000円前後です。しかし、以下のような場所に墓を建てる場合は、注意しましょう。
- 駐車場から墓地までの距離が遠い
- お墓が山の斜面に建っている
- お墓の通路幅が狭い
- お墓までの間に階段が何段もある
立地によっては費用が割高となる可能性があります。
墓石費用を抑えるには?
墓石の値段をできるだけ抑えたいという方は、まずはご自身がどうしても譲れない点を考えてみましょう。ご自身が墓石を購入する際、石の種類にこだわりたいか、手頃な価格の石で良いがデザインは個性的にしたいかなど、どの部分で費用を抑えられるか検討することが大事です。他には以下のような方法もあります。
セット価格で販売されている墓石を選ぶ
墓石本体だけでなく、香炉や花立て、納骨堂、外柵などがセットになって販売されている商品を石材店や墓石通販サイトで購入する方法があります。ひとつずつ必要なものを揃えようとすると、次第に費用が加算されてしまうため、一般的なデザインでの購入を検討中であればセット購入がお得です。また、霊園によっては墓石代、永代使用料、工事費などをセット価格にした明朗会計プランがありますし、終活に関するサービスを扱う専門会社などは、独自の定額墓石プランを用意している場合もあります。
セールなどで安くなる時期に購入する
石材店によっては、お盆やお彼岸の時期に合わせてセール期間を設けたり、店頭の展示品を現品限りや在庫処分として特別価格で販売したりしています。商品の中には上質な御影石を使用している掘り出し物も多く、石材店を上手に選ぶことで墓石費用を抑えることも可能です。
仏壇の費用を抑えるという方法もあり!
墓石にこだわりがある方は、仏壇の費用を抑えるという考え方もあります。仏壇は位牌(いはい)を置くものの、釈迦如来や阿弥陀如来といった仏様がご本尊として鎮座しており、お参りの対象は亡くなった方ではなく「如来(にょらい)」です。一方で、お墓の仏様は「亡くなった方」であり、仏壇と違って身内以外の友人や知人もお参りに来る場合があるでしょう。故人がいる墓石に費用をかけ、仏壇はコンパクトに低価格で購入し、総合的にトータルで費用を抑えるのもひとつの手です。
小さい墓石は値段を抑えられる
墓石の費用を抑えたい場合は、墓石を小さくするのも一つの方法です。墓石の価格は才数計算(約30.3cm角のサイコロの使用量)で決まるので、小さい墓石ほど使用石材量が減り、費用を抑えることが可能です。
比較的安価でコンパクトな墓石であれば20万円前後から用意できます。加えて、墓石が小さければ建立費用も安く済みます。
ただし、小さい墓石の場合、使用できる石材の量や種類が限られる、デザインを自由に選べないといった問題もあります。
墓石選びのポイント
良い墓石を選ぶには知識が豊富なプロに任せること、すなわち良い石材店を選択することが大事です。お墓づくりを安心して相談、依頼できる「全国優良石材店」のマークは、石材店選びの参考になるでしょう。お墓は代々受け継がれていくものであり、子どもや孫のことを考えると、良い墓石を選ぶことをおすすめします。以下に、墓石を選ぶためのポイントをまとめてみました。
石の産地
近年ではインドや中国、南アフリカなどの諸外国から採石された上質な石も多く出回っており、必ずしも国産の方が良い石とはいえません。国内の墓石の産出量は減少傾向にありますので、どうしても値段が高くなってしまいます。価格や色合いを比べながらご自身の好みの石を見つけましょう。
石の耐久性
硬くて劣化に強い石であることは、墓石の必要条件です。やはり天然石でつくられた墓石は高価な分、耐久性にも優れています。外国産でも天然の御影石はたくさんあり、国産より値段もリーズナブルです。天然石を使用しない墓石は、見た目も天然石に近く費用をかなり抑えられますが、耐久性の面では天然石に劣ります。
石の吸水率
長い年月のなかで、少しずつではありますが石も水を吸います。吸水した墓石は、コケやカビが発生するといったトラブルが起こる可能性が出てくるため、吸水率の低い石を選びましょう。お墓を建てる予定の場所が水辺の近くや湿度の高い場所であれば石の吸水率が低いことは特に重要です。御影石なら「吸水率5%未満」が良質だとされています。
石のきめ細やかさ
きめの細かい石を「糠目(ぬかめ)」といい、高級石によく見られる特徴です。粒が細かくて見た目が美しいだけでなく、石の成分が密ということでもあります。つまり、石の強度があり丈夫だということと、石の吸水率が低いということにつながるのです。高級墓石の香川県産庵治石や神奈川県産小松石が、きめ細かい石として有名です。
石の色
お墓全体のでき上がりをイメージしてみましょう。一般的には、お墓といえば黒やグレーの石が多いですが、洋型墓石の普及もあり近年ではさまざまな色合いの石があります。例えば、先に紹介した岡山県産の万成石は薄いピンク色をしており人気の石です。外国産の石にも青色や赤茶色などカラフルな石が多くありますので、今後引き継いでいく家族と話し合って決めるのも良いかもしれません。
お墓を購入するタイミングは?
お墓を購入する時期に特段の決まりはありません。昔は生きているうちに自分の墓を買うのは「寿命が縮まって縁起が悪い」といって敬遠されていました。しかし、生前にお墓を建てるのは、「寿陵(じゅりょう)」といって「子孫繁栄」や「家庭円満」につながる縁起の良いことだそうです。死後購入と生前購入のそれぞれのメリットとデメリットをみてみましょう。
死後購入する場合
公営の霊園や墓地は費用が安いため大変人気なので、霊園によっては利用条件に「手元に遺骨を持っている方」という項目があります。費用面を抑えたい場合は、死後応募できる霊園の区画に墓地を建てることが可能ですが、遺族はお葬式の準備などと並行してお墓の準備も行わなければなりません。墓石の設置等に時間もかかるため、おおよそ一周忌を目安に購入することが多いようです。また、故人が残しておいたお墓の準備費用は、相続税の対象になります。
生前に購入する場合
生前のお墓購入は、終活の一環として近年広がっています。生前にご自身の選んだお墓を購入することで、好きなデザインのお墓で眠ることができるという満足感を得られます。今後、万一不慮の事故などで亡くなったとしても、すでにご自身のお墓を用意してあるので残された遺族も必要以上に混乱しません。また、お墓や仏具は非課税なので相続税の節税にもなります。ただし、定期的に清掃をして墓地の管理をすることや、納骨していなくても墓地を取得した時点から管理費が毎年発生する点は覚えておきましょう。
墓石はローンで購入できる?
墓石は決して安い買い物ではありません。住宅や車のローンと同様に、墓石を購入するときにもローンを組むことができます。購入予定の石材店が墓石ローンを扱っている場合は、そちらを利用して購入が可能です。その他、民間の金融機関で借りられるメモリアルローンやフリーローンもありますので、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
石材店の墓石ローン
石材店によっては、信販会社と提携した墓石ローンを扱っているところがあります。墓石の購入時に契約できるため、ローン手続きの手間と時間は格段に短縮できます。金利の目安も一般の金融機関に比べ安いですが、借入額の上限や返済回数は石材店によって異なりますので事前に確認しましょう。ローンに含まれるのは墓石代のみの場合がありますので、永代使用料が高額な墓地に建てる場合は、ローンとは別に現金を用意しなければなりません。
銀行のメモリアルローン
金融機関でローンを組む場合は、目的別ローンのひとつであるメモリアルローンを利用できます。ローンの目的を「お墓にかかわる費用」に限定しているため、その他のローンに比べ、審査や手続きが簡素化しています。また、メモリアルローンには永代使用料や仏具を購入する料金も含まれるので、永代使用料が高額な墓地の場合でも安心です。
しかし、ほとんどの霊園や寺院では、施設側が提携している金融機関を指定されるので、ご自身が利用したことのない金融機関だと口座開設等が必要な場合があります。
カードローン
金融機関やカード会社が行っているカードローンも活用できます。用途を証明する書類が必要ないため、永代使用料や仏具購入など墓石以外の出費でも同時対応が可能です。WEBサイト上でローンの契約手続きが完了する金融商品や、高齢者でも定期収入(年金給付など)があれば借り入れが可能なローンも増えてきています。
セゾンのカードローン「MONEY CARD GOLD」なら最高ご利用可能枠300万円までの借り入れができる可能性があります。また、融資利率については、ご利可能枠ごとに決まっているので安心して申し込みが可能です。ATMの利用手数料も何度利用しても無料なので
さらに、最大2ヵ月分の利息が実質0円となるので、借り入れ後、すぐに返済をすれば負担を抑えられるでしょう。
カードローンを検討されている方はチェックしてみてください。
MONEY CARD GOLDについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
おわりに
時代に沿ってさまざまな形に変化しつつある墓石ですが、墓石の値段がどのように決まるのかを参考にしながら、ご自身の負担にならない好みのお墓を探してみませんか。ご自身が入りたいお墓に入って眠れるということは、生きているあいだの心の安寧にもつながるでしょう。
しかし、お墓を購入しても管理が大変では…という不安もあるかもしれません。特に都会で働いており、地方の実家にあるお墓になかなか行くことができない方や、思い出の地で眠りたいという理由で遠方にお墓を購入した方は、頻繁にお墓まで出向くことができないでしょう。そんな時はお墓参りや清掃を代行してくれるサービスを利用するのもひとつの手です。全国各地のお墓を対象に代行清掃してくれ、お墓を大切に守ってもらえます。
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