「老後の生活費は年金だけで足りるか不安がある」「持ち家があれば老後は生活できるのだろうか」と考える方も多いのではないでしょうか。収入を年金だけに頼ると、老後資金が不足する可能性があります。余裕をもった老後生活を送るためには、早期に資金計画を立てることが大切です。
この記事では、年金だけで生活する場合の収支シミュレーションや、持ち家がある場合の資金の調達方法について解説します。
- 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出は平均で143,139円、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)では、消費支出が236,696円
- 年金による収入だけでは収支が赤字になる可能性がある
- 持ち家がある場合、リースバックを使えば同じ物件に住み続けながら売却による資金を得られる


持ち家なら老後は年金だけで生活できる?

この章では、持ち家なら年金だけで老後生活が可能なのか、生活費や収入の面から解説します。
高齢世帯における月々の生活費の目安
総務省統計局が発表している「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出は平均で143,139円です。内訳で最も高い割合を占めるのは「食料費」の26.2%で「その他の消費支出」が続きます。「光熱費・水道費」や「交通・通信費」の割合はそれぞれおよそ10%です。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)では、消費支出が236,696円にアップします。高齢単身無職世帯と同様に、内訳の28.6%を「食料費」が占める結果となりました。
65歳以上世帯の収入額
2022年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は、246,237円、可処分所得は214,426円です。65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)では実収入が平均で134,915円、可処分所得が122,559円となっています。収入額のうち約90%を占めるのが「社会保障給付費」です。
2024年度の国民年金(老齢基礎年金額)受給額は月額68,000円(1956年4月2日以降生まれの方、および満額の場合)、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、230,483円です。現役時代の働き方によって、社会保障の給付額は異なります。
年金だけで生活するのは困難
生活費の目安と収入額のデータから収支を計算すると、以下の結果となります。
- 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合:可処分所得214,426円-消費支出236,696円=毎月22,270円の赤字
- 65歳以上の単身無職世帯の場合:可処分所得122,559円-消費支出143,139円=毎月20,580円の赤字
高齢者世帯のおもな収入源は社会保障給付(公的年金など)となるため、資産の少ない状態で年金だけで老後生活を送るのは難しいでしょう。
老後の資金はいくら必要?

この章では、必要になる老後資金の目安と具体的な使い道について解説します。
老後は生活資金だけで約2,000万円必要
「令和4年簡易生命表の概況」によると、女性の平均余命は、87.09歳です。
例えば、65歳以上の単身無職世帯の方が国民年金(月額68,000)だけで生活する場合、消費支出が143,139円とすると、毎月約75,000円、年間で約900,000円の赤字になります。65〜87歳までの22年間を国民年金だけで生活しようとすると、900,000円×22年間で約1,980万円の赤字です。そのため老後資金として2,000万円必要と考えられています。
しかし、上記の計算のほかに、老後には次に紹介する費用がかかるケースがあります。
持ち家にもお金がかかる
持ち家は所有しているだけでさまざまな費用がかかります。必要となる費用の具体例は以下のとおりです。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 管理費、修繕積立金(マンションの場合)
- 修理・リフォーム費用
自宅のメンテナンスにかかる費用の相場は、年間100,000~500,000円といわれています。例えば戸建ての場合、およそ10年に一度のペースで外壁や屋根の塗装工事が必要です。住宅ローンが残っていると、定年後は収入に対する返済割合がアップし、負担が大きくなる可能性があります。
老後は医療費や介護費もかさむ
若い世代と比べて、老後は医療費の割合が増える傾向にあります。介護が必要になった場合には自宅の改装費用や施設への入所費用などが発生します。
生命保険文化センターによる2021年度の調査によると、介護にかかる一時費用の合計額は平均740,000円です。一時費用には、バリアフリー化へのリフォームや介護ベッドの購入などが含まれます。
また、介護費用のうち月々で支払う費用の平均は83,000円です。在宅介護に比べると、施設を利用した場合のほうが約120,000円高くなっています。なお介護期間の平均は約5年です。
参照元:生命保険文化センター|2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査
老後資金が足りない場合の対策は?

老後資金が足りない場合には以下6つの対策が考えられます。
- 固定費の見直しをする
- 老後も再雇用やパートなどで収入を得る
- 年金を繰り下げ受給する
- 民間の保険に加入する
- 資産運用で収入を得る
- 持ち家を活用して資金にする
それぞれの方法について詳しく解説します。
固定費の見直しをする
老後資金が不足している場合には、日々の支出を把握し無駄な出費を減らすことが大切です。高い節約効果が期待できる取り組みのひとつが、固定費の見直しです。
固定費とは以下のように、定期的に支払いが生じる費用を指します。
- 住宅費
- 駐車場代
- 水道光熱費
- 通信費(インターネット回線、スマホなど)
- 保険料
- サブスクリプション
固定費を具体的に見直す方法の例は以下のとおりです。
- 家賃の安い家に引っ越す
- エアコンや床暖房の使用時間を見直す
- スマホの契約先を格安SIMに切り替える
- 保険料が安く同程度の保障が受けられる保険に乗り換える
- 使用頻度の低いサブスクリプションを解約する
小さな見直しの積み重ねが、大きな節約効果につながります。
老後も再雇用やパートなどで収入を得る
労働によって賃金を得ることで、不足している老後資金を補填できます。厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によると、一律に定年制を設けている企業のうち、再雇用制度や勤務延長制度のある企業は全体の94.2%です。
働くことには、収入が得られる以外にもメリットがあります。例えば就業時間に合わせて起床や就寝する時間を設定するため、規則正しい生活リズムをつくれます。また、同僚ができることで人とのかかわりがうまれるでしょう。
年金を繰り下げ受給する
年金を受給する年齢を遅くすると受給総額が増えます。生活に余裕がある場合は、受給開始年齢を繰り下げるのもひとつの手段です。
ただし、以下2つのどちらかに該当する方は、在職老齢年金制度により支給停止されていた額を除いて繰り下げ加算額を計算します。
- 65歳以降に厚生年金に加入していた時期がある
- 70歳以降に厚生年金保険の適用事務所で勤務していた経験がある
繰り下げ受給する場合、請求時の年齢による年金の増額例は以下のとおりです。
請求時の年齢 | 増額される割合 |
---|---|
66歳0ヵ月 | 8.4% |
68歳0ヵ月 | 25.2% |
70歳0ヵ月 | 42.0% |
75歳0ヵ月 | 84.0% |
繰り下げできる年齢は最大で75歳までです。
民間の保険に加入する
満期時や解約時にお金が受け取れる点が、民間の貯蓄型保険のメリットです。貯蓄性をもった民間の保険に加入し、老後に受け取ることで資金の不足をカバーできます。
貯蓄型保険の例は以下のとおりです。
保険の種類 | 概要 |
---|---|
終身保険 | 万が一のときに保険金が受け取れる |
養老保険 | 満期に死亡保険金と同額の保険金が受け取れる |
個人年金保険 | 老後に備えるための私的年金 |
ただし、貯蓄型保険は途中解約すると、払い込んだ保険料と比べて解約返戻金が少なくなる可能性があります。無理のない範囲で、計画的に保険を活用することが大切です。
資産運用で収入を得る
資産を運用して収入を得ることで、老後資金の不足を防げます。運用資産で収入を得る方法には、以下のような例が挙げられます。
- 株式投資
- 債券投資
- 不動産投資
例えば不動産を購入して貸し出すことで、入居者から家賃を受け取れます。不動産を売却する際に購入時の価格から値上がりしている場合には、売却益が得られます。ただし、投資による資産運用には損失が発生するリスクがあるため、始める前にリスクとリターンのバランスについて十分な検討が必要です。
持ち家を活用して資金にする
持ち家を資産化するためには、売却や賃貸などの方法があります。売却すれば売却益、賃貸に出せば家賃収入の獲得が見込めます。固定資産税や家の修繕費が高い場合は、持ち家を手放して資金にするのがおすすめです。
ただし持ち家を売却すると、原則として次の所有者に物件を明け渡す必要があります。自宅を売却しても同じ物件に住み続けたい方は「リースバック」を検討してみましょう。
セゾンのリースバックで持ち家を活かして老後資金を確保しよう

持ち家のある方は資金の調達にリースバックを活用できます。リースバックとは自宅を売却し、同時に物件の賃貸借契約を結ぶ取引方法を指します。
リースバックの流れは、以下のとおりです。
- 売主の所有物件を不動産会社が買い取る
- 売買契約と同時に売主と不動産会社で賃貸借契約を結ぶ
- 売り主は毎月の家賃を支払い、引き続き物件に居住する
売却によってまとまった老後資金が手に入ると同時に、引っ越しすることなくそのまま住み続けられる点がメリットです。
「セゾンのリースバック」では、以下の特徴を通じて老後資金の準備をサポートしています。
- 売買代金は一括支払い
- 売却しても引き続き居住が可能
- 固定資産税の支払いが不要
- 更新手数料が不要
- 将来的な買い戻しが可能
- 家財保険の自己負担が0円
事務手数料や礼金などは無料です。
持ち家のある方は、ぜひ「セゾンのリースバック」の窓口に相談してみてください。


おわりに
国の調査をもとに収支を計算すると、老後を年金だけで生活するのは困難といえます。突発的な医療費の発生や住宅の維持費など、さまざまな出費を想定しておくことが大切です。
老後資金が足りない場合には、固定費の見直しによる生活費の軽減や資産運用による収入確保などが対策に挙げられます。持ち家の方はリースバックを利用することで老後資金の確保につながるでしょう。早期に計画を立て、余裕をもった老後生活のための準備を始めてみてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。