土地は持っているだけで固定資産税や都市計画税などの諸費用がかかります。これらの諸費用をねん出するためには土地活用が有効ですが、お金がかかるからと諦めていませんか?実は、土地活用はお金をかけずなくても取り組むことが可能です。
この記事では、費用をかけずに土地を活用したい方や相続した土地の使い道を探している方に向けて、低コストで始められる「お金のかからない土地活用」の方法を解説します。
- お金のかからない土地活用について具体的な方法がわかる
- 暫定活用と中長期活用となる方法について、個々のメリット&デメリットがわかる
- 土地活用におけるリスクや注意点、ローンの使い方が理解できる
- コストの低さを重視して土地活用をしたい場合のローン活用法がわかる


お金のかからない土地活用方法【暫定利用6選】

まず、土地の暫定的な活用方法について紹介します。ここでいう「暫定的な活用方法」とは、現時点では特に利用予定が決定していない土地・スペースを有効活用する方法です。比較的簡単な工事・整備等を施せば始められるうえに、手続きもそれほど煩雑ではありません。
ただし、収益はあまり高くない可能性もある点に注意が必要です。ここでは具体的な方法として以下の6つを解説するので、ぜひ参考にしてください。
- 貸し駐車場
- トランクルーム
- 貸し出し用イベントスペース
- キャンプ場
- 貸農園
- 看板設置
貸し駐車場
1つ目の方法は「貸し駐車場」です。つまり、土地を月極駐車場やコインパーキングとして使います。月極駐車場であれば整地をすれば貸し出せるようになるため、設備も不要であることから初期費用を安く抑えられるのがメリットです。コインパーキングは精算機などの機械が必要ですが、これに関してはリースやレンタルで調達することもできます。
土地の一括借り上げ方式(フリーレント)であれば初期費用はかからないため、併せて検討しましょう。例えば、貸し駐車場の初期費用に400万円かかる一方で、オーナーは毎月40万円を受け取れるとします。本来、オーナーは初期費用として400万円を払わなくてはいけませんが、これを払わない代わりに、10ヵ月分の賃料収入と相殺するのが基本的な仕組みです。実質的には0円となるため、まとまった資金が無くても始められます。
この方法のメリットとして、更地に近い状態で活用できることが挙げられます。具体的な使い道が決まっていないなら、まずは貸し駐車場として活用しながら、他の方法を検討しても構いません。
ただし、競合が生じやすい形態であるとともに、立地が良くないと利用者も少ないことから高い収益が見込めないというデメリットがあります。例えば、駅前や商業施設の近くであれば一定の利用者は見込めますが、郊外や住宅街では厳しいかもしれません。
トランクルーム
2つ目の活用法は「トランクルーム」です。つまり、空き地・スペースに荷物を保管するためのコンテナを設置し、保管場所として貸し出す方法を指します。更地に近い状態で始められるうえに、都市部かつ民家・ビルなど近隣住民が多いエリアであれば一定の需要は見込めます。ただし、都市部であっても治安の悪い地域は敬遠されがちであるため注意が必要です。
なお、トランクルームの経営形態として以下の4つが挙げられます。定期借地方式であればコンテナなどの設置費用はすべて運営企業が負担してくれるので、自己資金がなくても開業が可能です。
- 一括借り上げ方式(リースバック方式):自己資金でコンテナを設置し、運営会社に借り上げてもらう
- 業務委託方式:自己資金でコンテナを設置・経営するが、清掃・集金など管理業務の一部を委託する
- 定期借地方式:自分の土地を運営企業に貸し出し、その対価として地代を受け取る(コンテナの設置・経営は運営企業が行う)
- 自己経営方式:コンテナの設置・経営など、関連する業務のすべてを自ら行う
貸し出し用イベントスペース
3つ目の活用方法は「貸し出し用イベントスペース」です。つまり、以下に挙げる地域のイベントに使うためのスペースとして活用することが考えられます。
- 定期市(マルシェ)
- フリーマーケット会場
- 地域の文化祭
- 地域の子ども会のイベント
これらのイベントは場所がないとできません。そのため、地域貢献をしたいと考えている人には、非常に向いている方法と言えます。
ただし、決して収益性は高くないうえに、予約管理や設備のメンテナンスなど、 管理面の手間が思いのほかかかる点に注意しなくてはいけません。また、イベント会場として定着したらやめにくくなってしまうというデメリットもあります。
キャンプ場
4つ目の活用方法は「キャンプ場」です。土地が田舎や山奥にある場合は、自然を生かしたまま土地活用ができ、整備費用も最小限に抑えられるという意味でも優れた活用方法と言えます。
ただし、SNSやポータルサイトへの掲載などで宣伝しないと、なかなか利用してもらえません。また、利用者の利便性向上のためには、トイレや水道設備を設置する必要もあるため、その分の費用がかかります。さらに、法令や条例に則った許認可が必要になる場合もあるため、事前に自治体への確認を欠かさずに行いましょう。
貸し農園
5つ目の活用法は「貸し農園」です。初期費用はほぼかからないことがメリットとして挙げられます。ただし、決して収益性は高くないうえに、ベンチや水道、警報設備などの設置・メンテナンスについても考える必要があります。状況によっては設備の設置・メンテナンスにかかる費用の一部を利用者に負担してもらう必要が出てくるかもしれません。
なお、土地を農地として貸し出すには、農地法による許可が必要になることもあるため注意してください。貸し農園を始めたい場合は、市区町村の担当部署に問い合わせてみましょう。
看板設置
6つ目の活用法は「看板設置」です。ロードサイドにある土地なら、広告主から依頼された看板を設置して定期的に賃料を受け取ることができます。自分でやる必要があるのは広告代理店などに敷地を貸し出すことだけであり、看板の設置等にかかる費用はすべて相手が負担する仕組みです。
初期費用がかからないメリットがある一方で、注意すべき点もあります。まず、広告代理店と契約を結ぶ際は、定期メンテナンスや撤去にかかる費用の負担についても確認しましょう。
また、自治体によっては看板の設置に規制が設けられていることがあります。その自治体の定めるところに則って手続きをする必要があるため、事前に担当部署に問い合わせてください。
お金のかからない土地活用方法【中長期利用4選】

続いて中長期的なお金がかからない土地活用法を紹介します。多額の自己資金がなくても始められる方法であるため、ぜひ参考にしてください。
- 定期借地権を利用した借地事業
- 等価交換
- 建設協力金方式
- 土地信託
定期借地権を利用した借地事業
1つ目の活用法は「定期借地権を利用した借地事業」です。土地を希望する人に貸せば、地代収入が得られます。ただし、普通借地権として土地を貸す契約をした場合、借りている人(借地権者)が更新を希望したらいつまで経っても土地が返ってこない可能性もあります。
そこで活用したいのが、定期借地権です。当初に定めた期間で借地関係が終了する契約であり、更新はないことから、期間終了後は土地が必ず戻ってくるという特徴があります。土地を手放したくない場合は有効な契約です。
なお、定期借地権には「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」の3種類があるため、以降において詳しく解説します。
一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約借地権 | |
---|---|---|---|
存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年未満 |
利用目的の制限 | なし | 事業のための建物のみ | なし |
契約方法 | 公正証書などの書面 | 口頭でも契約可 | 公正証書 |
存続期間終了後 | 更地にして返還 | 更地にして返還 | 建物を地主に売却 |
<定期借地権の種類と概要(例)>
一般定期借地権 | 契約期間:50年以上。建物用途の制限なし。 契約終了後、借主負担で解体し、更地にして返還。 |
事業用定期借地権 | 契約期間:10年以上50年未満。事業用建物に限る。 契約終了後、借主負担で解体し、更地にして返還。 コンビニ等、テナント利用によく用いられる。 |
建物譲渡特約付借地権 | 契約期間:30年以上。建物用途の制限なし。 契約満了後、借主が貸主に建物を売却する。 建物は築年数が経っているため、買い取りリスクあり。 |
一般定期借地権
一般定期借地権とは、契約期間が50年以上で建物の用途にも制限がない契約を指します。原則として借主側負担により建物を解体し、更地に戻して返還しなくてはいけません。長期間土地を貸すのが前提の契約にはなるものの、土地が戻るころには土地活用の計画を再検討できるというメリットもあります。
事業用定期借地権
事業等定期借地権とは、契約期間が10年以上50年未満の契約ですが、建てられるのは事業用の建物に限られることが大きな特徴です。一般定期借地権同様、借主側負担により建物を解体し、更地に戻して返還する流れになっています。契約期間の融通が利くのが利点であるため、土地の上にコンビニやドラッグストアを建てる場合に広く用いられる計画です。
建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権とは、契約期間が30年以上かつ建物の用途制限がない形の契約を指します。契約満了後は、借主が貸主に建物を売り渡すため、結果として「築30年以上の建物を買い取る」前提で契約を結ばなくてはいけません。契約満了後にその建物をどうするかも含めて考えておく必要があります。
等価交換
2つ目の活用法は「等価交換」です。簡単にいうと、土地を開発会社に提供し、開発会社が資金を負担してマンションなどを建設することを指します。土地を提供した見返りとして建物の専有部分(例:マンションの一室)が得られるため、資金を準備せずに物件を手に入れられるのがメリットです。自分や家族が住む家として使っても、希望者に貸して賃料を得る形で使っても構いません。
なお、必要な土地の面積ですが、広ければ広いほど適しているのは確かです。個々の事例によっても異なるため一概には言えませんが、マンションを建てるのが目的であるなら、最低でも100坪は必要でしょう。また、地価が高い都市部のほうが、そこにマンションを建てるメリットを開発会社が享受できることから交渉も有利に進められます。
評価額の高い、広い土地を所有しているときは有効な選択肢であると言えるでしょう。ただし、土地と建物の権利が複雑化するため、相続を控えている場合は注意が必要です。念のため、相続に強い税理士や弁護士などの専門家に相談してから進めましょう。
建設協力金方式
3つ目の活用法は「建設協力金方式」です。建物を使用する予定のテナントから「建設協力金」を預かり、建物を地主が建ててテナントに貸し出す方法を指します。自己資金が少なくても収益物件を手に入れられるうえに、テナントが入る前提である以上空室リスクが避けられることがメリットです。
ただし、そもそもテナントが見つからないと利用できない方法であるうえに、テナントが撤退したら新たなテナントを探さなくてはいけません。さらに、建物の修繕費はオーナー=地主が負担することになるため、事前に以下の点について認識をすり合わせておく必要があります。
- 契約期間中にテナントが撤退した場合の違約金の有無および金額
- 建設協力金の受領および返還の扱い(受け取り方法、返還の時期)
土地信託
4つ目の活用法は「土地信託」です。これは、土地を利用した投資信託で、信託会社や金融機関に土地活用そのものを任せ、運用益を配当金として得ることを指します。
土地の上にアパートなどを建て、希望者に貸し出したうえで、得られた収益を配当金として地主に渡すのが一般的な流れです。基本的に土地があればできる活用法であるため、自己資金や知識が無くても始められます。
ただし、信託会社や金融機関は土地活用で収益を得ることを目的としている以上、収益性のある土地でないとこの方法は使えません。また、信託契約を解除しにくいうえに、収益が得られても信託報酬が差し引かれる分手取りが減ることにも注意が必要です。
お金のかからない土地活用の注意点

お金のかからない土地活用法は便利ではあるものの、注意すべき点として以下が挙げられます。
- 高い収益は見込めないことがある
- 土地を自由に使えなくなる
- 節税効果が得られない場合もある
以降では、それぞれについて解説します。
高い収益は見込めないことがある
1つ目の注意点は「高い収益は見込めないことがある」という点です。例えば、駐車場やコンビニ・ドラッグストアを建てるための土地として科したいなら、ある程度は人の往来が見込める場所でないと高い収益は出せません。
もちろん、高い収益が見込めなかったとしても、土地活用をすることで固定資産税の負担を軽減できる可能性はあります。「どれだけの収益を得たいのか」を考えたうえで、適した方法を探りましょう。
土地を自由に使えなくなる
2つ目の注意点は「土地を自由に使えなくなる」ことです。土地を貸すにあたって、定期借地契約を結んだとしても、基本的には賃借人(借りる側)の権利が強く、途中解約はしづらくなっています。
10年など短期での定期借地契約にしておけば、短いスパンで活用法を考えられますが、収益性が低くなるかもしれません。「土地を自分の望むように使える」ことと、「ある程度の収益が見込める」ことのどちらを優先するかを考えましょう。
節税効果が得られない場合もある
3つ目の注意点は「節税効果が得られない場合もある」ことです。前提として、土地を所有している限りは、固定資産税と都市計画税を毎年払わなくてはいけません。また、相続が発生した場合、引き継いだ人が相続税を払う必要があります。
一定の条件を満たす形で土地活用を行うことで、これらの税金を安くできる可能性がありますが、活用方法次第では難しいのも事実です。
賃貸住宅(アパート等)経営 | 小規模住宅用地の特例が適用され、面積200平方メートル以下の部分に対する標準課税が、固定資産税は評価額の6分の1に、都市計画税は同3分の1にそれぞれ軽減される可能性がある。 |
駐車場経営 | コインパーキングであれば、相続税の計算にあたって、その土地に賃貸権が存在するとして、一定の評価減ができる。 ※いわゆる「青空駐車場」では評価減はできない。 |
また、自治体によっては独自に固定資産税の軽減特例を設けていることがあります。ただし、相続税、固定資産税、都市計画税を含め、どのような特例が使えるかは、個々の事例によっても異なるため、税理士や税務署に確認しましょう。なお、自己資金だけでの土地活用にこだわるのではなく、ローンも活用すればより大規模な活用ができるので、前向きに検討しましょう。
土地活用で利用できるローンのメリットや注意点

実際のところ、土地活用をする際は大規模工事、建物建築費、設備投資などの資金に充てるため、ローンを使っている人も一定数います。ここでは、土地活用で利用できるローンの種類について、メリットや注意点にも触れながら詳しく解説します。
事業用ローン
アパート経営や店舗併用住宅(持ち家の一部を店舗用スペースとして使う)を建てる場合、資金調達のために事業用ローンを組む必要が出てきます。基本的にフルローンは組めず、借入総額の10%程度の自己資金がないと審査に通過しづらいので注意しなくてはいけません。ただし、土地評価額と建築費用のバランスによって融資額が上下する部分もあるため、事前に金融機関に相談しましょう。
また、金利は住宅ローンよりも総じて高く、経営が成り立たないと返済が苦しくなります。「ある程度コンスタントに収益が見込めるか」が重要になるため、住居と店舗のどちらにするかを、土地の特性を見極めて決めましょう。
不動産担保ローン
不動産担保ローンといって、自分や親族が所有する不動産を担保にして融資を受ける方法もあります。担保がある分、事業用ローンに比べて低金利であることがメリットです。ただし、返済が滞ると担保にした不動産が売却される可能性が出てきます。不動産担保ローンを利用する際は、事前に以下の点について確認しましょう。
- 審査基準
- 金利・手数料
- 契約内容によっては、ほかの債務者がいても担保として成立するのか
また、事前に利息・手数料など含めた諸費用のシミュレーションを行うのも効果的です。
セゾンの不動産フリーローンは土地活用を考える方にもおすすめ

ローンを上手に活用すれば、大きな初期投資をしなくても土地活用の幅が広がります。「セゾンの不動産フリーローン」なら、自宅以外の不動産を担保に、土地活用を含めたさまざまな用途に就ける資金の融資を受けることが可能です。


サービス概要
セゾンの不動産フリーローンは、自宅以外の不動産を担保として設定することで、一般的な無担保ローンよりも高額・低金利での借り入れが可能となる商品です。また「極度型」のローンであるため、初回に限度額が設定されたあとは、WEBでの申込みで借入ができることから、繰り返し使う場合や急に資金が必要になった場合でもすぐに手続きができます。
なお、ご利用開始までの簡単な流れは以下のとおりです。
- WEBで申込みをする
- 書類を提出し、審査を行う
- 審査に通過すれば契約する
- 契約が完了したら利用が開始される
資金使途は自由
セゾンの不動産フリーローンでは、資金の使用使途は自由になっています。一般的な住宅ローンや目的ローンとは異なり、事業資金や不動産投資、相続対策など幅広い使途で利用可能です。もちろん、以下のように土地活用のための資金として使うこともできます。
- 農園拡張費用
- トランクルーム設置費
- 相続税支払い資金
返済方法が選択可能
返済方法が選択可能なのも、セゾンの不動産フリーローンならではの大きな特徴です。返済方法は、回数指定払い(元利均等返済)と元金据置返済の2種類から選択できます。両者の違いは以下のとおりです。
回数指定払い | 元金据置返済 |
---|---|
借り入れ時に回数(3~70回)を指定 毎月の支払額は一定 繰上返済も可能 | 最終返済回までの約定返済は利息のみ 返済期間の負担を軽くすることが可能 繰上返済も可能 |
まとまったお金が入る時期が決まっているなら元金据置返済を選択すれば、それ以外の月の返済額を抑えられます。逆に、着実に元本を減らすことを重視するなら、回数指定払いを選択しましょう。
東京・千葉・神奈川・埼玉の土地活用に利用可能
セゾンの不動産フリーローンの利用にあたっては、以下の条件を満たす必要があります。
- 自宅以外の土地・建物であること
- 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県(離島を除く)の土地・建物であること
エリアが該当しない場合は別のローンを検討する必要がありますが、該当する場合は利用できる可能性があるため、まずは一度お問い合わせください。


おわりに
土地活用というとお金がかかるイメージを持つ人がいるかもしれませんが、工夫次第では問題なくできます。お金をかけずに土地を使用したいのであれば、まず暫定利用か中長期利用を検討し、必要に応じてローン活用も視野に入れましょう。活用法に迷ったら専門家や金融機関に相談してみるのをおすすめいたします。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。