止まらない物価上昇に対して増えない給与、資産形成の重要性は年々高まっています。とはいえ、いざ投資を始めようと思っても「難しそう」「投資先の選び方がわからない」と悩む人は少なくありません。
そんな人こそ知っておきたいのが、投資に“値上がり以外の楽しみ”を加えてくれる「株主優待制度」です。
今回、元証券ディーラーで投資家の山下耕太郎さんが、株主優待の仕組みといっしょに「2025年3月に権利が確定する株主優待銘柄」を5銘柄紹介します。
「株主優待制度」を導入する企業が増えているワケ

「株主優待」とは、企業が株主に対して提供する特典のことです。企業が株主に感謝の意を示すとともに、株の長期保有を促進するための重要な戦略の一環として提供されている制度です。
2024年9月末時点で株主優待を実施している上場企業は1,494社※。10年前の2014年9月末時点では、1,178社※だったので、多少の上下はありますが、年々増加している傾向があります。このような背景には、以下のような企業の狙いがあります。
※野村インベスター・リレーションズ調べ(株主優待実施企業 実態調査『知って得する株主優待 』 企業アンケート報告書)
1.個人株主の増加
まずは、2024年1月にスタートした「新NISA制度」の普及にともなう個人株主の増加が挙げられます。「投資」への関心が高まっている昨今、個人投資家の関心を引いて関心を引株主の増加を図ろうと、株主優待を導入する企業が増えているのです。
2.安定した株主基盤の構築
また、株の長期保有者が増えればそれだけ株価は安定するため、株主優待によって長期保有を促し、安定した株主基盤を構築したいという狙いがあります。
3.ブランド価値の向上
優待品をきっかけに自社製品やサービスへの理解を深めてもらい、顧客との関係を強化するために株主優待を導入している企業も多くあります。株主優待を通じて“自社のファン”を増やしたいと考える企業が増えています。
株主優待の内容は企業ごとに異なり、自社製品・サービスの割引券のほか、ギフト券やQUOカード、食品をはじめとした自社製品の詰め合わせなど、さまざまな形式があります。
このように、企業にとっても投資家にとっても魅力的な「株主優待」ですが、実際に受け取るためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
株主優待の権利は「権利付き最終日」までの購入が必須

株主優待を受け取る権利があるのは「権利確定日」に「株主名簿」に名前が記載されている株主です。
株主名簿に載るためには、権利確定日の2営業日前である「権利付き最終日」までに希望する企業の株を購入しておく必要があります。
2025年3月の権利付き最終日~優待が届くまでのスケジュールは、下記のとおりです。

出所:マネックス証券「毎月ゲットできるかも!? 2025年株主優待スケジュール」をもとに筆者作成
2025年3月に株主優待の権利が確定する筆者注目の銘柄5選

ここからは、筆者山下が注目する、2025年3月に株主優待の権利が確定する銘柄を5つ紹介します。初心者でも比較的少額から始められるものや、日常生活で使いやすい優待を中心にピックアップしました。
1.ヤマダホールディングス〈9831〉
家電量販最大手のヤマダホールディングス。「ヤマダ電機」は全国47都道府県に店舗を展開する、売上高国内第1位※のリーディングカンパニーです。そんなヤマダホールディングスは、ヤマダ電機の国内各店舗で利用可能な「株主様お買い物優待券」を進呈しています。
なお、家電製品だけでなくリフォームや住宅関連サービスにも利用可能。詳細は下記のとおりです。
※2024年3月末現在 数字で知るヤマダ
100株以上500株未満……年間1,500円分(3月末:500円分、9月末:1,000円分)
500株以上1,000株未満……年間5,000円分(3月末: 2,000円分、9月末:3,000円分)
1,000株以上10,000株未満……年間10,000円分(3月末:5,000円分、9月末: 5,000円分)
10,000株以上……年間50,000円分(3月末: 25,000円分、9月末: 25,000円分)
利用条件:1回の買い上げ金額が税込み1,000円以上の場合、1,000円ごとに1枚(500円)の優待券が利用可能。1回の買い物での利用枚数は最大50枚まで。
権利確定日:3月末、9月末
100株保有に必要な投資金額:45,550円(※2025年1月末日時点)
2.RIZAPグループ株式会社〈2928〉
減量ジム「RIZAP」やコンビニジム「chocoZAP」で知られるRIZAPグループは、少ない投資金額で充実した内容を受けられる点が魅力です。特に「chocoZAP」を利用する人にとってお得な内容となっています。
なお、RIZAPグループの株式は札幌証券取引所(以下、札証)でのみ取引されていますが、札証の銘柄を取り扱っている証券会社を通じての購入が可能です。利用する証券会社が札証の銘柄を取り扱っているかを確認のうえ、取り引きを行ってください。
1.「chocoZAP」利用特典
100株以上:6ヵ月間の利用料が半額
200株以上:6ヵ月間の利用料が無料
400株以上:1年間の利用料が無料
2. 株主優待ポイント
400株以上の保有で、「chocoZAP」の利用が1年無料となる特典に加え、RIZAPグループの商品と交換可能な「優待ポイント」が付与されます。
400株以上:10,000ポイント
800株以上:14,000ポイント
1,600株以上:24,000ポイント
2,400株以上:30,000ポイント
4,000株以上:36,000ポイント
8,000株以上:72,000ポイント
16,000株以上:144,000ポイント
これらのポイントは、RIZAPグループのカタログに掲載された商品や、グループ各社のECサイトで利用可能なクーポンと交換できます。
権利確定日:毎年3月末
100株保有に必要な投資金額:25,000円(※2025年1月末日時点)
3.マツキヨココカラ&カンパニー〈3088〉
2021年に株式会社ココカラファインと経営統合し、日本全国47都道府県に3,400超の店舗網※を持つ、日本最大級のドラッグストアグループである「マツキヨココカラ&カンパニー」。同社は2023年9月30日を基準日として1株を3株に分割しました。
これにともない株主優待制度も変更され、従来の「商品券」の提供から、年2回まで保有株数に応じたポイントを選択できるようになりました。
ポイントは「マツモトキヨシ」「ココカラファイン」をはじめ、自社グループ各店およびオンラインストアで利用可能であるほか、上記ポイント相当額を「公益財団法人そらぷちキッズキャンプ」へ寄付することもできます。
※2021年10月1日経営統合時点 マツキヨココカラカンパニーについて
100株以上500株未満……2,000ポイント
500株以上1,000株未満……3,000ポイント
1,000株以上……5,000ポイント
権利確定日:3月末、9月末
100株保有に必要な投資金額:230,150円(※2025年1月末日時点)
4.明治ホールディングス〈2269〉
チョコレートや乳製品などで広く知られる、菓子・乳業業界大手の「明治ホールディングス」。2023年4月1日に1株を2株に分割したことにともない、株主優待制度が変更されました。
同社は、3月31日時点で100株以上を保有する株主に対し、保有株数に応じて1,500円~5,500円相当の自社グループ製品詰め合わせを進呈しています。日頃から同社の商品に目がない人にとっては非常に魅力的な内容ですね。なお、発送は10月末頃です。
100株以上:1,500円相当
200株以上:2,500円相当
1,000株以上:5,500円相当
権利確定日:3月末
100株保有に必要な投資金額:312,300円(※2025年1月末日時点)
5.日本ハム株式会社〈2282〉
ハム・ソーセージなど、食肉業界最大手※の日本ハム株式会社。同社は、保有株数と保有期間に応じて、自社グループ商品か寄付を選択できます。自社グループ商品とは、ハム・ソーセージの詰め合わせ、レトルトカレーセット、冷凍食品の詰め合わせなど。家族で楽しめる商品がそろっています。
100株以上499株以下
……3月末基準日に、1,500円相当の自社グループ商品または寄付を選択可能。
500株以上
……3月末および9月末の基準日に、以下の内容から選択可能。
・保有期間5年未満:3,000円相当の自社グループ商品または寄付
・保有期間5年以上:5,000円相当の自社グループ商品または寄付
権利確定日:3月末、9月末
100株保有に必要な投資金額: 507,100円(※2025年1月末日時点)
おわりに
株式投資は資産形成の大きな手助けとなるだけでなく、株主優待を通じて日常生活を豊かにしてくれます。
特に3月は魅力的な優待を提供する企業が多いように感じます。「株主優待」を足がかりに、株式投資を始めてみてはいかがでしょうか。自分が「応援したい」と感じるような企業を探してみるのもおもしろいかもしれません。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。