更新日
公開日

20代独身で住宅ローンを背負った元国家公務員…「資産形成・はじめの一歩」での大失敗から学んだこと

20代独身で住宅ローンを背負った元国家公務員…「資産形成・はじめの一歩」での大失敗から学んだこと

老後の不安、インフレ、住宅ローン… 現代人はさまざまなお金の悩みを抱えています。将来に備えて資産形成を始めたいけれど、何から始めたらいいかわからない。そんな人は少なくないでしょう。

本記事では、元国家公務員で1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかりさんが、自身の失敗談も交えながら、賢い資産形成の方法をわかりやすく解説します。

20代独身で住宅ローンを背負った理由

20代独身で住宅ローンを背負った理由

私が初めて社会人として仕事をスタートしたのは国家公務員でした。

最初の所属先は人事系の給与担当でした。当時はできたばかりの施設で職員の採用や転入が非常に多く、とても定時の17時に帰れるものではなかったため、土・日の仕事も当たり前という時期が幾度となくありました。配属から3年間はこのような時期を過ごし、父親が亡くなったのもこのころです。

当時、勤務先と実家は距離がありましたので、勤務先の近くに小さなアパートを借りて一人暮らしをしていましたが、父親が亡くなったことで専業主婦の母を扶養に入れ、一緒に暮らすことに。実家からの自動車通勤になりました。仕事で帰りが夜中になったり、雪の多い地方だったので冬の運転で怖い思いをしたりしたこともたびたびありました。

実家は両親が中古で買った家で、すでにだいぶ古くなっており、建て替えも検討しましたが、私が通勤の不便を申し出たことから、勤務先近くの新築戸建て住宅を購入して引っ越すことにしました。若いながらも住宅ローンを一人で抱えることになったのです。

入庁まもなく加入した、老後のための個人年金保険で大失敗

入庁まもなく加入した、老後のための個人年金保険で大失敗

住宅ローンを抱え、若いうちから老後のことを考えていた私は、働き始めて数年後に、ある保険会社の個人年金に加入しました。しかし当時は保険のことがよくわからず、お昼休みにやってくる保険会社の女性に勧められるがまま加入することになりました。当時はまだ金利のいい時代でしたから、保険会社の方への信頼も厚く、将来は説明されたとおりの金額が受け取れるだろうと思っていましたが、数年後に予想もしなかったことが起きます。保険会社の経営破綻です。超低金利時代に突入し、実際の資金運用利回りが保険商品の予定利率を下回ったことが原因でした。

このころは中堅の保険会社のほか、銀行などの金融機関も多く破綻した時期です。資産は保険契約者保護機構や預金保険機構で決められた金額までは守られます。保険会社の破綻後は受け皿となる保険会社が契約を引き継ぎましたので契約は続きましたが、予定利率は引き下げられることに。結局、私はこの保険を解約し、結果的に資産形成において大きな損失を被ることとなりました。これが、私にとって資産形成のはじめの一歩での大失敗です。

この経験から、私は保険会社や銀行の格付けなどを慎重に確認するようになりました。安易な判断で契約することのリスクを痛感した出来事でした。

30代までにやっておくべき投資とは?

30代までにやっておくべき投資とは?

とはいえ、若いうちにしかできない投資もあります。それは、「自分への投資」です。大転職時代ともいわれるようになった昨今では、やりたい仕事を勝ち取るために自分の強みをどのようにアピールするかが重要になってきています。

私の場合は「資格」が強みになっています。学生のころは事務職を希望していましたが、一般事務ではなく専門の知識のある経理事務を目標としたときは簿記の学習を、コンピュータ関連の仕事をしたいと思ったときは国家試験の合格を目指し勉強しました。

国家公務員を退職後、システムエンジニアとして働いていた際、大企業の会計システムや都市銀行システムを担当したことをきっかけに、日商簿記1級、ファイナンシャルプランナー、高度情報処理技術者試験に続けて合格。仕事をしながら資格試験の学習を続けるのはかなり大変でした。ですが、このときの頑張りが現在の自分を支えています。

私のように資格を強みにする場合、やはり勉強ですから若いうちからチャレンジしたほうが良いでしょう。40代や50代になっていきなり勉強を始めても、よほどの人でないと頭がついていかないと思います。

さらに、資格を取るだけで仕事につながるとは限りません。当然ながら「経験」が問われます。試験に合格したらそれを元に経験を積む、そしてその経験を元にさらに上位の試験に挑む、それが私の30代までのやり方でした。

すでに70代前半の男性の4割以上が働く時代になっています。インフレになった現在、資産形成だけではなく、働いて収入を得続けることはマネープラン上、重要になってきます。どんなに資産があっても、モノの価値が上がることでお金の価値が下がってしまえば将来に不安を感じるでしょう。定年後も仕事を続けることは、今後多くの人にとって他人事ではありません。

将来、どのような仕事をするかも考えて、いまから自分の強みを探してください。

※内閣府「令和6年版 高齢社会白書

資産運用で重要なこと…不確実性の時代、老後資金を作るには?

資産運用で重要なこと…不確実性の時代、老後資金を作るには?

資産運用には、

  1. まとまったお金を運用する方法
  2. 毎月コツコツ積み立てていく方法

の2つがあります。私は主にコツコツ積み立てていく派です。ここで積み立ての注意点をお話ししましょう。

日本の年金は、現役世代が支払っている保険料を年金受給者に支払っている「賦課方式」となっています。そのため現役世代が人口減少で減り続けるこれからは、給付額が減っていくことを防ぐことはできません。

これにより、今後は新NISAやiDeCo等で現役世代のうちに積み立てて将来受け取る「積立方式」との併用が非常に重要です。将来、賦課方式+積立方式で老後の生活を支えていくことになるとすれば、「周りもやっているからなんとなく新NISAで積み立てている」といった方々は非常に危険になります。

そこで「いつまでにいくら作るか」というように、必ず目標額を設定するようにします。目標額を設定すれば、目標額に必要な毎月の積立額や年利などがわかります。そうすると、どんな運用商品を利用すればいいかも見えてくるでしょう。

もちろん、株価は変動しますので、結果は必ずしも目標額とは違ってくると思いますが、目標も立てずになんとなく積み立てを始めてしまうと、途中でやめてしまいがちです。今後の日本では賦課方式の公的年金だけには頼れないことを認識し、将来の生活のためだと思って継続するようにしましょう。

日本はインフレに転じ、日々の暮らしが物価高に悩まされるようになってきましたが、モノやサービスの値段が上がってくると、実質的にお金の価値は下がってきます。

たとえば、毎年2%ずつ物価が上昇していくと、36年後には約2倍の価格になる計算です。ですが、36年後に公的年金の額が2倍になることはまずありません。定期預金の金利もまだまだ低いので、ある程度はリスクを取って投資運用していかないとインフレに負けてしまうことになります。

選択肢を新NISAやiDeCoに限る必要はありません。自分にあった運用で将来の資金作りに励んでください。

まとめ:積立投資、成功のコツ

ときどき「新NISAで失敗した」といったような記事などを目にしますが、積み立ては始めてわずか数年で結果が出るものではありません。目標を立てましょう、と前述しましたが、結果が出るのはこの目標の時期になります。

長期間で見ると株式も債券価格も一時的に落ち込むことはあっても右肩上がりで上昇していますので、積み立てを始めたら時間を味方にして継続することが重要です。

また、運用結果は価格だけで出るものではなく、「価格×量」で決まります。積立期間中にどれだけ多く購入できるのかも重要です。2024年8月に日経平均株価は4,000円以上も下げて歴史的な急落となりましたが、ここで積み立てをやめてしまった人もいるようです。

ですが、本来であれば市場価格が下がったときは買いのチャンス。購入量を増やすことができます。「価格は上がらなければならない」というものではなく、結果を出すためにはむしろ、量を増やすために下がる時期も必要なのです。

なお、日本は金利が上がってきましたね。金利が上がると株価は下がりやすくなるといわれていますが、一喜一憂せずに将来のために積み立ては継続するようにしましょう。

さらに金利上昇で気になるのは住宅ローンです。変動金利型等のローンの利用者は、今後住宅ローンの返済額がアップして、積み立てが継続できなくなることがないように、住宅ローン計画も併せてチェックしておきましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

川淵 ゆかり(川淵ゆかり事務所 代表)

執筆者

川淵ゆかり事務所 代表

川淵 ゆかり

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。国立大学行政事務(国家公務員)後にシステムエンジニアとして、物流・会計・都市銀行などのシステム開発を担当。その後FPとして独立し、ライフプランやマネープランのセミナーのほか、日商簿記1級、CFP、情報処理技術者試験の合格経験を活かして、企業や大学での資格講座・短期大学や専門学校での非常勤講師としても勤める。

みんなに記事をシェアする
PICK UP アイコン

PICK UP

関連記事 アイコン

おすすめの記事