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投資“初心者”からの卒業…株式投資の勝率を上げる「テクニカル分析」入門【一目均衡表編】

投資“初心者”からの卒業…株式投資の勝率を上げる「テクニカル分析」入門【一目均衡表編】

テクニカル分析とは、株式や為替といった金融商品の値動きについて、過去のパターンやトレンドから将来の値動きを予測する手法です。ただ、投資初心者がテクニカル分析を駆使するのは決して簡単ではありません。そこで今回、15年間の証券会社勤務を経て、現在はJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の講師としても活動するCFPの倉橋孝博さんが、テクニカル分析のなかでも独自性の高い「一目均衡表」の読み方を解説します。

干支にちなんだ相場の格言が教える「相場サイクル」

干支にちなんだ相場の格言が教える「相場サイクル」
「辰巳[たつみ]天井、午[うま]尻下がり、未[ひつじ]辛抱、申酉[さるとり]騒ぐ、戌[いぬ]笑い、亥[いのしし]固まる、子[ねずみ]繁盛、丑[うし]つまずき、寅[とら]千里を走り、卯[うさぎ]跳ねる」

これは、相場の世界でよく知られた干支にちなんだ格言です。

「本当に当たるの?」という声が聞こえてきそうですが、意外と侮れません。

バブルの絶頂期、日経平均株価が3万8,915円(終値)を付けたのは1989年の巳年。同じ巳年の2013年には、アベノミクスと黒田バズーカによって“超”の付く爆騰が起こりました。昨年(2025年)も、4月にはトランプ関税で3万円近辺まで急落したものの、10月には史上初の5万円を突破する大活況……。

では、午年はどうかというと、あまり芳しくありません。1990年はバブル崩壊のあおりを受け、40%近く暴落。2002年も長引くデフレから抜け出せず、20%近く下落しました。まさに「相場の格言」恐るべし、です。

こうしてみると、干支ごとに特徴的な値動きが現れているように見え、株式投資は簡単に思えるかもしれません(実際にはなかなか儲からないのですが)。

とはいえ、午年にも明るい話題はあります。1990年は暮れの有馬記念で怪物オグリキャップが引退レースを勝利で飾り、2002年はサッカーW杯で日本代表が初のベスト16入り。2014年は前年のアベノミクスと強力な金融緩和を引き継ぎ、日経平均株価は上昇しました。

一方、海外ではウクライナや中東で紛争が続き、トランプ政治は混迷を深めています。国内でもインフレ傾向に歯止めがかからず、日中関係も不安定になるなど、マーケットを取り巻く環境は不確実性を増しています。

政治経済や景気動向、金融政策などの先行きが読みづらいと、株価予想はどうしても難しくなるもの。こうした局面で活用したいのが「テクニカル分析」です。

過去の値動きから未来を予測する「テクニカル分析」

過去の値動きから未来を予測する「テクニカル分析」

テクニカル分析とは、過去の株価チャート(株価をグラフ化したもの)をもとに傾向やパターンを読み取り、将来の値動きを予測する手法です。

たとえば、「25日移動平均線が下降から上昇に転じたから買いだろう」「この銘柄は20日下がると、その後20日上がる傾向がある」などと判断するイメージです。

これに対し、経済状況や社会情勢、企業業績などから株価を予測するのが「ファンダメンタルズ分析」です。「中央銀行が強力な金融緩和を続ける見通しだから株価は上がりやすい」「この会社の新製品はヒットしそうだから、今が買い時かもしれない」などと判断していきます。

先ほども触れたように、現在のマーケット環境は内憂外患。こういうときこそ、テクニカル分析の出番です。

テクニカル分析には、ローソク足や移動平均線、ボリンジャーバンドなど多くの手法があるなか、今回は“知ると投資が楽しくなる”といわれる「一目均衡表」を紹介しましょう。

相場の転換点が予測できる?「一目均衡表」とは

相場の転換点が予測できる?「一目均衡表」とは

「一目均衡表」とは、昭和初期、当時新聞記者だった細田悟一氏(ペンネーム:一目山人[いちもくさんじん])が中心となって編み出された分析手法です。「相場がひと目見てわかるチャート」ということから名づけられ、現在では海外のファンドマネージャーからも広く支持されているといわれています。

一目均衡表は、転換線・基準線・先行スパン①・先行スパン②・遅行スパンという5つの線で構成されます。まずは、それぞれの線の意味を確認しておきましょう。

転換線……過去9日間の最高値と最安値の平均値。
基準線……過去26日間の最高値と最安値の平均値。
先行スパン①……基準線と転換線の平均値を26日先行させたもの(例:1月5日の数値を2月10日に移動させ線を引く)。
先行スパン②……過去52日間の最高値と最安値の平均を26日先行させたもの。
遅行スパン……当日の終値を26日前に繰り戻したもの(例:1月5日の数値を11月26日に繰り戻し線を引く)。
 
※日数は営業日で、当日を含む。

そして、一目均衡表で大切なのが「雲(抵抗帯)」と呼ばれる、先行スパン①と先行スパン②に挟まれた部分です。

[図表1]は、ある銘柄の昨年7月16日から12月30日までの一目均衡表です。図中緑色で塗りつぶされている部分が「雲」にあたります。

[図表1]一目均衡表の「5つの線」と「雲」
[図表1]一目均衡表の「5つの線」と「雲」
出所:筆者作成

この一目均衡表からは、さまざまな情報を読み取ることができます。まずは基本から。基準線(紫線)が上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドと判断できます。

[図表2]基準線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド
[図表2]基準線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド
出所:筆者作成

また、ローソク足が基準線(紫線)の上にあれば強気相場、下にあれば弱気相場とみることができます。これもわかりやすいポイントです。

[図表3]ローソク足が基準線の上なら強気相場、下側にあれば弱気相場
[図表3]ローソク足が基準線の上なら強気相場、下側にあれば弱気相場
出所:筆者作成

線が交差したところが相場の「変わり目」

ここから少しずつ難しくなりますが、順を追ってみていきましょう。

転換線(赤線)と基準線(紫線)が交わるところは、相場の変わり目となることがあります。まず、①転換線(赤線)が基準線(紫線)を上抜けることを「好転」と呼び、これは上昇相場入りのサインとみることができます。

逆に、②転換線(赤線)が基準線(紫線)を下抜けることを「逆転」と呼び、これは下降相場入りのサインです。

[図表4]「好転」なら上昇相場、「逆転」なら下降相場
[図表4]「好転」なら上昇相場、「逆転」なら下降相場
出所:筆者作成

また、遅行スパンがローソク足を上回った場合も「好転」とされ、これも上昇相場入りのサインと捉えられます。逆に下回った場合は「逆転」で、下降相場入りの可能性が高くなります。

[図表5]遅行スパンがローソク足を下から上に抜けた「好転」のケース
[図表5]遅行スパンがローソク足を下から上に抜けた「好転」のケース
出所:筆者作成

“最強の買いシグナル“「三役好転」と、相場のカギを握る「雲」

“最強の買いシグナル“「三役好転」と、相場のカギを握る「雲」

ところで、大相撲にある「三役揃い踏み」という儀式をご存じでしょうか。これは千秋楽、結びの三番前に、東西の力士が3人ずつ土俵上で四股を踏み、これからの熱戦にむけて花を添え高揚感を高めるものです。

実は、一目均衡表にもこれになぞらえた“最強の買いシグナル“といわれる「三役好転」というものがあります。一目均衡表における三役とは、次の3つです。

1.転換線が基準線を上抜ける「好転」
2.遅行スパンがローソク足を上抜ける「好転」
3.現在のローソク足が雲(抵抗帯)を上抜ける「好転」
[図表6]三役好転
[図表6]三役好転
出所:筆者作成

この三役好転はそれぞれ2~3日のタイムラグがあり、3番目の「現在のローソク足が雲(抵抗帯)を上抜ける」をもって“揃い踏み”となります。この現象が現れると、上昇相場入りの確度はかなり高いとされます。一目均衡表でも、三役が揃う瞬間は思わずワクワクしてしまう場面です。

もちろん反対に、最強の売りシグナルになる「三役逆転」も存在します。こまめにチェックするといいでしょう。

「雲」は相場の支えにも壁にもなる

そしてなんといっても一目均衡表で肝となるのが「雲(抵抗帯)」の存在です。天気でも雲の上は晴れ、雲の下は曇りや雨になりやすいものですが、一目均衡表の雲も然り、同じような性質を持っています。

「雲」の上に株価があると、相場は上昇しやすくなります。仮に下落しても、雲の上限で下げ止まることもあり、雲がクッションの役割を果たしてくれます。

当然、株は上げ続けるわけではなく調整局面もありますが、そんなとき、株価は往々にして雲の中に入っています。雲の中は「気迷い相場」であり、まだエネルギーが残っていれば雲の下限で下げ止まり、再度、上昇に向けたチャレンジが始まります。しかし、いったん雲を下抜けてしまうと、しばらくは軟調な展開が続きやすくなります。

逆に、株価が雲の下にある銘柄は、株価がいくら上昇しても雲の下限で跳ね返されるケースが多くなります。積乱雲のように分厚い抵抗帯がある場合は、上昇相場入りには相当のパワーが必要です。

ただし、雲には薄くなっている部分や、ねじれている箇所があります。これらは良くも悪くも相場の変わり目になりやすい場所です。飛行機が雲の薄い部分を通過するときにあまりパワーを必要としないように、一目均衡表でも不思議と株価はその部分を狙って動いています。

[図表7]雲の薄い部分やねじれた箇所は相場が変わりやすい
[図表7]雲の薄い部分やねじれた箇所は相場が変わりやすい
出所:筆者作成

午年相場を“駆け抜ける”ために

午年相場を“駆け抜ける”ために

今回は、一目均衡表の基本的なポイントを紹介しました。基本とはいえ、これだけでも一目均衡表の奥深さや面白さを感じていただけたのではないでしょうか。

もちろん、一目均衡表は万能ではありません。ときには“騙し”もありますが、まずは基本を押さえることで、投資成績の向上にきっと役立つはずです。

さて、日経平均株価の一目均衡表は現在「雲」の上にあり、12月中旬以降は雲の上限に沿って推移してきました。年明けはやや雲から上放れ、巡航速度で飛行しているような落ち着いた動きがみられます。

なお、雲は1月下旬から2月上旬にかけて薄くなるため、この期間は注意が必要かもしれません。

マーケットは「生き馬の目を抜く」一面があります。一目均衡表という新たなスキルを身につけ「午尻下がり」を吹き飛ばすべく、みなさんの株式投資が“うま”くいくことを心から願っています。

倉橋 孝博 (株式会社くらはしFP事務所 代表取締役)

執筆者

株式会社くらはしFP事務所 代表取締役

倉橋 孝博

大学を卒業後、15年間証券会社に勤務。2009年、CFP®を取得。企業などで開催する「マネープランセミナー」や「資産運用講座」は、わかりやすく情熱のこもった内容で高い評価を得ている。また、J-FLEC(金融経済教育推進機構)講師としても活躍。平成28年度金融知識普及功績者表彰。家族は妻と1男2女の5人。【保有資格】CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員1種

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