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過去最大規模の予算!リフォーム補助金の実態を紹介

過去最大規模の予算!リフォーム補助金の実態を紹介
福田 善紀 (株式会社リフォーム産業新聞社 取締役報道部長 企画開発部部長)

執筆者

株式会社リフォーム産業新聞社 取締役報道部長 企画開発部部長

福田 善紀

北海道函館市出身。明治大学卒業後、2003年飲食店経営者向け情報紙「調理と経営」入社。グループ内異動により、賃貸業界向け専門新聞社を経験後、2008年に「リフォーム産業新聞社」入社。2020年3月取締役に就任。過去取材件数は1,000社を超える。

近年、国や自治体はさまざまなリフォーム向けの補助金制度を設置しています。特に2025年は、省エネリフォームを検討している方にとって大きなチャンスです。家庭の省エネ化を促進するため、断熱改修や省エネ設備の導入など「省エネ住宅へのリフォーム」に対して、手厚い支援が受けられるキャンペーンも始まっています。2025年に利用できる補助金制度をリフォーム業界に詳しい専門家がご紹介します。

過去最大級!住宅リフォームに使える補助金

過去最大級!住宅リフォームに使える補助金

「2,380億円」、この額は2025年に国土交通省、経済産業省、環境省の3つの省が合同で行っている補助事業「住宅省エネ2025キャンペーン」でリフォームに活用できる補助金の予算額です。この予算額は過去最大クラスの規模で、断熱改修や省エネ設備の導入などに対して、補助金が交付されます。

「住宅省エネキャンペーン2025」とは、新築やリフォームを通じて、家庭の省エネルギー化を強力に推進する国の補助金制度です。一部の新築住宅を除いて、子育て世帯に限らずすべての世帯が対象となります。

具体的には、以下の4つの事業から補助金が交付されます。

  • 子育てグリーン住宅支援事業
  • 先進的窓リノベ2025事業
  • 給湯省エネ2025事業
  • 賃貸集合給湯省エネ2025事業

例えば、「先進的窓リノベ2025事業」では、既存の窓の内側に付ける「内窓」等の設置に対し、工事にかかった費用の2分の1相当、最大200万円の補助金が交付されます。また、「給湯省エネ2025事業」では、省エネ性能が高い給湯器の交換に対し、6万円から20万円の補助金が交付されます。また、上記以外にも既存住宅のリフォームに対する補助金制度があります。

※参照元:住宅省エネ2025キャンペーン

「住宅省エネキャンペーン」が始まった背景

「住宅省エネキャンペーン」が始まった背景

そもそもなぜこうした手厚い補助金制度が設けられたのでしょうか。背景にあるのは、「2050年カーボンニュートラル」の実現です。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの実質的な排出量=0となった状態のことです。

2020年10月、当時の総理大臣菅義偉氏は臨時国会の所信表明演説で2050年までに国内の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル宣言」をしました。

この宣言を実現するために、省エネの徹底と再生可能エネルギーを最大限に導入し、2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減することを目指しています。

特に家庭部門は、産業や運輸など他の部門に比べ、削減の必要性が高く2013年度比で66%のCO₂削減が求められています。

CO₂削減を進めるには、家庭で消費するエネルギーの削減が重要課題となります。資源エネルギー庁の「エネルギー白書2024」によると、家庭内で消費されるエネルギーの割合として特に大きいのは、「給湯(27.2%)」と「暖房(25.3%)」とされています。(2022年度実績)

給湯器を省エネタイプに変えて、利用するエネルギーを減らすことや、住まいの性能や断熱性を高めて暖房の利用を減らすこと、が、家庭でのCO₂削減に大きく貢献できるのです。

こうした理由から、2023年より「住宅省エネキャンペーン」が開始され、住宅の熱の出入り口となっている窓の断熱リフォームや、性能の高い給湯器への交換に補助金が支給されるようになりました。続く2024年、2025年とキャンペーンは継続して実施されています。

参照元:資源エネルギー庁|「令和5年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2024) HTML版

注目の補助金制度をご紹介!

注目の補助金制度をご紹介!

それぞれの補助金制度について詳しくご紹介します。

子育てグリーン住宅支援事業

「子育てグリーン住宅支援事業」は、国土交通省が実施している補助事業で予算総額は400億円です。窓などの開口部や躯体の断熱工事、エコ住宅設備の設置、防災性向上工事、エアコンの設置等に対して1戸当たり最大60万円の補助金が支給されます。

①開口部の断熱改修(ガラス交換、外窓交換、内窓設置など)
②躯体の断熱改修(外壁、屋根・天井または床)
③エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、節水型トイレ、高効率給湯器など)

上記の3種類の工事のうち2つの工事を行うことが必須です。その上で④子育て対応改修、⑤防災性向上改修、⑥バリアフリー改修、⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置、⑧リフォーム瑕疵保険等への加入でも任意で補助が受けられます。

先進的窓リノベ2025事業

「住宅省エネキャンペーン2025」の中で、特に予算の大きいものが、環境省が実施している「先進的窓リノベ2025事業」です。

「先進的窓リノベ2025事業」の予算総額は1,350億円で、1戸当たりの最大補助額は200万円と高額です。具体的には、窓ガラス交換、内窓の設置、既存の外窓、玄関ドアなどの交換に対して、費用の2分の1相当、最大200万円の補助金が支給されます。

自治体が独自に設置しているリフォーム補助制度と併用できるケースもあり、場合によっては、窓の工事費の8割以上の補助を受けられるケースもあります。

特に内窓設置に利用されるケースが多く、高性能な窓ほど補助金額が大きくなります。たとえば、2.8平米以上の大きな窓では最大10万6千円が補助されます。冬場は、室内の熱の約50%が窓から逃げるため、内窓を1枚追加することで、熱の流出をしっかり食い止めることができます。

給湯省エネ2025事業

「給湯省エネ2025事業」は経済産業省が実施している補助事業で、エコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファームの3種類の給湯器に対し、それぞれ6万円/台、8万円/台、16万円/台の補助金が支給されます。

天気などで沸き上げの時間などを調整できる機種(A要件)やCO₂排出量が少ない機種(B要件)に対しては条件を満たすと加算補助があり、A要件は1台当たりプラス4万円、B要件はプラス6万円の補助が設定されています。

A要件とB要件の両方を満たす場合や、もともと使用していた電気蓄熱暖房機と電気温水器の撤去費用も補助対象になる場合があります。

その他のリフォーム支援制度

ご紹介した「住宅省エネキャンペーン2025」のほかにも、既存住宅が対象となる断熱リフォームに対して最大120万円が支給される「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」や、基準を満たす省エネリフォームに対して最大160万円が支給される「長期優良住宅リフォーム推進事業」など、近年はリフォームにおいてさまざまな補助金制度が設置され、工事費用の負担を軽減できます。

おわりに

現在、リフォームに使える補助金制度は各省庁や関連団体、自治体などで数多く設置されています。リフォームを行う際は、事前にどんな補助金制度があるか、しっかり調べてから実施することをおすすめします。工事内容や仕様を少し変えるだけで補助金の対象となるケースもありますので、ぜひプロに相談しながら、後悔しないリフォームを計画してください。

 

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