「インベストインキシダ」を追い風に!

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「インベストインキシダ」を追い風に!

1.中央銀行との蜜月は終わった

ロシアのウクライナ侵攻が始まって早や3ヵ月超が経ちましたが、いまだ終結の行方が見えぬままで、対露経済制裁の影響が資源エネルギー価格を押し上げ、世界的なインフレ高進を招いていることは周知の通りです。

今回のインフレはコストプッシュ型で、物価上昇が需要を減殺して実体経済の活気を損なう類の悪性です。従って各国中央銀行は、コロナ禍中で推進してきた金融緩和政策を引き締めに転換させる必要に迫られて、金利を引き上げることで物価上昇を抑え込むことを喫緊の課題としています。これまで短期筋の投資家は、コロナ禍での経済失速を防ぐことに政策主軸を置いてきた中央銀行に、景気回復の勢いが鈍って株価が調整に向かうと緩和政策を強化してくれるという暗黙知の安心感を委ね、GAFAMに代表されるハイテク成長株を買いまくってきましたが、インフレ進展に呼応した金利上昇によって、低金利前提の割高な株価評価が上昇した金利で評価し直される水準訂正を余儀なくされ、大きな下落に見舞われることになったのです。

現状のインフレ水準はやがて落ち着いてくるでしょうが、世界の経済構造が金融緩和下のディスインフレからインフレ前提時代に転換していくとすると、大きな値上がり期待で早々に儲けようと割高成長テック株に偏重していた俄か投資家にとっては、同じ環境には当分戻らない逆風が続くのかもしれません。

2.インベストインキシダの意図は?

他方、こうした浮利を追わず適正中立な株価水準での投資を旨とする本格派の長期投資家にとっては、インフレ鎮静をリバウンド期と想定して、今は安くなった市場で将来に向けた仕込みを積み上げる好機と捉えて、あとはじっくり待機するだけです。長期積立投資家にとって、コツコツ淡々とツミタテを続けることが大切な時期であるわけです。

さて、こうした市場環境下で岸田首相が突如打ち出したスローガンが、「インベストインキシダ」演説の中で言及された「資産所得倍増プラン」で、この趣旨は国民生活者長期資産形成を一層促して、長期投資によってお金を育てる、すなわち投資リターンを日本国内で倍増させたいとの意思表明であることに間違いありません。

総理が提唱する「新しい資本主義」における日本経済の成長戦略として、長期投資によるリターン(金融所得)を生活者に広くあまねく享受してもらうことで、そこでの所得増を国内消費喚起へとつなげ、需要増で日本の産業界を活性化させ経済成長軌道に導くことを意図しているはずです。

3.資産所得倍増に向けて

岸田総理は演説の中で、具体的に「NISA制度の抜本的拡充」と述べています。本格的な長期資産形成を支える制度として、文字通り資産所得倍増を目指し充実を図るならば、「つみたてNISA」の非課税限度額を倍増、或いは現行一般NISAと同額の120万円まで拡大して、この制度がエンドレスで安心して活用できるよう時限立法を恒久法に改める方向へと動くことでしょう。おそらく厚生労働省もこの流れを受けて、iDeCoの制度拡充を進めるだろうと予想します。

さてもう一つの観点は、岸田政権が国内産業界と資本市場の活性化も目論むかどうかです。これまで「つみたてNISA」活用にあたっては、金融庁も世界経済の成長を取り込む国際分散投資を勧奨してきました。それが曲解されてか、米国インデックスファンドにさえ投資していればあとはいらない、といった風潮が助長されていますが、このままだと制度拡充の成果がいわば「インベストインバイデン」にしかつながらなくなってしまうわけで、生活者の資金を日本経済の再起に資する長期産業資本としても活用すべきと見据えるならば、今回は一定割合を国内株式市場に振り向ける国策展開も考えるべき時にあるのではないでしょうか。

4.長期投資家の出番!

我々長期投資家にとって、「インベストインキシダ」政策は朗報です。世界の経済成長を養分に自らのお金を育てて行く長期国際分散投資は、引き続き生活者の資産形成手段の中核であるべきでしょう。併せて競争力ある日本企業がより強くなり、国内資本市場が活性化する方向にも生活者資金が主役として機能するようになるなら、資産所得増大が日本経済の成長軌道を再現させる、理想的なインベストメントチェーンのサイクル構築を可能とさせるはずです。(セゾン投信 NEWSLETTERより)