フラット35には全期間固定金利、保証料・保証人が不要、繰り上げ返済手数料が無料などのさまざまなメリットがある一方で、注意点もあります。このコラムでは安心して住宅ローンが利用できるようにフラット35の特徴やメリット、注意点ならびに、利用条件・審査基準について解説します。
本記事に記載の金利条件等は2021年9月時点の内容です。
フラット35の4つの特徴
フラット35とは、全国300以上の金融機関と住宅金融支援機構が提携して取り扱う「全期間固定金利型住宅ローン」です。フラット35には、長期優良住宅など品質の高い住宅の取得をサポートする「フラット35S」や、中古住宅で要件を満たすリフォームを実施する場合に金利の引下げを一定期間行う「フラット35リノベ」などがあります。ここでは、フラット35の特徴をご紹介します。
1.全期間固定金利型住宅ローン
フラット35の大きな魅力は「全期間固定金利型住宅ローン」であることです。全期間を通じて金利が固定されているので、返済金額に変動がなく、返済計画が立てやすいことが特徴です。
変動金利の場合は金融情勢の変化に伴い金利も変動するため、借入後に市場金利の変動より返済額が増減します。一方、フラット35は全期間の金利が固定されており、景気の情勢によって月々の返済額が変わることはありません。
2.全国300以上の金融機関が提携
フラット35は、全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して取り扱っています。取り扱う金融機関も多いため、お客様にあった金融機関を選ぶことができます。
フラット35には、「フラット35(買取型)」と「フラット35(保証型)」の2つがあります。
フラット35(買取型)とは、金融機関が融資実行後、住宅金融支援機構がその住宅ローン債権を金融機関から買い取り、住宅金融支援機構が債権者となる商品です。
フラット35(保証型)とは、金融機関が提供する住宅ローンに住宅金融支援機構の住宅融資保険(保証型用)を付保した商品です。これは利用者が万が一、返済できなくなった場合に、住宅金融支援機構が金融機関に対して保険金を支払う仕組みになっています。金利や融資事務手数料はもちろん、商品性も取扱金融機関ごとに特徴があります。
なおフラット35(買取型)は多くの金融機関が取り扱っていますが、フラット35(保証型)を取り扱っている金融機関は、限られています。
3.金融機関により金利が異なる
フラット35(買取型)及び、フラット35(保証型)は、金融機関により金利が異なります。したがって、利用する際は各金融機関の金利を比較検討することが必要です。
4.フラット35は、全期間固定金利
フラット35と民間住宅ローンにはさまざまな違いがあります。例えば、民間住宅ローンは変動金利や固定期間選択型など金利のタイプを選べますが、フラット35は全期間固定型のみの取り扱いです。
また民間住宅ローンでは借入する際の保証料がかかる場合もありますが、フラット35は保証料が無料です。さらに民間住宅ローンの審査基準とも異なり、民間住宅ローンの場合は収入の安定性など金融機関独自の審査基準ルールがありますが、フラット35は基準となる年収に対する総返済負担率などがあらかじめ明示されております。フラット35(買取型)については、年収に対する総返済負担率は、すべての金融機関で一律です。
フラット35の6つのメリット
一般的に民間の金融機関では、市場金利上昇リスクを鑑みると、35年など長期にわたる全期間固定金利で住宅ローンを提供するのは難しいとされています。対して、フラット35(買取型)は住宅金融支援機構が民間の金融機関から住宅ローンを買い取り、不動産担保証券(MBS)として証券化を行うことにより金利上昇リスクを金融機関が負うことがなくなるため、金融機関は、長期間の住宅ローンを提供することができます。
ここでは、「全期間固定金利」を始めとするフラット35のメリットを6つご紹介します。
1.全期間固定金利なので安心
フラット35の最大の魅力は「全期間固定金利」という点です。融資時点で借入金利と返済額が確定します。この金利と返済額は返済終了時まで変わることはありません。住宅ローンの返済中に市場金利が上昇しても、連動して借入金利が上がることはないため、今後のライフプランが立てやすいのも魅力のひとつです。
また提供元は公的機関である住宅金融支援機構及び、住宅金融支援機構が認めた金融機関なので、信頼性が高いのも大きな魅力であり、選ばれる理由といえるでしょう。
2.安心して住める家づくりを応援
フラット35は多彩なプランを提供し、安心して住める家づくりを応援してくれます。長期優良住宅など長く居住できるクオリティの高い住宅の取得や、中古住宅をリノベによりグレードアップした住宅の購入をサポートしているのです。地方公共団体とも連携し、子育て家庭や移住者が地域に根差せるような支援も行っています。内容は下記のとおりです。
【フラット35の金利引き下げプラン】
プラン名 | 内容 | 金利の引き下げ率 |
フラット35 S | 長期優良住宅など省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得する際に、借入金利を一定期間引き下げる | フラット35の借入金利から▲0.25% (当初10年間または当初5年間) |
フラット35 リノベ | ・中古住宅を購入して一定の要件を満たすリフォームを行うと借入金利を一定期間引き下げる制度 ・住宅事業者が一定の要件を満たすリフォームを実施した中古住宅を購入する場合も適用 | フラット35の借入金利から▲0.5% (当初10年間または当初5年間) |
フラット35 地域連携型 | ・子育て世帯や地方移住者等に対する支援を行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携 ・地方公共団体が実施する住宅取得のための補助金交付などの支援とあわせて、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる | 地域連携型は、 フラット35の借入金利から▲0.25%(当初5年間) 地方移住支援型は、 フラット35の借入金利から▲0.30%(当初10年間) |
3.保証人不要、繰り上げ返済手数料も無料
フラット35を利用する際に保証人は不要です。また返済中に繰り上げ返済や返済方法の変更を行う場合も手数料無料です。資金に余裕ができたときは、手数料を気にせずに返済できます。民間住宅ローンの繰り上げ返済を行う場合、5,000円から3万円程度の手数料がかかる場合があります。
なおフラット35(買取型)の一部繰り上げ返済の返済額は、利用者向けインターネットサービスを利用した場合は10万円以上、取扱金融機関の窓口で返済する場合は100万円以上から可能です。インターネット上で簡単に手続きができるので、わざわざ金融機関まで出向かなくても繰り上げ返済ができるので大変便利です。
4.万が一のときにも安心サポート
住宅ローンの契約者に万一のことがあった場合のために、フラット35(買取型)では、機構団体信用生命保険(機構団信)や3大疾病保障付機構団体信用生命保険(3大疾病付機構団信)を用意しています。
フラット35(保証型)では、各取り扱い金融機関の団体信用生命保険が用意されており、加入者が死亡あるいは各保険プランに定められた所定の状態になった場合などに保険金により債務充当されるため、以後の返済が不要となります。
また返済が困難になった場合も利用者の事情に合わせて返済方法を相談できるので、不慮の事態が発生しても安心です。
5.団体信用生命保険(団信)の加入は任意
通常の民間住宅ローンでは、団信の加入は義務付けられているのが一般的です。一方フラット35において、団信の加入は任意です。保険料の負担を減らすため、あえて団信に加入しないでフラット35を利用する人も少なくありません。しかし、団信に加入しない場合は不測の事態に備えた対策が必要になります。
6.自営業・個人事業主でも利用しやすい
一般的に会社員に比べて自営業・個人事業主の場合は独自の審査基準が定められています。また自営業・個人事業主は収入がその時の事業の状況に大きく左右されるため、民間住宅ローンでは審査に通るのが難しいケースもあります。
その点フラット35の審査は自営業・個人事業主の場合も独自の基準が定められていないため、利用しやすい住宅ローンといえるでしょう。
フラット35の3つの注意点
フラット35の返済期間は最長で35年という非常に長い期間であるうえ、借入金額も高額なため、利用にあたっては注意点を確認しておく必要があります。ここでは、フラット35の注意点について解説します。
1.市場金利が低下しても金利が下がらない
「全期間固定金利」は、状況によっては不利になることもあります。フラット35は市場金利が大幅に下がったとしても、変動金利型の住宅ローンのように金利は下がらず、決められた金利で返済が続きます。つまり金融情勢の影響を受けないため、市場金利が低下しても金利が下がりません。
しかしフラット35を既に利用している場合でも、改めてフラット35を契約し、残債務を借換えることで新たな金利での返済が可能です。金融情勢が大きく変化し、金利に大きな影響が出たときは、フラット35の借換えを検討しましょう。
ただし、借換えはあくまで新規に借入れを行うこととなりますので、事務手数料、登記費用などの諸費用がかかります。借換えした際の返済額の軽減額と、契約時にかかる諸費用のバランスを見ながら検討することが必要です。
2.住宅は、フラット35の技術基準を満たしていなければならない
フラット35を利用して借入をする住宅は、基準となる住宅の要件に適合していなければなりません。購入する住宅に関して住宅金融支援機構が独自の技術基準を設けており、その基準を満たしている必要があります。なお、技術基準は、住宅金融支援機構のホームページで確認できます。
技術基準を住宅金融支援機構に証明するには「適合証明書」という書類を提出しなければならず、そのための検査費用も自己負担となります。負担はありますが、長く居住するための大切な住宅購入だからこそ、技術基準を満たしていることで安心につながるのではないでしょうか。
3.手持ち金が少ないと借入総額が増える、金利が高くなる
手持ち金とは、住宅取得の際に、ローンなどの借入れ以外で支払う自己資金のことです。手持ち金が少ないと借入総額も増え、相対的に総返済額も高くなります。フラット35では、手持ち金を入れることで金利が下がる商品もあるため、手持ち金が少ないと金利が高くなることがあるため注意しましょう。
逆にフラット35(保証型)においては、一定の割合を手持ち金として用意することで、より低い金利が適用される商品もあります。手持ち金が多いほど、金利が低くなるため、総返済額が少なくなります。
考え方次第ですが、計画的に手持ち金を入れて将来にわたる生活設計に見通しを立てることは、安心につながるといえます。
団信に加入することで得られる3つのメリット
団信に加入すると、万が一、加入者が死亡した場合、返済は残された家族には引き継がれず、保険から支払われることになります。つまり契約者が死亡するなど不測の事態が生じても、そのまま住み続けることができます。
フラット35の機構団体信用生命保険制度は、機構団体信用生命保険(機構団信)、3大疾病保障付機構団体信用生命保険(3大疾病付機構団信)の2種類です。なおフラット35(保証型)の場合は機構団信ではなく、各金融機関が用意する団信制度があります。
1.加入者に万が一のことがあった場合は返済が不要
フラット35(買取型)で機構団信に加入すると、加入者が死亡あるいは所定の身体障害状態になった場合に、住宅ローンの残りの返済が不要になる制度です。
長い返済期間の間には何があるわからないため、十分な資産がある場合を除いては、団信に入っておいた方が安心でしょう。フラット35(保証型)の団信は、金融機関によって保障内容が異なるため、事前に確認することをおすすめします。
2.大疾病保障で生活が圧迫されない
フラット35(買取型)で利用できる3大疾病付機構団信とは、加入者が死亡あるいは所定の身体障害状態になった場合や3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)が原因で一定の要件にあてはまった場合、または所定の要介護状態などになった場合、住宅ローンの残りの返済が不要になる制度です。
フラット35に加入した時点では健康に問題がなくても、加齢とともに健康状態が悪化することも十分に考えられます。3大疾病付機構団信に加入していれば、加入者ががんになった場合のほか、急性心筋梗塞や脳卒中を起こした場合に住宅ローンの残債を支払う必要がなくなり、生活が圧迫されません。
またフラット35(保証型)であれば金融機関によって、がん、急性心筋梗塞、脳卒中をはじめとする8大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)を保障するプランや、その他の病気・ケガまで保障するプランを選択できるものもあるため、あらかじめチェックすると良いでしょう。
3.保険期間が長いので安心が続く
団信は保険期間が長いため、長期にわたる借入期間中に、万が一の事態に備えることができ、安心して過ごすことができます。住宅ローンの返済期間は最長で35年間と長期にわたるため、住宅ローンの利用者は、万が一の事態のリスクに備えるためにも、団信への加入をおすすめします。
フラット35の利用条件と審査基準
フラット35を利用する場合には、2つの要件を満たさなければなりません。それは、「申込人」と「住宅」に関する要件です。一般の住宅ローンでは住宅の技術基準に関する要件は規定されていないことが多く、フラット35独特のものともいえます。ここでは、「申込人」と「住宅」の両方について、それぞれの要件をご紹介しましょう。
1.申込時の年齢が満70歳未満
フラット35の申し込みは、満70歳未満の方が対象です。またフラット35では完済時の年齢は80歳までなので、最長の借入期間は申込時の年齢から80歳までの期間です。なお親子リレー返済を利用する場合は、後継者となる連帯債務者を追加することで、満70歳以上の方も申し込むことができます。
2.年間合計返済額の割合が基準を満たしている
フラット35では、年収に占める年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が基準を満たしている必要があります。フラット35の基準は下記のとおりです。
年収 | 400万未満 | 400万以上 |
総返済負担率 | 30%以下 | 35%以下 |
このように、年収400万円をラインとして、総返済負担率に違いがあります。無理のない返済を続けるために基準とされているものです。なお、この基準は住宅ローンの返済金額だけではなく、自動車ローン、教育ローン、カードローンなど返済が継続するすべての借入れの返済金額を含めて算出されるので、ご注意ください。
3.居住目的の住宅購入が対象
フラット35は、自ら(親族も含む)が居住・利用する目的で購入する住宅が融資の対象です。したがって、投資用物件など事業を目的とした住宅の取得には利用できません。違反が発覚した際には借入金額全額を一括返済しなければならないので注意しましょう。
4.機構が定めた技術基準に適合する住宅
フラット35の借入対象となる住宅は、住宅金融支援機構が定めた技術基準を満たすこと、物件検査を受けていること、適合証明書の交付がされていることが条件となります。
審査される技術基準は、住宅の断熱性や耐久性など。適合している技術基準によって、フラット35Sの適用が異なります。適合証明書の発行手数料は申込人の自己負担です。
借換えなら「セゾンのフラット35(保証型)」がおすすめ
住宅ローンの借換えでフラット35を利用する場合は、団信の保障内容が充実しているクレディセゾンが提供する「セゾンのフラット35(保証型)」がおすすめです。申込人またはご親族が居住する住宅の借換え資金として利用することができます。最長35年(全期間固定金利)の借入期間、保証人・保証料不要、繰り上げ返済手数料も無料です。
相談申込みがWEBから可能
セゾンのフラット35(保証型)は、WEBで借換えの相談申込みができます。なおセゾンのフラット35(保証型)の申込要件は以下のとおりです。
1.利用できる方
- お申し込み時の年齢が満70歳未満で、約定完済時の年齢が満80歳未満の方
- 日本国籍または永住許可を有する方
- セゾンのフラット35と、その他の借入金を合わせたすべての年間返済額の年収に占める割合が、下記の範囲内の方
年収 | 400万未満 | 400万以上 |
総返済負担率 | 30%以下 | 35%以下 |
- 住宅金融支援機構の特定住宅融資保険の付保承認を受けられる方
- 原則として、借換え対象となる住宅ローンの債務者の方
- 住宅取得時に借り入れた住宅ローンの借入日から借換え融資の申込日まで1年以上経過しており、かつ、借換え融資の申込日の前日までの1年間、正常に返済している方
また申込本人が所有し、かつ、本人またはその親族の居住用となる住宅のための住宅ローンの借換えであることも条件となっています。
100万円以上8,000万円以内で、「借換え対象となる住宅ローンの残高」または「機構による担保評価額の200%」のいずれか低い額までのご融資が可能です。
団体信用生命保険の保障内容が充実している
契約者に万が一のことがあったときに頼りになるが団体信用生命保険です。セゾンのフラット35(保証型)は、団体信用生命保険の保障内容も充実しています。長期にわたる返済期間中に、契約者に不慮の事態が発生してもカバーできます。「全傷害疾病付団信」に加入したときに保障対象となるケースは以下のとおりです。
- 死亡・高度障害・余命6ヵ月以内と判断
- 「がん」と診断
- 「急性心筋梗塞」で所定の状態が60日間継続
- 「脳卒中」で所定の状態が60日間継続
- 病気・ケガなどによる12ヵ月以上の就業不能
- 病気・ケガなどによる就業不能
※上記記載の1-5の場合は住宅ローンの残高が0円になります。
※上記記載の6の場合は、最長12ヵ月、月額ローン返済額が保障されます。
セゾンのフラット35(保証型)なら、病気・ケガを保障するプランも用意されているため、さまざまなリスクにもしっかり対応できるのでおすすめです。
借り換えを考えている方は、セゾンのフラット35(保証型)を検討してみましょう。
本記事に記載の金利条件等は2021年9月時点の内容です。