金融機関から融資を受けることで自己資金以上の金額を運用できる点が不動産投資の魅力の一つですが、金利の水準は気になるところです。運用金額が大きいだけに、不動産投資の世界では0.1%でも金利が変動すると利回りに大きな影響を与えてしまいます。
本記事では、これから不動産投資を始める方のために、不動産投資ローンの金利について解説します。金融機関別の金利水準や金利を抑える方法を知ることで、不動産投資の成功に近づくことができます。
この記事を読んでわかること
不動産投資ローンは、多くの金融機関が扱っており、金融機関によって金利のタイプや金利水準が異なります。金利を低くするには取引実績のある金融機関を選択したり、低金利のローンを提供している金融機関を選んだりすることが大切です。しかし、金融機関によって審査基準や審査対象物件が異なるので、各金融機関の特徴を理解する必要があります。不動産投資を行う際は、不動産投資ローンの種類と金融機関の特徴を覚えてからにしましょう。

1.不動産投資ローンの基礎知識と特徴をおさらい

はじめに、不動産投資ローンについて説明していきます。
1-1.不動産投資ローンとは
不動産投資ローンとは、投資用不動産の購入資金を融資するためのローンです。投資対象が主にアパートやマンションであるため、アパート・マンションローンとも言われています。
購入する不動産の価格にもよりますが、不動産投資は3,000万円以上の金額で運用することも珍しくないため、全額一度に手出しできる方は多くありません。
そのため、不動産投資を行うときは不動産投資ローンを活用することが一般的なのです。
・住宅ローンとの違い
不動産を取得するという意味では同じ住宅ローンは、不動産投資ローンとよく混同されます。
不動産投資ローンは、事業収益を得る「投資目的」で不動産を取得するために活用されるローンであるのに対して、住宅ローンは「居住目的」で不動産を購入するためのローンです。
不動産投資を行う場合は当然不動産投資ローンを利用することになるので、住宅ローンの金利水準や審査基準を参考にしないように注意しましょう。
1-2.不動産投資ローンの返済原資
不動産投資ローンの返済原資は、投資した物件を借りている方からの毎月の家賃収入です。
例えば、不動産投資ローンの毎月の返済額が80,000円、家賃収入が100,000円とした場合、100,000円のうち80,000円が不動産投資ローンの返済に充当され、20,000円が利益となります。
融資をする金融機関は、滞りなく返済してもらうために、物件の価値や収益性をしっかり評価したうえで融資条件を決定するのです。
1-3.不動産投資ローンの審査基準
「借主本人に関する資産項目」は住宅ローンと同様に、年収、勤務先、勤続年数、資産状況などがあります。
特徴的なのは「物件に関する審査項目」です。取得する物件の賃貸需要がなければ返済原資となる家賃収入も見込めないため、近隣の類似物件を参考にしながら想定利回りや空室リスクなどを評価します。
不動産投資ローンは本人の信用力に加えて、投資物件の収益性も評価される点に留意しましょう。
1-4.不動産投資ローンを取り扱う金融機関
不動産投資が一般的になった背景として、身近な金融機関が不動産投資ローンを取り扱っていることが挙げられます。
- メガバンク・都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫・信用組合
- ノンバンク
- インターネットバンキング
上記の金融機関であれば、不動産投資ローンを扱っているケースがほとんどです。
金融機関によって審査基準は異なり、メガバンクは金利が低い傾向にありますが、その分審査難易度は非常に高く、審査期間も長いケースが多いです。
地方銀行や信用金庫・信用組合は地域密着型の営業をしているため、審査難易度はメガバンクより低いですが、金利がやや高い傾向にあります。
ノンバンクとは、銀行のように預金サービスを提供せずに、融資サービスに特化した金融機関です。金利は少し高い傾向にありますが、審査基準が柔軟である点が魅力です。
インターネットバンキングは、金利が柔軟に設定されている一方で、融資期間が短いデメリットがあります。
このように、不動産投資ローンは金融機関によって条件が異なるので、活用する際は比較検討することが大切です。
2.不動産投資ローンを検討したら金利に注目しよう
不動産投資ローンを利用する際に、まず注目すべき点は金利です。
金利が0.1%変わるだけで不動産投資の運用パフォーマンスは大きく変動するため、金利は少しでも低い条件で借りるべきでしょう。
返済原資である家賃収入は簡単に上げることはできませんが、金利は事前に比較検討することで少しでも低い金融機関を探すことはできます。
金利のタイプや金融機関によって金利が異なるので、詳しく見ていきましょう。
2-1.不動産投資ローンの金利は2タイプ

不動産投資ローンの金利は、固定金利と変動金利の2つのタイプがあります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
・固定金利の特徴
固定金利とは、融資開始時点から完了時点まで利率が一定のタイプの金利です。固定金利ローンを契約した時点で、利子を含めた返済総額が決定するため、収支計画が立てやすいメリットがあります。
しかし、固定金利は実際の金利相場よりも高く利率が設定されていることが多いため、利息負担が大きくなる点がデメリットです。
メリット | デメリット |
・金利変動による返済額増加のリスクがない ・収支計画が立てやすい | ・変動金利に比べて金利水準が高い ・提供している金融機関が少ない |
・変動金利の特徴
変動金利とは、融資開始時点から決められた一定期間毎に利率を見直すタイプの金利です。固定金利と比較して金利が低い点がメリットですが、金利相場が上昇すると利率が高くなるリスクがあります。
メリット | デメリット |
・固定金利に比べて金利水準が低い | ・金利が上昇すると返済額が増加する ・返済計画が立てにくい |
このように固定金利と変動金利は一長一短であるため、ご自身にあった金利のタイプを選択するとよいでしょう。
2-2.金融機関ごとの不動産担保ローン金利相場
不動産投資ローンの金利水準は金融機関によって異なりますが、金融機関の種類によって概ね次のような傾向があります。
メガバンク・都市銀行 | ・金利が低い ・審査が厳しい |
地方銀行 | ・銀行によって条件がさまざま |
信用金庫・信用組合 | ・対応エリア(地域)の物件に特化 ・金利はやや高い |
ノンバンク | ・審査が柔軟 ・金利はやや高い |
インターネット銀行 | ・審査期間が短い ・借入期間が短い |
3.【金融機関別】不動産投資ローンの金利をチェック

それでは実際に、各金融機関の具体的な不動産投資ローンの金利水準を見ていきましょう。
3-1.銀行
金融機関 | 商品名 | 金利 |
みずほ信託銀行 | 賃貸マンション・アパートローン「プロデュース II」 | 固定金利型11年~15年:年4.15% 短期プライムレート連動型:年2.475% |
三井住友トラストL&F | アパートローン | - |
りそな銀行 | りそなアパート・マンションローン(保証会社非保証) | ローン基準金利:年2.475% |
スルガ銀行 | 投資用不動産ローン | 変動金利:年1.5~4.1% |
福岡中央銀行 | アパートローンV | 変動金利:年1.5〜2.5% |
3-2.信用金庫・信用組合
金融機関 | 商品名 | 金利 |
あすか信用組合 | 不動産投資ローン | 変動金利:年1.8~2.8% |
青和信用組合 | アパートローン | 変動金利:年3.3%〜 |
巣鴨信用金庫 | すがも新型アパートローン | 固定金利型:年1.575〜3.6% 変動金利型:年1.0〜2.475% |
豊田信用金庫 | アパートローン | 固定金利型:年2.85〜3.25% 変動金利型:年2.475% |
大阪協栄信用組合 | 不動産投資ローンLargeコース | 変動金利:年3.5〜6.0% |
3-3.ノンバンク・インターネット銀行
金融機関 | 商品名 | 金利 |
SBIエステートファイナンス | 不動産活用ローン(フリーコース) | 実質年率15.00%以下 |
オリックス銀行 | 不動産投資ローン | 固定金利期間特約付変動金利型:年2.3〜3.5% 変動金利型:年2.675〜3.675% |
セゾンファンデックス | 不動産投資ローン | 変動金利:3.75〜4.55% |
さまざまな金融機関が不動産投資ローンを取り扱っていますが、おすすめはセゾンファンデックスの不動産投資ローンです。
首都圏、近畿圏、愛知県や札幌市など幅広いエリアに対応していることに加えて、年収や職業が銀行基準に満たない方でも柔軟に利用することができます。
対象物件も築古・狭小物件、借地権付き建物とほかの金融機関では審査対象外の物件も審査可能であるため、申請条件に不安のある方に特におすすめのローンです。

4.不動産投資ローンの月々の返済額をシミュレーション

【条件】
融資希望額 | 8,000,000円 |
返済期間 | 20年 |
ボーナス併用払い | なし |
金利 | 固定金利:3.75% |
実際に投資したときのイメージを持つために、セゾンファンデックスの不動産投資ローンで返済シミュレーションを立ててみましょう。
下記のような条件でシミュレーションすると、毎月の返済額は約48,000円になります。
ボーナス併用払いを活用したり、返済期間を長くしたりすることで毎月の返済額を少なくすることができます。
収支計画を立てる際に役立つので、実際に不動産投資を行う場合は、事前にシミュレーションしておくと良いでしょう。
5.不動産投資ローンの適用金利を低くする秘訣

不動産投資のパフォーマンスを上げるには、少しでも金利の低いローンを利用することが重要ですが、どのように金利を抑えればよいのでしょうか。
不動産投資ローンの金利を抑える3つのポイントをお伝えします。
5-1.低金利の金融機関から検討する
不動産投資ローンの金利を低くするには、低金利の金融機関から検討することが重要です。
金融機関のなかで低金利なのはメガバンクですが、審査が厳しいので活用できないケースがあります。
次に地方銀行、もしくは信用金庫・信用組合ですが、地域が限定されていたり金利のタイプが限定されていたりする場合があります。
ノンバンクは金利がやや高い場合があるものの、審査が柔軟に行われる点が魅力です。
金融機関を選択する際は、金利の低さを重要視しつつ、審査の柔軟性を考慮したうえで決定すると良いでしょう。
5-2.取引したことがある金融機関に相談する
過去に取引したことがある金融機関に相談すると、有利な条件の金利が適用できる場合があります。
金融機関としても、返済の見通しが不透明な新規の申込者より、すでに取引があり返済実績のある方が返済の目処が立ちやすく、金利を低く設定することができます。
取引実績のある金融機関があれば、まずはその金融機関の不動産投資ローンを選択肢の1つにすると良いでしょう。
5-3.事業計画書を丁寧に作る
事業計画書を丁寧に作り込むことも、金利を低くするポイントの一つです。
不動産投資における事業計画書とは、不動産投資の収支計画や購入する物件の概要、自身の属性情報を盛り込んだ提案書であり、主にローンを申請する金融機関に提出します。
収支計画を具体的に記載した事業計画書を金融機関に提示することで、信用力の向上につながり、金利を有利な条件で適用できる場合があるのです。
おわりに
不動産投資ローンはさまざまな金融機関が取り扱っており、金融機関によって金利のタイプや水準が異なります。
金利を低くすることが運用パフォーマンスを高めるうえでは重要であり、低い金利を提供している金融機関を選択したり、取引実績のある銀行を選んだりすることで有利な条件で金利を適用できる場合があります。
不動産投資においてとても重要な不動産投資ローンについて悩んでいる方は、専門家に相談しながら、ご自身に合う不動産投資ローンを選択すると良いでしょう。