相続などで取得した土地を活用するべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。更地のまま放置すると税金が高く毎年支出が発生するため、活用して収益を得られる形にできるのが理想です。
しかし、土地を活用して収益を得られるのは東京23区のような都心部だけと考えている方も少なくありません。そこで本記事では田舎でもできる土地活用の成功例を紹介します。本記事を読むことで、土地の特性を活かした活用方法を判断できます。
この記事を読んでわかること
- 使わない土地にも税金などがかかるため、支出だけが増えてしまう
- 都心だけでなく田舎でもできる土地活用の方法は複数ある
- 地域のニーズや特性に合っていない運用を行うと失敗する
- 新規事業を始める想いで、長期的な計画を立てる
余った土地は活用した方が良い?
相続などにより取得した田舎の空き地や空き家などの余った土地は、積極的に活用しましょう。空き地や空き家などの使っていない不動産でも、所有者は毎年固定資産税や都市計画税、火災保険などを支払わなければならず、支出だけが増えてしまうためです。
住宅用家屋が建っている空き家であれば、固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されますが、特定空き家に指定されると軽減措置から除外され、最大で6倍もの税金を納めなければならない可能性があります。
特定空き家とは、自治体によって適切な維持管理がされておらず、周囲に対して問題を引き起こす可能性が高いと判断された空き家です。2015年に施行された空家等対策特別措置法で特定空き家の基準が定められています。
このような背景から、空き地や空き家をただ所有しているだけでは損であるため、有効活用して収益を得ることを視野に入れましょう。土地活用に成功すれば、収益を得られるほか、人口流入によりまちづくりや地域に貢献できる可能性があります。
田舎でもできる土地活用の成功例・アイデア7選
本章では田舎でできる土地活用の成功事例やアイデアを7つ紹介します。具体的には以下のとおりです。
- 賃貸や駐車場の経営
- コインランドリー経営
- 太陽光発電
- 高齢者施設経営
- トランクルーム経営
- 貸農園経営
- キャンプ場経営
それぞれについて見ていきましょう。
例① 賃貸や駐車場の経営
ひとつ目は土地活用の代表格である、アパート・マンションなどの賃貸経営や駐車場経営です。現状戸建てが建っている場合は、戸建ての賃貸も視野に入れましょう。
アパートやマンションなどの住宅用不動産は、賃貸需要が大きいエリアであると成功しやすくなります。具体的には以下のようなエリアです。
- アクセスが良い
- 近くに大学や大きな会社・工場がある
- 大型商業施設があるなど生活利便性が高い
店舗や事務所と比べて住宅は安定した需要があるため、適切に維持管理を行うことで長期的な収益が期待できます。
また、土地のサイズが小さい場合や初期費用を抑えたい場合は、駐車場経営もおすすめです。最低限の設備を設置すればすぐに運用を開始できます。
近隣に大型商業施設や駅がある場合はコインパーキング、住宅街の場合は月極駐車場など、エリアのニーズに合わせた運用方法を考えましょう。
例② コインランドリー経営
コインランドリー経営もおすすめの活用方法です。
都心部では洗濯機を持たない単身者やホテル暮らしの方など、一定の需要が見込めます。また、自家用車の所有率が高い地域では、布団や毛布などを洗える大型の洗濯機が設置されているコインランドリーの利用客が見込めます。
しかし、駐車場経営とは違い、洗濯機のメンテナンスやコインランドリーの掃除など、管理の手間がかかる点に注意しましょう。管理人を雇う場合は人件費も加味する必要があります。
また、田舎の場合は数台分の駐車場スペースを設けるための広さが求められます。
例③ 太陽光発電
太陽光発電は集客の必要がないため、田舎の土地であっても積極的に検討できます。まとまった電力を発電するには、たくさんの太陽光パネルを設置する必要があるため、土地が広い田舎のほうが適しています。
ただし、天候によって発電量が異なるため、日当たりの良さが重要です。中山間地域など日照時間が短い土地では十分な発電ができない恐れがある点に注意しましょう。
また、飛来物によって太陽光パネルが故障する可能性もあるため、売電価格だけでなくメンテナンス費用や保証内容を加味して投資計画を立てる必要があります。
例④ 高齢者施設経営
日本は2007年に65歳以上の人口が全人口の21%を超える超高齢社会に突入し、今後も高齢者の割合が増えると予測されています。そのため、サービス付き高齢者向け住宅や老人ホームなどの需要はさらに高まるでしょう。
高齢者向けの施設経営は田舎だけでなく、都心部でも需要があります。とくに第一種低層住居専用地域で広い土地を所有している方は、高齢者施設の経営を検討してみましょう。
第一種低層住居専用地域とは、専ら住宅専用の地域であり、快適な住環境を確保するために大型の店舗や商業施設の建築は禁止されています。また、10mもしくは12mまでの高さまでしか建物を建てられないため、土地活用に多くの制限があるのです。
しかし、第一種低層住居専用地域でも一定規模の老人ホームは建てられるため、その地域に高齢者施設の需要があるかを調査してみましょう。高齢者施設の運用実績のある運営会社などに相談することで、ニーズを探れます。
例⑤ トランクルーム経営
トランクルーム経営とは、コンテナ倉庫を貸し出して利用料で収入を得る活用方法です。
空き地にコンテナを設置するだけで始められるため、初期費用を抑えて始められます。また、住宅街などに設置する場合、利用者層が預けるものはアウトドア用品などの比較的小さいものになるため、狭い土地や変形地を有効活用できるのが特徴です。
ただし、利用者の満足度を高めるには充実したセキュリティ対策が求められます。
高速道路のインターチェンジ近くなども需要がありますが、その場合まとまった面積が必要になると考えましょう。
例⑥ 貸農園経営
地目が農地であり、宅地としての利用が難しい場合は貸農園経営がおすすめです。
貸農園とは、農地を区画分けして複数の人に貸し出す方法です。規模や貸し出し方法によっていくつかの要件はありますが、ほとんどお金のかからない活用方法といえるでしょう。
とくに都心部は家庭菜園をしてみたい家庭の需要が大きいため、安定した集客が見込めます。また、ご自身に農業に知見がある場合は、植え付けなどのレクリエーションを実施することで楽しみながら活用できるでしょう。
ビジネス要素だけでなく、おもしろい活用方法を検討している方におすすめです。
例⑦ キャンプ場経営
山や海など、自然を身近に感じられる立地であれば、キャンプ場経営もおすすめです。
アクセスが悪くアパートや駐車場といった活用が難しいエリアであっても、キャンプ場であれば非日常を味わうために遠方からでも集客できます。まとまった広さがなく、多くの人数を集客できない場合は、プライベートキャンプ場という形で付加価値を付けて、利用料を高く設定することもできるでしょう。
ただし、土地が荒れている場合は整地などの手間がかかる点に注意が必要です。
土地活用の失敗例に共通すること
土地活用の成功例やアイデアを紹介しましたが、いざ土地活用を始めてみるとなかなか軌道に乗らないケースも少なくありません。土地活用で失敗しないためにも、共通する失敗例を把握しておきましょう。
- 地域のニーズや特性に合っていない
- 利回りや節税のメリットばかりを追求し過ぎている
- 自己資金が足りていない
それぞれについて解説します。
地域のニーズや特性に合っていない
土地活用は所有している土地の特性を把握してニーズを見極めることが大切です。
例えば、人があまり住んでいない地域にアパートを建てたり、駐車場を作ったりしても満足のいく収益は得られないでしょう。また、日照時間の少ないエリアに太陽光発電を設置しても十分な発電はできません。反対にメンテナンス費用や維持費がかかり、初期費用・開業費用を回収できない恐れもあります。
土地を活用する際は立地や面積、土地の形状に加え、人口や居住者層などを踏まえてどのような需要があるのかを把握しましょう。アパートや駐車場など、検討している活用方法と同じことをしている競合の稼働状況を調査することも大切です。
利回りや節税のメリットばかりを追求し過ぎている
土地活用を検討する際は、利回りや節税メリットばかりを追求するのではなく、利益について目を向けましょう。利回りが高い投資方法だとしても、最終的にキャッシュフローがマイナスになる可能性があるためです。
例えば、アパート経営の場合、毎月家賃収入を得られますが、ローンの返済やリフォーム費用などがかかります。不動産会社などが提示する利回りは、表面利回りや想定利回りであり、実際にかかる経費などは考慮されていないのが一般的です。
また、節税対策として控除を受けたとしても、利益が残らなければ長期的な運用は難しいでしょう。
土地活用を検討する際は、必ず実質利回りをもとに計画を立てましょう。
自己資金が足りていない
土地はあるが自己資金がなく、事業を始められない方も多いでしょう。アパートやマンションの建築、太陽光発電の設置などは初期費用がかかるため、最初の一歩を踏み出せない方もいます。
また、自己資金が少ないと固定資産税の支払いや修繕などの費用が足りず、資金繰りが難しくなる恐れもあります。そのような場合は、ローンの借入を検討しましょう。
ローンを組むことで初期費用をまかなうことができ、土地を有効活用しやすくなります。セゾンの不動産フリーローンは、1都3県のご自宅以外の不動産を担保にしてローンを組めるため、現在活用できていない土地を担保にできます。
自己資金が足りず土地を活かしきれていない方は、ぜひご活用ください。
土地活用を成功させる5つのポイント
土地活用を成功させるポイントは以下の5つです。
- 土地の用途に制限がないかチェックする
- 土地の特性とニーズをリサーチする
- 自己資金と必要経費を試算した事業計画を立てる
- 利用できる補助金を確認する
- 信頼できるパートナーを見つける
それぞれについて解説します。
土地の用途に制限がないかチェックする
土地を効率的に活用するためにも、用途の制限がないかをチェックしましょう。
土地は都市計画法によって地域ごとに用途が決められています。例えば、第一種低層住居専用地域は低層住居のための地域であり、高さ10mもしくは12mを超える建築物は建てられません。その他、事務所や店舗などの制限もあります。
土地を活用する際は用途地域で定められたルールに則って方向性を定める必要があります。
土地の特性とニーズをリサーチする
土地活用で成功するには、土地の特性とニーズをリサーチして、その地域に合った活用方法を考える必要があります。
賃貸需要の少ない地域にアパートやマンションを建てても集客できないため、損失を被ってしまうでしょう。また、駐車場経営やトランクルーム経営は比較的少ないコストから始められますが、需要がなければ黒字化できません。
集客に適していない立地であれば、太陽光発電を設置するなど、別の方法を柔軟に考えましょう。
自己資金と必要経費を試算した事業計画を立てる
土地活用は、新しい事業を始めることと同義であるため、長期的な事業計画を立てましょう。
表面的な利回りだけでなく、必要経費などを踏まえいくら利益が残るかを計算しなければなりません。ローンを組む場合は返済費用もかかるため、現実的な返済計画を立てましょう。
また、アパートやマンションの場合、リフォームや清掃、防犯面の設備投資も含めて考える必要があります。なお、セゾンの不動産フリーローンは根抵当権の商品であり、費用を借りる際に都度契約をする必要がありません。必要な時に適宜資金を借りられるため、資金計画を立てやすいでしょう。
利用できる補助金を確認する
なるべく初期費用を減らすためにも利用できる補助金がないかを調べてみましょう。
高齢者施設の新築や空き家の解体では一定の要件を満たすことで、補助金を利用できる可能性があります。また、国が用意している補助金だけでなく、自治体で用意している補助金もあります。
初期費用が数百万円単位で抑えられる可能性があるため、調べたうえで事業を開始するのがおすすめです。
信頼できるパートナーを見つける
土地活用を検討する際は、信頼できるビジネスパートナーを見つけましょう。
新しいビジネスを始めるとなると、初心者が独学で進めるには限界があります。その土地に詳しい不動産会社や集客力のある広告会社など、その業界に精通したプロに相談できると安心です。
また、行政への申請や税務関係などの手続きもあるため、行政書士や税理士との提携も求められます。すべてを外注すると費用はかかってしまうため、自力で行う部分と人に任せる部分を明確にして事業計画を立てましょう。
おわりに
空き地や空き家などの使っていない不動産でも、所有者は毎年固定資産税や都市計画税、火災保険などを支払わなければならず、支出だけが増えてしまうため、積極的な活用を検討しましょう。
しかし、土地の特性やエリアのニーズによって適した活用方法は異なるため、どのような方法が最適かを考える必要があります。利回りや節税メリットだけに着目するのではなく、ひとつの事業として長期的な事業計画を立てましょう。