更新日
公開日

リバースモーゲージのデメリットとは?老後資金調達方法のリスクを知ろう

リバースモーゲージのデメリットとは?老後資金調達方法のリスクを知ろう
セゾンのくらし大研究 編集部

執筆者

セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

シニア層向けの自宅を担保とした融資制度「リバースモーゲージ」は、公的年金だけでは足りないという声に応える手段として注目されています。最近では取り扱う金融機関も選択肢の幅も広がり、利用者も増えていますが、メリットだけでなくデメリットがあることを知ったうえで慎重に検討したいものです。

このコラムでは、リバースモーゲージの概要とともに、デメリット、利用に向いている方について、ご紹介します。ぜひ、検討するための参考としてください。

この記事を読んでわかること

  • リバースモーゲージとは、自宅を担保にお金を借りることができ、自宅に住みながら利息のみを返済し、死亡時に売却により元本を返済する方法です。
  • リバースモーゲージには、担保とする不動産価値は変動するため融資限度額の引下げリスクや長生きリスクなど想定すべきリスクがあるため、メリットだけでなくデメリットについてもきちんと理解しておく必要があります。
  • リバースモーゲージは、すべてのシニア層にとって有効な訳ではありません。対象となる不動産を保有する方、相続人のいない方、将来的には老人ホームで生活したい方など限定的です。
  • リバースモーゲージ以外の資金調達方法としてリースバックも知っておきたい方法の一つです。
セゾンのリースバック
セゾンのリースバック

リバースモーゲージとは? 

リバースモーゲージとは?

「リバースモーゲージ」は、自宅を所有しているシニア層向けの融資制度です。自宅を担保にすることでお金を借りることができ、住み慣れた自宅にこれまでどおり住み続けられることから注目されています。

まずは、リバースモーゲージの基本概要について知ることから始めましょう。

リバースモーゲージは老後資金を確保できる方法の一つ

公的年金は一生涯受け取れることがメリットですが、年金だけで生活することには限界があります。

また病気や介護などで一時的にお金が必要になる場合もあります。十分な資金があれば良いのですが、財産の多くは自宅の不動産などが占めるケースが多いでしょう。

現金や預金を取り崩すことに不安を感じる方も多いのが現状です。

自宅を担保に現金を借りることができる「リバースモーゲージ」は、高齢化や長寿化が進み、生活に不安を感じるシニア層にとって解決策の一つとなり得ます。こうしたニーズに応えるため、リバースモーゲージを取り扱う金融機関が増えてきました。

住宅ローンとの違いは?

自宅を担保とする融資としては、住宅ローンを思い浮かべる方も多いでしょう。

住宅購入などにあたって一括で融資を受けたうえで「元本+利息」を返済する住宅ローンに対して、リバースモーゲージは、毎月または一括で融資を受けると存命中・契約期間中は「利息のみ」を返済し、死亡後・契約終了後に担保不動産の売却により一括で「元本」を返済します。

相続人の手元資金により返済することもできますが、基本的には不動産を手放すことを前提とする方法です。

どちらも自宅の不動産を担保(モーゲージ)とすることでお金を借りるという点では共通していますが、「元本+利息」の返済により最終的に借入残高が逓減する住宅ローンと区別して、逆・反対方向を意味する“リバース“モーゲージと呼ばれています。

リバースモーゲージの資金用途は?

リバースモーゲージの資金用途は?

リバースモーゲージには、各自治体の社会福祉協議会が実施する公的制度と金融機関が実施する融資が、また、金融機関が実施するリバースモーゲージにも「住宅金融支援機構との提携による融資」「金融機関独自の融資」などがあります。

  • 社会福祉協議会が実施する提供する「不動産担保型生活資金」は、老後の生活支援のみに限定
  • 住宅金融支援機構と提携している金融機関が提供する「リ・バース60」は、住まいに関する資金
  • 金融機関独自のリバースモーゲージは、各金融機関による

※原則自由としている場合でも、事業目的や投資には使えません。

生活保護の人も利用できる? 

社会福祉協議会が提供するリバースモーゲージである「不動産担保型生活資金」は、土地や建物を手放すことなく、担保として有効に活用することで生活資金を借り入れ、自立支援を目指すことを目的としています。不動産としての財産(資産)はあるものの、現預金資産が少ない高齢者世帯が利用できる公的な制度です。

生活が困窮する方(世帯)に対する公的支援として「生活保護制度」が挙げられますが、「不動産担保型生活資金」の融資要件は「現在、生活保護を受けていない方」が原則となります。つまり、「生活保護を受けていないが、生活に困っている方」が利用できる制度です。

リバースモーゲージは「やばい」って本当? 

リバースモーゲージは「やばい」って本当?

WEB上では、「リバースモーゲージはやばい」「悲惨」「罠」といったコメントを目にすることがあります。年金収入だけでは生活が苦しいといった高齢世帯にとって、生活資金を得ることができる一方で、複雑な契約であるため、利用にあたってはメリットだけでなくデメリットについてもきちんと理解しておきましょう。

あとで後悔しないよう、それぞれの事情を考慮したうえで慎重に検討したいものです。ここでは、リバースモーゲージのデメリットと想定されるリスクについてお伝えします。

利用には推定相続人の同意が必要

リバースモーゲージは融資によって一括もしくは年金として資金を受け取り、存命中は利息のみ返済し、死亡時に担保不動産の売却により一括で元本を返済する方法です。そのため相続財産として自宅不動産を引き継ぐつもりであった子などにとっては、リバースモーゲージの契約により引き継ぎできないことに愕然とすることもあるでしょう。

相続人との間でトラブルに発展することを避けるため、あらかじめ配偶者や子などすべての推定相続人の同意を義務付けている金融機関もあります。

マンションは利用条件が厳しくなる

基本的に、リバースモーゲージの担保は土地付き戸建て住宅が対象です。マンションは対象外となる金融機関が多いため注意しましょう。

融資にあたって、借入限度額は物件の評価額をもとに決められますが、経年劣化による資産価値の目減りする建物よりも、価格変動が比較的安定した土地の方が担保価値は下がりにくいという評価になります。

とはいえ、金融機関によっては築年数や地域限定などの条件が厳しくなるものの、利用可能な場合もあるため、あきらめる必要はありません。

不動産価値が下がると融資限度額が下がる

融資限度額は、担保となる不動産価値(評価額)により決められますが、期間が経過すると、物件そのものの価値だけでなく、周辺環境や社会情勢によっても価格は変動します。評価額の定期的な見直しにより価値が下落し、融資限度額が下げられることもあるでしょう。

借入残高が限度額を上回った場合には、差額を返済する必要があり、存命中であっても自宅を手放さざるを得ないということになります。死亡後であれば、その差額を相続人が支払わなければならない可能性があることをリスクとして知っておきましょう。

想定より長生きした場合、存命中に契約期間が終了するリスクがある

基本的には、契約時にリバースモーゲージの期間を設定します。終身契約でない限り、思ったよりも長生きした場合は契約期間が終了すると存命であっても一括で返済しなければならず、自宅を手放すことになります。

いつまで生きられるのか予測することは難しいものの、融資限度額まで使い切ることで、その後の生活が年金収入だけでは立ち行かなくなるといった長生きリスクについても想定しておきたいものです。

金利上昇によって返済額が増える

リバースモーゲージでは、毎月の返済は利息のみで負担を抑えつつ、年金の上乗せとして融資を受けることができるのがメリットの一つになります。

ただし、返済する利息は変動金利型や一定期間固定金利型が多いため、金利が上昇すると月々の利息返済額が増えることに注意が必要です。返済額が増えることで、生活に影響を及ぼす可能性についても想定しておきましょう。

リバースモーゲージに向いている方は? 

リバースモーゲージに向いている方は?

リバースモーゲージを検討するうえで、概要やリスクについて知っておくこと、きちんと理解することが大切です。そのうえで、自分にとってメリットがあるかどうか、デメリットに対する解決策が想定できるか検討しましょう。

リバースモーゲージは、不動産を保有する高齢世帯にとって有効な手段である一方で、対策として向き・不向きがあります。代表的な「向いている」ケースについては、以下のとおりです。

老後に使えるお金に不安がある方

これまでお伝えしたとおり、保有資産のうち多くを占めるのが自宅不動産で、現預金が少なく、今後の生活に不安があるケースであれば、リバースモーゲージの利用は向いているといえるでしょう。

また、多少の現預金はあるものの、介護や病気に備えておきたい、手元資金を確保しておきたいというケースでも選択肢となり得ます。

相続人がいない方

子どもがいない、独身であるというケースでは、自宅不動産を相続人に引き継ぐ必要がないため、リバースモーゲージの利用がおすすめです。なお、配偶者がいる場合には、契約時に配偶者を連帯保証人とすることで、利用者(契約者)の死亡によって住む場所を失うことなく、これまでどおりの生活を継続できます。

ゆくゆくは老人ホームで生活したい方

最終的に高齢者施設への入居を考えている場合にも、リバースモーゲージを利用し、入居費用の一時金に充てることが可能です。普段の生活は難しくても、最期は自宅で過ごしたいと希望する方は多いため、戻れる自宅があるのは安心に繋がります。また、亡くなった後の自宅の処分を事前に対策しておくという点でも有効です。

いずれにしても、それぞれの事情や状況をふまえて検討することが大切になります。また、金融機関によっても、できることとできないことの範囲に幅があることも知っておきたいものです。

リバースモーゲージ以外の資金調達方法は? 

リバースモーゲージ以外の資金調達方法は?

「リバースモーゲージ」という選択肢について、最近では、メディアでも取り上げられることも増えてきました。とはいえ「ローン」「借り入れ」という手段に抵抗を感じる方も多いでしょう。そのような方には自宅不動産を活用した老後資金の調達方法として「リースバック」も選択肢となり得ます。

自宅をリースバック会社に売却したうえで、その後も、賃貸借契約により家賃を払って住み続けることのできる「リースバック」は、契約時年齢制限なく、将来の返済リスクがない点がメリットです。リバースモーゲージとともに、老後資金の調達手段の一つとして「リースバック」について知ることから始めてみましょう。

セゾンのリースバック」では、大切なご自宅をセゾンファンデックスが直接買い取り、お客さまは、長年住み慣れた自宅に、賃貸としてそのまま住み続けていただけます。戸建てだけでなくマンションも対象です。ご近所にも知られることなく、スムーズにお手続きができます。

セゾンのリースバックの詳細はこちら

セゾンのリースバック
セゾンのリースバック

おわりに 

リバースモーゲージには、公的貸付制度の「不動産担保型生活資金」と民間金融機関が実施する融資があることをご紹介しました。もともとは国の生活支援から始まったものが、商品化・複雑化したものが現在に至っていることから、金融機関(貸し手)が損をしないよう商品設計がされていることを理解しておく必要があります。

さまざまな選択肢のなかから、自分に合った方法を選択できるようにしておきましょう。

【貸付条件一覧】セゾンファンデックス

よく読まれている記事

みんなに記事をシェアする