数ある投資の中から不動産投資を選んだ方や不動産投資に興味がある方は、不動産投資はどのくらいの成功率なのかな?という疑問をお持ちでしょう。そこで、このコラムでは、投資の目的に沿った不動産投資の成功率の考え方をお伝えします。
成功率をあげるポイントやローンに役立つ情報もありますので、最後までご覧ください。
この記事を読んでわかること
- 不動産投資から得られる収入の内容はインカムゲインとキャピタルゲイン
- 不動産投資成功率は副収入・FIRE・節税などの目的によって変わる
- 不動産投資の目的にそった成功率を上げるポイント
- 不動産投資にかかせない専門知識と協力者
不動産投資における成功率は?
せっかく不動産投資するなら成功したいものです。どれくらいの確率で不動産投資が成功するのか気になるところです。しかし誰しもが投資で成功する人になれるわけではありません。
そもそもなにをもって成功したのか、失敗したのかは人によって異なります。そのため成功率や失敗率といった割合として数字に落とし込むのは非常に難しいです。
不動産投資の成功率に公的なデータはなく、目的によって成功率の度合いは変わります。また、成功かどうかは数十年経たないと判断できない可能性があるのも、不動産投資の大きな特徴です。以下で詳細を確認しましょう。
公的な統計や裏付けはない
「不動産投資の成功率は〇%」と言う成功割合の表記をWEBサイトなどで時々見かけますが、結論からいうと、成功率に関する公的なデータは存在しません。
というのも不動産投資をして「毎月のキャッシュフローがプラスになった」という点を指標にした場合、その結果を投資家自身では把握していても、それを報告する義務はありません。結果、投資家のキャッシュフローがプラスになっているかどうかの情報は蓄積されず、成功率は不明なままです。
ただ、成功率についての公的なデータがないとはいえ、民間企業が発表する投資家の意識調査アンケートを活用して成功率のおおまかな目安を立てることは可能です。他にも、不動産投資における失敗をローンの延滞と仮定した場合は、各金融機関が公表するローン延滞率が参考になるでしょう。
投資目的によって「成功」が異なる
不動産投資における成功の定義づけは難しく、成功の度合いは投資家の目的によって異なります。
そのため、投資を行ってどのような結果を得られれば「成功」といえるのかという自分なりの基準を作っておくことが必要です。
「副業収入を得たい」「年金代わりにしたい」「早期退職したい」「節税がしたい」など目的によって投資のやり方も変わり、それぞれのやり方で成功確率が異なります。
例えば副業として収入を得られれば十分なのであれば、手元に残る利益が10万円でも成功ですが、家賃収入で生計を立てたいのであれば、それでは割に合わないということになるでしょう。
失敗という末路にならないためにも、不動産投資はあらかじめ目的を定め、計画的に行うことが重要です。
「成功」か「失敗」の判断には数十年かかる可能性も
不動産投資で得られる利益には「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。前者は家賃収入など継続的に得られる利益。後者は不動産を売却した際に得られる利益を指します。
最終的な投資収益がプラスになることを成功とするならば、インカムゲインとキャピタルゲインの合計額が投資金額を超えなければいけません。
不動産投資には現実問題としてメンテナンス費用や税金の支払いなど多くのコストがかかるため、結果として損失を生んでしまう可能性も十分あります。
最終的に黒字になるかどうかは今すぐわかるものではなく、数年や数十年経った後になるということを理解しておきましょう。
そもそも不動産投資とは
不動産投資とは、マンションやアパートなどの不動産を購入し、運用することで利益を得ることをいいます。
例えば、購入した不動産を貸し出して家賃収入を得ることや、購入した不動産を売却して売却益を得ることなどです。
株式や投資信託などの他の投資との違いは、物件に入居者が定着することで長期的に安定した収益が見込めます。慎重に物件を選ぶことでリスクを減らすこともできるので、サラリーマンをはじめ、幅広い層から近年注目を集めています。
不動産貸付業によるインカムゲイン
インカムゲインとは、資産保有中の収益をさします。株式投資では、配当金、債券での利子となります。不動産投資でのインカムゲインは、貸室の賃貸借契約等による家賃収入などになります。
不動産売却で利益を得るキャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、保有している資産を売却することで得られる売買差益のことをさします。不動産投資では、物件を売却した場合の差額となります。
例えば、5,000万円で購入した物件を6,000万円で売却した場合、差額の1,000万円がキャピタルゲインとなります。(実際には、売却にかかる手数料等や税金がかかります)
目的別にみる不動産投資の成功ポイント
前述のとおり、不動産投資の成功率は「副業収入を得たい」「年金代わりにしたい」「早期退職したい」「節税がしたい」などの目的によって変わります。目的別に成功に繋げるポイントをみていきましょう。
早期リタイアしたい
「早期リタイアをしたい」と考えている方は、収益が現在の収入と同等程度になるなど、希望する収益に達すれば成功と言えます。しかし、不動産投資開始直後に実現するのは難しい場合が多いです。
サラリーマンでの年間手取り額が500万円である場合、年間500万円のキャッシュフローが必要となります。
物件価格に対する最終的な手残りは1.5~2%程度といわれていますので、手残り2%と仮定して収益物件に投資する額がいくらになるかを試算してみます。
物件価格の2%が500万円になれば良いので、500万円を50倍した額の2億5,000万円となります。つまり、年間500万円の収入を得るためには、銀行融資を含めて2億5,000万円を投資する必要があります。
年間500万円の収入の方が、2億5,000万円を借り入れることは難しいので、手持ち資金が十分にある場合を除いて不可能と言わざるを得ません。
そのため、早期リタイアを実現するためには、まずはワンルームの1室からはじめて収益を蓄積し、件数を増やし、1棟投資に挑戦、2棟目購入、とステップアップするなど、長期的な戦略で実現していく必要があります。
1棟のみでFIRE達成は、難しいですが、複数件所有することで収益を増加させることや、不動産投資の経験を積むことで銀行融資を有利に行うことなどで、目標となる投資額を達成することが可能となります。そのためには、日頃から情報収集を行うなど地道な努力と準備が大切になります。
副収入程度の利益が欲しい
月数万円~10万円程度のキャッシュフローを目指す場合は、フルリタイアを考える場合よりも成功率は高くなります。
5,000万円の中古アパートを購入する場合を例に考えてみましょう。表面利回り8%の物件であれば、予想される収益は400万円となります。
このうち、不動産投資特有のリスク空室率を10%、経費や税金などの運用費を10%とした場合、320万円が収益として残ります。ここで大切になってくるのが返済比率です。
返済比率とは、物件の家賃収入に対する返済額の占める割合になります。毎月の融資返済額を毎月の満室想定家賃収入で割ります。
この比率が50%になるような物件が目安となります。今回の年間返済額は、400万円の収益を予想していますので半分の200万円となります。
空室リスクや運用費を引いた320万円から200万円を返済した残りの120万円が年間のキャッシュフローとなりますので、月間では100,000円となります。
このように、1件のアパートであっても条件次第で目標達成可能となります。
【キャッシュフロー月10万円の例】
物件価格 | 5,000万円 | |
表面利回り | 8% | 400万円 |
空室率 | 10% | 40万円 |
家賃収入 | 表面利回りー空室率金額 | 360万円 |
運営費 | 10% | 40万円 |
収益 | 賃料収入ー運営費 | 320万円 |
返済比率 | 50% | 200万円 |
年間キャッシュフロー | 収入ー返済比率による返済額 | 120万円 |
月間キャッシュフロー | 年間キャッシュフロー÷12 | 10万円 |
所得税の節税をしたい
節税できたことで目標達成とするならば、不動産を所有し、ローンの手数料、管理費、修繕積立費などの不動産の運用費用を経費計上することで、所得税を抑えられますので、比較的簡単に達成できます。
しかし、不動産を所有することで節税ができたとしても節税できた額を上回る赤字が出てしまっては意味がありません。
つまり、「節税=成功」とは言えません。節税できた額よりも多い赤字がでないように運用することで成功と言えます。
節税効果が高い場合の例としては、課税所得が900万円を超える方が中古アパートを取得して5~6年程度で売却する場合があります。
課税所得は900万円を境に税率が33%となります。住民税10%、復興特別所得税0.693%を合わせると約44%となります。
収益物件の売却時に発生する譲渡所得税の税率が20.315%(長期譲渡所得の場合)との差分が節税額となります。
また、不動産投資を行うことによって毎年の確定申告が必要となりますが、この確定申告を青色申告にすることで100,000円~650,000円の青色申告特別控除を受けることができます。青色申告特別控除の金額は以下の条件により変わります。
【青色申告特別控除の控除額が変わる条件】
- 不動産貸付が「事業的規模」であること
- 複式簿記方式で記帳すること
- 損益計算書・賃借対照表を提出すること
- 期限内に申告すること
- e-Tax方式で申告するか電子帳簿保存を行っている
相続対策
不動産の相続税評価額は、実勢価格より2~3割程度低くなるため、贈与税や相続税を圧縮することができます。
1億円を相続した場合を例に考えます。現金で相続した場合の課税評価額は、もちろん1億円です。
しかし、時価1億円の不動産を相続した場合、状況により変わりますが課税評価額は7割(土地8割、建物6割前後)ほどとなり、課税対象額になおすと約7,000万円となります。
さらに賃貸不動産として活用した場合、課税評価額がさらに圧縮されます。これは、借地借家法で借主の権利が守られていることによって、所有者が自由に活用できないためです。
貸家が建てられている土地は、貸家建付地(かしやたてつけち)とされ、評価額は以下の計算式で評価されます。
更地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
また、貸家の方も同じように影響を受けるため、以下の計算式で評価されます。
建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
借家権割合は、その土地を管轄する国税局が定めます。現在は全国一律で30%と定められています。
借地権割合は、土地ごとに30~90%の間で国税庁が定めています。
賃貸割合は、専有部分の床面積を元に計算します。賃貸に出している部分の床面積の割合となりますので、戸建ての場合など全てを賃貸に出している場合は100%となります。
課税対象額5,000万円の貸家建付地を相続した場合の例で考えてみましょう。
借家権割合30%、借地権割合50%、賃貸割合100%と仮定した場合、5,000万円×(1-0.3×0.5×1)=4,250万円の相続税評価額となります。
不動産投資は相続対策として有効な手法です。現金や株式などの金融資産を保有している場合、賃貸不動産に組み換えたほうが相続税を節税できます。金融資産を不動産(収益物件)に組み替えることは、物件の選定を大きく間違えなければ成功確率や再現性が比較的高いといえます。
失敗しない不動産投資!成功率を高めるポイント
投資に100%成功する方法はありません。不動産投資も同じです。物件の構造や立地、利回り、ローンの返済比率や返済期間などさまざまな条件によって成功率は影響を受けます。
しかし、他の投資と比べて成功率を高めるポイントがわかりやすく、対策も可能です。
投資に不向きな物件を選ばない
投資の対象となる収益物件は、マンション、アパート、戸建てなどさまざまです。不動産投資は初期費用が高額であるため、金融機関からの融資を受けてローンで購入する可能性が高くなります。
ローンの返済期間は法定耐用年数と連動して設定されることが一般的です。法定耐用年数は木造が22年、鉄骨造(厚さ4ミリメートル以上)が34年、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年です。RC造は、法定耐用年数以上の55年~60年を耐用年数として、融資の返済期間を判断する金融機関もあります。
また、不動産投資物件として、新築の区分マンションをすすめられることが多いですが、新築時は物件価格が割高であることもあり、利回りが不利となることも考えられます。
立地条件にもよりますが、区分所有のワンルームマンションは、賃料の減少が比較的緩めですので、築年数が古い物件を購入する方が有利となる場合もあります。
必ず、購入前に実質利回り、返済比率、キャッシュフローなどから投資シミュレーションをし、対象物件の類似物件、周辺環境なども合わせて情報収集を行ってじっくりと検討しましょう。
リスクに備えた対策を持つ
投資にはリスクがつきものです。不動産投資も例外ではなく、リスクが存在します。不動産投資特有のリスクとして、空室リスクがあります。
賃借人が決まらない間は収益を得られないので、実質的な利回りが悪化します。しかも、区分所有マンションの1室や、戸建て物件では、空室リスク=収益ゼロとなってしまいます。収益がゼロであっても、入居者を募集するための費用や、物件の管理費用は必要となるため、「広告宣伝を強化する」「貸室に付加価値をつける」などの対策が必要となります。
その他にも、家賃滞納、災害や老朽化などが考えられます。しかし、家賃滞納には家賃保証会社をつける。災害や老朽化には保険を検討するなど、他の投資のリスクと比べて対応しやすいため、あらかじめ備えておくことができます。
不動産投資に強いパートナーを見つける
不動産投資では、物件の管理や宣伝広告など専門知識が必要となります。
不動産会社では、不動産の売買から管理までを行ってくれます。さらに、投資用物件を扱い投資家向けに情報提供やサポートをする不動産投資会社もあります。
物件の紹介やサポートはもちろん、投資家に利益が出るようにアドバイスなどもしてくれます。投資家にとっては物件の紹介を受け、その物件から利益が出るようにサポートしてくれる大切なパートナーとなり二人三脚で成功を目指せます。
不動産投資会社を選ぶ際には、物件を売ることばかりに力を入れている投資会社は注意した方が良いでしょう。良い投資会社は顧客の希望や予算に合わせて物件を選んでくれます。顧客に利益が出るように、相手のことを考えた接客を行う会社を選びましょう。また、不動産投資会社として信頼できることも重要なポイントです。
顧客目線で応対してくれることや、社会的に信頼があることも確かめましょう。コンプライアンスを遵守していることや、過去の顧客トラブルなども確かめましょう。口コミなどがあれば参考にすると良いでしょう。特に以下にあてはまるような不動産投資会社は避ける方が良いでしょう。
【不動産投資会社を選ぶ際に避けたほうが良い会社】
- リスクや失敗例を隠す
- 強引な営業トークをする
- 楽に儲かると言う
適切な融資期間を設定する
近年は低金利が続いていることから、キャッシュフローを重視する場合は、少しでも長期間の融資を組む方が有利となります。
セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」は融資期間の最長が30年となっており、長期の融資に対応しています。
また、築年数が古い物件や、銀行の借入枠オーバーであってもローンを組めた事例などがあり、不動産投資に柔軟に対応可能です。
不動産投資をお考えの場合は、ご相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
不動産投資を行う場合は、投資目的にあった投資額や物件を選択することで成功率を上げることができます。まずは、何のために投資を行うのかということをじっくりと考えることが大切です。今回紹介した目的別の情報を参考にして頂ければ幸いです。
また、不動産投資は専門知識も必要となります。特に相続税の節税やFIREを目指した投資の場合は事前準備や長期的な計画も必要となりますので専門会社に依頼し二人三脚で進めていくこともひとつの方法となります。