資金調達に有効な手段のリースバックですが、自宅のリースバックを検討する場合、買取価格や家賃をいくらに設定するかは重要なポイントになります。本記事ではリースバックの準備を進める方に向けて、買取価格や家賃の相場がいくらなのか、査定をしてもらう際に気をつけるポイントは何かについてまとめました。
(本記事は2024年8月20日時点の情報です)
- リースバックの買取相場は地域や築年数によって異なるが、一般的な不動産仲介の市場価格に比べると安くなる傾向にある
- リースバックの家賃は相場よりも高くなる場合があり、家賃を抑えるためには買取価格を抑える、複数社で見積もりを取るなど対策が必要である
- リースバックの査定前に、買取価格の妥当性・諸費用・リースバック後の居住期間・会社の信用性は確認したい
リースバックの買取価格の相場はいくら?
リースバックとは、自宅をリースバック会社に売却すると同時に自宅に対して賃貸借契約を結ぶことで、自宅を売りながら賃貸として住み続けることのできる仕組みのことを指します。
短期間で高額な資金が手に入るため、老後や相続の資金調達を行いたい方などがリースバックを利用する傾向があります。一方で、買取価格や家賃は一般的な不動産相場よりも不利になることが多いです。
一般的な不動産仲介市場価格より安い
一般的な目安として、リースバックにおける買取価格は一般的な市場価格よりも低く設定されることが多いです。
これは買取をする不動産会社が家賃による収益の利回りを重視するためです。
家賃の収益の利回りは以下のような式で求められます。
【利回りの計算式】
利回り = 1年分の家賃収入 ÷ 買取価格
1年分の家賃収入は所有者が物件の価値を判断して、1年で100万円などのように自ら定める金額です。
この式が示すように買取価格が下がれば利回りが良くなる、つまり収益を回収する効率が高くなるため価格設定が安くなるのです。
またリースバックでは賃貸借契約が満了し居住者が退去した後、不動産を売買するということも考えられます。
その際の市場価値の下落リスクを抑えるという観点からも、不動産会社にとっては買取価格は安く抑えられた方が良いということになります。
買取相場は地域や築年数によっても異なる
実際の買取価格は地域や築年数によって大きく変動する可能性があります。
例えば地域については、都市圏など人口が集中する地域では不動産売買の需要が高くなるため、それに伴い買取価格が高くなる傾向にあります。逆に人口の少ない地域では買取価格が低めに設定されることが多いです。
また築年数の観点では、築年数の浅い物件の方が不動産としての評価が高く買取価格も高くなります。しかし不動産の市場価値の下落リスクを考慮すると、築年数のある物件の方が下落リスクが低いため不動産価値に対して高い売却価格がつきやすく、有利な側面もあります。
リースバックの家賃相場はいくら?
リースバックの家賃は、物件の状況や契約条件によって異なります。必ずしも周辺相場より高くなるわけではありませんが、個別に確認することが重要です。
またリースバックの家賃は買取価格に連動しているため、買取価格の設定次第では家賃を抑えることが可能です。
周辺不動産よりリースバックの家賃相場は高い
一般的に家賃は周辺の相場を考慮し設定することが多く、大きな魅力がなければ相場より高い金額を設定することが難しいです。
しかしリースバックを利用する方には「同じ家にそのまま住み続けたい」というニーズがあります。そのため周辺の相場よりも高い金額を設定しやすくなります。
リースバックの毎月の家賃は買取価格をもとに以下の計算式で算出されます。
【リースバックでの月々の家賃の計算式】
月々の家賃 = 買取価格 × 期待利回り ÷ 12
期待利回りとは、所有者がその不動産から1年あたりに買取価格の何%の利益を回収したいかを示す数値で、7%から13%に設定されていることが多いです。この式によると、例えば買取価格1,200万円、期待利回りが10%の物件の場合、毎月の家賃は1,200万円×10/100÷12=10万円となります。
査定価格と期待利回りに対する毎月の家賃は以下の表のとおりで、期待利回りの数値によっては高額な設定になることが分かります。
【リースバックの家賃シミュレーション】
査定価格 | 家賃(月ごと) | ||
期待利回り7% | 期待利回り10% | 期待利回り13% | |
1,000万円 | 5.8万 | 8.3万 | 10.83万 |
2,000万円 | 11.7万 | 16.7万 | 21.7万 |
3,000万円 | 17.5万 | 25万 | 32.5万 |
リースバックの家賃を抑えるには
家賃が高くなり過ぎてしまうと、月々の家賃が払えない、なんてことも起こりかねません。リースバックの家賃を抑える方法も確認しておきましょう。
家賃を抑えるには主に以下の2つの方法があります。
リースバックの買取価格を下げる
リースバックにおける家賃は物件の買取価格に比例します。そのため買取価格を下がれば月々の家賃も下がります。家賃の負担を考慮して買取価格を低めに設定してもらうことも可能です。
複数の不動産会社に相談し、見積もりをとる
家賃の査定は不動産会社によって異なるため、複数の不動産会社に家賃の見積もりを算出してもらいましょう。いくつも不動産会社を回るのが大変な場合は一括査定を活用することもおすすめです。
リースバックを利用するメリット・デメリット
買取価格・家賃の相場を確認したところで、リースバックのメリット・デメリットを今一度おさらいし、リースバックを利用すべきかどうか確認しましょう。
リースバックのメリット
【周囲に知られず売却できる】
リースバックでは住宅を売却する前後で住環境が変わりません。そのため住宅の売却を周囲に知られることは少なくなります。ただし、管理組合などには所有者変更の届出が必要な場合があります。
【売却後も住み続けられる】
リースバックでは一度売却した住宅を賃貸借契約により借り直すため、売却した後でも同じ住宅で暮らすことができます。
【将来、自宅を買い戻せることも】
リースバックを行った後に自宅を持ち家として買い戻したくなった場合にも、リースバックの契約内容によっては買い戻せる場合があります。
【一部の住宅管理コストが不要に】
住宅の売却後も、メンテナンスは賃借人(元所有者)に依頼される場合が多いですが、管理費や固定資産税などの一部の住宅管理コストが不要になります。
リースバックのデメリット
【売却価格が相場より安い傾向にある】
1章で触れたように、不動産会社の利回りなどの都合によりリースバックにおける買取価格は一般的な買取価格の70~90%程度と、相場より安くなることが多いです。
【家賃が相場よりも高い場合がある】
2章で触れたように、リースバックの年間の賃料相場は、買取価格の7~13%程度に設定されていることが多く、周辺の不動産に比べて高めの設定となっている場合があります。
【賃貸借期間は無期限ではない】
リースバックでの賃貸借は契約期間が定められていることが多く、契約内容・契約満了日をしっかり確認しておく必要があります。
【住宅ローンの残債によってはリースバックを利用できない】
リースバックにより住宅を売却しても住宅ローンが完済できない「オーバーローン」と呼ばれる状態の場合、リースバックを行うことは原則できません。
【物件の所有権が不動産会社に移転する】
自宅を売却し所有権を不動産会社に渡すことになります。そのため家賃の変更や他の不動産会社への自宅物件の売却など、居住者の意図しない変化が起こる可能性があります。
リースバック査定時までに押さえておきたいポイント
もしリースバックを利用する場合は、買取価格や家賃の相場以外にも注目しておきたいポイントがあります。この章ではそのポイントについてひとつずつ解説していきます。
買取価格が【高い/低い】状態のバランスを把握する
リースバックの買取価格は高い場合も低い場合もそれぞれメリットがあるため、高ければ高いほど良いとは一概に言い切れません。自分にとってどの価格設定がリースバックのメリットを最大限に発揮できるのか、そのバランスを査定前に把握しておきましょう。
買取価格が高い状態
買取価格が高い場合、住宅の売却で手に入る現金が多くなるため、直近で多額の資金が必要な場合は買取価格は高い方がリースバックの恩恵を受けやすくなります。
買取価格が低い状態
買取価格が安い場合、買取価格に連動して月々の家賃が安くなるというメリットがあります。必要資金以上の住宅の売却金が見込まれる場合には、買取価格を低めに設定した方が将来的な経済的負担は抑えられるでしょう。
リースバックにかかる諸費用を確認する
リースバックを利用する際、会社によって異なりますが、以下のような費用がかかる場合があります。
- 印紙税
- 抵当権抹消費用
- 譲渡益課税
買取価格によってこれらの金額は変動します。具体的な費用については、リースバック会社に確認することをおすすめします。
あと何年住めるか契約内容を確認する
リースバックで賃貸借契約を結んだ際に、その契約内容が「定期借家契約」の場合、契約の更新ができないため契約が満了したタイミングで退去をしなければなりません。
賃貸の契約期間が自分の住みたい期間を確保できているかはよく確認するようにしましょう。
信頼できるリースバック会社を選ぶ
リースバックを行った場合、リースバック会社とは賃貸借契約により長くお付き合いする関係になります。
そのため信頼できるリースバック会社を選ぶことは非常に重要なことです。可能であれば複数の会社を回って、自分の納得できると思った会社で取引を進めることをおすすめします。
簡単にリースバック会社を見極めるポイントを以下に共有します。
- 買取金額
- 家賃
- 事務手数料
- 対応のよさ
- 保証人の有無
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おわりに
リースバックは資金調達に有効な手段である反面、住宅の買取価格や家賃においては不利な一面も出てしまうものです。なるべく良い条件でリースバック取引を行うためには、自分の納得できる買取価格・家賃等の契約条件を把握し、信頼のできるリースバック会社と条件をすり合わせる必要があります。「セゾンのリースバック」ではお客様に寄り添ったサービスを提供しております。リースバックは、ぜひセゾンファンデックスにお任せください。