実は日本は外国からの不動産投資の対象国としても親しまれています。円安で物件が購入しやすいうえに、利回りもよく、政治・地理上のリスクも低いためです。そのため、永住権を持たない外国人投資家でも日本での不動産投資にチャレンジできますが、言葉や習慣、法律の壁がある以上、やり方を考える必要があります。この記事では、日本の不動産を購入する外国人の割合に触れつつ、日本での不動産投資を成功させるコツを解説します。
(本記事は2024年7月29日時点の情報です)
- 日本の不動産は収益率が高く、円安で購入費用を抑えられるうえに、政治・地理上のリスクも低いこ とから人気がある
- 投資先として人気がある都市は北海道・東京・横浜・大阪・福岡の5エリア
- 外国人でも日本での不動産投資を行うことができるが、成功するかどうかは不動産会社の腕にかかっている
- 投資用不動産購入のためのローンは、外国人対応に長けている金融機関を選ぶことが重要
日本の不動産は外国人に人気!割合や理由を紹介
日本の不動産は外国人にも非常に人気です。国土交通省が実施している「海外投資家アンケート調査」の結果によると、2020年は日本の不動産投資市場において全体投資額の34%を海外投資家が占め、金融危機以降で最大となりました。
また、アメリカの大手不動産サービス会社・ジョーンズラングラサール(JLL)の調査によれば、2024年1〜3月の世界の都市別不動産投資額で日本の首都圏(東京都、神奈川、千葉、埼玉各県)が前年同期比60%増の76億5,000万ドル(約1兆2,000億円)に達し、ニューヨーク、ロンドンを押さえ世界首位となりました。
なぜ、これだけ日本の不動産が人気を集めているのか、そして、具体的にどこの国の投資家が積極的に投資しているのかについて詳しく解説します。
日本の不動産が外国人から人気を集める理由
最初に、なぜ日本の不動産が外国人から人気を集めているのか、具体的な理由として以下の点について解説します。
収益率が高いから
1つ目の理由は、収益率の高さです。他のアジア諸国に比べ、日本の都市部にある物件の利回り平均は高くなっています。2023年のデータですが、都心部にある物件の利回り平均は日本の場合は2.5%だったのに対し、香港は1.8%、中国は1.7%となっていました。
実際の利回りは個々の物件によって異なるため一概にはいえませんが、他のアジア地域に投資するより費用対効果が高いことが好まれる背景にあるようです。
円安で購入費用を抑えられるから
2つ目の理由は、円安が進むと購入費用を抑えられることです。例えば、日本円で1億5,000万円の物件があった場合、1ドル=75円であれば200万ドル必要ですが、1ドル=150円であれば100万ドルで済む計算です。今後どこまで円安傾向が続くかはわかりませんが、続く限りは購入しやすいという点で日本の不動産は好まれるでしょう。
社会情勢が安定しているから
3つ目の理由は、社会情勢が安定していることです。日本は地理的、政治的な理由から戦争といった社会情勢の変化が起こるリスクが低く、不動産の価値が暴落する可能性が少ないため、投資先としても好まれる傾向があります。
追加課税や規制がないから
4つ目の理由は、追加課税や規制がないことです。日本以外の国の場合、外国人による土地購入を含めた不動産投資自体が禁止されていたり、可能ではあるものの規制が厳しかったりすることが往々にしてあり得ます。しかし、日本の場合は外国人だからといって追加課税や制限がなく、好条件で投資ができるのが大きな長所です。
日本の不動産への投資額が多い国
日本の不動産への投資額が多い国として真っ先に挙げられるのはアメリカです。次いでシンガポールが挙げられますが、2010年代に入ると中国・香港からの投資額も増えてきました。2015年時点での投資額が多い国・地域のベスト3は以下の通りです。
- アメリカ
- 香港
- シンガポール
その他の国としては、イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・オーストラリアなどが挙げられます。
海外投資家が注目する人気の5都市
日本の不動産に投資したい海外投資家が注目する人気の都市を5つ紹介します。基本的に空き家リスクが低いエリアが人気を博していると考えましょう。
北海道
海外投資家の中でも、個人投資家に特に人気があるのが北海道の物件です。古くからウィンターリゾートとして知られるニセコ・倶知安をはじめ、スキー場へのアクセスが良いリゾート物件が好まれます。
東京都
東京は、世界主要都市の中で、国際競争力の高さの割に地価が割安という点で好まれている場所です。建築基準法の規制をクリアできていない不動産でも、利回りの高さから個人投資家が購入することは往々にしてあり得ます。エリアでいうと六本木など繁華街に近いエリアが好まれる傾向です。
また、赤坂・青山・麻布を総称した「3A」と呼ばれるエリアも人気を博しています。都心ではなくても、練馬区・板橋区・杉並区など安定した賃貸収入が期待できるエリアでも引き合いがあるのが実情です。
神奈川県
古くからの国際都市として知られる横浜を擁する神奈川県にある物件も、海外投資家の投資先として好まれます。中華街やみなとみらい地区などの観光スポットがある人の集まる街であり、住みやすい街として住宅の需要も見込めることが人気の理由です。
多くのインターナショナルスクールや外資系企業の日本支社もあり、欧米系の外国人コミュニティが盛んであることも、外国人に好まれる背景となっています。
大阪府
国内第二の都市、大阪も海外投資家から好まれる街のひとつです。2025年開催予定の万博や、カジノを含むIR(統合型リゾート)の開業など観光地としてのポテンシャルの高さも評価されています。加えて、東京と比べると割安感がある点も、海外投資家にとってのプラス評価につながっているようです。
福岡県
九州最大の都市・福岡は東、東南アジアに近いという立地の優位性、「天神ビッグバン」に代表される官民を挙げた都市開発の活発性から海外投資家の人気を集めています。相場は上がりつつあるものの、坪単価だけを考えれば東京23区、大阪市よりも大分安いのも魅力です。
外国人が不動産投資を成功させるには不動産会社選びが重要
外国人であっても、日本での不動産投資を成功させること自体は不可能ではありません。ただし、日本人の場合以上に不動産会社との相性に左右される部分もあるので、具体的に意識すべき以下の4つのポイントを詳しく解説します。
多言語に対応しているか
その不動産会社が多言語対応かどうかは非常に重要な要素になります。不動産投資をする際は、担当者に希望条件を伝えたり、価格交渉を代わりにしてもらったりする必要がありますが、その際のやり取りがスムーズに進めるうえで外国語対応ができるかは非常に重要です。
高度なやり取りができるほどの日本語を習得できているなら別ですが、そうでない場合はどの程度外国語対応が可能かを判断基準にしましょう。
外国人との取引実績が豊富か
外国人との取引実績が豊富かも確認しておく必要がありそうです。日本と外国とでは、商慣習や法律もまったく違う以上、その点を踏まえて取引を進めないといけません。また、日本人を相手にしている場合には起こり得ない複雑かつ困難なトラブルが発生することもあるため、十分な対応ができるかもポイントになります。
説明やアフターフォローが充分か
説明やアフターフォローが充分かもチェックすべきポイントとなります。物件を購入したあとも、数年単位で賃貸経営をしなくてはいけない以上、想定されるリスクや購入後のトラブルについて十分な対応をしてくれそうな不動産会社を選びましょう。
以下の点について質問し、担当者の知識・経験の豊富さや対応の親切さをはかってみるのもひとつの手段です。
- 日本の不動産投資がかかえるリスク
- リスクの回避、対処法
- 物件販売前の調査状況
- 物件購入後のトラブル対応
融資に関する情報を持っているか
融資に関する情報を持っているかも、不動産会社選びのポイントになります。日本において不動産投資をする場合、数千万円単位での調達が必要になるため、海外投資家が有利な条件で融資を受けられる金融機関を見つけられるかが非常に重要です。金融機関とつながりがあるか、最近の融資情勢に関する知見があるかを判断基準にしましょう。
外国人が日本の不動産購入する流れと資金調達方法
外国人が日本の不動産を購入する場合でも、大まかな流れは日本人が購入する場合と同じで、一般的な流れは以下のとおりです。
- 物件を決める
- 買付証明書を提出する
- 支払方法を検討する
- 重要事項説明を受ける
- 売買契約を結ぶ
- 決済する
- 所有権移転登記を行う
- 財務大臣へ報告する
ただし、「8.財務大臣へ報告する」という点は大きく異なります。つまり、海外在住の外国人は不動産を取得した日から20日以内に、日本の財務大臣あてに名義人の氏名、価格など所定の事項を報告する決まりです。ただし、以下のいずれかに当てはまる場合は報告の必要はありません。
- 他の海外居住者から取得した
- 本人、家族・親族、従業員が居住する目的で購入した
日本の不動産購入にかかる費用
日本の不動産購入にかかる費用に含まれるものは、以下のとおりです。
- 物件価格
- 仲介手数料
- 印紙税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 消費税
- 登記代行手数料(司法書士報酬含む)
- 事務手数料
- ローン保証料
- 固定資産税等
- 管理費等
具体的な金額は個々の事例により異なりますが、まとまった金額が必要になる点も織り込んで準備しましょう。
資金の調達方法
外国人が日本の不動産を購入する場合、資金調達方法として考えられるものは以下の3つです。
海外送金
日本の金融機関の口座を持っていなければ、海外の金融機関から日本の不動産会社が指定した口座に送金することが考えられます。ただし、この方法はマネーロンダリングに悪用されることを防ぐ観点から、送金する側・される側ともに厳しい審査を通過しなくてはいけません。信頼できる不動産会社に依頼することが重要ですが、その場合でもある程度は時間がかかるのを想定して動きましょう。
預金小切手
預金小切手とは、銀行などの金融機関が振り出す小切手のことで、受け取った側が窓口に持参すると記載された金額分の現金と引き換えることができます。一般的な小切手とは違い不渡りになる可能性がないため決済手段として広く使われていますが、すぐに現金化できないので売主に敬遠されるリスクがある点に注意が必要です。
ローン
物件をローンで購入することも考えられますが、永住権のない外国人は住宅ローンを利用できません。あくまで本人が住む家を購入することを前提にしたローンであるためです。ただし、投資用に不動産を購入するのであれば、永住権がなくても組めるローンがあるので、金融機関に確認してみましょう。
投資用の不動産購入の際はセゾンファンデックスの「不動産投資ローン」を
日本の永住権を持たない海外投資家の方のローンに関する扱いは金融機関によっても違いがあります。一律対応不可としている金融機関もあるため、希望する金融機関での扱いがどのようになっているか確認しましょう。
セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」は、日本の永住権を持たない外国人の方でもご利用いただけます。2024年7月現在の融資対象国は中国、香港、韓国、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド等です。
また、中古物件や築古・狭小物件など他の金融機関では対応を断られるケースや自己資金なしのフルローンでも融資の実績がございますので、お困りのことがございましたらまずはお電話にてご相談ください。
おわりに
日本は、円安傾向にあるため少ない資金で物件を購入できるうえに、利回りが良く、政治・地理上のリスクも低いことから、外国人投資家にも不動産投資先として好まれています。ただし、実際に物件を購入しようとすると、日本の不動産会社や金融機関との高度なやり取りが必要になるため、豊富な経験を有するプロのサポートを受けたいところです。海外不動産投資家の対応の実績が豊富で、かつ、相性が良い担当者がいる不動産会社を選び、ストレスのないやり取りをすることを目指しましょう。