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築古アパートの不動産投資におけるメリットとは?失敗しない物件の選び方や、成功のためのポイントも解説

築古アパートの不動産投資におけるメリットとは?失敗しない物件の選び方や、成功のためのポイントも解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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築古アパートへの投資に興味はあるけれど、物件の選び方やどう運営すれば成功するのかわからない方も多いでしょう。築古アパートは物件を安く取得できるために高利回りを期待できますが、注意点もあります。

今回の記事では築古アパートの投資のメリットやデメリット、成功させるためのポイントを詳しく解説します。この記事を読むと築古アパート投資に必要な準備がわかり、大きな失敗を避けられるでしょう。

(本記事は2024年8月6日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • 法定耐用年数は建物の寿命ではなく、アパート経営が可能な物件の築年数は経済的耐用年数が目安となる
  • 築古アパート投資は物件を安く購入できるため高利回りが期待でき、節税効果も高い
  • 築古アパートは価格が安い反面、リフォームや修繕の費用が高額になるリスクがある
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築古アパートとは?

築古アパートとは?

最初に、「築古アパート」とはどの程度の築年数を指すのかについて解説します。

アパート経営が可能な築年数はどのくらい?

築古アパートの明確な定義はありませんが、多くの場合、築30年以上経過した物件を指します。アパート経営が可能な建物の築年数の基準には、主に法定耐用年数と経済的耐用年数があります。

法定耐用年数を目安にする

法定耐用年数とは税法で定められた、建物が減価償却できる期間です。建物は経年劣化によって価値が下がっていくため、この価値減少分を毎年一定額ずつ費用として計上できるように法定耐用年数が設けられています。

法定耐用年数は建物の構造によって異なり、アパートに用いる建物の場合は以下のとおりです。

構造法定耐用年数
木造22年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年
れんが造・石造・ブロック造38年
軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3㎜以下の建物19年
軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3㎜超4㎜以下の建物27年
軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が4㎜超の建物34年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表

法定耐用年数はあくまで税務上の概念であり、建物が物理的に使用できなくなる年数を示すものではありません。 実際には適切なメンテナンスによって、法定耐用年数を超えてアパートを使用し続けることも可能です。

経済的耐用年数を目安にする

経済的耐用年数とは不動産投資において建物の経済的価値が残る期間です。経済的耐用年数は法定耐用年数とは異なり、建物の物理的な寿命を含めた経済的な観点から判断されます。

・建物の物理的な寿命

・技術の進歩による陳腐化

・周辺環境の変化

・賃貸需要の動向

適切なメンテナンスによって建物の寿命を延ばせるとしても、経年劣化による建物価値の低下は避けられません。しかし、築年数が経過したアパートでも土地の評価額が重視され、売買の対象となるケースが少なくありません。土地には経年劣化がなく、賃貸需要のあるエリアであれば建て直しなども検討できるためです。

アパート経営が可能な築年数は物件ごとに異なり、明確な定義づけは簡単ではありません。アパート経営が可能な築年数を考えるうえで、経済的耐用年数は重要な目安となります。物件の状態や空室率、周辺エリアの賃貸需要など多角的な視点で判断する必要があります。

築古アパートに投資するメリット

築古アパートに投資するメリット

不動産投資においては新築や築浅でなく、あえて築古物件を選ぶ手法も一般的です。ここでは、築古アパートに投資するメリットについて解説します。

物件を安く購入できる

築古アパートへの投資は、物件を安く購入できるというメリットがあります。建物の経年劣化により、資産価値が下がるためです。例えば、法定耐用年数を過ぎた建物の価値はゼロに近く、実質的に土地の価値のみで取引されます。

このような物件であれば割安な価格で購入できるため、資金が潤沢でない方でも不動産投資に取り組みやすくなります。

高い利回りを期待できる

築古アパートへの投資には、高い利回りを期待できるという魅力があります。物件の経年劣化により建物の価値が下がる一方で、家賃相場には下げ止まりがあるためです。家賃相場は地域や周辺環境によってある程度決まっているため、景気変動などの影響を受けにくい傾向があります。

よって、家賃の下げ止まりと物件価格の低下によって、利回りが上昇する可能性があるのです。

ただし、築古物件は入居者を付けづらいというデメリットもあります。しかし、空室対策としてリフォームをして水回りを綺麗にする、最新の設備を設置するといった改善によって入居者を獲得しやすくなるでしょう。

減価償却で節税が可能

築古アパート投資では、減価償却による節税効果を期待できます。減価償却とは、建物などの資産の価値が時間とともに減少していく分を、毎年の経費として計上できる仕組みです。これは、不動産投資における重要な節税方法の一つです。

例えば、2,000万円で購入した築古アパートの建物部分の価値が、4年間で均等に減少すると仮定します。この場合、毎年500万円(2,000万円÷4年)を経費として計上できます。

実際の家賃収入が年間300万円だとしても、この500万円の減価償却費を差し引くことで、帳簿上は200万円の赤字になります。つまり、実際には利益が出ているにもかかわらず、税務上は赤字として扱われるのです。

この赤字分を他の所得(給与所得など)から差し引くことで、支払う税金を減らすことができます。これが減価償却による節税効果です。

築古アパートは新築物件に比べて短期間で減価償却できるため、より大きな節税効果が期待できます。ただし、減価償却は複雑な計算が必要なため、実際の運用には税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

購入後の資産価値が下がりにくい

中古アパート投資は、新築に比べて物件の資産価値が下がりにくいという特徴があります。

その理由は、中古物件は物件価格に占める建物価格の割合が小さくなるためです。建物は新築時をピークに減価していきますが、土地には経過年数による減価はありません。

取得したときから建物価格の割合が少ない築古アパートは資産価値の大幅な減少はしにくく、売却時に有利になると考えられます。

築古アパートに投資するデメリット

築古アパートに投資するデメリット

築古アパートへの投資は投資額が少なくすむからといって、簡単な投資とはいえません。以下のようなデメリットも理解しておきましょう。

リフォームや修繕に費用がかかる

築古アパート投資には、リフォームや修繕に費用がかかるというデメリットも存在します。築年数が経過した建物は経年劣化による設備の老朽化や破損が生じやすく、定期的な修繕が必要です。

例えば、キッチン、浴室、トイレなどの水回りの定期的な改修や、屋根や外壁の修繕などの費用を想定しておくべきでしょう。

築古アパートへの投資はリフォームや修繕に多額の費用がかかり、物件の状態によっては初期投資が膨らむリスクがあります。そのため、入念な物件調査と、適切な資金計画が不可欠です。

融資が難しい可能性がある

築古アパートへの投資には、融資を受けにくいというデメリットがあります。多くの金融機関で不動産投資ローンの借入期間は、残存法定耐用年数以内が基本となっています。つまり、築年数が古いほど借入期間は短くなるのです。法定耐用年数を超える築古物件に融資してくれる金融機関は限られる点を理解しておきましょう。

また、新築や築浅物件と比べて建物の価値が低いため、融資を受けられる金額が少なくなる傾向があります。

融資を受けにくい築古アパートの取得は、自己資金の少ない方にとってハードルの高い投資といえるでしょう。

セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」なら築古物件にも融資可能

築古アパートの投資を検討中で不動産投資ローンの利用が難しそうな方には、セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」がおすすめです。

法定耐用年数を過ぎた築古物件に融資してくれる金融機関は限られています。しかし、セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」なら、築古物件でも融資の相談が可能です。

セゾンファンデックスの不動産投資ローンの特徴は不動産の流動性や収益性、自己資金などを総合的に評価して融資をしてくれる点です。実際に築年数が古い物件の融資が通った事例のように、金融機関の融資条件に当てはまらない場合の融資実績も多数あります。

融資してくれる金融機関が見つからずに築古アパート投資を諦めかけている方は、ぜひ一度セゾンファンデックスへご相談ください。

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築古アパートの失敗しない選び方

築古アパートの失敗しない選び方

続いて、築古アパートに投資する場合の物件の失敗しない選び方を解説します。

現地調査を行う

築古アパートを選ぶ際には、必ず現地調査をしましょう。物件の写真や資料だけでは、実際の建物の状態や周辺環境を正確に把握できません。現地で直接物件を見ると、建物の劣化具合や設備の状態、修繕工事の規模や費用などを考えやすくなります。

現地で不動産会社や管理会社から、物件の修繕履歴やメンテナンス状況の説明を受けましょう。

外観からはわからない欠陥については費用がかかりますが、専門業者によるインスペクション(建物調査)を利用しても良いでしょう。

耐震基準をチェックする

築古アパート投資において、耐震基準は物件選びにおいて重要項目のひとつです。地震が多い日本では、建物の耐震性能は安全確保のために欠かせません。

中古物件の場合、建築時期によって適用される耐震基準が異なります。1981年5月31日までに建てられた物件は 旧耐震基準 、それ以降に建てられた物件は 新耐震基準 に準拠しています。

旧耐震基準で建てられた物件は新耐震基準の物件より、地震の際の倒壊リスクなどが高い点に注意が必要です。築古アパートを購入する際は、必ず新耐震基準を満たしている物件を選ぶようにしましょう。

新耐震基準であっても、築年数が経過した建物は老朽化が進んでいる可能性があり、耐震補強が必要になる場合があります。耐震補強には多額の費用がかかるため、購入前にしっかりと調査し、必要であれば補強費用を考慮したうえで検討する必要があります。

賃貸の需要がある立地かチェックする

築古アパート投資で失敗しないためには、賃貸需要の高い立地の選択が重要です。空室リスクを低減し、安定した収益を得るためには、入居者がすぐに決まるような魅力的な立地を選ぶ必要があります。

最寄り駅からの距離や、周辺の商業施設、教育機関、医療機関の充実度を確認しましょう。また、同じ地域の賃貸物件の需要や家賃相場、空室率などの調査も大切です。

賃貸需要の高い立地にあるアパートは築年数が古くても適切な賃料設定とリフォームで、安定した収益を見込めるでしょう。

築古アパートへの投資を成功させるためのポイント

築古アパートへの投資を成功させるためのポイント

最後に、築古アパートへの投資を成功させるポイントを解説します。

出口戦略をしっかり考える

築古アパートへの投資を成功させるためには、出口戦略をしっかりと考えておく必要があります。出口戦略とは、将来的に物件をどうするのかを決めることです。

築古物件は築年数が経過しているため、将来的な価値の下落や老朽化に伴う修繕費用の増加が避けられません。

主な出口戦略には「売却」「建て替え」「長期保有」があります。それぞれの特徴と具体例を詳しく見ていきましょう。

  1. 売却

売却は、物件の価値が上がった時点や、経営が難しくなった時点で投資を清算する戦略です。

特徴:

  • 比較的短期間で投資を回収できる
  • 不動産市況の変動リスクを抑えられる
  • 相続対策として有効

具体例: 築40年の木造アパートを3,000万円で購入し、5年間経営した後、土地の評価額が上昇したため4,000万円で売却。5年間の家賃収入と合わせて、約1,500万円の利益を得た。

  1. 建て替え

建て替えは、築古アパートを取り壊し、新しい建物を建築する戦略です。

特徴:

  • 土地の有効活用ができる
  • 新築物件として高い家賃設定が可能
  • 長期的な収益が期待できる

具体例: 築50年の4世帯アパートを2,000万円で購入。取り壊して8世帯のアパートを新築(建築費8,000万円)。月額家賃収入が20万円から80万円に増加し、20年で投資回収を目指す。

  1. 長期保有

長期保有は、築古アパートを継続的に維持管理しながら、安定した家賃収入を得続ける戦略です。

特徴:

  • 安定した収入が長期的に得られる
  • 相続財産としての活用が可能
  • 経年による減価償却のメリットを最大限に活用できる

具体例: 築35年の6世帯アパートを4,000万円で購入。年間600万円の家賃収入があり、修繕費を年100万円と見積もって、15年以上の長期保有を計画。減価償却による節税効果も活用し、安定した収益を確保。

出口戦略の選択は、物件の立地、建物の状態、不動産市況、自身の資金力や経営方針などを総合的に考慮して決定します。また、状況の変化に応じて柔軟に戦略を変更することも重要です。例えば、当初は長期保有の予定だったが、予想以上に土地の評価額が上昇したため売却に切り替えるなどの対応が考えられます。

適切な出口戦略を立てることで、投資リスクを軽減し、より確実な利益確保が可能になります。ただし、不動産投資は長期的な視点が必要なため、短期的な利益だけでなく、将来の市場動向や自身のライフプランも考慮に入れて戦略を立てることが大切です。

時代のニーズに合ったリノベーションの具体的な費用と注意点

築古アパートにエリアや時代のニーズに合ったリフォームやリノベーションを施すと、入居率のアップが期待できます。築古物件は古い設備や間取りが入居者のニーズに合わない場合があるためです。

築古アパートのリフォームやリノベーションには、以下のようなニーズが考えられます。

  • モダンな内装
  • 断熱性の向上
  • バリアフリー

壁紙や床材、照明などを現代的なものに交換すると、築古アパート特有の古臭さを払拭できるでしょう。また、断熱改修を施すと光熱費の節約につながり、入居者へのアピールポイントとなりえます。築古物件の段差解消といったバリアフリー対応も、住居としての使い勝手の向上につながります。

内装のリフォームでは壁紙の張り替えには1㎡あたり800円〜1,500円、フローリングの張り替えは1畳あたり100,000円~200,000円が費用の目安です。使用する素材によってかかる費用が異なり、壁と床で200,000円~400,000円程度かかると考えられます。

築古アパートのリフォームにかかる費用は、工事の範囲や規模によって大きく異なります。以下に、主な箇所ごとの一般的な費用目安を示します:

  1. 内装リフォーム ・壁紙の張り替え:1㎡あたり800円〜1,500円 ・フローリングの張り替え:1畳あたり10,000円〜20,000円 ・天井の張り替え:1畳あたり8,000円〜15,000円
  2. 水回りリフォーム ・キッチン:30万円〜100万円 ・浴室:50万円〜150万円 ・トイレ:20万円〜50万円 ・洗面所:20万円〜50万円
  3. 外装リフォーム ・外壁塗装:1㎡あたり3,000円〜6,000円 ・屋根の葺き替え:1㎡あたり1万円〜3万円
  4. 設備更新 ・エアコン取り付け:1台あたり10万円〜30万円 ・給湯器の交換:15万円〜30万円 ・照明器具の交換:1個あたり5,000円〜3万円
  5. その他 ・玄関ドアの交換:20万円〜40万円 ・窓サッシの交換:1箇所あたり5万円〜15万円 ・バリアフリー化(段差解消など):10万円〜50万円

これらの費用は目安であり、物件の状態や使用する材料、工事の難易度によって変動します。また、複数の箇所をまとめてリフォームする場合は、個別に行うよりも費用を抑えられることがあります。

例えば、6畳の和室を洋室にリフォームする場合、壁紙・床・天井の張り替えで30万円〜50万円程度、キッチン・浴室・トイレの水回り3点セットで100万円〜300万円程度、外壁塗装で50万円〜100万円程度かかると想定されます。

リフォーム計画を立てる際は、複数の業者から見積もりを取り、費用対効果を十分に検討することが重要です。また、入居者のニーズや地域の賃貸市場の動向を考慮し、過剰な投資にならないよう注意しましょう。

壁紙の張り替えやクッションフロアの重ね張りといったリフォームであればDIYが可能で、かかる費用を抑えられます。

ただし、DIYで行う場合は、安全面や施工の質に注意が必要です。専門的な知識が必要な工事は、プロに依頼したほうが無難です。

資金を充分に確保する

築古アパートに投資する場合、充分な資金の確保が重要です。築古物件は購入後に修繕やリノベーションが必要になるケースが多く、想定外の費用が発生するリスクがあるからです。

また、空室が発生した場合の入居者募集費用や、家賃収入減少分の予備資金も必要になります。

このように、築古アパートへの投資では購入費用だけでなく、修繕費用やリフォーム費用、空室期間中の収入の減少なども考慮して資金を準備する必要があるのです。

おわりに

築古アパートへの投資は物件を安く購入でき高い利回りが期待できるメリットがある一方で、リフォームや修繕に費用がかかるといったデメリットもあります。安定した賃貸経営のためには立地や状態の良好な物件を選び、適切なリフォームを施す必要があります。

築古物件の特徴やリスクを理解したうえで、計画的な投資を進めていきましょう。

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