親の亡き後、実家が空き家と化すことが社会問題になっています。こういった空き家問題はリースバックの利用で予防・解決することが可能です。実例を元に、リースバックによる空き家問題の解決法をご紹介します。
日本の空き家の数は800万戸を超えている
今日本にどれくらいの空き家が存在しているのかご存じでしょうか。総務省の発表している「住宅・土地統計調査」によれば、2018年時点において空き家の数は848万9,000戸となっています。空き家率はなんと驚異の13.6%です。これはおよそ6戸に1戸とかなり高い割合で空き家が存在していることになります。
出典:総務省 平成 30 年住宅・土地統計調査
空き家率は昔から高かったわけではありません。1958年時点での空き家率は僅か36万戸と2%にしかすぎませんでした。この60年ほどの間に空き家の数が23倍以上に、空き家率は6倍以上になったのにはきちんとした理由があります。その理由は主に少子高齢化と人口移動、加え税制の影響です。
地方から都会へと人口移動が進んだことで、地方を中心に空き家が増加。加えて空き家にしておく方が更地にするより税制上の優遇が受けられるため、空き家率の上昇が進んでいます。
こういった社会の変化を背景に、空き家は年々増え続け、60年の間に空き家率は6倍、空き家の件数は23倍以上となっていったのです。
空き家対策特別措置法とは
空き家問題はかねてより懸念されており、多くの自治体が独自の条例を設定するなどして空き家対策について取り組んできました。しかし、それだけでは空き家は減らず、空き家は増加の一途をたどっていました。そこで、国は2014年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」、通称「空き家対策特別措置法」を成立させ、空き家対策について本格的に乗り出しました。
空き家対策特別措置法によって、空き家対策のために空き家等への立ち入り調査が可能となったり、所有者把握のために固定資産税情報の内部利用が可能であるなど、空き家の実態把握のための権限が付与されました。
さらに、放置すると周囲に危険が生じる恐れのある空き家や、衛生上有害であったり、景観を著しく損ねるなど速やかに対応すべきことが必要な空き家については「特定空家等」として、一定の措置ができるようになりました。具体的には助言や指導、勧告や命令、戒告などの処分ができるようになっています。
そして、それらを経てもなお対応がなされない空き家は、強制執行という形で行政側にて処分することが可能となるなど、行政が強制的に空き家を処分できる権限を有するようになりました。その際の費用は行政が執行したからと行政が負担するのではなく、後から所有者に請求がされるような形で所有者が負担します。
空き家は固定資産税の特例の対象外に
意外にも空き家が増えてしまった理由にはこの税金面の優遇が存在していました。土地には所有しているだけで固定資産税という税金が所有者に課されます。土地の広さなどにもよりますが、この固定資産税は意外と高額で毎年固定資産税の支払いに頭を悩ませているという方も少なくありません。
ところが、この固定資産税には特例があります。土地に空き家でも住宅が建っていれば固定資産税の計算において、その基になる土地の価格(課税標準額)について200平方メートルまでの部分が6分の1になるといった特例(いわゆる小規模宅地の特例)があります。また、200平方メートルを超えた部分は3分の1となります。
その恩恵を受け、土地の固定資産税を安くするために空き家を放置するという事例が多く存在しています。実際、空き家が放置されていることの原因の1つとしてこの固定資産税の特例の存在があるともいわれています。
そこにメスを入れるべく、空き家対策特別措置法では、市町村長から特定空家等の所有者に対して、除却、修繕、立木竹の伐採そのほか周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることの勧告があった特定空家等は、固定資産税の特例の対象外となりました。具体的には、下記のような空き家は特定空家等として市町村長によって固定資産税の特例の対象外となるおそれがあります。
- 建物が激しく傾いている、外壁や屋根が脱落や変形、飛散している
- 屋根や外壁が汚れや落書きで外見上痛んだままになっている
- ゴミの放置や不法投棄されたゴミで衛生状態が悪い
- 多数の窓ガラスが割れてたまま放置されている、
- 動物のふんや尿などで異臭が強い
- 害虫が大量発生している
空き家の3大リスク
空き家は放置することでさまざまなリスクをもたらします。特に下記の3つは空き家による3大リスクと考えて良いでしょう。
- 税制上の優遇措置について対象外になる可能性がある
- 建物の老朽化(腐敗・劣化)や倒壊により損害賠償が発生する可能性がある
- 犯罪拠点として利用されたり火災の発生源となる可能性がある
それぞれどのようなリスクとなるのか、説明していきます。
税制上の優遇措置について対象外になる可能性がある
空き家は固定資産税の計算において、特定空家等とされてしまうと小規模宅地の特例が適用されなくなります。そのため、今まで空き家であっても小規模宅地の特例によって優遇された税負担で済んでいたところ、突然特定空家等とされ、固定資産税が高くなるという事も起こりうるのです。
それによって、固定資産税の税負担が例年と比較して3倍になるなど大きく跳ね上がることもありえます。このように予期しないタイミングで突然税負担が重くなるというのは空き家の存在による大きなリスクといえます。
建物の老朽化(腐敗・劣化)や倒壊による損害賠償が発生する可能性がある
空き家が老朽化して倒壊したり、一部が飛来するなどして、周囲の人や物に被害が及んだ場合それによって生じた損害賠償責任は空き家の所有者が負担することになります。今住んでいるかどうかや遠方にいるからなど関係なく所有者が損害賠償責任を負うのが原則です。
空き家が倒壊したりすれば、時に周囲の人の命に影響を及ぼし、莫大な損害賠償責任を負うことにもなりかねません。その点考えると空き家を放置することは非常に大きなリスクを抱えることと同義だといえます。
犯罪拠点として利用されたり火災発生源となる可能性がある
誰も管理していない空き家は犯罪グループの拠点として利用されることがあります。それだけでなく、放火の対象とされたり、ゴミの不法投棄場所に選ばれるなどということもあります。空き家がこのような犯罪に利用されると、空き家の所有者として何らかの形で責任を追及される可能性も充分にあります。
自身が所有している空き家にはどう対処すべきなのか
ここまで説明してきたように、空き家は深刻な社会問題となっており、所有者に大きなリスクをもたらしうる可能性のある存在でもあります。
今空き家を所有している場合は基本的に売却したり、賃貸物件に出すなどして空き家のまま放置しないような解決策をとることが大切になります。また、これから相続で実家を取得する可能性があるが、空き家になりそうだという場合も事前に対策しておく必要があるでしょう。
しかし、売却するにも賃貸に出すにもそれなりに時間や手間がかかります。遠方に居住していて多忙な方の場合、それらは現実的でない場合もあります。そういった場合は空き家の取り壊しも視野に入れて検討することになるでしょう。とはいえ、取り壊しにも解体費用や事業者の選定など手間と時間、そして費用がかかります。
そこでおすすめする方法がリースバックです。リースバックとは、家を売却して現金化することのできるサービスです。希望によっては売却後は賃貸物件としてその家に住み続けることもできるという大変便利なものとなっています。
生前にリースバックによって家を売却しておき、その家に賃貸物件として住むことで空き家問題の解決が生前に完了できてしまいます。また、リースバックによって家の代わりに得た現金を生前贈与したり、生命保険に換えておくことで相続税対策にも活用できます。
さらに、リースバックなら手続きを不動産会社が手伝ってくれることもあるため、空き家を売却したり賃貸に出したり、取り壊すときのような大きな手間と負担が発生しません。
その点を考えると、空き家対策としてのリースバックは非常に使い勝手がよいものであるといえるでしょう。
おわりに
空き家対策にはセゾンのリースバックがおすすめです。空き家を所有しているとさまざまなリスクを抱えることになる反面、手放すのには多くの時間や手間、費用がかかります。
しかし、セゾンのリースバックであれば、簡単な手続きで空き家を現金化し、空き家の処分や相続税対策まで行えてしまいます。
空き家について悩んでいる方やこれから空き家を取得する可能性のある方は、セゾンのリースバックを利用し、空き家問題について速やかに対応することをおすすめいたします。