リースバックで将来的に買い戻しをするのは簡単ではありません。買い戻し価格が高くなる上、住宅ローンも組みにくいなど、多くの障壁があります。しかし適切に対策を立てれば、賢明な買い戻しが可能です。本記事では、リースバックの買い戻しの仕組みを解説し、相場や注意点、再売買の予約との違いについて詳しく解説します。
リースバックの買戻しの仕組みとは
リースバックは今住んでいる自宅を売却して現金を受け取り、そのまま同じ家に住み続けられる点が通常の売買との違いといえます。
リースバックは主にリースバック会社に依頼して行います。リースバック会社とは、不動産の売買と賃貸を同時に扱う専門の事業者のことです。戸建てやマンションなどをリースバック会社に一旦売却すると同時に、買主であるリースバック会社と賃貸借契約を結び、賃料を支払うことでそのまま住み続けることが可能になります。リースバック会社は、この一連の取引を通じて、不動産所有者に資金を提供しつつ、長期的な収益を得るビジネスモデルを展開しています。
メリットとしては、売主はまとまったお金を手にすることができ、そのまま住み続けることが可能なこと、売却したことを周囲に知られずにすむなどがあります。
リースバックは、元々の名称を「セールス・アンド・リース・バック」といいました。この言葉からも分かるように、「売って」「戻す」ことが一般的にセットとされた商品でした。その名残として、リースバックでは今もなお買戻しができる商品が多くみられます。
とはいえ、必ずしも買戻さなければならないものというものではありません。
リースバックの買戻しはオプションになっていることも少なくないようです。買戻しが可能なリースバックでは、リースバック会社との間で売却後の住まいを借りるための「賃貸借契約書」と、再度購入するための「再売買の予約契約書」を作成します。
ただ、再売買の予約は特に決められたルールはなく、最近注目されているリースバックでは、いつでも買戻しができるタイプの商品が多くなっています。
リースバックの買戻し価格の相場
リースバックの買戻し価格は、物件や立地条件、周辺環境など個別の条件によって変わりますが、一般的な相場について説明します。
- 市場価格と売却価格の関係:
- 売却価格は通常、市場価格の0.7倍~0.9倍程度です。
- 売却価格と買戻し価格の関係:
- 買戻し価格は通常、売却価格の1.1倍~1.3倍程度です。
具体的な数値例で見てみましょう。
市場価格が3,000万円の物件をリースバックで売却し、後に買い戻す場合
- 売却時
- 売却価格 = 3,000万円 × 0.8(中間値を使用)= 2,400万円
- この時点で、所有者は2,400万円を受け取ります。
- 買戻し時
- 買戻し価格 = 2,400万円 × 1.2(中間値を使用)= 2,880万円
- 買い戻す際には2,880万円が必要になります。
この例では、市場価格3,000万円の物件を2,400万円で売却し、2,880万円で買い戻すことになります。つまり、買戻し時には売却時より480万円多く支払う必要があります。
このような価格設定により、リースバック会社は利益を確保し、所有者は一時的に資金を得られるというビジネスモデルが成立しています。ただし、買戻しを考えている場合は、この価格上昇を考慮に入れて計画を立てる必要があります。
売却時に2,000万円受け取っている場合、そのときの市場価格は約2,200万円~2,860万円程度と想定されます。これらの価格だけを見ていくと市場価格より低く売却し、買戻しをするときには多くのお金を払わなければならないため、損をしてしまう感覚があるかもしれません。
しかしながら、市場価格はあくまでも目安にすぎません。一般的な売買の場合でも、必ずしも市場価格で売却できるとは限りませんし、最悪、売れずにいつまでも現金化できないことも考えられるのです。そのような背景を考えると、リースバックで確実に現金を手にできるのは、メリットになるといえるでしょう。
また、リースバックの買戻し価格は、契約時にあらかじめ決めておくこともできます。その場合は、決められた期間内に所定の金額を支払うことが必要です。
リースバックの買い戻しが難しい理由
リースバックの買い戻しには多くの障壁があります。主な理由は以下の4点です。
- 高額な買い戻し価格
- 問題点:買い戻し価格は売却時の1.1倍~1.3倍になる
- 例:2,000万円で売却した物件の買い戻し価格は2,200万円~2,600万円
- 資金調達の困難さ
- 問題点:もともとの資金需要による売却のため、再度の資金準備が困難
- 例:信用情報の問題により住宅ローン利用が制限される可能性がある
- 時間的制約
- 問題点:多くの契約に買い戻し期限が設定されている
- 例:「5年以内に買い戻す」という条件が付けられることがある
- 契約条件の厳格さ
- 問題点:賃貸料滞納や物件管理不備で買い戻し権利を失う可能性がある
- 例:賃貸料3ヶ月滞納で買い戻し権利が消滅する場合がある
これらの理由により、リースバックの買い戻しは当初の想定以上に困難になることがあります。リースバックを検討する際は、将来の買い戻しの可能性も含めて慎重に検討することが重要です。
リースバックの買戻しができない場合
リースバック契約時に設定される「再売買予約権」は、将来的に元の所有者が物件を買い戻す権利を保証するものです。しかし、いくら決まりだから、相場の金額を支払うからといっても、この権利を行使できないケースもあります。それは、当初決められていたルールを守れなかった場合です。
具体的には、以下のような状況で再売買予約権が無効になったり、消滅したりすることがあります。
- 借りている住まいの賃貸料を2~3ヵ月以上滞納してしまった場合
- 契約で定められた買戻し期限内に所定の金額を支払わなかった場合
例えば、最初に「5年以内に買戻す」などの決まりがあるときには、その期限内に所定の金額を支払わなければ買戻せなくなってしまいます。
買戻しのための条件は、後からトラブルにならないよう契約時にしっかりと定めておくことが重要です。また、いくら好条件に思えたとしても、ご自身の生活が立ち行かないような契約では意味がありません。提示された内容に無理はないのか、ご自身たちの生活は通常通り送れるのかも、見極めてから契約することが大切です。
リースバックの買い戻しに住宅ローンは組める?
リースバックの場合、売却価格よりも買戻し価格は高くなります。そのため。売却したお金がまったく残っていない場合には、お金を借りなければ、買戻し費用を準備できないという方もいるのではないでしょうか。
通常の不動産購入の場合、高齢者向けの住宅ローンなどもありますが、リースバックの場合は住宅ローンを利用できないケースが多いようです。
まず考えなければならないのが、なぜリースバックを利用したのかということです。まとまったお金が必要だった理由は何でしょうか?
例えば、もともと組んでいた住宅ローンのほかに、無担保ローンを多重に借りて延滞していて、その解消にリースバックを利用したときには、信用情報機関に延滞情報が記録されていることが想定されます。この延滞情報の掲載期間は、5年〜7年程度です。信用情報機関に延滞情報が記録されている期間中は、住宅ローンはおろか、そのほかの借り入れもできなくなる可能性が高くなります。
また、信用情報機関の記録とは関係なく、収入などを総合的に考慮して、住宅ローンの審査に通らないこともあります。住宅ローンを組めるかどうかは、信用情報や収入状況等によって大きく異なるためです。そのためリースバックで売却した本人と同居する親族(配偶者または子供)が住宅ローンを借りて買い戻した事例もあるようです。
こういったことからリースバックの買い戻しで住宅ローンを利用するのは難しく、事前に十分な資金を準備しておく必要があります。
リースバックの「再売買の予約」と「買戻し特約」の違い
リースバックでは契約時に「再売買の予約」を行う場合がありますが、民法上でも「買戻し特約」が定められています。
「買戻し特約」は、売主が買主の支払った代金のみを返済すれば、売買契約そのものを解除できますが、10年以内でなければならないなどの条件があります。
一方でリースバックの「再売買の予約」は、あらかじめ買戻し価格やいつまでに買戻すなどの期間を定めて契約をしますが、双方で自由度の高い内容で契約することができるのです。
おわりに
リースバックを契約するときには「再売買の予約」をする際に、あらかじめ買戻し条件を組み込んでおき、将来的な買戻しができるようにしておくと良いでしょう。現在、リースバックを取り扱っている企業は複数あり、どのリースバックを申し込めば買い戻しに良いのか迷う方は少なくありません。
セゾンファンデックスが提供する「セゾンのリースバック」なら将来的に再度購入することが可能であるほか。事務手数料や調査費用、礼金、賃貸借契約の更新手数料などのさまざまな費用が不要です。ホームセキュリティシステムや見守りサービスも無料で利用できるなどの複数のメリットがあります。
セゾンのリースバックは、相談・簡易査定をはじめ現地調査も無料。契約するまで一切費用はかかりません。ぜひ一度、お問い合わせください。
リースバックの無料相談はこちら
東日本からお電話の方0120-155-465
西日本からお電話の方0120-723-739
※営業時間9:00~21:00(年中無休)