家を売却した後も家賃を支払うことで住み続けられるリースバック。しかし、そのリースバックを利用している間に家賃を滞納してしまうとどうなるのでしょうか。すぐに強制退去をさせられてしまうのでしょうか。
今回は、そんな不安を抱えている方向けに契約解除から強制退去までの実際の流れを解説します。
家賃を滞納したらすぐに追い出されてしまう?
リースバックとは、家を売却することでまとまった資金を得ることができ、その後は賃貸借契約を結ぶことで、売却した家に住み続けることができるサービスです。
資金使途が自由なことから、売却資金を事業用の資金として利用することも可能です。リースバックのデメリットとして、「家賃の支払いが発生する」ことが挙げられますが、仮に家賃を支払えなくなったら退去しなければならないのでしょうか。
リースバック契約において、家賃が支払えなくなる状況としては「収入の減少」が考えられます。ただ、家を売却してまとまった資金を得たにもかかわらず、家賃を支払う余裕がなくなるほど収入がなくなる状況などあり得るのでしょうか?
その場合の大きな理由は、リースバックで得た資金の使い道が自由である点にあります。
使い道が老後資金に限定されていれば、家賃を支払えなくなる可能性は低くなりますが、リースバックは他のローンの返済や、これから必要となる教育費の支払いなどに充てることができます。そのため、家を売却した資金をそれらの支払いに充ててしまい、毎月の自身の収入から家賃を支払っていかなければならないというケースが少なくないのです。
勤めていた企業でリストラにあったり、自身の病気やケガで働けなくなったなどの理由で収入がなくなり、家賃が支払えなくなることは充分に考えられます。
リースバックにおける賃貸借契約は、一般の賃貸借契約と同じですので、家賃が支払えなくなった場合は、最終的に退去しなければなりません。ただし、支払えなくなったからといってすぐに退去しなければならないわけではなく、一定の段階を踏んで、最終的に退去という流れになります。
日本の賃貸借契約では、借地借家法が適用されます。借地借家法は、借主の権利を守る法律になっているため、いきなり強制的に退去させられることはありません。退去までは、契約解除が行われ、強制退去という流れになります。
賃貸借契約書に家賃の滞納における退去の期間が明記されていれば、それに従わなければなりませんが、明記されていない場合、実際に家賃の滞納が発生してから、退去を言い渡されるまでの目安は3ヵ月です。なかには契約書に「2ヵ月」と明記されている場合もありますので、まずは契約書の内容を確認してみましょう。そして、契約の解除からさらに3ヵ月後に強制退去となる点をあわせて覚えておくと良いでしょう。
リースバック契約解除から退去までの流れ
実際に、契約書に家賃の滞納における退去までの期間が明記されていなくても、3ヵ月を目安として退去を言い渡されます。ただし、いきなり退去を言い渡されるわけではなく、滞納が発生してから退去の言い渡し(契約の解除)を経て、最終的に強制退去という流れになります。
家賃支払いの滞納が発生してから退去までの流れを図で表すと、以下のとおりになります。
借主への督促(滞納発生から1ヵ月以内)
家賃が支払われていないことが分かると、オーナーもしくは管理を委託されている管理会社から催促の連絡が入ります。連絡方法はさまざまで、電話で行われることもあれば、手紙やメールで行われることもあります。
保証人への督促
借主本人へ催促を行っても、応じない場合は、保証人に対して催促を行います。保証人を立てている場合は、保証人に対して催促が行われますし、家賃保証会社を利用している場合は、家賃保証会社が家賃を立て替え、その後、本人に対して催促が行われます。
内容証明郵便の通知(滞納発生から2ヵ月程度)
保証人への催促や、家賃保証会社からの催促にも応じないままだと、内容証明郵便が届きます。内容は現在滞納となっている金額と、期日までに支払って欲しいという旨です。内容証明郵便は証拠として残るため、後に裁判に発展した場合に「きちんと催促を行った」と主張することができます。この時点でオーナーもしくは家賃保証会社が弁護士に相談している場合は、弁護士の名前で内容証明郵便が通知されます。
契約解除通知(滞納発生から3ヵ月)
滞納が発生し、3ヵ月経つと、契約解除通知が届きます。一般的に滞納発生後3ヵ月経てば、退去を言い渡すことができ、契約を解除できるからです。
退去
契約解除となり、退去を言い渡されたら、速やかに退去しなければなりません。次に住む場所を決め、引っ越さなければならないため、ある程度のまとまった費用が発生します。
仮に、退去を言い渡されたにもかかわらず応じない場合は、訴訟に発展し、強制退去となってしまう可能性もあります。強制退去になると、訴訟費用なども負担しなければなりません。あわせて、これまで滞納している家賃総額の支払いも発生します。
強制退去にならない場合においても、それまでの滞納家賃および遅延損害金の支払いは必要となります。支払わない場合、民事訴訟にてオーナーは支払いの請求を行うことになります。
通常、リースバック会社はここまでのリスクを負わないため、家賃保証会社の利用を必須にしています。
リースバックの家賃が払えなくなった場合の対処法
家賃が払えなくなる理由はさまざまです。リストラや事業の失敗、病気やケガなど、理由によっては救済措置を受けられるケースがあります。
救済措置の1つが住居確保給付金です。住居確保給付金とは、休業などに伴う収入の減少が理由で退去など住居を失う恐れがある方に対して、原則として3ヵ月、最大9ヵ月の間、家賃相当額を自治体からオーナーもしくは家賃保証会社に支給する制度です。
制度を利用するためには要件を満たすことが条件ですが、申請することで支給を受けられるため、要件に該当するなら申請し、支給を受けるようにしましょう。 ただ、何度も利用できる制度ではないため、申請して支給を受けている間、収入が減少している現状を変えるための何らかの手段を考える必要があります。
おわりに
家賃の滞納を理由としてリースバック契約が解除されるのは、一般的に滞納が発生してから3ヵ月後となります。そして、退去までの期間は6ヵ月というのがひとつの目安です。
家賃の滞納を防ぐためには、家賃を抑えることもひとつの方法です。ただし、リースバックの家賃設定は物件の買取価格とのバランスで決定するため、家賃を抑えたいなら買取価格を低く設定する必要があります。また、リースバックの家賃は設定する利回りに大きく左右され、その利回りはリースバック会社によって異なります。そのため、できるだけ高い値段で購入し、なおかつ家賃を安く設定してくれるリースバック会社を探して契約することが、将来的に家賃の滞納を起こさないためのポイントになります。
セゾンファンデックスのリースバックでは、物件の状態や地域の家賃相場、そしてお客さまの支払可能額などに基づいて家賃を決定いたします。そして、セゾンファンデックスのリースバックは多くの取り扱い実績から柔軟な家賃設定を可能にしています。
セゾンファンデックスはリースバックの大手企業であり、数多くの実績から家賃を滞納しにくいリースバックの設定をご提案いたします。この記事を読まれて気になった方は、ぜひお気軽にご相談ください。