通常、ローン商品には申し込みの際の条件に年齢制限を設けているものが多くみられます。そのため、高齢になるにつれ、利用できるローン商品が限られる傾向にあります。
ただ、一般的にお金を借りにくいといわれる高齢者でも、まとまった資金調達を可能にする方法として、不動産を担保にした手法があります。今回は不動産担保を利用した金融商品のご紹介と、借りられる金額について解説します。
金融機関のローン商品に設定されている年齢制限とは
多くの金融機関では、融資を行うローン商品に対して年齢制限を設けています。下限は18歳もしくは20歳に設定されているものが多く、上限については、「申込時の年齢が満65歳以下」などに設定されています。また、金融機関によっても異なり、銀行だと満65歳以下としているケースが多く、消費者金融だと満69歳以下など、銀行よりも設定が緩やかになっています。
申込時の条件には、申し込める年齢のほか、完済時年齢を条件に設けているところもあります。現在では、完済時年齢を80歳に設定している金融機関が多く、借入期間によっては、申し込みができない可能性があります。
融資に年齢制限がある理由
高齢になるほど、融資を受けるのが難しくなる理由は、返済能力にあります。リタイア後は年金が主な収入源となるため、収入の増加を見込むことは難しく、また、返済途中で亡くなる可能性も否定できません。
亡くなった際に未返済の借り入れ(債務)が残っている場合は、相続人にその債務が引き継がれます。しかし、相続人によっては相続放棄などを行い、債務の相続を放棄することもあり得るため、金融機関としても貸し倒れのリスクが高いと見なし、高齢者に対する無担保のローン提供は行わない傾向にあるのです。
では、高齢者が融資を受ける方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
高齢者向けの公的な貸付制度に、「生活福祉資金貸付制度」があります。各都道府県の社会福祉協議会が実施主体となって、65歳以上の高齢者がいる世帯向けに低金利での貸し付けを行っています。保証人がいれば無利子で借りられる点もメリットといえるでしょう。借りられる資金の種類には、生活支援費用や住宅への入居費用、さらに生活を再建するための一時的な費用も借りられます。
また、金融機関のなかには「シルバーローン」といわれる高齢者向けのローンを提供しているところもあります。申込時の年齢が60歳以上75歳未満で、返済期間も最長10年などと設定されていますが、収入条件によっては返済期間が短縮される傾向にあります。
特に、収入が年金のみの場合、高齢になればなるほど融資が受けにくく、もし受けられたとしても融資金額が少なめに設定されるケースが多い点は理解しておきましょう。
土地や家など不動産を担保に融資を受ける方法
土地や家などといった不動産を担保に融資を受ける方法なら、高齢者でも融資を受ける事が可能です。実際に不動産を担保に融資を受ける商品として、以下のものが挙げられます。
不動産担保ローン
不動産担保ローンとは、自分が所有している不動産を担保として提供することで、金融機関から融資を受けられるローン商品です。担保を提供するため、クレジットカードのようなノンバンクの無担保ローンと比べると、金利が低く設定されているのが特徴です。また、担保となる不動産の評価額次第では、高額の融資を受けられる可能性があります。さらに、返済期間が長期に設定されているのもメリットの一つです。
一方で、銀行の不動産担保ローンではデメリットとして、不動産の価値を審査する時間がかかるため、申し込んでから実際に融資を受けるまでに時間を要することが挙げられます。そのため、緊急で資金が必要な場合には向いていません。
ノンバンクが提供する不動産担保ローンは、銀行に比べて審査が速い傾向にあります。必要書類も少なく、借り入れまでのスピードが期待できます。さらに、年齢制限がないか緩いものもあり、銀行では融資が難しい高齢者でも借り入れが可能な場合があります。ただし、審査基準が甘いわけではなく、返済能力と物件評価に基づいて厳正な審査が行われるため、高齢者への融資は収入状況次第で制限されることもあります。
ノンバンクのセゾンファンデックスでは、申込時70歳以下、完済時85歳未満という比較的広い年齢層を対象としています。そのため、高齢者の方でも不動産担保ローンを検討する価値がある金融機関といえるでしょう。
リバースモーゲージ
不動産を担保として融資を受ける方法の一つに「リバースモーゲージ」があります。リバースモーゲージとは、現在住んでいる家を担保として提供し融資を受ける方法で、生きている間は利息の返済のみでよく、亡くなった後に担保として提供した家を売却して元本部分を返済する仕組みです。
住んでいる家の評価によっては、まとまった資金を得ることができ、生存中は利息のみを返済すれば良いため、老後の資金調達方法に向いています。ただ、最終的には債務が残り自身が住んでいる自宅を手放すことになるため、相続人がいる場合は、相続人の同意を得ておかなければなりません。
また、平均寿命の延びにより、長生きリスクも懸念されています。融資期間が決まっている場合、それを超えて生存した場合は、その時点で元本部分に当たるお金を一括返済しなければならない可能性もあることを覚えておきましょう。
不動産担保型生活資金
高齢者向けの公的な貸付制度である「生活福祉資金貸付制度」の一つに、不動産を担保にして融資を受ける「不動産担保型生活資金」があります。土地の評価額の70%程度の金額を死亡時まで借りることができる制度で、低所得の高齢者向けと、要保護の高齢者世帯向けのものがあります。
どちらも適用される金利は年3%、もしくは長期プライムレートのいずれか低い利率となっています。
土地や家など不動産を担保にした借入額の目安
土地や家といった不動産を担保にして融資を受ける場合の借入額の目安は、担保として提供する不動産評価額と申込者の返済能力などを考慮して決まります。不動産の評価額がそのまま借入可能額になるわけではありません。
また、不動産の評価方法は金融機関によって異なりますので、正確な金額は判断できませんが、一般的に不動産評価額の70%〜80%が融資限度額になるといわれています。
不動産担保以外で高齢者が融資を受ける方法
高齢者が融資を受ける方法で不動産担保以外にはどのような方法があるのでしょうか。
生活福祉資金貸付制度
各都道府県の社会福祉協議会が実施主体となって、65歳以上の高齢者がいる世帯向けに低金利での貸し付けを行う「生活福祉資金貸付制度」があります。。保証人がいれば無利子で借りられる点もメリットといえるでしょう。借りられる資金の種類には、生活支援費用や住宅への入居費用、さらに生活を再建するための一時的な費用も借りられます。
シニアライフローン
シニアライフローンとは、信用金庫で取り扱っている高齢者向けのローン商品です。満60歳以上で、完済時年齢が満80歳以下の方が利用できますが、融資金額が最大100万円と小口の融資になっています。
ただ、無担保でありながら、3%以下の低金利で借りられますので、急に資金が必要となり、比較的早めに返せる計画があるなら、利用の候補に入れても良いかもしれません。
シルバーローン
また、金融機関のなかには「シルバーローン」といわれる高齢者向けのローンを提供しているところもあります。申込時の年齢が60歳以上75歳未満で、返済期間も最長10年などと設定されていますが、収入条件によっては返済期間が短縮される傾向にあります。
特に、収入が年金のみの場合、高齢になればなるほど融資が受けにくく、もし受けられたとしても融資金額が少なめに設定されるケースが多い点は理解しておきましょう。
リースバック
リバースモーゲージと似たような資金調達方法に「リースバック」があります。リースバックは、リバースモーゲージと異なり、自身が住んでいる家を売却しまとまった資金を得た後、賃貸借契約を結ぶことで、それまで住んでいた家に住み続けることができる仕組みです。
所有権が買い取り先に移ることから、売却後の固定資産税などの負担から解放されることや、資金使途が自由である点、さらには将来買い戻すこともできるなど、柔軟な対応ができる点がメリットです。
デメリットは賃料が発生することです。また、リバースモーゲージと異なり、所有権がなくなる点にも注意が必要です。
おわりに
今回は高齢者でも利用できる、不動産を利用した融資商品についてご紹介しました。不動産を担保として提供することで、年齢に関係なく比較的低金利でまとまった金額を長期間借りられる点は魅力ですが、審査に時間がかかることや、手数料がかかるというデメリットがあるがあるため、しっかりとした実績のある大手の会社を選ぶことが安心して融資を受けるためにおすすめします。
セゾンファンデックスでは、不動産担保ローンはもちろん、リースバックも取り扱っており、豊富な実績を基に、お客さまのニーズに応じた最適な提案をいたします。年齢のために融資を受けられないといった悩みをお持ちであれば、ぜひお気軽にご相談ください。