不動産を購入した際に一度だけ発生する不動産取得税ですが、不動産の購入時には不動産取得税以外にもさまざまな税金が発生します。
今回は「不動産取得税の計算」について取り上げ、不動産を購入する際にかかる不動産取得税額の計算方法はもちろん特例や軽減措置などについても解説しますので、不動産取得時の税金額がどのくらいかかるのか知りたいと思っている方はぜひ参考にしてください。
1.不動産取得税とは
不動産取得税とは地方税の1つで、土地や家屋の購入や贈与、家屋の建築などで不動産を取得した際に、取得した方に対して課される税金です。ただし相続によって取得した場合など、一定の場合には課税されません。
また贈与においては、「夫婦間の居住用不動産の贈与の特例」の適用を受けた場合や、「相続時精算課税制度」の適用を受けた場合でも、不動産取得税の課税対象になります。贈与を取り消した場合でも課税対象になる点に注意が必要です。
不動産取得税の納税先は取引された不動産の所在する都道府県です。
課税対象となる不動産には土地そして家屋があり、土地に該当するものには「田んぼ」や「畑」、
「住宅地」、「塩田」、「鉱泉地」、「池沼」、「山林」、「牧場」、「原野」などがあります。そして家屋に該当するものとして「住宅」、「店舗」、「工場」、「倉庫」などの建物があります。
不動産の取得とは、「不動産所有権の取得」を意味します。有償か無償かを問わず、所有権を得た事実を持って不動産の取得と判断します。
不動産取得税は、各自治体から送られてくる納税通知書によって支払います。納税通知書が届くのは、一般的に不動産を取得してから数ヶ月程度といわれています。納税通知書には納付期限も記載されていますので、納付期限までに支払うようにしましょう。
2.不動産取得税を計算する手順
不動産取得税は、以下の手順で計算します。
2-1.不動産価格(課税標準)の決定
まず取得した不動産の価格を決定します。不動産の価格は、原則として固定資産課税台帳に登録されている価格になります。購入価格や工事費ではありませんので注意してください。
また新築および増築された家屋については、固定資産税では新築および増築された翌年の1月1日を基準日として計算するため、初年度の固定資産税は安くなります。しかし不動産取得税は「取得した時」の価格によって課税されるため、多くの場合は不動産取得税額の基礎となる不動産の価格が固定資産税額よりも高くなることも覚えておきましょう。
ちなみに不動産価格(課税標準)が以下の金額未満の場合は、不動産取得税は課税されません。
土地:10万円
家屋(新築、増改築):23万円
家屋(その他売買など):12万円
2-2.不動産取得税の税率は「3%」で計算
住宅における不動産取得税は、2024年(令和6年)3月31日までに取得した建物に対しては、3%(本来は4%)の軽減税率が適用されます。家屋が居住用でない場合の税率は4%です。
計算式は、固定資産税評価額×税率3%です。
ただし令和6年3月31日までに宅地等(宅地および宅地評価された土地)を取得した場合、その土地の不動産価格(課税標準)は本来の価格の2分の1で計算されます。
・土地・建物の不動産取得税を計算
計算の際には、土地の不動産取得税と建物の不動産取得税を別々に計算します。
・土地・建物の不動産取得税額を合算
土地の不動産取得税と建物の不動産取得税を合算し、最終的な不動産取得税額を算出します。
3.不動産取得税がいくらかかるか試算
では、4,000万円で新築一戸建て(長期優良住宅)を購入した場合の不動産取得税を計算してみましょう。
土地および建物部分の詳細は以下のとおりとします。特例や軽減措置についても適用して計算しますが、特例および軽減措置の詳細については次項で説明します。
土地:評価額2,500万円、面積120平方メートル
建物:評価額1,500万円、延床面積150平方メートル
3-1.土地の不動産取得税
この場合の土地は宅地とみなされるため、評価額が2分の1に減額されます。さらに面積が50平方メートル以上240平方メートル以下に該当するため、以下のどちらか高い額が税額から控除されます。
(1) 45,000円
(2)土地1平方メートル当たりの価格×(住宅の床面積×2〈上限200平方メートル〉)× 3%
評価額が2分の1になるため、2,500万円÷2=1,250万円×3%=375,000円が不動産取得税額ですが、さらに税額控除の対象になるため、(1,250万円÷120平方メートル)×200平方メートル×3%=約625,000円が控除されます。すると、最終的な土地の不動産取得税額は0円になります。
3-2.建物の不動産取得税
今回購入した建物は長期優良住宅のため、不動産の価格から1,300万円が控除されます。
そのため建物の不動産取得税は(1,500万円-1,300万円)×3%=60,000円です。
最終的な不動産取得税額は60,000円です。
4.不動産取得税の特例と軽減措置
ここで、上記の計算で使用した不動産取得税の特例と軽減措置の詳細について説明します。
不動産取得税では、土地部分の計算において令和6年3月31日までに宅地等(宅地および宅地評価された土地)を取得した場合、その土地の不動産価格(課税標準)は本来の価格の2分の1で計算する特例が設けられています。
さらに土地の面積が50平方メートル以上240平方メートル以下に該当する場合、土地の不動産所得税額から以下のどちらか高い額が減額されます。※上記特例も適用
(1) 45,000円
(2)(土地1平方メートル当たりの価格×1/2)×(住宅の床面積×2〈上限200平方メートル〉)× 3%
建物についても軽減措置が設けられており以下の要件を満たす場合、1,200万円(長期優良住宅の場合1,300万円)が建物の評価額から減額されます。
- 床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下である
- 建物を取得した方が居住するものである
- 新耐震基準に適合することが証明されたものである
ただし、これらの軽減措置を受けるためには申請する必要があります。申請しなければ軽減措置が適用される前の税額を納めなければならないので、忘れずに申請しましょう。
申請先は管轄の県税事務所です。申請の際に申告書と合わせて提出が必要となる書類が多くありますので、事前に確認して準備しておきましょう。ちなみに新築の戸建て住宅を購入した場合の申請に必要となる書類は以下のとおりです。
- 売買契約書および領収書
- 建物の登記事項証明書
その他、平面図や長期優良住宅認定通知書が必要になるケースがあります。
おわりに
不動産取得税は、不動産を購入した時に一度だけ支払う地方税です。そして土地および建物両方に特例や軽減措置が用意されています。軽減措置を受けるためには必ず管轄の県税事務所に申請を行う必要がありますので、忘れずに申請するようにしてください。軽減措置の額はかなり大きいため、適用がある場合とない場合では税額に大きな違いが生まれます。
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