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親族間売買でみなし贈与と税務署に疑われない適正価格について解説

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セゾンのくらし大研究 編集部

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この記事では「親族間売買の適正価格」について取り上げています。一般的な不動産売買と違い、親族間売買はともすれば税務署から贈与に関する脱税疑惑がかけられる場合があるので、ポイントを事前に知っておくことで税金トラブルを回避しましょう。

1.親族間売買とは

親族間売買とは

親族間売買とは、親と子などの親族間で不動産を売買することです。基本的には個人同士の取引ですが、贈与税を節約するために売買という方法を使って税金を減らすこともできるため、税務署からチェックを受けやすい側面があります。

親族間売買のメリットは、いつでも取引できることや、価格を自由に決められること、売る側が売却益を得ることができることなどです。

一方、デメリットとしては、相続税よりも税金が高くなる場合があることや、税務署に目をつけられやすくなること、親族間であっても購入時には資金が必要になることがあります。

1-1.個人間売買であれば仲介手数料がかからない

親族間売買の特徴

本来、不動産の取引を仲介してもらった場合、仲介手数料として「物件価格×3%+ 6万円(税別)」を支払わなければなりません。ただし個人間の取引であり仲介を受けていないことから、仲介手数料がかからないというメリットがあります。

1-2.税金の控除や特例が使えない場合がある

高額取引になる不動産売買は、様々な税金の控除・特例を利用することができます。ただし、親族間の不動産売買ではそれらを利用することができないことがあります。

税金の特例が適用できない場合は以下が該当します。

(1)買い手が売り手の配偶者や直系の血縁関係にある場合
(2)買い手が売り手の親族で、一緒に生活している場合、または買い手が売り手の親族で、売買された家に居住する場合

例えば、マイホームを売買する場合、所得税から3,000万円を控除する特例が通常は適用されます。しかし、上記(1)や(2)に該当する場合は、特例が適用されず、所得税から控除されない可能性があります。

1-3.住宅ローンの審査が厳しい、金融機関によっては受け付けていない

金融機関では親族間売買の場合「売主と買主が共謀して住宅ローンに関する何らかの不正行為があるのではないか」と警戒し、かなり厳しく審査する傾向があります。

実際に、一部の金融機関では親族間の不動産売買に対しては融資を行わないというルールを設けている場合もありますので、その場合は住宅ローンを組めず、資金を準備することも難しくなります。

1-4.売却価格が低すぎるとみなし贈与になる

親族間で不動産を売買する場合、自由に価格を設定することができるので、市場の相場価格よりも安く取引することができます。

「親族だから安く売買しても問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、実際には売買価格が一般的な相場よりも極端に低い場合、税制上では「みなし贈与」とされ、贈与税が課されることになります。

2.親族間売買における注意点

親族間売買を行うときには、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか?

2-1.不動産会社や司法書士など必要に応じて専門家に頼る

個人間取引のため自分だけで手続きを進めることも可能です。とはいえ、不動産関連の手続きや法律は複雑であるため、不動産会社のサポートを受けたり、司法書士に抵当権の抹消や所有権の移転などを代行してもらうと良いでしょう。

2-2.事前に親族の同意を得てトラブルを防ぐ

親族間売買をする場合には、親族関係者が影響を受ける可能性があるため、事前に相続に関わる親族の同意を得ることが重要です。相続の増減に影響するなどから相続トラブルに発展させないためにも、関係者全員にあらかじめ同意を得ておきましょう。

2-3.不動産売買契約書を作成する

親族間売買は、個人同士の取引なので、売買契約書を作成する必要はありませんが、安心のために不動産売買契約書を作成しておくことをおすすめします。この契約書があれば、取引の正当性を証明することができますし、もしも裁判が起こった場合にも役立ちます。予期せぬトラブルに備え、契約書を作成しておきましょう。

3.みなし贈与を意識した適正価格設定方法

みなし贈与を意識した適正価格設定方法

親族間で高額な不動産の売買をしたにもかかわらず、みなし贈与とされてしまったら金銭的にも精神的にも辛くなります。そのような事態に陥らないために、どうすれば適正価格を設定することができるのでしょうか?

3-1.路線価を調べる

公的な土地の価格は「一物四価」と呼ばれており、公示価格、基準地標準価格、固定資産税評価額、相続税評価額の4つがあります。その中の相続税評価額を導き出すものを路線価といいます。

路線価は、公示価格を参考に国税庁が決定しており、国税庁の路線価専用ページで調べることができます。

3-2.不動産鑑定士に鑑定依頼する

不動産鑑定士は、個人の要望に対して土地や建物の価値を判定したり、不動産のコンサルティングを行ったりする国家資格です。不動産の経済価値を適切に判断し、価格を導き出します。依頼するときには費用がかかり、目安として20万円〜30万円が相場といわれています。

3-3.複数の不動産会社に査定依頼をする

不動産鑑定士に依頼するのは少しハードルが高い、あまり費用をかけたくない、と思うなら複数の不動産会社に査定を依頼する方法もあります。最近では、一括見積などに対応しているWEBサイトもあります。一度に複数の不動産会社に依頼できるので便利です。ただし、地域によっては対象外となっていることがあります。その場合は、個々に手配する必要があります。

4.税務署からみた親族間売買の観点

税務署が親族間売買を警戒する理由

なぜ税務署は親族間売買を警戒するのでしょうか?税務署の立場で親族間売買がどうみえるかを解説します。

4-1.本来課税されるべき金額を不正に回避する可能性があるため

親族間売買でも、適正な価格で取引をすれば、納めるべき税金をしっかりと納めることになるので、特に問題はありません。ただし、一般の相場よりも安い価格で親族間売買を行った場合、本来かかる税額を下振れすることになります。つまり税務署側からみると、売買という形をとっているものの実質、贈与になっていると判断できる場合があります。

4-2.そもそも親族間の不動産移転方法として「売買」は通常選ばれない

売買という形式で親族の不動産をやりとりすることは一般的ではありません。相続や贈与であればお金を支払う必要がないからです。そのためわざわざ売買という形式を選ぶことは、税務署から疑われる原因になります。売買する方々の背景に様々な事情があるとは思いますが、税務署はそのような事情を考慮しません。

親族間売買であっても適正な価格で取引を行えば、本来納めるべき税金を納めるため何ら問題はありません。とはいえ一般の相場よりも安い価格で取引を行うと、税務署としては本来得られる税金を納めてもらうことができません。売買という形をとっていても実質、贈与になっているケースもあります。

4-3.税務署が親族とみなす範囲はどこからどこまでか

全ての親族間で行われた売買が親族間売買となるわけではありません。税務署が親族とみなしている範囲の目安としては、相続が発生する間柄である売買が一般的とされています。

具体的には、民法第七百二十五条に定められている者となります。

一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族
引用:民法|e-GOV法令検索

5.税務署に「みなし贈与」と認定された際の対応

実際に税務署からみなし贈与と認定された場合には、どのようになるのでしょうか?

5-1.別途で贈与税がかかる

通常の売買ではなく、税務署が贈与と認定したため、贈与税がかかることになります。ただし、全ての金額が贈与税の対象になるわけではありません。適正な価格から実際の成約価格を差し引いた金額に対して贈与税が課されます。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

<一般贈与財産用>

<一般贈与財産用>
※国税庁HPより

また、直系尊族である父母や祖父母による子や孫(18歳以上)への贈与については、下記の特例税率が適用されます。

<特例贈与財産用>

<特例贈与財産用>

5-2.差額が贈与税の基礎控除の範囲内であれば非課税

贈与税には基礎控除があり、その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額から110万円を控除することができます。つまり一般の取引価格と親族間売買の差額が基礎控除額の110万円以内であったときには非課税となり、贈与税はかかりません。

6.親族間売買における注意点

親族間売買における注意点

親族間売買を行うときには、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか?

6-1.必要に応じて専門家に頼る

個人間取引のため全てご自身で行うこともできます。とはいえ慣れない不動産に関する手続きや法律も複雑であるため、不動産会社にサポートしてもらう、抵当権抹消登記や所有権移転登記などは司法書士に代行してもらうと良いでしょう。

6-2.事前に親族の同意を得る

親族間売買をするときには、あらかじめ相続が発生したときに影響がでる親族に同意を得るようにしてください。自身が譲り受けられる分が少なくなったときには、トラブルになってしまいます。余計なトラブルを発生させないためにも関係者全員に同意を得ておきましょう。

6-3.不動産売買契約書を作成する

個人間取引なので売買契約書を作成しなくても良いのですが、正当性を証明するためにも、不動産売買契約書を作成しておくようにしてください。万一裁判が発生した時などにも役立ちます。

おわりに

おわりに

一般的に親族間での売買に対しては、金融機関の審査が厳しくなる傾向があります。実際に一部の金融機関では親族間の取引には融資を行っていないところもあります。一方でクレディセゾングループのセゾンファンデックスでは、親族間での売買をサポートしています。例えば、兄弟間で共有名義の持分を買い取るための資金を提供しています。親族間売買に関するご質問や相談があれば、ぜひセゾンファンデックスまでお気軽にお問い合わせください。

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ご融資利率:実質年率6.5%~17.8%
ご返済回数・期間:1回~60回・1ヵ月~60ヵ月
ご返済方式:定額リボルビング方式、 1回払い
遅延損害金:年率9.49%~20.00%
担保・保証人:不要
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【POファイナンス(補助金対応)】
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ご返済回数・期間:36回以内・3年以内
ご返済方式:期日一括返済方式
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担保:原則電子記録債権※ほかに担保として動産もしくは不動産を提供していただく場合があります。
連帯保証人:原則代表者個人の連帯保証
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ご返済回数・期間:12回~240回/1年~20年(1年単位)
ご返済方式:毎月元利均等払い
遅延損害金:年率 15.00%
担保:不要
連帯保証人:不要
契約時の諸費用:収入印紙代相当額、振込手数料(実費)

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