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不動産の共有持分は贈与で税金が変わる?放棄等との違いや注意点

不動産の共有持分は贈与で税金が変わる?放棄等との違いや注意点
セゾンのくらし大研究 編集部

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不動産の共有持分には修繕費や固定資産税といった費用負担も生じます。賃貸や居住などで共有不動産を利用する予定がない場合はデメリットが大きくなってしまうため、共有持分を手放してしまうのもひとつの方法です。

共有持分を処分する場合には、売却・贈与・放棄といった選択肢があります。特に放棄と贈与の違いと贈与を受ける際の税金関係について解説していきます。

1.共有持分を贈与をした場合

共有持分を贈与をした場合

共有持分を他の共有者に贈与した場合、贈与を受けた方は不動産取得税と贈与税の課税対象となります。

不動産取得税は基本的に固定資産税評価額に標準税率4%を乗じて算出されますが、土地の不動産取得税は固定資産税評価額が50%に減額されるほか、建物の不動産取得税についても2024年3月31日までは軽減措置が利用できるため標準税率が3%に軽減されています。

贈与税は、その共有持分の時価相当額に対し贈与税の基礎控除である110万円を差し引いた金額が贈与税の対象となります。

近年ペアローンで不動産を購入し夫婦それぞれで共有持分を有している場合、夫婦どちらかが亡くなった際に相続によって共有持分が細分化してしまう恐れがあります。

これを避けるため、夫婦間で共有持分の贈与を行う場合、婚姻期間が20年以上ある夫婦であれば1回に限り最大2,000万円の配偶者控除を利用することができます。

共有不動産は共有持分に応じて利用する権利が生じるため、相続後に配偶者が専有して居住し続ける場合に、他の共有者から賃料の支払いを求められてしまうかもしれません。夫婦間でマイホームを共有している場合は相続での持分の行方に注意しましょう。

2.共有持分を放棄した場合

共有持分を放棄した場合

共有持分を特定の方に渡すのではなく放棄した場合、その共有持分は他の共有者全員に対し贈与したものと見なされるため、他の共有者全員が贈与税の対象となります。

共有持分の放棄は、他の共有者に放棄の意思表示を行ったうえで持分移転登記を申請することで完了します。

しかし持分移転登記には共有者全員の押印や本人確認書類の提出などが必要なことや、共有不動産の費用負担が増えたり贈与税の対象となったりといったデメリットがあるため、事前にしっかりと協議を済ませておかないと放棄が行えず、共有関係から離脱できなくなってしまう恐れがあります。

3.共有持分の放棄と贈与の違い

共有持分の放棄と贈与の違い

共有持分の処分方法としての放棄と贈与は、受けとった方や他の共有者に贈与税が発生する共通点がありますが、相違点として以下のものがあります。

・贈与は継承先を指定できる

共有持分を放棄した場合、その持分は他の共有者全員に割り振られます。一方、贈与の場合は指定した方に共有持分を継承することができるため、不動産の共有持分を全く有していない方も贈与することにより共有関係とすることができます。

・贈与・放棄・売却では、不動産取得時期と取得費の判断が異なる

贈与によって共有持分を取得した場合、対象となる不動産の取得日と取得費用を引き継ぐことができます。一方、放棄によって共有持分を取得した場合は売却代金の5%を概算取得費として差し引くことになります。

不動産を売却する場合、売却代金から不動産の取得費を差し引き、その利益に対して課税が行われます。この際、所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」に、5年を超えると「長期譲渡所得」に区分されます。この区分によって税負担が大きく変わるため、不動産売却のタイミングには短期・長期の切り替わり時期を把握しておきましょう。

4.共有不動産で贈与税がかかる場合がある

共有不動産で贈与税がかかる場合がある

共有不動産に対し共有者の一定の行為に対し、贈与税が発生する場合があります。例えば、共有不動産の住宅ローン残債を一部の共有者により完済したり、リフォーム費用を一部の共有者だけで支払ったりした場合は、その支払った金額が贈与税の対象となります。

また共有不動産を分筆し、単独名義にしようとした場合も注意が必要です。仮に不動産を同じ面積で分けた場合でも接道や土地の形状などの諸条件が異なるため資産価値に違いが出てきます。分筆の際、資産価値の高い方の不動産を受けとった場合は、その差額が贈与と見なされ贈与税の対象となります。

この他にも単独で所有している不動産を共有名義としたり、共有持分の割合を変えたりした場合も贈与税がかかる場合があります。共有不動産の処分で贈与税が課されてしまうと売却時の所得税と2重課税されてしまうため、よく確認してから行うようにしましょう。

5.相続税対策としての持分贈与の注意点

相続税対策としての持分贈与の注意点

共有持分を贈与・相続する場合は税金対策も一緒に検討する必要があります。60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子ども・孫に対して財産を贈与する際に利用できる「相続時精算課税制度」があります。

これは最大2,500万円までの贈与を相続財産として扱い、贈与税ではなく税制面で有利な相続税として扱われるので、他の相続財産が少なく相続税が非課税または税負担が少ない場合や、贈与時の時価評価で相続時の課税額が評価されるため、将来的に値上がりが見込める土地・建物などの共有持分を贈与する場合にメリットが大きい制度です。

デメリットとしては、相続時精算課税制度を利用すると、暦年贈与による毎年110万円までが非課税となる贈与税の基礎控除枠は利用できなくなります。

一方、暦年贈与を利用して相続税対策を進めた場合、毎年少しずつ相続財産を減らしていくことができますが、相続発生時には過去3年間に行った贈与分が相続財産に繰り入れられるため、早めに対策していくことが重要です。

おわりに

おわりに

共有不動産の利用やリフォームなどの際、他の共有持分者の合意が必要なこともあるため、相続などによって共有持分が細分化されてくると共有不動産に関する協議・合意形成が難しくなり、利用や管理が行えないまま固定資産税や管理・修繕費の費用負担ばかりが増え続けていくことになります。そのため共有状態はできるだけ避けることが望ましいといえます。

不動産の共有状態から抜け出す方法は、主に売却または買取・贈与・放棄があります。贈与と放棄は受贈者に贈与税が生じる場合もあるほか、利用予定のない不動産では費用負担が増えるため受けとって貰えない恐れもあります。

もし、相続時に不動産を相続する予定がある場合、不動産を利用する予定がないのであれば売却してその代金を分割し、引き続き居住を続ける場合などは買い取って単独名義にすることをおすすめします。

もし、他の相続人から共有持分を買い取る資金が手元にない場合は、セゾンファンデックスの「遺産分割ローン」がおすすめです。銀行などの金融機関では融資が難しい親族間売買にもご利用可能なほか、すでに定年退職しているため収入が少ないといった不安がある場合でも、セゾンファンデックスの遺産分割ローンなら不動産の担保価値を重視する審査基準が採用されているため、融資可能な場合があります。

実家などご自身に思い入れのある不動産を相続時に安易に分割してしまうと時間経過と共に共有者が増え、次第に建物の維持・管理が行き届かなくなっていきます。万が一管理不足により火災や事故が生じてしまえば訴訟や多額の賠償金を支払う事態に陥ってしまうかもしれません。相続時には子孫にリスクを遺さないよう共有不動産のデメリットを把握していくようにしましょう。

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