一般的な不動産売買では、不動産仲介業者に依頼して購入したい不動産を探してもらったり、売却の際には買い主を見つけてもらったりします。しかし親族間売買の場合、売買する不動産や売り主そして買い主も決まっているため、そもそも不動産仲介業者に仲介を依頼する必要があるのかという疑問も生じます。
今回の記事は不動産の親族間売買の仲介手数料について取り上げています。一般的な不動産売買と異なる親族間売買において、不動産仲介業者に依頼するメリットやデメリット、また依頼するにあたってかかる手数料などについて解説していきます。
1.親族間売買で不動産仲介業者を立てるメリット・デメリット
結論からいうと、親族間売買で不動産仲介業者に仲介を依頼するメリットはありません。ただ、住宅ローンを利用するのであれば不動産仲介業者を利用することが必要です。なぜなら、住宅ローンの審査において重要事項説明書の提出を求める金融機関が多く、そして重要事項説明書は不動産仲介業者しか作成することができないからです。
重要事項説明書が提出できないと住宅ローンの審査を行ってもらえないため、最終的に住宅ローンを利用することができません。
ただし、親族間売買では住宅ローンを利用しにくいという現状があります。理由は本来の資金使途以外の目的で利用されるのを防ぐことが主ですが、そのため審査も厳しい傾向にある他、親族間売買に対する住宅ローンの融資を行っていない金融機関もあります。
また不動産仲介業者に仲介を依頼するということは、不動産仲介業者に対して支払う仲介手数料が発生することになります。
仲介手数料は「不動産の売買価格×3%+ 60,000円」で計算され、不動産の売買価格自体が高額な傾向にあることから、仲介手数料もおのずと高額になります。そしてこの手数料は売り主と買い主双方にかかりますので、親族間同士で高額な手数料を負担しあわなければならないというデメリットがあります。
さらに、登記の際の司法書士報酬も発生することを考えると、親族間売買で不動産仲介業者を立てるメリットは少ないといえるでしょう。
2.親族間売買における不動産仲介業者の仕事内容
親族間売買における不動産仲介業者の具体的な役割について、以下で説明します。
1-1.物件の査定
物件の査定とは、その物件の価値を調べる目的で行われます。しかし、親族間売買の場合は「贈与税の対象とならない価格」や「金融機関からどのくらい借り入れられるかの見込み額」などを調べる目的で査定を行うケースもあります。
1-2.住宅ローンを利用する金融機関の選定
親族間売買の場合、住宅ローンを利用しにくいといった実情がありますが、中には親族間売買でも融資を可能としている金融機関もあります。親族間売買をよく取り扱っている不動産仲介業者に依頼することで、金融機関を探す手間が省けるでしょう。さらに有利な条件で借り入れができる金融機関を紹介してくれる可能性もあります。
1-3.書類作成
不動産売買においては、不動産売買契約書をはじめとした多くの書類が必要です。不動産売買の知識があれば作ることができるかもしれませんが、専門家に任せる方が間違いは少ないでしょう。不動産売買に関する書類の作成については、不動産仲介業者に依頼することをおすすめします
1-4.物件の調査
不動産売買の対象となる物件に問題がないかを調査することです。境界確定の有無や耐震検査など、当事者だけでは気づかない問題が潜んでいないかをチェックしてもらえます。
1-5.重要事項説明
重要事項説明は不動産取引業者が、契約前段階に物件に関する重要事項を説明するよう宅地建物取引業法によって義務づけられており、不動産仲介業者は必ず行わなければなりません。また、重要事項の説明は宅地建物取引士の資格を持っていなければ行えませんし、不動産仲介業者であれば必ず行わなければならない手続きの1つです。
1-6.契約締結及び物件の引き渡し
最終的に売買契約が成立した際には、不動産仲介業者が引き渡しの準備を行うことになっています。契約日や引き渡し日などを決め、銀行との打ち合わせや司法書士への登記手続きの依頼なども日程調整を含めて行います。
1-7.税金に関する相談やサポート
親族間売買で注意しなければならない税金の問題には、贈与税や譲渡所得税などがあります。そのため、税務にも精通している不動産仲介業者に依頼することが大切です。
3.親族間売買の仲介手数料の相場は?
親族間売買の仲介手数料の相場はどのくらいなのでしょうか。そもそも仲介手数料には上限があり、以下のとおり法律で決まっています。
物件価格(税抜き)2,000,000円以下の部分:物件価格(税抜き)×5%+消費税
物件価格(税抜き)2,000,000円~4,000,000円以下の部分:物件価格(税抜き)×4%+2万円+消費税
物件価格(税抜き)4,000,000円超の部分:物件価格(税抜き)×3%+6万円+消費税
そして、これはあくまでも法律上で決められている上限ですので、不動産仲介業者との間で値引き交渉も可能です。ただし、業務量によってはそこまでの値引きが期待できない可能性もあります。一度相談してみることをおすすめします。
4.親族間売買の仲介手数料は割高
通常の不動産売買では手数料は売り主と買い主にそれぞれ請求されます。売り主と買い主は全くの第三者の関係ですので、そこまで問題視することはありませんが、親族間売買の場合、親と子もしくは親族同士それぞれに請求されるため、親族全体で考えると手数料が2倍請求されることになります。
また、親族間売買なら、売り主と買い主が最初から決まっているため不動産仲介業者が売り主または買い主を探す必要もありません。このことからも親族間売買において不動産仲介業者を利用するメリットは少ないといえます。
5.親族間売買で住宅ローンを組むのであれば仲介業者に依頼
ただ、親族間売買の場合であっても、不動産仲介業者への依頼が必要なケースがあります。それは親族間売買で住宅ローンを利用する場合です。住宅ローンを利用するにあたり、金融機関の審査で重要事項説明書の提出が必要になります。重要事項の説明および重要事項説明書の作成は宅地建物取引士でなければできませんので、不動産仲介業者への依頼がどうしても必要になるのです。
ほかにも任意売却で親族間売買を行う場合や、相場よりも低い額で譲渡することによる贈与税の発生が不安な場合、対象物件に問題がないか調べてもらいたい場合には不動産仲介業者に依頼すると良いでしょう。
多くの金融機関は不動産の親族間売買について取扱いがなかったり、取り扱っていても審査が厳しくなっています。。しかしセゾンファンデックスの住宅ローンは親族間売買にも対応しています。そのため、銀行などの金融機関で融資を断られた場合でもご利用いただけるケースがあります。
セゾンファンデックスの住宅ローンは、審査にかかる時間が最短3営業日と早いほか、クレディセゾングループの一員としての信頼を背景に、さまざまな不動産を評価する目利き力と他の金融機関にはない独自の審査基準でお客さまの幅広いニーズにお応えしています。
親子間売買や親族間売買のほか、兄弟間での持分の買い取り資金を調達する目的でのご利用も可能です。お問い合わせはWEBサイト及び電話で承っておりますので、親族間売買において住宅ローンのご利用を考えている方は、一度セゾンファンデックスにご相談ください。