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不動産投資ローンの厳しい審査基準と通過するための対策を徹底解説

不動産投資ローンの審査に落ちた!審査に通る方法は?
セゾンのくらし大研究 編集部

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不動産投資を行うにあたり、高額な物件を購入する際には金融機関から融資を受ける必要があります。ただし、ご自身が住む物件ではないことから住宅ローンは利用できません。そのため、不動産投資で融資を受ける際には「不動産投資ローン」を利用することになります。

不動産投資ローンは銀行を始めノンバンクなど多くの金融機関で取り扱っており、それぞれで商品の特徴が異なります。本記事では、金融機関ごとの不動産投資ローンの特徴や審査基準について解説するとともに、審査に通りやすくするコツについてご紹介します。

不動産投資ローン

不動産投資ローンの融資状況

どの金融機関にも共通して言えることですが、不動産投資ローンは不動産賃貸業を営むことを目的とした融資です。そのため、売却益を目的とした不動産投資には融資を行いません。

あくまでも事業に対する融資であるため、金融機関側の不正融資を引き締める目的からも、近年はしっかりと練られた事業計画や明確な目標の有無について審査が厳格化する傾向にあります。

なお、不動産投資への関心は依然として高く、取引市場はコロナ禍以前と比較しても大きな変化はないと言えるでしょう。

不動産投資ローンの厳しい審査基準について

不動産投資ローンは、一般的な住宅ローンと比較して審査基準が厳格です。 これは、投資用のローンであるがゆえに、返済能力や物件の収益性など、よりシビアな判断が求められるためです。 ここでは、主な審査項目と基準を詳しく解説していきます。

年収要件:安定収入が重要視される

不動産投資ローン審査において、最も重要な要素の一つが年収です。

一般的には、年収500万円~700万円以上が目安とされています。
例えば、みずほ銀行の場合、年収700万円以上を目安としています。

ただし、年収額だけでなく、その安定性も重視されます。 金融機関は、長期にわたる返済能力を見極める必要があるため、安定収入を得ているかが重要となります。 そのため、正社員として3年以上勤務していることが望ましいとされています。

物件の収益性:家賃収入が返済額を上回ることが重要

投資用ローンである以上、物件の収益性は非常に重要です。 金融機関は、家賃収入で返済が滞りなく行えるかどうかに注目します。

基準としては、家賃収入が返済額の1.25倍以上であることが望ましいとされています。

例えば、月々の返済額が10万円の場合、家賃収入は12.5万円以上が目安となります。
この計算式は、(年間家賃収入 – 経費)÷ 年間元利返済額 ≧ 1.25 となります。

物件の担保価値:築年数や立地が評価に影響

万が一返済が滞った場合に備え、金融機関は物件を担保として融資を行います。 そのため、物件自体にどれだけの価値があるのかが重要な審査項目となります。

一般的な融資率は、物件評価額の70~80%です。
例えば、3,000万円の物件の場合、融資額は2,100~2,400万円程度となります。

ただし、築年数や立地によって担保評価は大きく変動します。 一般的に、築20年以上の物件は評価が低くなる傾向があります。

年齢制限:完済時年齢がポイント

不動産投資ローンには、年齢制限が設けられている場合があります。 これは、高齢になれば収入が減少する可能性があるためです。

一般的な基準としては、完済時年齢が75~80歳以下とされています。
例えば、60歳で申し込む場合、最長15~20年の返済期間となります。

ただし、金融機関によっては、年齢制限を設けていない場合もあります。

自己資金比率:高いほど審査に有利

自己資金とは、物件購入のために自分で用意できる資金のことです。 自己資金比率が高いほど、金融機関からの評価が高くなります。

推奨される自己資金比率は、物件価格の20~30%以上です。
例えば、3,000万円の物件の場合、600~900万円の自己資金が望ましいとされています。

少なくとも、物件価格の5~10%程度かかる諸費用は、自己資金で賄うようにしましょう。

法定耐用年数:融資期間に影響

法定耐用年数とは、建物が使用可能な期間のことです。 建物の種類によって異なり、木造は22年、鉄骨造は19~34年(骨格材の厚みによる)、鉄筋コンクリート造は47年と定められています。

金融機関は、法定耐用年数を考慮して融資期間を設定します。
例えば、築10年の木造物件を購入する場合、融資期間は最長12年程度となります。

これらの基準は、金融機関や個々の状況によって異なる場合があります。 上記を参考に、事前にしっかりと準備しておくことが、審査通過の鍵となります。 また、複数の金融機関に相談し、自身に最適な条件のローンを見つけることをおすすめします。

金融機関別の不動産投資ローンの特徴

不動産投資ローンを提供する金融機関は、それぞれ異なる特徴を持っています。自分に合った機関を選ぶことが、投資を成功させる鍵となります。

銀行

銀行は、「都市銀行」「地方銀行」「信用金庫」に大別されます。都市銀行は対応エリアが広く、比較的低金利で融資を受けられる点が魅力です。しかし、その分審査基準は厳しく、綿密な事業計画と申込者自身の高い信用性が求められます。

一方、地方銀行は対応エリアこそ限られますが、都市銀行並みの金利が適用される場合があります。また、都市銀行よりも審査基準は緩やかで、比較的融資を受けやすい傾向にあります。属性審査は厳しいものの、親族などに取引実績があれば、有利な条件で融資を受けられる可能性もあります。

信用金庫は、地域の人々が会員となり、相互扶助を目的とする金融機関です。そのため、原則として信用金庫の営業エリア内に居住している、または購入物件がないと融資は受けられません。しかし、地域に密着した営業を行っているという特徴から、親族などに取引実績があれば、好条件での融資が期待できます。

政府関係金融機関

政府関係金融機関としては、日本政策金融公庫が挙げられます。日本政策金融公庫の大きな特徴は、審査の際、個人の属性があまり重視されない点です。そのため、銀行系金融機関で融資が受けられなかった場合でも、融資を受けられるケースがあります。また、固定金利を採用しているため、金利変動リスクがない点も魅力です。

ノンバンク系金融機関

ノンバンク系金融機関は、銀行系や政府系に比べ、金利が高めに設定されている点が特徴です。しかし、審査スピードが速く、融資実行までの期間が短い点は大きなメリットと言えるでしょう。また、個人の属性よりも、物件の評価を重視して融資額を決定する傾向があります。

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不動産投資ローン

不動産投資ローンの審査に通らないケースとは

不動産投資ローンの審査は、通常の住宅ローンと比較して厳格です。審査に通らない可能性として、以下のようなケースが考えられます。

自己資金が少ない

不動産投資ローンを利用する際には、物件価格以外にも、登記費用や不動産取得税などの諸費用がかかります。自己資金が少なく、これらの諸費用も含めて多額の融資を希望する場合、「オーバーローン」と見なされ、審査に通らない可能性が高くなります。

購入する物件の価値が非常に高いか、申込者の資産状況が極めて良好など、特別な事情がない限り、十分な自己資金を準備することが重要です。

担保物件の価値が低い

担保として提供する物件の価値が低い場合も、審査に通りにくい、または希望額の融資を受けられない可能性があります。物件の築年数が古かったり、立地条件が悪かったりする場合、担保評価額が低くなるため、注意が必要です。

申込者の属性が低い

申込者自身の属性も、審査に大きく影響します。具体的には、以下の様な点が挙げられます。

  • 年収が低い:返済能力に不安があると判断される可能性があります。
  • 年齢が高い:完済時の年齢を考慮し、返済期間が短くなることで返済負担が大きくなると判断される可能性があります。
  • 信用情報に問題がある:過去にクレジットカードやローンの延滞などがあると、信用情報に傷がつき、審査に悪影響を及ぼします。

上記のような属性の場合、金融機関は返済能力や事業の継続性に疑問を抱き、融資を避ける傾向にあります。

不動産投資ローンは、多額の資金を扱うため、審査基準は厳しく設定されています。事前に審査基準や必要書類をしっかりと確認し、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。

不動産投資ローンの審査を通過するための対策

不動産投資を成功させるためには、まずローン審査を通ることが重要です。審査を突破するために効果的な対策を以下に解説します。

収支計画は綿密に

審査では、投資物件が将来的に安定した収益を生み出すかどうかの判断材料として、綿密な収支計画が求められます。

具体的には、家賃収入、管理費、修繕費、固定資産税など、考えられる限りの経費を洗い出し、少なくとも向こう5年間の収支予測を立てましょう。この際、空室率を10%程度見込むなど、楽観的な予測ではなく、現実的な数字で計画することが重要です。

自己資金は十分に用意

物件価格の20〜30%以上の自己資金を準備することで、融資額を抑え、審査通過の可能性を高めることができます。例えば、3,000万円の物件であれば600〜900万円の自己資金があると理想的です。自己資金は、金融機関に対する返済能力の証明となるだけでなく、投資に対するあなたの真剣さを示す重要な指標にもなります。

物件選びは慎重に

物件選びは、投資の成功を大きく左右する要素の一つです。審査の観点からも、担保価値と収益性の高い物件を選ぶことが重要になります。立地条件としては、最寄り駅から徒歩10分以内など、アクセスが良く、周辺環境の整った場所が好まれます。

築年数は10年以内が目安となり、鉄筋コンクリート造など、建物の構造も重要な要素となります。さらに、周辺に大学や企業が多いなど、賃貸需要の高い地域を選ぶことで、安定した家賃収入を見込むことができます。

信用情報は高く保つ

金融機関は、過去のクレジットカード利用状況やローン返済履歴などをもとに、融資の可否を判断します。そのため、日頃から信用情報を良好な状態に保つことが重要です。

具体的には、クレジットカードの支払いを延滞せず、過去の借入れがあれば、返済を滞りなく続けることが大切です。また、不要なクレジットカードは解約し、借入件数を減らすことも有効です。

職業・収入の安定性をアピール

安定した収入は、ローン返済能力の高さの証明となります。正社員として3年以上勤務している、確定申告書や源泉徴収票で安定した収入を証明できるなど、自身の状況を具体的に示すことが重要です。副業や投資収入がある場合は、それらの収入証明も用意することで、さらに審査を有利に進めることができます。

専門家のアドバイスを活用

不動産投資は、多岐にわたる知識と経験が求められる分野です。そのため、不動産投資に精通した税理士や不動産コンサルタントに相談し、専門家のアドバイスを受けることが有効です。

彼らは、市場の動向や法規制、税金対策など、専門的な知識に基づいたアドバイスを提供し、適切な物件選びや資金計画の立案をサポートしてくれます。

事業計画書で熱意を伝える

事業計画書は、投資に対するあなたの熱意や将来展望を金融機関に伝えるための重要な資料です。投資の目的、物件の特徴、収支計画、リスク対策など、具体的に記載しましょう。5年後、10年後の資産価値や収益の予測、修繕計画なども盛り込むことで、投資に対する真剣さと計画性を効果的にアピールできます。

これらの対策を総合的に行うことで、不動産投資ローン審査通過の可能性は大きく高まります。しかし、最も重要なのは、無理のない範囲で投資を行うことです。自身の財務状況を冷静に分析し、長期的な視点で投資計画を検討しましょう。

複数の金融機関を比較検討

各金融機関は、それぞれ独自の審査基準や金利設定を行っています。そのため、複数の金融機関に相談し、金利や融資条件を比較検討することが重要です。大手銀行、地方銀行、信用金庫、政府系金融機関など、幅広い選択肢を検討することで、自身の状況に最適な条件の融資を見つけられる可能性が高まります。

おわりに

不動産投資ローンは、魅力的な投資機会を提供する一方で、審査過程は慎重かつ厳格です。本記事で解説したように、審査基準は年収、物件の収益性、担保価値など多岐に渡ります。これらの基準を満たすことは容易ではありませんが、適切な準備と戦略を立てることで、審査通過の可能性を高めることができます。

重要なのは、自身の財務状況を客観的に評価し、無理のない範囲で投資を行うことです。高額な物件に目を奪われがちですが、返済能力と収益性のバランスを慎重に検討することが成功への近道となります。

また、不動産投資は長期的な視点が欠かせません。短期的な利益だけでなく、将来的な資産価値の変動や社会経済の変化も考慮に入れる必要があります。そのためにも、専門家のアドバイスを積極的に求め、綿密な事業計画を立てることをお勧めします。

セゾンファンデックスでは、こうした不動産投資の複雑な側面を理解し、お客様一人ひとりのニーズに合わせたサポートを提供しています。初めての不動産投資に不安を感じる方、より効果的な投資戦略を模索している方など、どのような段階の投資家の方々もお気軽にご相談ください。

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最後に、不動産投資は大きな可能性を秘めている一方で、リスクも伴います。十分な情報収集と慎重な判断を心がけ、自身のライフプランに合った投資を行うことが、長期的な成功への鍵となるでしょう。皆様の不動産投資が実り多きものとなることを心よりお祈り申し上げます。

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