親が年をとり、収入が減少したことなどが原因で住宅ローンの返済が困難となってしまうことがあります。自宅を手放したくない場合は、親子間売買によって子どもが返済を継続することも可能です。
本コラムでは、親子間売買の特徴や注意点について解説していきますのでしっかりと把握しておきましょう。
1.親子間売買とは?どんな場合に行われる?
住宅ローン金利は近年でこそ低金利状態が続いていますが、家計に占める返済負担も大きく、返済期間も最大35年に及ぶため、想定外の出来事などによって返済が困難となってしまうこともあります。
売却によってローンの完済や負担軽減を図ろうとする場合、子世帯など同居親族がいる場合はそれも難しくなってしまいます。
そこで両親が住宅ローンの返済に行きづまったり、介護施設に入居するためまとまった資金が必要になった場合に、自宅を手放さずに資金問題を解決する方法として自宅の親子間売買が有効な選択肢となります。
2.親子間売買のメリット
不動産は財産のなかでも大きな割合を占めるうえ、預貯金など現金化しやすい財産と異なり、現金化が難しく売却に時間がかかるといった特徴があります。
親子間売買では、両親の住宅ローンを子どもが肩代わりするだけでなく、所有権も合わせて得ることができるため、相続時のトラブル予防の効果が期待できます。
また、引っ越しも伴わないため生活環境が変わらないというメリットがあります。適正価格で取引されている場合は贈与税の対象となることもありません。
3.親子間売買の注意点
親子間売買では贈与と見なされないよう、物件価格の妥当性に注意する必要があります。取得が適正な価格で行われているのであれば問題はありませんが、周辺相場よりも極端に安かったりすると差額分がみなし贈与ととられる可能性があります。贈与税は控除額が少なく税率も高いため注意が必要です。
マイホームを住宅ローンを利用して購入すると、所得税や住民税の税額控除を受けられる住宅ローン控除を利用することができます。親子間売買でマイホームを取得した場合も同様に利用することができますが、
両親と同居をしていたり、仕送りしているなどで家計を同じくしていると適用を受けることができません。また、親子間売買では住宅ローンを利用しにくいといったデメリットもあります。
4.親子間売買が銀行で組めないワケ
親子間売買では金融機関による住宅ローンの利用が難しくなっています。これは住宅ローンによる融資金が売主である両親のもとにそっくりと収まるためです。
住宅ローンは用途が自宅の購入に限定されるものの、店頭金利よりも低利である優遇金利で融資を受けることができます。返済期間も最大35年と借り手に有利な条件となっており、アパートローンやフリーローンなどのほかのローン商品を利用するよりも負担が少ないといえるでしょう。
親子間売買を利用して子どもに低金利の住宅ローンを契約させ、両親は得られた資金を事業用や投資用といったさまざまな用途に使うこともできるようになります。実質的に住宅ローンの資金をほかの用途に流用できてしまうため、親子間売買での住宅ローン審査は非常に厳しくなっています。
5.親子間売買でも組める住宅ローンとは?
銀行などの金融機関からの借入れはできない可能性が高いですが、住宅ローンの利用も絶対にできないわけではありません。親子間売買においても利用可能な住宅ローン商品を提供している金融期間も存在します。
たとえばセゾンファンデックスの提供する住宅ローンは親子間売買にも対応しています。また返済遅延などにより信用情報に瑕疵がある場合や、個人事業主や勤続年数の短い方も利用できる可能性があります。
セゾンファンデックスの親族間売買は、保証人も原則不要となっているため、通常の金融機関やフラット35などの住宅ローンの利用が難しい場合は利用を検討してみることをおすすめします。
フリーローンや無担保ローンなどの資金用途に制限のないローン商品を使用することも可能ですが、金利が高く融資額が不足する恐れがあります。
また、親子間売買ではなく リースバックの利用も併せて検討すると良いでしょう。
リースバックは自宅を売却するため、住宅ローンの返済途中でも利用することができます。売却後は賃貸物件として自宅に住み続けることができ、家賃は発生しますが、修繕費や固定資産税といった自宅の維持コストを軽減することができます。
さらにセゾンファンデックスの提供するリースバックでは、家財保険の保険料がかからないほか、事務手数料や賃貸借契約の更新手数料・礼金といったさまざまな費用が不要となっています。またホームセキュリティ・みまもりサポートやハウスクリーニングなどの無料サービスを選んで利用できます。
自宅の売却代金は一括で受け取ることができ、用途の制限もないので住宅ローンの返済や事業・投資への利用、老人ホームへの入居費用などに充てることもできます。
おわりに
住宅ローンの返済は長期にわたるため、想定外の出来事により計画どおり返済が完了できなくなってしまうこともあります。ローン返済が行き詰まってしまうと金融機関から担保権を行使され自宅を競売や任意売却などで手放さざるを得なくなってしまう恐れがあります。
両親が返済困難となった場合、子どもが単純に資金を援助してしまうと贈与税の対象となってしまう可能性があるばかりか、相続発生時に自宅の取り扱いについてほかの相続人とトラブルが生じる恐れがあるため、親子間売買によって相続発生前に同居している子どもが自宅を引き継いでしまうのも有効な選択肢といえます。
この際、物件価格の適正化や売買代金の準備方法については注意が必要です。また売買契約書の作成や登記なども併せて行う必要があるため、できるだけ不動産会社などを利用して対策を進めていくことをおすすめします。
住宅ローン返済が難しくなってきた場合、相続発生後の自宅の処分も併せて検討し、親子間売買・リースバックなど検討してみると良いでしょう。