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不仲なきょうだいに遺産を渡したくない…夫に先立たれた83歳“おひとりさま”の「上手な終活」【FPが解説】

不仲なきょうだいに遺産を渡したくない…夫に先立たれた83歳“おひとりさま”の「上手な終活」【FPが解説】
中山 梨沙(FP Office株式会社 ファイナンシャルプランナー )

執筆者
中山 梨沙(FP Office株式会社 ファイナンシャルプランナー )

大学卒業後、メガバンクにて12年間勤務。主に預金や投資信託、住宅ローン、相続遺言等リテール営業に従事。金融教育に携わるべく、企業型DCの加入者向け教育業務も経験。その後、外資系保険会社に移籍し、リスクマネジメントなどのより幅広い実務経験を積むなかで、ひとつの金融機関に属さない職業としてのFPになる決意を固め、現職に転身。「お金に関して、巷に溢れる情報やセールスに惑わされず、必要なものを自身で取捨選択できる人を増やしたい」。そんな信念で日々活動している。

5年前に夫を亡くしてから、相続したマンションに1人で暮らす83歳のAさん。金銭的には困っていませんが、とある理由から自身の相続に関して不安を抱えていました。FP Officeの中山梨沙FPが、“おひとりさま”が知っておきたい相続対策について解説します。 

不仲なきょうだいを相続人にしたくない…Aさんの「秘策」 

不仲なきょうだいを相続人にしたくない…Aさんの「秘策」 

埼玉県に住むAさん(83歳)。子どもはおらず、5年前に夫を亡くしてからというもの、相続したマンションに1人で暮らしています。夫から相続した財産があることから、生活には困っていません。

しかし、Aさんには気がかりなことがひとつあります。それは、「弟と妹」の存在です。仲が悪く、長い間連絡をとっていないものの、子どもがいないAさんは「もし自分が亡くなったら兄弟が相続人となってしまう」と不安に思っています。

現在のAさんの状況は下記のとおりです。

・現預金:5,600万円(運用商品は特になく、全額預金に置いている)
・住居:駅から徒歩5分圏内のマンション(住宅ローンはすでに完済、修繕積立金・管理費月額3万円)
・生活費:年金(月額23万円)の範囲内

なお、これらの財産に対しては「基本的には使い切りたい」と考えているものの、もし余った場合はあしなが育英会に寄付する予定です。

不仲なきょうだいに財産を渡したくない…Aさんは「終活」を開始

不仲なきょうだいに財産を渡したくない…Aさんは「終活」を開始

夫が弁護士をしていたため、生前から相続対策についていろいろ教えてもらっていたAさん。「幸い遺留分はないから、きょうだいに遺産が渡らないよう、元気なうちから対策するといいよ」と教えてもらっていました。

そこで、Aさんが最初に取り組んだのは、「遺言書」と「死後事務委任契約書」の作成です。

遺言書は、作成することで「金融資産」についての自分の意志を残すことができる一方、死後事務委任契約では、死に伴い発生する「行政手続き」等の意志を反映させることができます。

死後事務委任契約であれば、死亡届の提出から葬儀の取り仕切り、水道・ガス等の契約の解約手続き等にいたるまで、信頼できる方に一連の手続きを「委任」することができます。

遺言書に死後の手続きについて記載することもできますが、意向を伝える程度で効力は発生しません。死後事務委任契約は、Aさんのような1人暮らしの高齢者には心強い味方です。

また、契約後、安否確認や定期訪問サービスを受けられる場合もあります。有料のためランニングコストが発生するものの、1人暮らしの高齢者にとっては安心感があります。

作成の際は「公正証書」で

また、遺言書・死後事務委任契約書いずれも、作成の際は効力が強まるよう「公正証書」で作成することをおすすめします。

遺言書は、公正証書遺言の他にフォーマットも自由で気軽に作成できる「自筆証書遺言」という方法を選ぶこともできますが、いざ作成した本人が亡くなり相続が発生した際に、家庭裁判所において「検認」を通さなければなりません。

この検認はその遺言書が効力のあるものなのか判断するためのものですが、完了するまでには数週間~1ヵ月程度時間がかかってしまいます。

その点、公正証書の場合は、作成時に少し手間がかかるものの相続発生後の流れがスムーズです。

Aさんは、夫の知り合いである弁護士にお願いして、これら2つの書類を作成することにしました。

かかる費用は依頼先によって異なるため、皆さんが作成される際には複数を比較されることをおすすめします。

<遺言書、死後事務委任契約書作成にかかる費用>
※財産の内容や、依頼する仕業によって費用は異なる

■公正証書遺言書作成:約22万円
(内訳……公証役場での費用等で2万円程度、弁護士依頼費用で20万円程度)

■死後事務委任契約書作成:約22万円+契約後費用月額約3万円
(内訳……公証役場での費用等で2万円程度、弁護士依頼費用で20万円程度、 安否確認や定期訪問サービス等費用で、月額3万円程度)

「リースバック」利用で、自宅に住み続けながら老人ホーム費も賄える

「リースバック」利用で、自宅に住み続けながら老人ホーム費も賄える

また、Aさんは亡くなった夫から「不動産は残しておくといろいろ大変だ」と言われていました。しかし、自宅は夫との思い出の場所であり、なるべくなら手放したくありません……。そんななか、前述の弁護士に話を聞いてもらっていたところ、自宅に住み続けながら、まとまった現金を手にする「リースバック」という方法があると聞きました。

リースバックとは「セール・アンド・リースバック(Sale and Leaseback)」の略で、自宅をいったん売却し買主と賃貸契約を結ぶことで、今まで通り自宅に住み続ける方法のこと。自宅を活用した資金調達方法のひとつです。

住宅ローンを返済できなくなった人の解決策としてイメージする人も多いかもしれませんが、年々高齢者が利用するケースも増加傾向にあります。

ただしこの方法は、全員にとってメリットがあるというわけではありません。ご自身の状況に当てはめ、適しているのかそうでないのか判断するようにしましょう。主なメリット・デメリットは下記のとおりです。

<リースバックのメリット>
・売却後も変わらず居住できる
・短期間で自宅を現金化できる
・物件を売却したことを周囲に知らせずに済む
・ランニングコストが軽減できる

<リースバックのデメリット>
・家賃の支払いが続く
・売却価格が通常の売買より安くなる傾向がある
・賃貸借期間は無期限ではない
・家賃が相場より高く設定される場合がある
・リフォームやリノベーションは自由にできない

通常、自宅を売却する際は仲介業者を介して買い手を探すことになるため、買い手が見つかるまで3ヵ月~6ヵ月程度かかります。

しかし、リースバックなら不動産会社が直接買主になるため、短期間で現金化することが可能です。仲介業者が不要なため、ホームページやチラシに売却情報が掲載されることもありません。

さらに、所有主が不動産会社となることから、固定資産税等の税金や、マンションの修繕積立金・管理費等のランニングコストが発生しない点が魅力的です。

ただしここでの留意点は、売却価格が通常の売買価格の70%程度になることです。また家賃についても売却価格の7~13%程度と設定されていることが多く、場所によっては相場より高くなるケースがあります。

さらに、もっとも注意しなければならないのは、賃貸契約に「期限」がある点です。契約期間は2~3年で、更新を前提としない「定期賃貸借契約」を締結することが多いです。

もちろん長期の賃貸契約を結ぶケースもありますし、双方の合意があれば更新することも可能ですが、ケースとしてはあまり多くありません。

理想の「終活」が叶いご満悦…早めの対策でスムーズな相続に

理想の「終活」が叶いご満悦…早めの対策でスムーズな相続に

Aさんは、現在は身体に不具合もなく健康で過ごせていることもあり、できるだけ慣れ親しんだ自宅に住みたいと考えています。とはいえ、高齢になっていることもあり、最終的には高級老人ホームに移るつもりです。

Aさんは、不仲な弟や妹に知らせることなくマンションを売却できるということもあって、リースバックを申し込むことにしました。

また現在、マイホームを売却して生じた「譲渡所得」に対して、3,000万円の特別控除や、所有期間10年を超えた場合の軽減税率といった税制優遇措置があります。売却価格は、通常より安くはなったものの、許容できる範囲でした。

家賃もたしかに相場より少し高いですが、2年分は年金と預金でまかなうことができそうです。

<費用概算>
■収入
・現預金:5,600万円
・マンション売却資金:5,000万円
……合計:1億600万円

■支出
・遺言書等作成費用:50万円
・譲渡所得に対する税金:250万円
・2年分の家賃:700万円
・高級老人ホーム入居一時金:3,000万円
……合計:4,000万円
→1億600万円-4,000万円=手元に残るお金:6,600万円

■今後の支出予定
・高級老人ホーム月額費用:50万円
・死後事務委任契約の契約後月額費用:3万円
・公的年金月額:23万円

リースバックを利用したおかげで、諸費用を差し引いても手元に6,600万円ほど残る計算です。Aさんが今後仮に高級老人ホームで10年暮らしたとしても、

50万円×12ヵ月×10年=6,000万円

となり、570万円ほど残ります。

できるだけ使う予定ですが、使い切れなかった場合も遺言で「残ったお金はあしなが育英会に寄付する」と記してあるため、弟や妹に渡る心配はありません。

まとめ

Aさんのような配偶者と子、親がいないいわゆる“おひとりさま”の場合、基本的にはごきょうだいが相続人となります。ここで注意しておきたいのは、「遺留分」の存在です。

遺留分とは、一定の相続人に認められている「最低限の遺産をもらうことができる権利」のこと。遺留分がある相続人がいる場合、遺言書でいくら詳細に定めたとしても、相続人が「遺留分侵害額請求」を行った場合、この請求のほうが強い効力を持ちます。

Aさんのごきょうだいは該当せず遺留分はないため、Aさんの相続が発生しても、弟や妹が相続財産を求めることはできません。

こうしてAさんは、自分の意志を尊重した終活をすることができました。

終活に限ったことではありませんが、なにごとも前もって準備をすることが大切です。その準備を怠ると、選択肢が狭まるほか、周りにいる人に迷惑や負担をかける場合があります。

人生は1度きり。流れに身を任せず、これからどう過ごしていきたいかしっかり考えていく重要性について、Aさんの事例から学ぶことができたのではないでしょうか。

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