住宅ローンは長期的に付き合うものなので、もしかすると1回や2回滞納してしまうことがあるかもしれません。しかし、中にはさまざまな原因で長期間滞納してしまい、困っている方もいるのではないでしょうか。
住宅ローンは滞納期間が進むことによって、最悪の場合、大切なマイホームを手放すことにもなりかねません。本記事では住宅ローンの滞納期間別に起こることや、家を手放す前に行うべき対処法を徹底解説します。
住宅ローンを滞納することで起こる3つのリスク
住宅ローンを滞納することで起こる3つのリスクは以下のとおりです。
- ブラックリストに載ってしまう
- 督促を放置していると差し押さえに合うことがある
- マイホームが競売にかけられてしまう
中には「少し滞納する程度なら大丈夫だろう」と考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、その「少しくらいなら」という気持ちが、最悪の事態を招くかもしれません。ここでは3つのリスクをそれぞれ解説します。
ブラックリストに載ってしまう
1回や2回の滞納ではそこまで心配することはありませんが、一般的には住宅ローンの支払いを61日以上延滞したり、3回目の支払日を超えるほど延滞したりした場合にブラックリストに登録されます。
ブラックリストとは、信用情報機関が保有する「信用情報」に延滞情報や破産などの事故情報が登録されている状態を指します。住宅ローンやクレジットカードの返済が滞ったり破産が生じたりした際に、この個人信用情報に登録されます。
ブラックリストに登録されることを「ブラックリストに載る」「ブラックになる」ともいい、ブラックリストに載ってしまうと5年〜10年ほどは、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなるといわれています。
督促を放置していると差し押さえに合うことがある
住宅ローンを滞納していると、金融機関から督促状が届きます。この督促状を放置し続けると、金融機関は住宅ローンを回収するために、あなたのマイホームを差し押さえの手続きを進めます。差し押さえが開始されると、次のステップである「競売」へ移ります。
マイホームが競売にかけられてしまう
「競売開始決定通知」が届きマイホームが差し押さえられると、裁判所の執行官がマイホームに来て、適正価格の調査など競売のための準備が着々と進んでいきます。
競売にかけられてしまうと、なすすべはありません。入札が行われて権利を得た買受人が期限までに代金を納付すると、その代金が債権者である金融機関に配当され、マイホームは買受人の手に渡ります。
【期間別】住宅ローンの滞納期間別で起こること
差し押さえや競売は、あまり自分の身に置き換える機会のないものです。そのため「そこまで滞納するつもりもないから大丈夫だろう」と安易に考えてしまう方がいるかもしれません。しかし、滞納から1ヵ月頃から徐々に、差し押さえや競売へのタイムリミットは始まっています。
ここでは、住宅ローンの滞納期間別で起こることを解説していきますので、ぜひご覧ください。
住宅ローンの滞納から1ヵ月~2ヵ月
住宅ローンを滞納し始めて1ヵ月〜2ヵ月経過すると、金融機関から催告書や督促状が届きます。ただし、滞納から1ヵ月前後の状態では、そこまで厳しい内容の通知ではなく「支払ってください」という内容です。
この時点で支払うか、今後支払える余裕がないのならば金融機関に相談することで、最悪の結末を回避できる可能性があります。「今月だけなら」「少しだけだから」と安易に考えて金融機関からの連絡を無視せずに、なるべく早く行動を起こしましょう。
住宅ローンの滞納から2ヵ月~3ヵ月
住宅ローンの滞納から2ヵ月〜3ヵ月経過すると、金融機関から直接電話が来たり、それまでとは異なる内容の通知が届いたりします。
内容は、「このまま滞納するなら、滞納している元金ならびに遅延損害金を一括で返済してもらいます」といったものです。
この時期になると、金融機関からの電話に出たくない、通知書を開くのが怖いという気持ちになるかもしれません。金融機関の担当者に現状を正直に説明しましょう。
住宅ローンの滞納から3ヵ月~6ヵ月
住宅ローンの滞納から3ヵ月〜6ヵ月経過すると、ブラックリストに登録されるだけでなく「期限の利益喪失通知」が届きます。期限の利益とは、「定められた期日までにお金を返済すれば良いという債務者が持つ権利」のことです。
期限の利益により住宅ローンは毎月分割で支払えますが、契約を守らない債務者に対して金融機関は、分割で支払う権利を無効にします。これが期限の利益喪失です。
期限の利益が喪失されると、金融機関に対して保証会社が代位弁済を行います。代位弁済とは、支払わない債務者の代わりに、保証人である保証会社が金融機関に対し住宅ローンの残債を支払うことを指します。
住宅ローンの滞納から6ヵ月~8ヵ月
住宅ローンの滞納から6ヵ月〜8ヵ月経過すると、裁判所から競売開始決定通知書が届きます。これは「不動産を差し押さえました」という内容の通知です。その後、8ヵ月〜10ヵ月の間に、マイホームの適正な価格を定めるために、裁判所執行官が家を訪れます。これを現況調査といい、拒むことはできません。
住宅ローンの滞納から10ヵ月以上たつと……
住宅ローンの滞納から8ヵ月〜10ヵ月前後で競売への準備が開始され、12ヵ月頃になると競売も後期に入り、入札期間を知らせる「期間入札決定通知書」が届きます。
入札期間とは、競売にかけられたマイホームを購入したいという方が、裁判所に購入金額を提示し申し込みを行える期間のことです。入札期間はおおよそ1週間で、買受人(落札者)が決定して、支払いや各種手続きが済むと、物件を明け渡さなければなりません。
【危険度レベル別】住宅ローンの滞納後に届く7つの通知書
ここからは、期間ごとに届く7つの通知書について解説します。通知書にはそれぞれ危険度レベルがあり、1〜3までに対応すれば競売は先送りにできます。そのため、通知が届いたら現状をしっかり確認し、差し押さえや競売を防ぐために行動を起こしましょう。
危険度1「督促状」
危険度レベル1は「督促状」です。督促状は、住宅ローンの滞納から1ヵ月前後に金融機関から届きます。「期日までに支払ってください」という内容の通知書のため、記載されている期日までに指定の金額を支払えば何も問題はありません。
しかし、督促状が届いても支払わずに放置していると、次は危険度レベル2の催告書が届きます。
危険度2「催告書」
危険度レベル2は「催告書」です。督促状と同じように期日までの支払いを求める通知書ですが、「この通知書を無視して支払いがない場合には、期限の利益喪失になる」などが記載されています。
差し押さえや競売まではまだ余裕があります。できるだけ早めに支払いを済ませましょう。期日までの支払いが困難な場合には、すぐに金融機関へ連絡したり、任意売却の相談をしたりといった行動を起こすことも大切です。
危険度3「期限の利益の喪失通知書」
危険度レベル3は「期限の利益喪失通知書」です。催告書も放置したまま住宅ローンの滞納が3ヵ月〜6ヵ月経過すると、住宅ローンを分割で支払っても良いという権利(=期限の利益)がなくなります。
ここまで来ると、支払いは、一括でしか支払えなくなるので「無理かもしれない」と感じる方も増えます。しかし、放置すればさらに状況は悪くなるので、任意売却など住宅ローンに関する相談窓口へ早めに相談しましょう。
危険度4「代位弁済通知書」
危険度レベル4は「代位弁済通知書」です。こちらは、保証会社を利用している場合に届きます。期限の利益喪失通知書も放置していると、保証会社が債務者の代わりにローン残金を支払ったという内容の通知書が届きます。これが「代位弁済通知書」です。
この時点で、債権は金融機関から保証会社に移行します。債権の移行により、その後は遅延損害金なども含めたローン残金を保証会社に返済しなければなりません。支払いの催促についても、保証会社から通知書が届きます。
危険度5「競売開始決定通知書」
危険度レベル5は「競売開始決定通知書」です。通知を放置して支払いを行わない場合、債権者(金融機関または保証会社)が地方裁判所に競売申し立てを申請し、申請が認められればマイホームが差し押さえられます。
競売の手続きが開始されるときに「競売の準備を始める」という報告として届く通知書が「競売開始決定通知書」です。通知書が届いたときには、すでに裁判所が競売の許可を出しています。
遅くてもこの時点までには、任意売却の相談を済ませておきましょう。任意売却は、相談から売却完了までに早くても数ヵ月〜半年ほどかかります。場合によっては、1年以上かかるケースもあるでしょう。
任意売却は、競売の改札日の前日までに完了する必要があるため、行動開始の限界ラインは、競売開始決定通知書が届いた時点といえます。
しかし、危険度レベルが高くなるほど任意売却は難しくなるため、ローンの支払いが困難と感じたらできるだけ早めに行動しましょう。
危険度6「現況調査通知」
危険度レベル6は「現況調査通知」です。危険度レベル5の競売開始決定通知書が届いてから数週間後には裁判所から現況調査通知が届きます。これは、「マイホームの競売基準価格を査定するために、裁判所の執行官が訪問します」という内容です。
通知書に記載されている指定の日時に、裁判所の執行官と不動産鑑定士がマイホームを訪問します。調査の内容は、マイホームの写真撮影、周辺環境や道路などの調査、ご近所の方々へ聞き込みなどです。
危険度7「期間入札開始決定通知」
危険度レベル7は「期間入札開始決定通知書」です。この通知書は競売の開始を知らせるもので、入札期間や開札日といった情報が記載されています。
開札日には買受人(落札者)が決定し、裁判所の売却許可決定が出ると売却は確定です。その後、支払いや各種手続きが行われ、マイホームの所有権は買受人(落札者)に移ります。所有権が移転した時点で、マイホームからは退去しなければなりません。
住宅ローンの滞納で「差し押さえ」を受けないために
督促が届いていても「催告書」や「期限の利益喪失通知書」が届いた時点であれば、差し押さえや競売は回避できることがほとんどです。
大切なマイホームを失ったり、新しいローンを組めなくなったりすることがないよう、支払いが困難だと感じた際にどんなことができるのか確認しておきましょう。
返済額や支払方法、支払期間の見直しを行う
「支払いが遅れるかもしれない」「滞納してしまう」と感じたらなるべく早く金融機関へ相談し、返済額や支払方法、支払期間の見直しを行うことが大切です。
仮に滞納をしてから1ヵ月前後経過して督促状が届いていたとしても、まだ間に合います。マイホームを守るためにも、勇気を出して金融機関へ相談してみましょう。
通知書を放置しない
住宅ローンを滞納してしまったとき、通知書を放置する行為は避けましょう。そのまま放置していると、間に合うかもしれない期間を逃し、大切なマイホームを手放すことになりかねません。
督促関連の通知書を開くことに抵抗を感じる方もいるでしょう。しかし通知書を放置せず、きちんと確認したうえで早めに行動を起こしましょう。
リースバックを行う
リースバックとはマイホームなどの不動産を売却して現金化した後に、新たに賃貸借契約を締結することで、家に住み続けられるサービスです。
リースバックも任意売却と同様に、競売開札日の前日までに手続きを完了しなければなりません。問い合わせから契約完了までには、早くても数週間程度の期間が必要です。行動に移すタイムリミットは「競売開始決定通知書」が届いたタイミングまでと考えておくと良いでしょう。
リースバックの会社は多くありますが、中でもおすすめなのは「セゾンのリースバック」です。セゾンのリースバックのおすすめポイントは以下の3つです。
- おすすめポイント①買主はクレディセゾングループ「セゾンファンデックス」
- おすすめポイント②最短2週間で契約可能
- おすすめポイント③最短即日無料お見積り可能
まとまったお金が必要な方や、住宅ローンを支払い続けられるか不安という方は、セゾンのリースバックの公式サイトをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。
任意売却を行う
「任意売却」も、住宅ローンの滞納で差し押さえを受けない方法のひとつです。仮に競売に出された場合、市場価格の6割〜7割程度で売却しなければなりませんが、任意売却ならば8割〜9割程度で売却できます。
これからも住み慣れたマイホームで暮らしたい場合にはリースバック、売却して新しい土地に移りたい場合は任意売却を検討してみましょう。
おわりに
住宅ローンを滞納すると、大切なマイホームが差し押さえられ、競売にかけられることもあります。住み慣れたマイホームを手放さないためには、通知書を放置せず、早いうちから行動を起こすことが大切です。
住宅ローンの返済が滞っていたり、今後の支払いに不安を感じたりする場合には、「セゾンのリースバック」をご検討ください。まずは相談だけという場合でも、お気軽にお問い合わせいただけます。