掛け捨て保険は保険料を抑えつつ、大きな保障を受けられるのが特徴です。リスクに応じて必要な保険に加入するといいでしょう。このコラムでは、掛け捨て保険の特徴や主な種類、メリットなどを解説します。加入する際の注意点も参考にしてみてください。
掛け捨て保険と貯蓄型保険の違いとは
掛け捨て保険とは保険料を抑えながら、万が一のときに保障を受けられる保険のことです。解約時や満期にお金が返ってこないものの、手厚い保障を受けられます。
一方、貯蓄型保険とは、貯蓄機能もある保険のことです。毎月支払う保険料は高くなりますが、解約時や満期には一定額の返戻金を受け取れます。ここでは、掛け捨て保険と貯蓄型保険の違いを確認しましょう。
保険料を抑えられる「掛け捨て保険」
掛け捨て保険とは保険料を抑えつつ、手厚い保障を受けられる保険のことです。病気や怪我など、万が一の事態が生じたときのリスクを軽減するために、加入者が保険料を出し合い、保障が必要となった方の保険金をカバーしています。
掛け捨て保険は契約期間が定まっていることが一般的で、満期を迎えると保障を受けられないのが特徴です。また無事満期を迎えても、支払った保険料は原則的に戻ってきません。
貯蓄の役割も併せ持つ「貯蓄型保険」
貯蓄型保険とは、将来の資産としてお金を蓄える機能を持つ保険のことです。契約期間中に万が一の事態が生じたときに、保障を受けられるだけでなく、解約したときには解約返戻金を受け取れます。
例えば一生涯保障を受けられる終身死亡保険は、何歳で亡くなっても保険金を受け取れます。保険料の払込み期間を一定の年齢に設定すれば、それ以降保険料を支払う必要はありません。
払込み期間が終了した後も保障を受けることができ、解約すればお金が戻ってくるため老後資金に活かすこともできるでしょう。ただし解約返戻金は加入期間が長いほど増えることから、早期に解約すると払込み金額よりも少なくなる場合があります。
また貯蓄型保険は掛け捨て保険よりも、毎月支払う保険料が高いことが一般的です。
掛け捨て保険と貯蓄型保険の特徴を持つ「ハイブリッド型」もある
ハイブリッド型とは、掛け捨て保険と貯蓄型保険の特徴を併せ持つ保険のことです。例えば終身保険と定期保険を組み合わせた定期付終身保険は、一定期間のみ保障を手厚くしたい方におすすめです。
子どもの教育費にお金がかかる間だけ保障を手厚くしておき、就職してお金がかからなくなる頃に終身保険だけになるように契約すると、万が一のリスクを軽減できるでしょう。
ほかにも貯蓄性のある学資保険に、医療保険を組み合わせるなど、ライフスタイルに合った形で保険を活用できます。
掛け捨て保険と、貯蓄型保険の比較
掛け捨て保険と貯蓄型保険の違いを、以下の表で確認しましょう。
掛け捨て保険 | 貯蓄型保険 | |
契約期間 | 定期 | 終身または定期 |
保険料 | 比較的安い | 掛け捨て保険より高い |
解約返戻金 | なし(あっても少額) | あり |
満期保険金 | なし | あり |
メリット | 保険料を抑えながら、手厚い保障を受けられる | 貯蓄機能があるため、解約後の資金を将来に役立てられる |
デメリット | 一定期間しか保障を受けられないことが多い | 毎月の保険料が高いため、家計への負担が大きくなりやすい |
掛け捨て保険に向いている方、向いていない方
掛け捨て保険に向いている方は、「保険料を抑えながらも手厚い保障を受けたい」「貯蓄はせず、リスクを軽減したい」などと考えている方です。
一方で掛け捨て保険に向いていない方は、「支払った保険料に対して、何も返戻金がないことは不満」「自分で貯金できない」といった方があてはまるでしょう。ここでは、掛け捨て保険に向いている方と向いていない方を解説します。
掛け捨て保険に向いている方
掛け捨て保険に向いている方は、以下のとおりです。
- 保険料を抑えつつ、手厚い保障を受けたい方
- 貯蓄目的ではなく、病気や怪我など万が一の事態が発生したときのリスクを軽減したい方
- 保険料よりもほかの支出を優先したい方
- 定期的に保険の見直しをしたい方
掛け捨て保険なら貯蓄型保険と同程度の保障を、保険料を抑えながら受けられます。そのため病気や怪我など、万が一のときにリスクを軽減できるでしょう。
また貯蓄機能を持っていない分、毎月の保険料を抑えられるため、ほかの支出を優先できるのも特徴です。そして掛け捨て保険は一定期間のみ保障を受けられる定期タイプが一般的なため、定期的に保険の見直しができます。ライフスタイルの変化に合わせて、最適な保険を選びたい方におすすめです。
掛け捨て保険に向いていない方
掛け捨て保険に向いていない方は、以下のとおりです。
- 支払った保険料が返ってこないことに納得できない方
- 貯金が苦手な方
掛け捨て保険は、病気や怪我など万が一の保障は受けられるものの、何もなければお金は返ってきません。貯蓄型保険であれば、解約時に受け取る解約返戻金や、満期でもらえる満期保険金を受け取れます。毎月保険料を支払っていても、健康であれば何ももらえないのが掛け捨て保険の特徴ともいえるでしょう。しかしその分、保険料が安く設定されています。
また掛け捨て保険は貯蓄性がないため、貯金が苦手な方には不向きかもしれません。貯蓄型保険であれば先述のとおり、解約返戻金や満期保険金である程度の資金を貯められます。場合によっては、支払った保険料を上回る金額を受け取れることもあるでしょう。
そのため貯金が苦手な方は、掛け捨て保険よりも貯蓄型保険を選ぶほうが将来安心できるかもしれません。
掛け捨て保険の主な4つの種類
掛け捨て保険の主な種類は、以下の4つです。
- 定期保険
- 収入保障保険
- 医療保険
- がん保険
定期保険とは、一定期間のみ保障を受けられる保険のことです。収入保障保険は、契約者に万が一の事態が起きたときに、満期まで定期的に保険金を受け取れる保険です。
医療保険は、病気や怪我による入院、または手術などの医療費をカバーする保険のことです。医療の中でもがんに特化したものは、がん保険と呼ばれています。ここでは、掛け捨て保険の種類をご紹介します。
定期保険
定期保険とは、一定期間のみ保障を受けられる死亡保険のことです。被保険者が契約期間中に死亡、または高度障害になった場合に、保険金が支給されます。
保険期間は60歳や65歳といった満期の年齢で決めるタイプと、10年や20年といった契約期間で決めるタイプの2種類があります。
満期の年齢で決めるタイプの保険は、満期を迎えると更新されることはありません。一方、契約期間で決めるタイプの保険は満期を迎えた後も契約したい場合は更新が可能です。ただし保険料は更新したときの年齢と保険料率で再計算されるため、今までの保険料よりも高くなります。
収入保障保険
収入保障保険とは契約期間内に被保険者が死亡、または高度障害になった場合、毎月あるいは1年ごとに一定の金額が支給される死亡保険のことです。支払われる期間は満期までのため、契約期間が経過するほど保険金の受取額は少なくなります。
また保険金を一括で受け取る場合は、分割で受け取る場合よりも金額が少なくなるのが特徴です。
医療保険
医療保険とは、病気や怪我による入院、または手術などを受けた際の医療費に備えるための保険です。医療保険で受け取れるのは、入院した際にもらえる入院給付金、手術を受けた際にもらえる手術給付金がメインです。また医療保険の種類によって通院保障や女性特有の疾病に対する保障、先進医療への保障など、さまざまな保障を受けられます。
なかには一定期間だけではなく、生涯にわたって保障を受けられる終身保障のタイプの医療保険もあります。ほかにも一定の条件を満たせば、お祝い金や還付金が支払われる保険もあり、加入する前に確認しておくといいでしょう。
がん保険
がん保険とは、医療の中でもがんに特化した保険のことで、医療保険よりも手厚くがんに備えられます。医療保険のように入院給付金や手術給付金などがありますが、どれもがんと診断された場合に保障を受けられるのが特徴です。
医療保険と同様に、一定期間のみ保障を受けられる定期型と、一生涯保障を受けられる終身型の2種類があります。
掛け捨て保険に加入する2つのメリット
掛け捨て保険に加入するメリットは、「保険料を抑えられること」「保険の見直しを行いやすいこと」の2つです。
掛け捨て保険は貯蓄型保険よりも保険料を抑えられるため、家計に負担をかけにくいのが特徴です。また掛け捨て保険は貯蓄機能がないため、元本割れを気にすることなく解約できるのも魅力といえるでしょう。
ここでは、掛け捨て保険に加入するメリットをご紹介します。
保険料を抑えられる
掛け捨て保険は、貯蓄型保険よりも保険料を抑えられるのがメリットの一つです。保障に特化しているため、保険料を抑えながら手厚い保障を受けられます。
そのため「子どもの教育費にお金がかかるから、あまり保険料を払えないけれど、万が一のリスクは軽減したい」「住宅ローンがあるから、家計に負担をかけたくない」といった場合でも加入しやすいでしょう。
保険の見直しを行いやすい
掛け捨て保険は、貯蓄型保険よりも保険の見直しを行いやすいことがメリットです。貯蓄型保険は一度加入すると、貯蓄部分の元本割れに注意が必要となるため、簡単に保険を乗り換えられません。
一方、掛け捨て保険は貯蓄機能がないため、比較的乗り換えやすいでしょう。特に最近のがん保険は医療の発展に対応すべく、保障内容が急速に変化しています。例えば、がんのステージによって給付金額が変わったり先進医療に加えて自由診療の費用も賄えたりと、バリエーションが豊富です。
そのため契約時には最適だと感じた保険も、数年後には異なる場合も珍しくありません。保険商品の変化に応じて乗り換えやすいのが、掛け捨て保険の魅力といえるでしょう。
掛け捨て保険に加入する際の注意点2つ
掛け捨て保険に加入する際は、解約返戻金や満期保険金がないことに注意が必要です。保険を使うことなく無事に満期を迎えても、お金は一切返ってきません。
また掛け捨て保険は単体で加入するのではなく、必要に応じてほかの保険と組み合わせることも大切です。ライフスタイルやリスクに合わせて、適切な保険を選ぶといいでしょう。ここでは、掛け捨て保険に加入する際の注意点をご紹介します。
解約返戻金や満期保険金がない
掛け捨て保険は保険料を抑えられる分、解約返戻金や満期保険金はありません。解約返戻金とは何らかの理由で保険を解約したときに払戻しされるお金のことで、満期保険金とは無事に満期を迎えた際に支払われる保険金のことです。
つまり掛け捨て保険は途中で解約したときにお金が戻ってこないだけでなく、病気や怪我など何もなければ支払った保険料に対する恩恵は一切受けられない仕組みです。そのため保険を使用することなく、満期を迎えた場合は、支払い続けた保険料は無駄になるともいえるでしょう。
必要に応じてほかの保険と組み合わせる
掛け捨て保険は単体で契約することに加えて、必要に応じてほかの保険と組み合わせるのもおすすめです。例えば掛け捨て保険には貯蓄機能がないため、子どもの教育費に備えられる学資保険を検討するのもいいでしょう。
また保障を手厚くしたい期間だけ、掛け捨て保険を活用するのも一つの方法です。手厚い保障が不要になったときに解約すれば、毎月の保険料を抑えられます。ライフスタイルやリスクなど、そのときの状況に応じて、必要な保険に加入するといいでしょう。
保険選びにはオンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」がおすすめ
掛け捨て保険を選ぶ際は、オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」を活用するのがおすすめです。それぞれのお悩みに合わせた保険を、ファイナンシャルプランナーがご紹介します。
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おわりに
掛け捨て保険は保険料を抑えながら、手厚い保障を受けられる保険です。そのため、家計への負担を抑えながら、万が一のときのリスクを軽減できるでしょう。また定期的に保険を見直しやすく、ライフスタイルの変化に合わせて最適な保険を選びやすいのも特徴です。
ただし掛け捨て保険は貯蓄機能を持っていないため、解約返戻金や満期保険金を受け取れない点に注意してください。必要に応じてほかの保険と組み合わせながら、掛け捨て保険を活用するのがおすすめです。