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ふるさと納税はメリットしかない?損をする方と得する方の違いも解説

ふるさと納税はメリットしかない?損をする方と得する方の違いも解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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ふるさと納税で税金の控除額を増やしたり、返礼品を受け取れたりするメリットを得られます。どのようなメリットがあるのか、納税者と自治体に分けてみていきましょう。また、ふるさと納税を利用すれば、誰でも得をするわけではありません。損をする方と得する方の違いについても解説します。

04_ふるさと納税の詳細はこちら

ふるさと納税はメリットしかない制度?概要を解説

ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付をする制度のことです。自治体によっては地域の特産品などをお礼として送ることもあります。寄付をすることでその地域の珍しいものやおいしいものなどを楽しめます。また、ふるさと納税をした金額は所得控除である「寄附金控除」の対象となるため、課税所得を減らせるというメリットもあります。

なお、寄附金控除が適用されるためには、確定申告が必要です。しかし、ふるさと納税をした自治体数が5団体以下でかつ、そのほか確定申告をする必要がなければ、ワンストップ特例制度を利用することで確定申告が不要になります。ふるさと納税は、お得かつ比較的手間をかけずに利用できる制度といえるでしょう。

ふるさと納税の仕組みとは?

ふるさと納税の仕組みとは?

ふるさと納税は、納税者と自治体(寄付先、居住先)、国(税務署)が相互に関わる仕組みで、関わる順序は以下のとおりです。

  1. 納税者が特定の自治体に寄付をする
  2. 寄付先の自治体からお礼として地域の特産品などが送られてくる
  3. 税務署に確定申告を行う(ワンストップ特例制度が適用される場合は不要)
  4. 所得税の過払い分が還付される
  5. 居住先の自治体から翌年の住民税が控除される

なお、「ふるさと納税」という名前ですが、自分のふるさとに寄付する必要はありません。生まれた自治体や今住んでいる自治体以外にも、旅行や出張などで行ったことがある自治体、テレビや雑誌などで見て気になった場所、いつか行ってみたい場所、特産品が魅力的な場所などに寄付をすることができます。

また、「ふるさと納税」は、「納税」ではなく「寄付」だという点にも注目しましょう。寄付をすることで所得控除である寄附金控除が適用されて課税所得を減らしたり、税金の還付や控除を受けられるようになるのが、そもそものふるさと納税の仕組みです。

そのため、「ふるさと納税」という名前はついているものの、特定の自治体に納税するわけでもありません。選択した自治体の収入増や発展に役立つ寄付をするという趣旨を理解したうえで、ふるさと納税を実施していきましょう。

ふるさと納税を利用する5つのメリット

ふるさと納税はメリットの多い制度です。ふるさと納税を利用して寄付をする側(納税者)だけでなく、ふるさと納税を受けて寄付金を受け取る側(自治体)にもメリットがあります。まずはふるさと納税を利用して寄付をする側のメリットについて見ていきましょう。主なメリットとしては、次の5つを挙げられます。

  1. 返礼品をもらえる
  2. 税金が還付・控除される
  3. 気になる自治体を応援できる
  4. 寄付金の使い道を指定できる
  5. ポイントが貯まることもある

それぞれのメリットについて詳しく紹介します。

返礼品をもらえる

ふるさと納税制度を利用して自治体に寄付をすると、自治体からお礼として特産品などが届くことがあります。これを「返礼品」と呼びますが、寄付をする納税者にとっては大きな魅力となるでしょう。

例えば、その地域に行かなくては食べられない食材や、生産量が少なく希少価値があるものなどを返礼品として受け取れることがあります。各地の味を自宅に居ながら楽しめるのも、ふるさと納税ならではのメリットといえるでしょう。

また、自治体によっては、返礼品を進物にできるサービスも実施しています。その地域ならではの味わいや希少な食材を、親戚や普段お世話になっている方々へのプレゼントにすることも可能です。進物用のラッピングや日時指定に対応しているケースもあるので、贈り物としても活用してみましょう。

なお、返礼品は必ずしも地域の特産品とは限りません。商品券や家電なども返礼品として用いられることがあります。ふるさと納税をする前に返礼品の種類や受け取れる時期なども確認しておくと、より満足度が高まるでしょう。

税金が還付・控除される

ふるさと納税をすると、寄付をした金額から2,000円を差し引いた金額が「寄附金控除」として所得控除がされます。その課税所得に基づき所得税の還付や翌年の住民税から控除されることになります。

例えば、ふるさと納税で5万円が限度額の方が5万の寄付をし確定申告をした場合であれば、5万円から2,000円を差し引いた4万8,000円が所得税の還付や翌年の住民税から差し引かれることになるでしょう。

なお、住民税が控除されるには、控除される金額よりも高い住民税を納税している必要があるという点に注意が必要です。5万円分のふるさと納税を行い、ワンストップ特例制度を利用した場合、最大4万8,000円の住民税が控除対象になるため、納めている住民税額は4万8,000円以上でなくてはいけません。

また、給与から税金が天引きされている場合、1年間の所得などに対する住民税は、翌年の6月から翌々年の5月にかけて分割して納税します。ふるさと納税を利用したことによる住民税の減額も、翌年の6月から翌々年の5月にかけて分割して実施されるので、寄付をしてすぐに該当する金額が返還されるというわけではありません。

気になる自治体を応援できる

ふるさと納税は、納税者自身が自治体を選んで応援できる制度です。例えば「被災した地域に、頑張って欲しい」「旅行で行った地域で親切にしてもらった。応援したい」などの理由で寄付先の自治体を選ぶことができます。もちろん、魅力的な返礼品を用意している自治体を応援することもできるでしょう。寄付をすることで地場産業がより活発になり、さらに魅力的な特産物が生まれるかもしれません。

寄付金の使い道を指定できる

ふるさと納税のメリットとして、寄付金の使い道を指定できることも挙げられます。自治体によっては「自然保護」や「動物愛護」などの使い道をいくつか提示しています。もっともご自身の考えに合わせて、寄付金の使い道を選べば、より有益な寄付ができるでしょう。

通常の税金の場合は使い道を指定することはできず、納税の義務にしたがって納めるだけです。そのため税金の使い道は国会議員や県会議員などの選挙によって選ばれた代表者が決めますが、ふるさと納税の場合は、資金使途を大枠ではありますが指定することができます。

ポイントが貯まることもある

ふるさと納税を取り扱うサイトは、いくつか存在します。サイトによっては独自のポイント制度を実施していることもあり、さらにお得にふるさと納税を実施できる可能性があるでしょう。独自のポイント制度を利用できない場合でも、ふるさと納税の寄付金を支払う際にクレジットカードを使うことでクレジットカードのポイントを貯めることができます。

セゾンのふるさと納税」では、セゾンカードでふるさと納税の支払いをすると永久不滅ポイントが通常の3倍貯まります。効率よくポイントを貯める手段としてふるさと納税を活用できるでしょう。

また、ふるさと納税の支払いに、すでに貯まっている永久不滅ポイントを活用することも可能です。永久不滅ポイントだけで支払う、一部を永久不滅ポイントで支払うなど、永久不滅ポイントは、自由度が高いポイントなので、さらにお得にふるさと納税を利用できます。

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ふるさと納税による自治体側の4つのメリット

ふるさと納税による自治体側の4つのメリット

ふるさと納税によってメリットを得られるのは、納税者だけではありません。寄付を受ける自治体側にも多大なメリットがあります。特に次の4つは、自治体側にとって大きなメリットといえるでしょう。

  1. 自治体の収入を増やせる
  2. 地域の産業が活性化する
  3. 自治体のファンを増やせる
  4. まちづくりや災害復興に寄付金を活かせる

具体的にどのようなメリットなのか、詳しく解説します。

自治体の収入を増やせる

先述した通り、ふるさと納税とは納税者が直接自治体に寄付をする制度です。自治体目線で見れば、ふるさと納税で受け取る金額は収入といえます。つまり、自身の自治体に、ふるさと納税をする納税者を呼び込めれば、その分、自治体は収入を増やせるのです。

例えば住民が少なく、住民税による収入があまり見込めない自治体でも、ふるさと納税で寄付をしてくれる納税者が多ければ、多額の税収入を期待できます。

中には災害などにより支出が増えそうな自治体もあるでしょう。ふるさと納税により寄付をしてくれる納税者が多ければ税収が増え、支出を補てんできる可能性もあります。ふるさと納税による収入増を検討している自治体は、魅力的な返礼品を打ち出すなどPRに努めています。

ふるさと納税による受入額が多い自治体トップ5

自治体名受入額
大阪府泉佐野市187億9,700万円
宮崎県都城市106億4,500万円
北海道紋別市77億3,800万円
北海道白糠町67億3,300万円
北海道根室市65億8,900万円

参考:総務省自治税務局市町村税課「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和2年度実施)

地域の産業が活性化する

ふるさと納税の返礼品に選ばれることで、その地域の産業が活性化し、知名度や人気が全国区に広がることもあります。ふるさと納税は、自治体にとっては地域の名産品をアピールする機会といえるでしょう。

例えば、地元ではおいしいと知られているフルーツでも、知名度が低ければ著しい売上増は見込めません。しかし、ふるさと納税の返礼品となり、その評判が全国的に広まると、フルーツの注文数が増え、売上高増加も見込めるでしょう。「フルーツを食べたい」というニーズが高まることで、地域の生産量を増やすことにもつながります。さらなる売上増を実現することが可能です。

なお、ふるさと納税の場合、寄付金の使い方を納税者が指定します。多くの納税者が「地域の産業の活性化に用いる」という使い方を選ぶことで、産業活性化の資金が増えることになるでしょう。投入される資金が増えれば、さらに産業が活発になることも期待できます。

自治体のファンを増やせる

自治体は、ふるさと納税を通して、その自治体に関心を持つ納税者を増やすことができます。返礼品の内容や返礼品を送付するまでの対応、送付後の対応によっては、その自治体のファンになる納税者もいるでしょう。ファンになってくれた納税者には、次のような行動が期待できます。

  • 来年以降も同じ自治体にふるさと納税を実施する
  • ふるさと納税以外にも、個人的に地域の特産品をお取り寄せする
  • ファンになった自治体について自主的に宣伝する(「〇市の〇という銘柄のマスカットはおいしかったよ」「〇市の返礼品が良かったよ」)
  • 旅行の計画を立て、実際にファンになった自治体に出掛ける

返礼品や自主的に取り寄せした商品を進物として使うことで、受け取った方もその自治体のファンになる可能性があります。口コミなどで評判が広がり、さらに売上増を期待できるでしょう。また、ふるさと納税を通してその自治体に出掛ける納税者が増えれば、地域の宿泊施設や飲食店、お土産店なども売上増を期待できるでしょう。

まちづくりや災害復興に寄付金を活かせる

ふるさと納税を実施した納税者が寄付金の使い道として「まちづくり」や「災害復興」を選ぶ場合は、寄付金を活かしたまちづくりや災害復興も可能になります。より魅力ある地域に発展させるために、街路を整備したり、災害によって倒壊した公的施設を早期に復旧させたりすることもできるでしょう。

また、寄付金を用いて地域が整備されると、観光客の増加につながることもあります。観光客が増えると宿泊施設や飲食店などの売上が伸び、地域の事業者や地域内の労働者の収入も増え、さらに活気のある自治体へと成長するでしょう。

ふるさと納税のメリットがなくなるかも!注意すべきポイント

納税者にとっても自治体にとってもメリットの多いふるさと納税制度ですが、メリットだけでなく注意点もあります。次の2つについての注意を怠ると、ふるさと納税によるメリットがなくなる、あるいは減ってしまう可能性があるため気を付けましょう。それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

  • 基本的には確定申告をしないと還付・控除が適用されない
  • ワンストップ特例制度が適用されると確定申告不要

基本的には確定申告をしないと還付・控除が適用されない

ふるさと納税は、確定申告により寄附金控除の手続きをすることで、所得税の還付や住民税の控除を受けられるようになる制度です。会社員や公務員として働いている方のなかには、一度も確定申告をしたことがないという方もいるでしょう。確定申告の時期を確認したうえで、タイミングを逃すことがないように注意しましょう。

なお、ふるさと納税制度を利用した方のなかで、以下の条件のうちのいずれかを満たす場合は、確定申告が必要です。条件のうち、1つでも当てはまる場合は、期限内に確定申告を実施して、所得税の還付や住民税の控除を受けられるようにしましょう。

  • ふるさと納税制度を利用して寄付をした自治体数が6以上ある
  • 寄付先の自治体数は5以下ではあるものの、ワンストップ特例制度の申請書を提出していない
  • ワンストップ特例制度を利用しない
  • 医療費控除などを利用するなど、確定申告を行う必要がある

ワンストップ特例制度が適用されると確定申告不要

ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくてもふるさと納税を利用できる制度です。以下の条件すべてに該当すると、ふるさと納税を利用した場合であっても確定申告をする必要がありません。

  • ふるさと納税制度を利用して寄付をした自治体数が5以下である
  • ふるさと納税以外に確定申告をする理由がない

ワンストップ特例制度の適用を受ける場合は、専用の特例申請書に必要事項を記入し、納税者本人であることがわかる書類などを添えて、寄付先の自治体に送付します。寄付を行う度に寄付先の自治体に特例申請書と本人確認書類を送付する必要はありますが、確定申告をしなくても良いので、手間が削減できるでしょう。

また、寄付をすると特例申請書が自宅に送付されるので、その場で手続きを済ませられるのもワンストップ特例制度のメリットです。なお確定申告は1年に1度まとめて行うため、複数の自治体にふるさと納税をしている場合は、申告が漏れてしまう可能性があります。申告漏れがあると、所得税の還付や住民税の控除が適用されない可能性があり、ふるさと納税のメリットを活かすことができません。

ところで、同じ自治体にふるさと納税を複数回にわたって実施しても、年内であれば1ヵ所としてカウントされます。例えば1年間に6回以上ふるさと納税をした場合でも、自治体が重複しており、寄付先の数が5ヵ所以下であればワンストップ特例制度を利用することが可能です。カウント漏れや重複をチェックするためにも、ふるさと納税をしたときは領収書などをまとめて整理しておきましょう。

ふるさと納税でメリットを得られる方

ふるさと納税でメリットを得られる方

ふるさと納税は納税者にとってメリットの多い制度です。基本的には実質2,000円の負担で特定の自治体に寄付ができ、しかも返礼品まで受け取れることもあります。しかし、ふるさと納税をお得に利用するためには条件があります。下記に記載した両方の条件に該当する方のみ、ふるさと納税を実施することでメリットを受けられます。

  • 住民税を支払っている方
  • ワンストップ特例制度、確定申告などの手続きを期限内にする方

住民税を支払っている方

ふるさと納税を行うことで、住民税を控除することができます。住民税を支払っていることが、ふるさと納税で税金の控除を受けられる条件といえるでしょう。所得が低いなどの理由で住民税を支払っていない方は、控除される金額がないため、ふるさと納税を利用しても効果が見込めません。どの程度の金額までふるさと納税ができるのか知るためにも、ご自身の住民税額を把握しておきましょう。

ワンストップ特例制度、確定申告などの手続きを期限内にする方

ふるさと納税は、確定申告やワンストップ特例制度を利用して正しく申告手続きをしないと、所得税の還付や住民税の控除を受けられません。ワンストップ特例制度を利用する場合は、ふるさと納税を利用したとき、確定申告を行う場合は年に1度、忘れずに手続きをしましょう。

手続きを滞りなく進めるためにも、必要な書類を早めにそろえておきましょう。例えばワンストップ特例制度を利用する場合は、以下の書類が必要です。

  • 特例申請書
  • 個人番号(マイナンバー)がわかる書類
  • 本人確認書類

これらの書類はワンストップ特例制度を利用するたびに必要です。制度を利用する場合はセットで覚えておきましょう。なお、確定申告を行う場合には以下の書類が必要です。

  • 寄附金受領証明書
  • 通帳あるいはキャッシュカードなどの口座番号が分かる書類
  • 印鑑
  • 源泉徴収票
  • 個人番号(マイナンバー)がわかる書類
  • 本人確認書類

寄附金受領証明書は、ふるさと納税制度を利用して寄付をした自治体から送付されます。確定申告の時期まできちんと保管しておきましょう。また、確定申告の場合、ワンストップ特例制度を利用するときと比べて必要書類が多くなります。しかし、ふるさと納税を実施するたびに手続きをする必要はありません。

ふるさと納税でメリットなしの方

ふるさと納税を実施しても、所得税の還付や住民税の控除を受けられないことがあります。次の4つの条件のいずれかに該当する場合は、ふるさと納税をしてもメリットがないこともあるので、注意をしましょう。それぞれどのような条件なのか、詳しく解説します。

  • 住民税非課税の方
  • 控除上限額を超えてふるさと納税を利用する方
  • 確定申告などの手続きを忘れる方
  • 自分名義のクレジットカードで寄付しない方

住民税非課税の方

住民税はすべての納税者が支払う税金ではありません。所得などの条件によっては、住民税が非課税になることもあります。次の2つの条件のいずれかを満たしているときは、住民税非課税になる可能性もあるでしょう。

  • 生活保護制度の適用を受けている
  • 前年の合計所得金額が居住している自治体が定める金額以下である

住民税を支払っていない場合は、ふるさと納税を実施し、確定申告の手続きをしたとしても税金の控除は受けられません。ふるさと納税をした金額はすべて通常の寄付として扱われるので、税金面でのメリットはなくなります。

控除上限額を超えてふるさと納税を利用する方

住民税額や扶養する家族の有無などによって、控除上限額が決まっています。控除上限額を超えてふるさと納税を利用しても税金面でのメリットは増えないので注意しましょう。

例えば控除上限額が3万円(実質負担分2,000円含む)の方で、3万円を超えてふるさと納税をしたとしても、控除額は増えないので、税金面でのメリットも増えません。つまり、2万円のふるさと納税をするよりは、3万円のふるさと納税をする方が控除額は増えますが、3万円を超えた場合は控除額は一律になります。

この方は、ふるさと納税をした金額が3万5,000円でも5万円でも控除額は上限の3万円です。税金面でのメリットを最大限にするのであれば、控除上限額内でふるさと納税を楽しみましょう

確定申告などの手続きを忘れる方

ふるさと納税の税金面でのメリットは、確定申告やワンストップ特例制度の手続きをすることで適用されます。手続きを怠ったり、忘れてしまったりすると、税金面でのメリットを得られない可能性があるため注意が必要です。ふるさと納税制度の利用も、検討し直しましょう。

なお、確定申告の手続きを忘れた場合でも、確定申告の提出期限から5年以内であれば「確定申告の更正請求」の手続きをすることで税金面でのメリットを得られることがあります。ワンストップ特例制度を利用しようとして手続きを忘れてしまった場合も、確定申告の期限までに手続きをすることや「確定申告の更正請求」により、所得税の還付や住民税の控除が適用されるでしょう。

ただし、手続きが遅れる分、所得税の還付や住民税の控除の手続きも遅れます。また、ふるさと納税以外の申告手続き、例えば他の寄附金控除や医療費控除、雑所得の申請などの確定申告を行うと、手間が増えることになるでしょう。

早期に税金面の処理を終えるため、また手続きの手間を軽減するためにも、翌年の確定申告で手続きを終えるようにしましょう。

自分名義のクレジットカードで寄付しない方

ふるさと納税の支払いの際にクレジットカード決済を選ぶ場合は、納税者自身の名義のクレジットカードを使うようにしましょう。別の名義のクレジットカードを使って決済をすると、所得税の還付や住民税の控除手続きができない可能性があります。

納税者自身の名義のクレジットカードがないときは、納付書を送付してもらいましょう。コンビニなどで支払うことや、携帯料金と合わせて支払う方法もあります。いずれにしても、ふるさと納税を利用する方と納税する方が同じでないと所得税の還付や住民税の控除が難しくなるので注意が必要です。

なお、紹介した4つの条件すべてを満たしたとしても、ふるさと納税のメリットすべてがなくなるわけではありません。例えばメリットのひとつである「自治体を応援する」ことは、寄付をした時点で達成できたと判断できるでしょう。また、手に入りにくい特産品などを受け取れることも、確定申告などの手続きをするかどうかに関わらず得られるメリットといえるでしょう。

ふるさと納税は、確定申告やワンストップ特例制度を利用すれば税金面でのメリットのある制度です。しかし、元々の趣旨である「特定の自治体に寄付をする」ことやそれに伴う「返礼品を受け取る」ことは手続きの有無に関わらず果たすことができるので、寄付や返礼品を目的として利用できるでしょう。

ただし、「返礼品を受け取る」ことを目的にふるさと納税を実施するときは、返礼品の受取条件を確認しておく必要があります。自治体によっては返礼品を実施していないこともあるでしょう。また、返礼品を実施している自治体でも、返礼品を受け取るための下限寄付額が決まっているので、寄付額が少ない場合は返礼品を受け取れないことがあります。自治体にもよりますが、寄付額が5,000円、あるいは1万円を下回ると返礼品を受け取れないことがあります。

ふるさと納税には注意点もある?

ふるさと納税には注意点もある?

ふるさと納税はメリットが多い制度です。利用することで特定の自治体を応援したり、特産品などの返礼品を受け取れたりすることもあるでしょう。正しく手続きをすれば、所得税の還付や住民税の控除を受けられるというメリットもあります。ふるさと納税を利用する際に次の5つのポイントに注意をすると、より満足度の高い利用が可能になるでしょう。

  • 年内に恩恵を受けられるわけではない
  • 控除限度額を超えると全額持ち出しになる
  • 一気に頼むと冷蔵庫・冷凍庫がパンクする
  • ワンストップ特例の提出は、翌年1月10日(必着)すぎるとダメ
  • ワンストップ特例を利用したのに、確定申告する場合は要注意

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

年内に恩恵を受けられるわけではない

ふるさと納税制度を利用して寄付をすれば、その年のうちに所得税の還付や住民税の控除を受けられるわけではありません。所得税に関しては翌年の確定申告手続きをしてから過払い分が還付され、住民税に関しては翌年の6月から翌々年の5月にかけて控除が実施されます。恩恵を受けられるのは翌年から翌々年となることをおさえておきましょう。

確定申告の手続きが遅れると、恩恵を受けられる時期はさらに後になるでしょう。ふるさと納税について「2,000円の自己負担で豪華な返礼品を受け取れる制度」というように説明されることがありますが、実際に2,000円だけを支払えばすぐに返礼品が受け取れるわけではありません。翌年から翌々年の5月までの時間をかけて金額が戻ってくるため、余裕資金を使って寄付をするようにしましょう。

控除限度額を超えると全額持ち出しになる

ふるさと納税により所得税の還付や住民税の控除を受けられる金額には上限があります。控除上限額(実質負担2,000円含む)を上回る金額でふるさと納税をすると、税金面でのメリットがなくなり、全額持ち出しとなるため注意しましょう。

ふるさと納税の控除上限額は収入や家族構成によって異なります。例えば給与収入が500万円で、共働きで高校生の子どもが1人いる場合であれば控除上限額は49,000円です。ふるさと納税した金額が49,000円までであれば、2,000円の自己負担分を除いた全額が控除対象になるでしょう。

しかし、ふるさと納税した金額が51,000円を超えても控除上限額は49,000円となるため、控除額は増えません。ふるさと納税のメリットを最大限に活かしたい方は、控除上限額を意識して制度を活用することを心掛けましょう。

なお、控除上限額は1年間のふるさと納税の合計額に適用されます。控除上限額が49,000円であれば、その年の1年間のふるさと納税の合計額を49,000円に収めるようにアレンジしましょう。魅力的な返礼品が多く、控除上限額を超えそうなときは、翌年になるまで待ってからふるさと納税をするといいでしょう。

控除上限額の範囲内でふるさと納税をした場合は、税金面でのメリットがどの程度なのか計算してみましょう。ふるさと納税による控除額は以下の3つを合計して求められます。

  1. 所得税からの還付額
  2. 住民税からの基本控除額
  3. 住民税からの特例控除額

1については、ふるさと納税制度を利用して寄付をした金額から2,000円を引き、所得税の税率をかけて計算します。ふるさと納税をした金額が4万円、所得税率が20%であれば、7,600円です。

2についてはふるさと納税により寄付をした金額から2,000円を引き、10%をかけて求めます。ふるさと納税をした金額が4万円であれば3,800円です。

3については、ふるさと納税により寄付をした金額から2,000円を引き、100%から10%と所得税の税率を引いた割合をかけて算出します。ふるさと納税をした金額が4万円、所得税率が20%であれば26,600円です。1~3を合算すると38,000円になり、2,000円の自己負担分を除いた全額が控除対象となっていることがわかります。

具体的にいくら控除されたかについては、居住している自治体に問い合わせてみましょう。

一気に頼むと冷蔵庫・冷凍庫がパンクする

ふるさと納税の返礼品は、到着日時を指定できるものもありますが、指定できないものもあります。まとめて依頼すると冷蔵庫や冷凍庫に収まりきらず、せっかくの返礼品を腐らせてしまうことにもなりかねません。日時を指定できるものを選ぶなど、計画的に受け取れるようにしましょう。

受け取りたい返礼品の多くが日時指定できない場合は、旬の時期が重ならないようにすることが大切です。例えばマスカットを返礼品としている複数の自治体にふるさと納税をすると、同時に届き、冷蔵庫に保管できなくなったり、多すぎて食べられなかったりする可能性があるでしょう。時期を指定できないときは同じものや旬の時期が近いものを選ばないほうが良いかもしれません。

ワンストップ特例の提出は、翌年1月10日(必着)すぎるとダメ

ワンストップ特例制度の適用を受ける場合は、特例申請書が届いたらすぐに必要事項を記入し、本人確認書類を添えて返送することで、申告忘れを防ぐことができます。万が一、手続きを忘れた場合でも、翌年の1月10日までには提出しましょう。

なお、1月10日に投函するのではなく、1月10日までにふるさと納税をした自治体に特例申請書と本人確認書類が届いている必要があります。郵便事情で到着が遅れる可能性もあるので、余裕を持って早めに投函しましょう。翌年の1月10日までにワンストップ特例制度の手続きができなかった場合は、確定申告をすることで所得税の還付や住民税の控除を受けられます。

確定申告の期限は例年は2月16日から3月15日ですが、土日祝日に重なる場合や特別な事情がある場合は期限が変わることもあります。税務署などに問い合わせて確認しておきましょう。

ワンストップ特例を利用したのに、確定申告する場合は要注意

ワンストップ特例制度は、確定申告をせずにふるさと納税を利用するための制度です。そのため、ワンストップ特例制度を利用した後に確定申告を行うと、ワンストップ特例制度が無効になります。

例えばAとBの2つの自治体にふるさと納税をしたとしましょう。Aはワンストップ特例制度を利用して申告を行い、Bはワンストップ特例制度の手続きを忘れたとします。Bでふるさと納税をした分にも税金面でのメリットを受けるためには、確定申告をしなくてはいけません。

しかし、確定申告をするとワンストップ特例制度の適用外となるため、確定申告の期間中にBのふるさと納税について確定申告するだけでなく、Aについても確定申告する必要があります。Aについての申告を忘れてしまうと、Aのふるさと納税分に関しては税金面でのメリットが適用されなくなるので注意しましょう。

ふるさと納税の注意点を回避する方法

ふるさと納税には注意点もありますが、上手に利用すればメリットが多い制度です。ふるさと納税によって得られるメリットを増やすためにも、注意点を回避する方法を覚えておきましょう。

税金面でのメリットを増やすためには、控除限度額を調べてから申し込むことが大切です。ふるさと納税に申し込むポータルサイトによっては、控除限度額を簡単に調べられるシミュレーションを公開していることがあります。ご自身の控除限度額をチェックしてから申し込む(※)ようにしましょう。

セゾンのふるさと納税「控除額シミュレーション」はこちら

04_ふるさと納税の詳細はこちら

返礼品を受け取るというメリットを享受するためには、返礼品が設定されている自治体にふるさと納税することが大切です。すべての自治体で返礼品を実施しているわけではないので注意しましょう。また、返礼品を受け取るためには、寄付額の下限を超える必要があります。

各ポータルサイトで詳しく条件が記載されているのでチェックしておきましょう。各ポータルサイトで提供しているシミュレーションはあくまでも目安です。詳しい控除限度額については、居住している自治体に問い合わせましょう。

ふるさと納税の制度を上手に活用しよう

ふるさと納税の制度を上手に活用しよう

ふるさと納税の制度を利用することで、気になる自治体を応援したり、その土地ならではの特産品を受け取ったりすることができます。また、適切に手続きをすることで、所得税の還付や住民税の控除を受けられる点も魅力です。ふるさと納税制度を上手に活用し、地域の活性化の一端を担いつつ、税金面や返礼品のメリットも受けましょう。

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