正社員でもボーナスなしの会社は少なくありません。ボーナスがない理由は、年俸制や業績の悪化など、さまざまです。しかしボーナスがないことはデメリットだけでなく、メリットもあります。このコラムでは、ボーナスなしでも上手に生活するコツや貯蓄方法などを紹介します。
正社員でもボーナスなしの会社がある?
ボーナスとは固定給と別に支給される給与のことです。一般的には「賞与」や「特別手当」と呼ばれます。ボーナスは、正社員であれば必ず支給されるわけではありません。そのためボーナスを期待して入社したけれど、支給なしでがっかりしたという経験がある方もいるでしょう。
ここでは、正社員でもボーナスなしのケースについて解説します。
ボーナスなしの割合は約30%ある
厚生労働省の調査によると、令和2年度の賞与支給割合は以下のとおりです。
- 夏季:65.3%
- 冬季:69.8%
この調査によると、ボーナスが支給されなかった会社は全体の約30%で、10社中3社がボーナスがなかったことになります。
ボーナスなしでも違法ではない
ボーナスは賃金の一種で、労働の対価として支払われます。しかし法律上、企業にボーナスの支払い義務はありません。そのため、正社員でもボーナスが支給されないケースは多々あります。また、それまで支給していたボーナスを事前の告知なく停止しても違法ではありません。
ボーナスを請求できる場合とは
基本的にボーナスなしでも違法ではありませんが、従業員から請求できる場合もあります。ボーナスを従業員から請求できるケースは、主に以下の2とおりです。
- 就業規則や労働協約にボーナスの支給について定められている
- 支給している慣例がある
なお、就業規則や労働協約に記載されている場合でも、ボーナスの支給基準を満たしていないのであれば請求できません。しかし、基準を満たしているにもかかわらず支給されない場合は違反となり、従業員に請求権が発生します。ただし「業績不振の場合などに支給しない場合がある」といった但書(ただしがき)があるときは違法とならず、請求権は発生しません。
また、民法には公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合、その慣習に従うという内容の規定があります。そのため長期間ボーナスを支給している会社は、労働慣行が成立しボーナスが請求できる可能性もあります。しかし慣習と認められるケースは多くありません。
ボーナスなしの理由は主に3種類
正社員にボーナスを支給しない理由は、主に次の3点が挙げられます。
- 年俸制を採用しているため毎月の給与に加算されている
- 業績の悪化で支給されなくなった
- 労働組合がないためボーナス支給の交渉ができない
ここではボーナスなしの理由について紹介します。
年俸制で給与が高い
年俸制を採用している会社は、ボーナスが支給されない傾向があります。年俸制とは1年間の給与を前もって決めておき、12分割で毎月支払う仕組みです。一般的には企業業績や個人成績などの評価基準により、翌年度の年俸を決定します。
年俸制では1年間の給与が確定しているため、特別な場合を除きボーナスの支給がないケースが多いです。
業績が悪化して支給しなくなった
ボーナスが支給されない原因のひとつに企業の業績悪化があります。ボーナスは利益に応じて支給されるケースが多いです。そのため業績悪化により支給がなくなるケースは少なくありません。。近年では、新型コロナウイルスの影響でボーナスカットとなった企業も多数あります。
労働組合がない
ボーナスは、労働組合が会社側と交渉して勝ち取るものでもあります。そのため労働組合がない会社は、ボーナスがないケースも多いです。またボーナスが支給されている会社でも、労働組合がないと会社側と交渉する場がないため、容易にカットされる恐れもあります。労働組合の有無は、ボーナスの支給に大きな影響があります。
ボーナスなしのメリット3つ
ボーナスがない会社はメリットがないと感じる方は多いでしょう。しかしボーナスがない会社はデメリットばかりではありません。ここでは、ボーナスなしのメリットを3つ紹介します。
もともとの給与が高い
ボーナスなしの会社はもともとの給与が高い傾向があります。社員を募集する際、ボーナスがなく給与も低いと、優秀な人材の確保は困難です。そのため、もともとの給与を高く設定しているケースは少なくありません。会社を選ぶときは、ボーナスだけでなく給与総額も確認しましょう。
業績や景気に左右されない
業績や景気などの影響を受けにくいことも、ボーナスがない会社のメリットです。ボーナスの支給があるとボーナス払いで買い物をしたりローンを組んだりしてしまいがちです。
しかし業績や景気の悪化などでボーナスが不支給となった場合、返済に困るケースは少なくありません。。
ボーナスを見込んだ生活をせずに毎月の給与でやりくりすると、会社の業績や景気などに左右されにくくなるでしょう。
時期を気にせずに転職可能
転職を検討する際「ボーナスをもらってから」と考える方は少なくありません。しかしボーナスがない会社の場合、転職時期を気にする必要がないため、機会損失を防ぎやすくもあります。
転職はいつでもできるわけではなく、タイミングが重要です。ボーナスの支給日を待っている間に、希望する転職先が応募を終了しているケースは少なくありません。
また転職を先送りにしていると、徐々に意欲が薄れていく傾向もみられます。その結果、いつまでも望まない会社に居続けることになってしまいます。
転職活動の自由度が高いのもメリットと言えるでしょう。
ボーナスなしでもメンタルを保つ方法2つ
ボーナスがない会社で勤務を続けるには、柔軟な心構えが必要です。
- 年収ベースで収入を捉え直す
- お金よりも仕事内容を優先していると考える
これら2つの考え方を意識することで、ボーナスがないことによるストレスを軽減し、より前向きな姿勢で仕事に取り組むことができるでしょう。自分の価値観や優先順位を明確にし、長期的な視点で自己のキャリアを考えることが重要です。
年収ベースで収入を捉え直す
ボーナスのない会社に勤める場合は、「ボーナスのあり・なし」ではなく年収ベースで考えるようにしてみてください。年収ベースで考えればボーナスがなくても劣等感を感じることもないはずです。
例えば「年収500万円」であれば、ボーナスがあってもなくても1年間にもらえる金額は同じです。同じ年収の友人がボーナスをもらっていて羨ましいと感じても、一時的に収入が増えたに過ぎません。
お金よりも仕事内容を優先していると考える
やりがいを感じられる仕事に就いているのであれば、ボーナスの有無を気にするべきではありません。自分の仕事に誇りを持ち、社内での評価アップに全力を注ぎましょう。
どんなに高いボーナスをもらっても、仕事内容に興味がなかったり、職場環境が悪かったりする場合、ボーナスが高いという理由だけで働き続けるのは困難です。
最初からボーナスなしの会社を選択した場合、業務内容に興味を持って入社したケースが多いはずです。自分の望む仕事ができていることに感謝し、日々を楽しく過ごすことに注力しましょう。
ボーナスの支給がなくても上手に生活を送る方法
業績や景気の影響で支給されていたボーナスがなくなった場合、家計のやりくりが難しくなる可能性があります。さらに仕事のモチベーションが下がるかもしれません。ここでは、ボーナスが支給されなかった場合でも上手に生活する方法について紹介します。
出費を控え生活を見直す
急にボーナスカットされた場合には、生活の見直しが必要です。ボーナス支給を前提にした支出を予定している場合は、ほかの出費を控え生活を見直ししましょう。
また、過去にクレジットカードのボーナス払いを利用していた場合には、支払額を確認し必要な金額を準備しなければいけません。残念ながら、ボーナスが支給されたら買うつもりだった物は、次回のボーナスが支給されるまで我慢しましょう。
副業をする
副業はボーナスに代わる収入源として効果的です。近年は働き方改革で副業や兼業を認めている会社も少なくありません。副業をするメリットは主に以下のとおりです。
- 収入が増える
- 人脈が増える
- 新しいスキルが身に付く
- 定年後も仕事を続けられる
ただし、副業する場合は会社で禁止されていないかどうか、必ず就業規則を確認しましょう。
転職を検討する
業績アップが見込めずボーナス支給が期待できないときは、転職を検討してみましょう。転職により給与がアップして家計が改善されるケースは少なくありません。
ただし条件の良い会社は応募数が多くなるため、競争率は高くなる傾向があります。転職の際は業務内容や職場環境など、自分に向いているかどうか総合的に判断して選びましょう。
ローンを利用する
ボーナスが支給されず生活に支障をきたす場合、一時的な補填としてローンの利用を検討してみてください。
セゾンのカードローン「MONEY CARD GOLD」なら、カードが手元にあれば全国のコンビニ・ATMで利用でき、指定の口座に最短数十秒で振り込みすることも可能です。ATMの利用手数料は何度利用しても無料なので安心です。カードローン選びにお悩みの方は是非MONEY CARD GOLDの利用をご検討ください。
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ボーナスなしでも貯蓄する方法
ボーナスがないと貯金はできないと考える方も多いでしょう。しかしボーナスがなくてもやりくり次第で貯金は可能です。ここでは、ボーナスなしでも貯金できる方法について説明します。
生活費を見直す
ボーナスなしで効果的に貯蓄するには、毎月の給与だけでやりくりする必要があるため、普段の生活費を徹底的に見直すことが不可欠です。不必要な部分を削ることで、貯蓄に回せるお金が増える可能性があります。
生活費を見直す場合は、まず固定費に注目してください。固定費の削減は節約効果が大きいため、貯蓄に回せるお金が増えた実感を得られます。
特に見直し効果が高いのは、以下の固定費です。
- 携帯電話の料金(プランや格安SIMへの変更など)
- 電気・ガス料金(供給会社の変更)
- インターネット回線の料金(利用会社の変更)
- 生命保険や医療保険(不必要な部分の解約)
- あまり使用していないサブスク
無駄な支出を見直せば、貯蓄に回せるお金を増やすことができます。
先取り貯金をする
ボーナスがない場合は、毎月少しずつ貯蓄に回していくことが大切です。おすすめの方法は、給与が支給されたらすぐに貯蓄分を専用口座に移す「先取り貯金」です。通常の「生活費に使った残りを貯蓄する方法」では、つい使いすぎて残らないケースが多々あります。あらかじめ決めた金額を専用の口座に預金すれば、着実に貯金することが可能です。
先取り貯金は、毎月決まった金額が引き落とされる自動積立定期預金がおすすめです。自動積立定期預金であれば自分で別口座に移す手間がないため、積み立て忘れの心配もありません。他にも投資ができるNISAや、老後の資産形成ができるiDeCoなどもあります。
また、会社に社内預金や財形貯蓄があれば、利用するのもおすすめです。なお、先取り貯蓄の金額は、生活に合わせた無理のない設定が大切です。始める前にしっかり目標を立てて、貯金のモチベーションを保ちましょう。
資産運用する
ボーナスに変わる資金を得るために、資産運用で積極的にお金を増やす方法もあります。前項で紹介したNISAは貯金と投資を兼ねる方法で、少ない金額から始められるのが魅力です。年間360万円まで株式や投資信託を購入でき、運用で得た利益は非課税になります。
また、株式投資にチャレンジするのもひとつの方法です。ネット証券では少額から株式を購入できるところもあり、リスクを抑えながら運用できます。ただし、株は大きな利益が期待できる反面、損失が出る可能性もあるので注意しましょう。
ボーナスなしの会社に関するQ&A
ボーナスなしの会社に関して、よくある疑問にお答えします。自身の疑問解決の糸口として、ぜひご一読ください。
ボーナスなしの会社は成長性が低い?
ボーナスがないからといって、今後の成長性を疑うのは早計です。企業によって、ボーナスを支給しない理由はさまざまです。
例えば、創業間もないスタートアップ企業では、人件費抑制のため、ボーナスを支給しないケースもあります。また、ボーナスに代えて、ストックオプション制度など、従業員に還元する方法は数多くあります。
ストックオプションとは、従業員が自社の株式を、あらかじめ定められた価格で購入できる権利のことです。例えば、今後3年の間に自社の株式を1株2,000円で購入できるストックオプションが付与されたとします。3年間で株価が2,000円以上に上昇した場合、その時点でストックオプションを行使して購入すると、売却により差額が利益として得られる仕組みです。
このように、ボーナス以外にも従業員への還元方法は多様化しているため、ボーナスのあり・なしだけで会社を判断するべきではありません。
支給されていたボーナスがなしになったら転職を検討すべき?
業績回復の見込みが立たない場合は、転職を検討するのも一つの選択肢です。ただし、安易に決断するのではなく、状況をよく見極めることが重要です。
継続して支給されていたボーナスがカットされた場合は、業績悪化の可能性を考慮する必要があります。一方で、企業の将来を見据えた設備投資などによって、一時的にボーナスが減額されるケースもあります。
ボーナスが支給されなくなった場合は、冷静に状況を判断し、その理由を把握することが大切です。
退職の意思表示をしたあとのボーナス減額は違法?
法律上、退職が決まっている社員のボーナスを減額することは可能です。
ボーナスは必ず支給が義務付けられているものではなく、さまざまな理由により減額されることがあります。また、会社の就業規則にボーナス支給前に退職する場合、減額する旨が明記されていることもあります。
ただし、ボーナスの減額理由に納得いかない場合は、労働基準監督署に相談するのもひとつの手段です。自身にとって納得のいく解決策を見つけることが重要です。
おわりに
ボーナスを支給しない企業は、全体の約3割程度あるようです。その主な理由としては、以下の点が挙げられます。
- 年俸を採用しており、年収にボーナスが含まれている」
- 業績悪化により、ボーナスの支給を見送っている」
- 労働組合がなく、企業側との賃金交渉が難しい
ボーナスがない会社にネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、以下のようなメリットもあります。
- もともとの給与が高水準
- 業績や景気に左右されずに安定した収入を得られる
- 転職活動のタイミングに縛られない
またボーナスがなくても上手にやりくりすると、生活水準を上げたり貯蓄したりすることも可能です。
- 毎月の支出を見直して無駄な出費を減らす
- 貯蓄は、別の口座に移して管理する
- NISAやiDeCoなどを利用して資産運用を検討する
ボーナスなしになって生活に支障が出る場合は、ローンを利用する方法もあります。セゾンのカードローン「MONEY CARD GOLD」であれば、一時的な生活資金としての借り入れもできるため、気になる方は利用を検討してみてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。