契約した保険をそのままにしていませんか?歳を重ねるとともに必要な保障内容が変わってくるので、ライフスタイルが変わったタイミングで保険の見直しをすることが大切です。見直すことによって、保険料を減らしたり、保障内容をより良いものへ変更したりできます。
このコラムでは保険の見直しが必要な理由やそのタイミング、見直すうえでの注意点を解説するので参考にしてください。
世代別の生命保険加入率と保険料の現状
公益財団法人生命保険文化センター平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、世代別の生命保険加入率は全世帯で88.7%、40歳から64歳では90%を超えています。多くの方が保険の必要性を認識しているといえるでしょう。調査内容をもう少し詳しく見てみましょう。
平成30年度世代別の生命保険加入率
世帯別年齢 | 生命保険加入率 |
29歳以下 | 79.2% |
30~34歳 | 86.7% |
35~39歳 | 88.7% |
40~44歳 | 92.4% |
45~49歳 | 93.3% |
50~54歳 | 93.5% |
55~59歳 | 94.1% |
60~64歳 | 92.1% |
65~69歳 | 89.5% |
70~74歳 | 88.4% |
75~79歳 | 82.3% |
80~84歳 | 76.9% |
85~89歳 | 69.5% |
全世帯合計 | 88.7% |
60代以降、加入率が低下傾向であるのは退職によるところが大きいでしょう。加入者が働き盛りの時期や、子どもの教育費がかかる時期など、加入者に何かあったときに保険金が頼りになる時期に最も加入率が高くなる傾向があります。
平成30年度の世帯主年齢別の世帯年間払込保険料支払額についても見てみましょう。
平成30年度世帯主年齢別の世帯年間払込保険料支払額
年齢 | 払込保険料(万円) |
29歳以下 | 23.3 |
30~34歳 | 29.8 |
35~39歳 | 38.0 |
40~44歳 | 34.5 |
45~49歳 | 42.7 |
50~54歳 | 48.3 |
55~59歳 | 45.3 |
60~64歳 | 43.9 |
65~69歳 | 33.8 |
70~74歳 | 29.9 |
75~79歳 | 35.3 |
80~84歳 | 29.5 |
85~89歳 | 36.5 |
全世帯合計 | 38.2 |
保険料の支払額のピークは50~54歳で、年間払込保険支払額は約48.3万円です。55歳以降はゆるやかに下がっていきます。
30代後半から60代前半までは、家族への保障なども考慮して保険料を高めに設定し、55歳以降は退職を考慮して、保険料を下げていることが推測されます。つまり年齢が上がることによって、保険の見直しが行われていることがこれらの数字からわかるでしょう。
参照元:公益財団法人 生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」
保険を見直す3つの理由
保険の見直しが必要になるのは、ライフスタイルや収入などの条件が変化していくなかで、保険だけが若いころに必要だと感じた条件のままだと、必要な保障が受けられない可能性や不要な保障内容が含まれている場合があるからです。
一般的に生命保険は長期的に契約するケースが多いですが、加入者の状況も保険商品の内容も変化しています。保険の見直しをすることで、さまざまなメリットも期待できるでしょう。保険の見直しが必要な理由は以下の3つです。
- 年々ライフスタイルが変化していくため
- 年齢とともに収入状況が変化するため
- 保険商品の多様化と進化が進んでいくため
3つの理由について、それぞれ詳しく解説しましょう。
年々ライフスタイルが変化していくため
保険の見直しが必要になるのは、年齢に応じてライフスタイルが変化して、必要な保険の種類が変わってくるからです。20代独身であれば医療保険、30代既婚で子どもがいる場合は終身保険や定期保険など、保険のニーズも変化します。40代以降は収入保障保険や介護保険などが加わるでしょう。
ライフスタイルに合わせて保険を見直すことで、無駄を減らしながら必要な保障を得られるというメリットがあります。重要なのはそれぞれのライフステージにあった保険を選ぶことです。
年齢とともに収入状況が変化するため
保険の見直しが必要な理由の1つは保険利用者の収入が変化することです。一般的に転職や退職に伴って収入が変わると当然、支払能力も変化します。保険の条件が同じ状態だと、支払額と日々の生活の収支のバランスが適切でなくなることもあるでしょう。
収入だけでなく支出や貯蓄額に大きな変化がある場合にも、保険の見直しを検討しましょう。見直すことで支払いの負担軽減、保険料と保障内容のバランス最適化などのメリットも期待できます。
保険商品の多様化と進化が進んでいくため
保険商品の多様化と進化によって、新たにご自身に適した保険が見つかる可能性もあります。最近はさまざまな状況に対応した商品が出てきています。例えば、大きな病気を患った場合に生き抜いていくためのお金として、生前に保険金が支払われる商品も登場しました。
また医療保険も短期入院に対応したものから先進医療に対応したものまで細分化され、保障内容も多岐にわたっています。何十年も変わらずに入り続けている保険がある場合は、新たな保険に変えることでメリットが大きくなる場合もあるでしょう。
保険を見直す3つのタイミング
保険の見直しのタイミングにこの時期が良いという明確な決まりはありませんが、さまざまな節目の時期が見直しやすいタイミングといえるでしょう。保険の更新の時期、保険料の節約を考えた時期、生活が大きく変化した時期の3つのタイミングが保険の見直しに適した時期といえます。それぞれの時期について解説していきましょう。
保険更新の時期
保険の更新の手続きを行う場合には、保険利用者の更新時での年齢と保険料率によって保険料が再計算されるため、一般的に更新する前よりも保険料が上がることが多いです。
更新後の保険料などの契約条件は、通常、更新のタイミングの前に保険会社から送られて来るため、その契約条件を基にして、他の保険と比較しましょう。保険の更新の時期は見直しの良いタイミングでもあります。
保険料の節約を考えた時期
保険更新の時期でなかったとしても、「保険料が高い」「節約したい」と感じた時は保険料の見直しのタイミングです。つまりお金の使い道が変わったときや収入と収支のバランスが合っていないと感じたときが見直す時期といえるでしょう。保険はさまざまなリスクに備えるものですが、保険料の支払いが現在の生活を圧迫してしまう事態は避けましょう。
月々どれくらいまでの保険料ならば払えるのかを逆算し、必要性の高い保障を優先して保険を見直すのが良いでしょう。
生活が大きく変化した時期
生活が大きく変化する時期は保険の見直しのタイミングといえます。具体的には住宅の購入、子どもの独立、大病を患ってしまった時など、ライフステージが大きく変化した時です。生活が変わると、備えるべき保険の内容も変わってきます。
住宅を購入した場合、住宅ローンを新たに組むケースが一般的です。その際には多くの場合で、団体信用生命保険に加入します。住宅ローンの利用者が死亡、もしくは高度障害状態になった場合には、生命保険会社が住宅ローンの残高に相当する保険金を支払います。住居費の心配がなくなるので、住居費分も踏まえて設定していた死亡保険金の金額を見直して、保険料を抑えることも可能になるでしょう。
子どもが独立するタイミングも保険を見直すのに適したタイミングです。教育費や養育費の心配をする必要がなくなるため、死亡保険金を減らして保険料を抑えることができるでしょう。
また病気のリスクを身近に感じてきたら、医療保険、がん保険、介護保険など、先々のリスクに備えることが大切です。さまざまなリスクを考慮して、保険を見直すと良いでしょう。
保険を見直す3つのポイント
保険を見直す場合は即断するのではなく、じっくり検討することが大切です。確認すべきこと、想定すべきことが多岐にわたるためです。保険を見直すうえですべきことを3つ挙げます。
- 現在の契約内容を確認する
- リスクを洗い出し、必要な保障を確認する
- 無理なく払える月々の保険料を算出する
それぞれ詳しく解説していきましょう。
現在の契約内容を確認する
まずは現在契約中の保険の内容を確認しましょう。どのように見直したら良いのかを現在の保険を起点として考えると、必要な保障内容と不要な保障内容をわかりやすく整理することができます。例えば公的な保険や医療保険と重なっていないかをチェックしましょう。
次に保険期間と実際に保障したい期間が合っているかどうかを確認します。合わせて自動更新の有無もチェックすると良いでしょう。さらに月々の保険料は収入に対して適切かどうかを確認します。また、払い込み期間や、解約返戻金はどのくらいなのかなどの確認も必要です。
リスクを洗い出し、必要な保障を確認する
これからの人生で起こるリスクを洗い出して、それぞれのリスクに対応する保障を確認する作業も重要です。40代、50代であるならば、大病やがんのリスクを想定して、医療保険やがん保険、介護保険を充実させることも必要になるでしょう。
老後資金を充実させるために、個人年金保険の1つでもある運用方法の種類が豊富な変額年金保険も視野に入れて検討しましょう。また子どもの独立によって教育費や食費が安くなり、家族が生活を維持するため必要な生活費の金額が下がっているならば、死亡保険の掛金を減らすことも検討できるでしょう。
無理なく払える月々の保険料を算出する
保険の見直しをするうえで毎月払える保険料の額を算出することも重要です。払える金額から逆算して、必要な保障を絞ることで、無理のない保険料金の支払いが可能になります。また一般的に保険料は年齢とともに上がる傾向があるので、将来的な支払いをイメージしておくと良いでしょう。
保険料の安さばかりを重視すると、いざという時に必要な保障を受けられない可能性があります。保険料と保障のバランスを考慮して、見直しをすることが必要です。
保険を見直す3つの注意点
保険を見直す場合には、急いで加入中の保険を解約することは避けましょう。加入中の保険と新規候補で契約内容を十分比較・検討したつもりでも見落しが出てくるケースもあるためです。
ここでは、無保険の期間 を作らないようにする、社会保険でカバーできる範囲を調べる、増額・転換・新規加入の違いを検討するという3つの注意点について解説します。
無保険の期間を作らないようにする
保険見直しの結果、新しい保険に入り直す場合には、無保険の期間を作らないように注意する必要があります。加入していた保険を急いで解約してしまうと、新たに保険に加入するまでに審査などに時間がかかり、すぐに契約開始できない場合も考えられます。
新しく加入した保険が開始するまでの間、無保険の期間ができてしまうと、保険が必要になったとしても保障を受けられず、金銭的に大きな痛手を受ける可能性もあります。保険の見直しをする場合は、新規で加入した保険の責任開始日が始まった後にこれまでの保険を解約するのが良いでしょう。
社会保険でカバーできる範囲を調べる
保険によっては遺族年金や健康保険の高額療養費制度などの社会保険でカバーできる場合もあります。社会保険をうまく活用すれば、保険金の支出を抑えることができるかもしれません。
ただし社会保険はあくまでも最低限の保障で、社会保険の足りない部分を民間保険が補う役割を果たしています。家計とのバランスを考えながら、社会保険と民間の保険の保障内容を比較して保険の見直しをしましょう。
増額・転換・新規加入の違いをよく検討する
保険の見直しをする場合には、大きく分けると、現在契約している保険の増額、同じ保険会社での転換、新たな保険会社での新規加入の3つの方法があります。
保険金を引き上げたい場合は、契約中の保険を増額するか、新規で保険に入り直すかの2つの選択肢が考えられます。どちらがよりメリットがあるかは加入時期や契約内容によって異なるので、シミュレーションして比較すると良いでしょう。
転換とは契約中の保険の払戻金を頭金として、同じ保険会社の別の保険に加入することです。この場合には払戻金を受け取れないため、注意が必要です。
保険を見直す用途別のポイント
保険は種類によって仕組みが異なるため、保険の適用範囲や保障の仕方もまったく違います。それぞれの保険の特徴を理解したうえで、見直しを検討する必要があります。
ここでは40代以降、加入を検討することが多い医療保険、がん保険、死亡保険について、それぞれの仕組みや特徴の説明も交えながら、見直し方を解説します。
医療保険を見直す
医療保険を見直すうえで大きなポイントになるのは、入院給付金の受け取り条件です。入院特約では入院何日目から給付金がもらえるなどの条件が設定されています。最近では日帰り入院、短期入院でも給付金を受け取れる医療保険も増加中です。一括して一時金が受け取れる医療保険もあります。
この他にも通院保障、先進医療特約など、さまざまなオプションもあるため、適切な契約を判断することが重要でしょう。
がん保険を見直す
がん保険を見直すうえで重要なのはがん診断給付金や治療給付金の支払い条件です。がん診断給付金はがんと診断された際に支払われる一時金です。まとまった給付金を受け取ることで、経済的なリスクを減らすことができます。
金額や受け取れる回数はがん保険によって異なるため、注意が必要です。治療給付金は入院や手術時に支払われ、先進医療に対する給付金が設定されている保険もあります。どのようなサポートが必要かを考えて、保険を見直すと良いでしょう。
死亡保険を見直す
死亡保険の見直し項目で重要なのは受け取る金額と受取人です。加入者死亡時に支払われる金額の目安は家族が生活に困らないということです。死亡保険は基本的に定期保険、終身保険、養老保険、収入保障保険という4つのタイプがあります。
定期保険とは保険期間中に死亡した場合に給付金を受け取れる保険で、終身保険は生涯にわたって保障が受けられる保険のことです。養老保険は一定期間内に被保険者が死亡した場合に死亡保険金が給付され、生存していた場合は満期の保険金を受け取ることができます。収入保障保険は加入者が保険期間中に死亡した場合には年金のように保険金が支払われます。
介護保険を見直す
介護保険は要介護状態になった時のリスクに備える保険です。公的な介護保険は加入が義務付けられていますが、民間の介護保険は公的な介護保険を補完するものとして位置づけられています。
介護だけでなく認知症も保障する保険が登場するなど、現在の社会に必要とされている介護保険のサービスが設定されているのが特徴です。すでに介護保険に入っている方も、将来予測されるニーズに合わせて見直しを検討してみてください。
一時金としてまとめての受け取り、年金としての毎年の受け取りなど、受取方法もいくつかのタイプがあります。家族構成や年齢、ライフプランなどによっても必要となる金額は変化するため、最適なプランも変わってくるでしょう。介護保険の見直しも定期的に行ってください。
20歳から契約できるものもあるので、将来に備えて早めに介護保険を検討しても良いでしょう。
おわりに
保険の見直しは豊かな老後を送るために必要なものです。年齢とともにライフスタイルが変化し、必要な保障内容も変わってきます。いざという時に困らないためにも、人生において想定されるさまざまなリスクに応じた適切な保険を選択することが重要です。
保険商品は多様化しているため、見直しを検討されている方はプロに相談することをおすすめします。
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